ニュース

ポルシェ、新型「911カレラ」日本初公開 「T-ハイブリッド」「e-Turbo」などについてプレゼン

2024年9月11日 開催

新型「911カレラ」を日本初公開

夜のPEC東京を満喫できるさまざまなプログラムを用意

 ポルシェジャパンは9月11日、千葉県木更津市の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC東京)」で行なわれた911オーナー向けのイベント「Night Mission 911」において、新型「911カレラ」を日本初公開した。

 車名にちなんで9月11日に行なわれたNight Missionは、ポルシェオーナーやポルシェファンが交流するイベントとして実施されているPEC東京のコミュニティイベント「Morning Mission」の夜バージョン。Morning Missionとしては回数を重ねてきたが、Night Missionが開かれたのは今回が初という。

ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京

 287台の申し込み中、160台の911オーナーが当選(実際の来場台数は133台[211名])した今回のNight Missionでは、ポルシェ専属ドライバーによるトラック走行体験、ドライビングシミュレーターを用いたNight Mission限定のタイムトライアル、レストラン906でのコースディナーなどが用意されるとともに、午後9時11分から参加者によるパレードランを実施するなど、普段は味わえない夜のPEC東京を満喫できるさまざまなプログラムが用意された。

新型911カレラのアンベールを待つ参加者
会場には歴代911が並べられた
最新の911 GT3 RSのトラック走行体験も
ドライビングシミュレーターを用いたNight Mission限定のタイムトライアル
ポルシェデザインの新作となる腕時計「クロノグラフ1 - ホディンキー 2024エディション」も展示
午後9時11分から参加者によるパレードランも行なわれた

 このイベントの中で、5月より予約受注を開始したばかりの新型911カレラを日本初公開して会場を沸かせた。ポルシェジャパン プロダクト&サービス部 プロダクト&プライシング マネージャーのマイケル・ゴルスラ-氏がプレゼンテーションを実施するとともに、モータージャーナリストの岡崎五朗氏、藤島知子氏による911をテーマとしたトークセッションも行なわれた。

イベントの進行を務めたモータージャーナリストの岡崎五朗氏、藤島知子氏

 新型911についておさらいすると、クーペとして「911カレラ」「911カレラ GTS」「911カレラ 4 GTS」、カブリオレとして「911カレラ カブリオレ」「911カレラ GTS カブリオレ」「911カレラ 4 GTS カブリオレ」、タルガとして「911タルガ 4 GTS」を展開。

 カレラ系では全面的に刷新された水平対向6気筒3.0リッターツインターボエンジンを搭載し、最高出力290kW(394PS)、最大トルク450Nmを発生する。

新型911カレラのアンベール

 一方、GTS系では初めて市販モデルの911にハイブリッドシステムを搭載したのが新しい。新開発の水平対向6気筒3.6リッターエンジン、電動ターボチャージャー、電動モーターを組み合わせる「T-ハイブリッド」を採用した。

 T-ハイブリッドシステムでは新開発の電動ターボチャージャーを搭載し、即座にブースト圧を発生させるとともに、ターボチャージャー内の電動モーターはジェネレーターとしても機能し、最大で11kW(15PS)の電力を生成。

 搭載するバッテリは従来の12Vスターターバッテリと同等のサイズと重量を実現しながら、最大1.9kWhのエネルギーを蓄え、400Vの電圧で作動。高電圧システムによってエアコンコンプレッサーを電動で駆動できるようになり、ベルトドライブが不要になったためエンジンをコンパクト化することに成功するなど、先代モデルからの重量増加は50kgにとどめた。

 このエンジンのボアは97mm、ストロークは81mmに拡大されており、先代に比べて排気量は0.6リッター増となっている。エンジン単体の最高出力は357kW(485PS)、最大トルクは570Nmで、これを電動アシストすることでシステム全体の出力は398kW(541PS)/610Nmとした。クーペの911カレラ GTSでは、0-100km/h加速3.0秒、最高速312km/hを誇る。

