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三菱自動車、2024年度第3四半期決算 売上高3.6%減の1兆9893億円、営業利益34.7%減の1046億円で減収減益 通期見通しも全項目で下方修正
2025年2月3日 20:04
- 2025年2月3日 開催
三菱自動車工業は2月3日、2024年度第3四半期(2024年4月1日~12月31日)の決算内容を発表した。
2024年度第3四半期の売上高は前年同期(2兆638億5500万円)から3.6%減となる1兆9892億9100万円、営業利益は前年同期(1601億100万円)から34.7%減の1045億9100万円、営業利益率は5.3%、当期純利益は前年同期(1027億5500万円)から67.7%減の332億3000万円。また、グローバル販売台数は前年同期(58万5000台)から3万9000台増の62万4000台となっている。
売上高3.6%減の1兆9893億円、営業利益34.7%減の1046億円で減収減益
オンライン開催された決算説明会では、2024年度第3四半期の決算内容について三菱自動車工業 代表執行役副社長(CFO)松岡健太郎氏が説明。
この第3四半期には市況の回復を想定していたが、主要市場で期待ほどの販売増とはならず、これを受けた価格競争の激化も起きて事業環境は厳しいものとなり、サマリーでも示されているように主要項目が全面的に減収減益となった。
この理由として松岡CFOは、売上高については在庫車を消化するため卸売り出荷台数を抑制し、営業利益の面では価格競争に対応するため販売費用を大幅に増加させたことを挙げた。また、グローバル販売台数は新型車投入が販売をけん引して前年同期比7%増の62万4000台となっている。
市場別の販売状況については、アセアン・オセアニア地域は厳しい市況となっているが、三菱自動車はマレーシア以外の各国で販売シェアを拡大。市場全体での販売台数も伸ばしている。
インドネシアでは新型「トライトン」を市場投入して堅調な販売を維持し、市場シェア拡大に貢献した。ベトナムでは「エクスパンダー」「エクスフォース」の販売が堅調に推移したことで、全体需要の伸びとともに販売台数を大きく増やした。また、2024年9月から販売をスタートした新型トライトンは販売実績のある地域に集中投入することでスタートダッシュを成功させたという。
中南米・中東アフリカ地域では、中南米の一部で市況が悪化して価格競争が過熱しているが、三菱自動車では新型「L200/トライトン」や新型「アウトランダー スポーツ」などの新車効果で販売台数が伸長。
中東アフリカはコロナ後の需要回復が一巡して価格競争が激しくなっているほか、ピックアップトラック需要が主要市場で低迷していることで、新たに投入したL200/トライトンの市場浸透に時間がかかってしまっていると説明された。
日本・北米・欧州地域では、日本は全体需要が前年割れした状況が続いているものの、三菱自動車では新型「アウトランダーPHEV」や「デリカD:5」の特別仕様車の市場投入が成功して市場シェアと販売台数の双方を拡大した。
北米市場ではカナダでアウトランダーPHEVが2年連続となるPHEVカテゴリー販売トップを獲得しているが、市場全体では販売競争の激化が進み、各社とも利益と販売台数のバランスについて難しい舵取りが続いていると指摘し、今後も市場動向を注視して柔軟な販売戦略を実施していくと述べた。
2024年度通期見通しを全項目で下方修正
続いて三菱自動車工業 代表執行役社長 兼 最高経営責任者 加藤隆雄氏から通期見通しについて説明が行なわれた。
第3四半期に入って、販売費や資材費の高騰を資材費抑制の取り組みや為替の好転でオフセットできた上期までの状況から変化が起き、販売競争の激化と在庫消化の促進などの影響による販売費用の増加、資材費低減の鈍化に加え、為替の大きな悪化によって厳しい結果につながっていると説明。
ここから第4四半期に向けて北米市場を中心に卸売り出荷台数を増加させる予定となっているが、サプライヤーサポートなどを含むインフレ対策による生産への影響、その他経費の積み上がりなども想定されることから、2024年度通期見通しを期初発表値から全項目で修正。
売上高は1200億円減の2兆7600億円、営業利益は650億円減の1250億円、経常利益は1190億円減の900億円、当期純利益は1090億円減の350億円にそれぞれ下方修正し、グローバル販売台数も4万7000台減の84万8000台とした。
2024年度第3四半期のビジネスハイライト
また、恒例となっているビジネスハイライトの説明では、2024年10月末から日本での販売をスタートさせた新型アウトランダーPHEVについて説明。EV航続距離を従来の約80kmから約100kmに高め、動力性能にもゆとりを持たせて快適性を向上させたほか、内外装の質感向上、機能や装備の充実を図った各改良により、これまでの3か月は計画の2倍以上となる受注を獲得する順調な滑り出しを見せているとアピール。
今後は北米、欧州、豪州でも改良型の市場投入を予定しており、競争環境が厳しい各市場でも日本での好調を追い風として販売台数増、販売費用の低減につなげていきたいとした。
アセアンにおける主要市場の1つで、三菱自動車の生産拠点でもあるタイでは、2019年に100万台近い数字だった市場規模が減少傾向を続け、三菱自動車が得意とするピックアップ車の市場も2024年度は2022年度の規模から半減。タイの家計債務は厳しい状況が継続しており、新車需要の持ち直しには一定の時間がかかると予測しているという。
また、タイは三菱自動車の輸出拠点ともなっているが、これに関連する通貨のタイバーツが円安/バーツ髙の傾向が続いて三菱自動車の利益を押し下げる影響が出ている。こうした市場動向を勘案し、三菱自動車の現地法人であるMMTh(ミツビシ・モーターズ・タイランド)で300人規模の早期退職者募集を実施するなど、事業構造改革に着手していることが説明された。
このほか、2024年12月に発表された日産自動車と本田技研工業の経営統合に向けた協議・検討についても触れ、この件については2社が協議して方向性を見出すことが先決であり、三菱自動車としては2社での議論経過を共有してもらいつつ、経営統合といった流れにどのような形で加わっていくかをスピード感を持って判断すべく検討を続けていると説明。現段階ではさまざまな可能性を検討しており、方向性が定まった段階で報告するとした。
なお、経営統合については当初1月末をめどに方針が示されると予定されていたが、現時点では2月中旬に方向性が定まる予定だと語られた。
最後に加藤社長は、「2024年度第3四半期の当社を取り巻く経営環境は、期待していたタイ、インドネシアの需要回復が見られず、米国などを中心とする市場競争の激化やタイバーツを主体とした為替の悪化など、いっそう厳しさを増す結果となりました。また、厳しい販売環境に柔軟に対応するため、在庫の適正化に早期に取り組んだこともあり、販売費が増加することにもなりました。中期経営計画『Challenge 2025』の3年目に突入する本年も、タイ、インドネシアを主体に、アセアンの経済回復が未だ見通せず、インフレ影響によるコスト悪化や各国の新政権による規制や方針見直しなどが予想されるなど、厳しく、かつ先を見通すことが困難な状況が続きます」。
「その一方で、ここ数年で開発を進めてきた新車種の立ち上がり、および各国での展開が今後さらに拡大していきます。また、在庫消化がほぼ完了したことからも、この2024年度第3四半期が販売台数と利益の底になると考えております。今後の新型車の展開を活用し、販売台数の拡大と販売費の抑制を目指す一方で、前倒しで積極的な費用削減施策を行なってさらなる成長を目指していきます」とコメントしている。