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スバル/STI、「STI NBR CHALLENGE 2025」シェイクダウン レースを走り切るための耐久性を高めたマシンでニュル24時間SP4Tクラス連覇を狙う

2024年12月17日 発表

晴天の富士スピードウェイで行なわれた「STI NBR CHALLENGE 2025」シェイクダウン

 スバル/STI(スバルテクニカインターナショナル)は12月17日、富士スピードウェイ(静岡県)にて2025年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦するマシンのシェイクダウンを行なった。

 2025年の参戦マシンは「WRX S4」ベースのマシン。FA24エンジン搭載車としては3年目の挑戦となり、SP4Tクラスでクラス優勝を遂げた2024年に引き続き連覇を狙う。2025年の目標は予選のポールポジション獲得、ラップタイムは2024年の予選でマークした8分52秒005を上まわる8分48秒。決勝レースではWRX史上最多の146ラップを目標とし、上位ターボ車クラスのSP8Tを含めてのトップフィニッシュと高い目標を掲げ本戦に挑む。

2025年のニュルブルクリンク24時間レース参戦マシン
24時間を走り切り1位でチェッカーを受けるよう願いが込められた、チェッカーから富士山へと変化していく2025年のカラーリング
フロントデザイン
リアデザイン

 シェイクダウンの前には、会場に集まったパートナー企業、報道関係者にSTI代表取締役社長 賚 寛海氏があいさつを行ない「量産車ベースで究極のクルマを作り、過酷なレースに挑むチームの意気込みを感じてほしい」と語った。また、沢田拓也監督をはじめとする主要メンバー、開発ドライバーの佐々木孝太氏、久保凛太郎氏、全国のスバルディーラーから選抜されたディーラーメカニックの紹介を行なった。

STI代表取締役社長 賚 寛海(たもう ひろみ)氏
沢田拓也監督
開発ドライバーを務めた佐々木孝太氏(左)、久保凛太郎氏(右)
全国のSUBARUディーラーより選抜されたディーラーメカニック

 まずは、今回公開されたマシンについてお伝えする。基本的には2024年のマシンの進化形となり、パワーユニットの効率や空力のさらなる進化、新形状ホイールの投入、補剛パーツの投入に加え、各部の締結緩み対策、熱対策などその進化は多岐にわたる。

 一例を挙げると、パワーユニット関連ではパワーアップではなく燃費効率と吸入温度低減のためにエアリストリクター径を拡大している。また、重量はこれまでのものより230g軽く、消費電力は43%低減を達成した小型リアデフ電動オイルポンプの採用など変更箇所は多い。そのほかにも、パーツの塗装の膜圧低下による締結の緩みを防止するための新たな塗装の採用など、非常に地味ながら導入された新技術は徹底したものだ。

FA24エンジンでの3年目の参戦
細部にまで徹底した見直しが行なわれたSTI NBR CHALLENGE 2025。量産車ベースで車高を下げたマシンは熱対策のパーツ1つとってもスペースの確保が大変とのこと。一方でこのマシンで得られたノウハウは市販のSTIパーツに盛り込まれていくという
ブレーキはブレンボ製
基本デザインは変わらずとも着実に進化を繰り返すBBSホイール

 外から見える特徴としてはリアウイングの変化が挙げられる。ウイングステーの形状や翼端板の変更はニュルブルクリンクのコース特性と速度域を分析した上で、効果的な空力を考えられたものだ。

 今回公開された変更箇所は長丁場のレースを確実に走り切る安定性、耐久性を狙ったものが多く、パワフルさよりもドライバーがより操りやすい特性を目指した方向性のようだ。車両開発を行なった佐々木孝太氏、久保凛太郎氏の両ドライバーもその効果を十分に感じられる仕上がりだという。

 なお、従来採用していたサメ肌塗装は今回から別のタイプの表面処理を施した塗装に変更されるとのことだが、今回のシェイクダウンではまだ処理は行なわれていなかった。

新しく開発されたリアウイング
ウイングステー、翼端板ともに刷新された
従来採用していたサメ肌塗装は今回から別のタイプの表面処理を施した塗装への変更が予定されているが、シェイクダウン時にはまだ通常の塗装だった
コクピットまわり
室内

 2025年のニュルブルクリンク24時間レースは6月19日~22日(現地時間)の開催となり、これまでより開催日が遅いため気温が高いことが予想されるが、吸気温度から排熱の対策まで現時点で対策済みとのこと。タイム、ラップ数、ともに高い目標を掲げた2025年大会の戦いが今から楽しみだ。

2025年大会は富士山が描かれたマシンで臨む
富士スピードウェイで走行を繰り返すマシン

 なおドライバーラインアップなど正式な参戦体制は2025年の東京オートサロンで発表される予定。