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日本モータースポーツ記者会、JMSアワード2024に「坪井翔選手」、特別賞に「TOM'S」と「辰己英治氏」を選出

2025年1月8日 発表

左から、2024年度のJMS特別賞を受賞した株式会社トムス 取締役会長の舘信秀氏、JMSアワード2024を受賞した坪井翔選手の代理人として株式会社トムス レース事業本部 スポンサー運営部の神山裕示部長、JMS特別賞を受賞した元STI総監督の辰己英治氏

 日本モータースポーツ記者会(JMS)は1月8日、JMSアワードや期待の新人ドライバー、JMS新会員などの発表を行なう「JMSモータースポーツナイト2024-2025」を東京赤坂にて開催した。

 JMS会長の高橋二朗氏は、「かつてモータースポーツは先進国のバロメーターのような存在であったが、現在は紛争が起きている地域ではモータースポーツなどはできず、平和のバロメーターでもあると言えるかと思います。そしてモータースポーツを取材できる状況であることに感謝しなければいけないと思っております。また、安全面についてはオフィシャルさんの存在が凄く重要だと再確認している次第で、2024年はFIAの中にもオフィシャルに関する部署が設立され、育成やより安全で円滑なレース運営につながっていくと思います。そして2025年のモータースポーツのシーズンも盛り上げてまいります」とあいさつ。

日本モータースポーツ記者会(JMS)会長 高橋二朗氏

 続いて、2023年4月に日本レースプロモーション取締役会長に就いた近藤真彦氏が登壇。2024年の活動を振り返り、「会長に就任して、まずはメディアさんにもっと応援してもらえるスーパーフォーミュラにしたいと第一声をあげ、その甲斐もあって2024年度はスーパーフォーミュラはじまって以来の最大観客動員数を達成できました」と説明。また、2025年シーズンに向けては、「2ヒート制を導入しまして、今は金曜日から盛り上げるための作戦を練っている最中です」と今シーズンの新たな抱負を語った。

株式会社日本レースプロモーション取締役会長 近藤真彦氏

 また、2024年12月25日に新たに設立されたばかりのトヨタ・ガズーレーシング・ディベロップメントの代表取締役社長を務める寺尾健二氏は、「新しい会社として動き出し、トヨタとしてもますますモータースポーツに力を入れていくので宜しくお願いいたします」とあいさつしたほか、団体として加盟している日本自動車レース工業会(JMIA)の副会長としても、「昨年から次世代フォーミュラの開発に挑戦していて、2025年は年央を過ぎたあたりで初号機を披露できるかなと思っています」と最新状況を明かした。

株式会社トヨタ・ガズーレーシング・ディベロップメント代表取締役社長 寺尾健二氏

日下部保雄氏をはじめ、JMSに4人の新規会員が加入

 JMSはモータースポーツイベントを取材するジャーナリストや専門誌編集者などにより構成される団体で、2025年度に新たに加入する会員が発表された。1人はCar Watchでおなじみの日下部保雄氏、そのほかに、末岡大祐氏、鈴木篤氏、田村尚之氏の計4人。

 会場では日下部氏と鈴木氏が登壇(末岡氏と田村氏は欠席)。日下部氏は、「もともとモータースポーツ世界にいたけれど、しばらく離れていて、最近またラリーなどにも足を運んでいますが、ルールなどもだいぶ変わっていて、また1から勉強したいと思います」とあいさつ。鈴木氏は「ジムカーナなどクローズドスペースでの取材が多いですが、宜しくお願いいたします」と自己紹介した。

日下部保雄氏
鈴木篤氏

注目の若手ドライバー2名を紹介

 また、JMSとして2024年の活躍から、今後のさらなる躍動が期待できる2名の若手ドライバーとして、19歳の野村勇斗選手と18歳の小田優選手が紹介された。両選手とも5歳でカートデビューしてから、著しい成長を見せていて、野村選手は2024年はFIA-F4日本選手権シリーズチャンピオンを獲得。小田選手は、スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ/ジャパンリーグチャンピオンを獲得している。

野村選手はビデオメッセージで今後の活躍を誓った
小田選手は会場に足を運び、さらなる飛躍を語ってくれた

2024年度の特別賞とJMSアワードを発表

 最後は毎年恒例となるJMSアワードの発表。JMSアワードは1966年にはじまり、名称や形を変えながらも日本のモータースポーツ黎明期から現在にいたるまで連綿と続いてきた賞。JMS会員の投票により決定するため、時として記録よりも記憶に残る選手が受賞することもある。またJMSアワードに加え、モータースポーツ界に大きな功績を残した関係者に進呈する特別賞も設定している。

JMSアワードの証となる銀杯は、受賞者の名前が彫り込まれてから授与される(画像は2023年のもの)

 2024年度の特別賞は2件。まずは1974年のオイルショック真っ只中に設立し、プライベートとしてトップカテゴリーからエントリークラスまで、数多くのレースに参戦し続け、2024年に活動50周年を迎えた企業トムスが受賞。

 目録を受け取ったトムス取締役会長の舘信秀氏は、「長いようで早かったと言うか、いろんなことがありましたが、長くやっているといいこともあります。継続は力なりとも言いますし、今回はジャーナリストの方々に選んでいただけたというのが本当にうれしいです。これからも生涯現役で頑張ります」とよろこびを語った。

株式会社トムス 取締役会長 舘信秀氏

 もう1つの特別賞は、自動車開発の現場からキャリアをスタートさせ、自身もラリーなどのモータースポーツに参加。スバルがWRCから撤退したあとも、国内のSUPER GTやドイツのニュルブルクリンク24時間レースにも参戦し、輝かしい成績を残したSTI元総監督の辰己英治氏が受賞。

 受賞について辰己氏は、「18歳で富士重工に入り、55年ほどサラリーマンしてました(笑)。昨年のニュル24時間は霧であまり走れなかったレースでしたが、最後のレースとして勝ててよかったなと思います。SUPER GTも2012年から6年ほどやらせていただき、あまり結果は残せなかったけれども、スバルのモータースポーツに関わっていたことを、少しでも知っていただたかなと思っています」と55年の活動を振り返った。

2024年のニュルブルクリンク24時間レース後にSTI総監督を引退した辰己英治氏

 そして栄えあるJMSアワードは、国内最高峰の2カテゴリー「SUPER GT」と「スーパーフォーミュラ」で2年連続2冠を達成した坪井翔選手が受賞。また、2024年は奥様である斎藤愛未選手もKYOJO CUPで活躍するなど、家族でモータースポーツに話題をもたらした1年だった。坪井翔選手は残念ながら会場には足を運べず、ビデオメッセージで感謝を述べるとともに、2025年シーズンも同じトムスチームで参戦し、さらなる飛躍を宣言した。

ビデオメッセージで感謝を述べたレーシングドライバーの坪井翔選手

 最後にJMS事務局長の高橋アキラ氏は、「日本人ドライバーが海外に出ていった時に、日本出身のドライバーってなんか凄いな!と言われるように、みんなが成長していけたらいいなと思っていますし、自分たちはより多くの人たちに、そのことを伝えるのが役目だと思ってます」と会を締めくくった。

JMS事務局長の高橋アキラ氏