新型911カレラ
新型911カレラ

ターボラグをほぼほぼ排除

ポルシェジャパン株式会社 代表取締役社長のフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ氏

 ゴルスラ-氏のプレゼンに先立ち、ポルシェジャパン代表取締役社長のフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ氏があいさつを行ない、Night Missionについて「夜のドライビングやPEC東京の夜のセットアップをぜひお楽しみください」と述べるとともに、7月に発表されたポルシェデザインの新作となる腕時計「クロノグラフ1 - ホディンキー 2024エディション」(日本での販売予価は161万7000円)についても触れ、「世界で350本の限定ですが、日本向けに150本用意しました。今日はそのうちの1本を用意しておりますので、ぜひご覧になってください。ご注文いただければなおさら私どもありがたく思います(笑)」とコメント。合わせてPEC東京で新車の納車サービスを展開することも明らかにした。

ポルシェジャパン株式会社 プロダクト&サービス部 プロダクト&プライシング マネージャーのマイケル・ゴルスラ-氏

 新型911のプレゼンを行なったゴルスラ-氏は1965年からスタートした911の歴史について振り返り、2019年に登場した現行型の992が2024年にI型からII型へと移行し、パフォーマンスハイブリッドである「T-ハイブリッド」をGTSシリーズで採用したことを報告。「T-ハイブリッドでは919のハイブリッドシステムを取り入れています。少し919と異なる点としましては、919はタービンが2つあり、排気ターボチャージャーの隣にある追加タービンが余剰排気エネルギーを電力に変換し、加速中にもエネルギーを回収する。そのような技術がコンセプトとして919で取り入れられておりました。それを今度は電動モーターを通してやってみようじゃないかというのがT-ハイブリッドになります」と紹介するとともに、「高電圧バッテリシステムを導入したことで、通常あるエンジンのベルトシステムではなく、それを排除することでコンパクトなエンジンに仕上げられることが可能になった。これも軽量化の一部になっています」とその特徴について語る。

 重量は992 I型のカレラ GTSが1545kgだったところ、II型では1595kgとなっており、ゴルスラ-氏は「スポーツカーにはないものが積んであると重くなっているのではないかと心配されるかもしれませんが、法的要件で必要になるパーツであったり、安全性を担保するためのパーツであったり、それから大幅に拡充された標準装備といった追加コンポーネントがあるにも関わらず、50kg増に抑えています」と、走行性能に与える影響は軽微であることをアピールした。

 また、「I型はツインターボだったところ、電動排気ターボチャージャー(e-Turbo)に代えることでシングルターボ化しました。電動モーターはPDKに組み込まれ、400Vのリチウムイオンバッテリは重量のバランスを考えた上でフロントに搭載されました。e-Turboについてはタービンホイールとコンプレッサーの間に電動モーターが組み込まれており、この利点としてはレスポンスが非常に早く、ダイレクトでいわゆるターボラグというものをほぼほぼ排除しています」と、その仕上がりについて語っている。

歴代911について
ハイブリッドモデルの歴史
T-ハイブリッドのシステム概要
e-Turboについて
新型911カレラ GTSの車両重量は1595kgにとどめた
新型911カレラ GTSのエクステリアの特徴
新型911カレラ GTSのコクピットまわり
新型911カレラのドライブ性能
新型911 タルガ 4 GTSと911カレラ GTS カブリオレについて
新型911カレラのエクステリア

 一方、新型911カレラのハイライトとしては、先代GTSモデルからターボチャージャーを、先代ターボモデルからインタークーラーを継承したことに触れ、これによってパフォーマンス性能と冷却性能を最適化したとし、「先代モデルと同じエンジンとはいえども確実に走行性能、パワー、ドライブ、ダイナミクスは全て向上しております」と、その魅力について紹介した。

【お詫びと訂正】記事初出時、参加台数に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。