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EV関連サービスのイブニオンが10月始動 三菱自動車、三菱ふそうトラック・バス、三菱商事が共同設立
2024年9月5日 12:42
- 2024年9月4日 開催
メーカーによらないオープンプラットフォームで情報提供
三菱商事、三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車工業が共同で設立したEV(電気自動車)関連サービスを提供するイブニオンは9月4日、報道関係者を集めて事業について説明と質疑応答を行なった。
イブニオンの事業開始は10月1日で、オンラインプラットフォーム「EVNION PLACE(イブニオンプレイス)」をスタート。EV周辺サービスとして、EV導入に必要な充電器や電力プランをはじめ、導入に関する情報を、自動車メーカーによらないオープンプラットフォームで個人・法人向けを問わず提供していく。イブニオンは自動車メーカー2社が参画しているが、説明を行なった代表取締役社長の窪田賢太氏が「オープンプラットフォーム」を強調。自動車メーカーやブランドによらないEV周辺サービスを提供するという。
具体的には、EVを購入して利用する際に必要な充電器設置や電力プランなどのさまざまなサービスや情報をワンストップで提供する。背景にはEV販売店では車両そのものの販売に手がかかり、充電器や電力プランなどの付帯サービスの説明まで手が回らないことや、どのようなサービスを提案していいか分からないこともあるという。
そこで、ユーザーは個人や法人向けコンフィグレーターなどの機能で必要な機器やサービスを知ることができ、その場で見積もりを依頼することもできる。また、法人向けには担当者が相談に対応するコンシェルジュサービスも提供する。
見積もり後のやりとりや工事契約等は実際に施工を行なう工事業者などと直接やりとりすることになるが、イブニオンでは信頼のおける工事業者等を掲載し、情報の品質を高める。
イブニオンとして費用の目安や規定料金といったものは設けない。例えば充電器の工事は、設置場所などの条件や用途によってかかる費用は大きく変わるため、一律の目安を示すことはなじまないためだという。
イブニオンはEVとユニオンをつなげた造語。あらゆる方々をつないでEV普及に貢献
登壇した窪田氏はまず、イブニオンの名前やロゴの由来を説明。「EVを取り扱う、あるいは関係される方々、ユーザーの方々、あらゆる方々をつないでEVの普及に貢献していきたいという思いからこの名前を付けた」「ロゴはEVのEをベースに、電源プラグの形やつながる成長、サステナビリティを表す木にも見える、といった思いが込められている」と語った。
イブニオンの目指す世界としては、EV総合サービスプラットフォームとして、自家用やビジネス用を問わず、EV導入と運用に最適なソリューションを提供するとし「より多くのお客さまにEVに関するサービスや情報を提供することで、モビリティサービスの連携を促進して、サステナブルな社会の実現やDXへ貢献する」としている。
具体的な事業は、イブニオンプレイスというプラットフォーム上で、EV関連機器やサービスを紹介し、掲載料や紹介料、広告宣伝料などを会社の収入とする。
イブニオンプレイスで紹介するものは、充電器や電力サービスだけではなく、太陽光パネルやV2Hシステムなども網羅し、さらに脱炭素のコンサルティングまでも取り扱う。また、提供する情報についても、EVに関する記事や情報を「ここに行けば分かる」というように一元的に提供していく。
コンフィグレーターでは細かい選択肢を選ぶと、適したシステムを表示
イブニオンプレイスのコンテンツを紹介したのは、取締役の五島賢司氏。10月開設予定のものを先行して説明した。
主なコンテンツとなるマーケットプレイスでは、EV導入の際に必要となる充電器などをどう選んだらいいかの手助けをするコンフィグレーターがある。
使用するEVの車種を選択し、メイン利用なのかサブで利用するのか、都道府県や家のタイプ、充電池設置の目的としてV2Hを希望するかなどを選択していく。普通充電器の提案では、最も簡単な充電器用のコンセントを設置するだけか、スタンドタイプを設置のかなどが表示されるが、選びやすいよう、それぞれに説明が出てくるようにしている。
さらにEVの充電を含めたときに適した電力プランの提案も行なう。電力プランは必要がないならスキップすることもでき、設問に答えたあとは、実際に見積もりをしてくれるサービス提供者が表示され、ログインすれば見積もりへと進めることもできる。
すでにEV購入を決めている顧客はもちろんのこと、まだ具体的な検討を始める前の顧客に対しても有益な情報を提供していく。
これらは個人と法人のどちらにも対応し、最初にビジネス用とすればビジネス利用に適した急速充電器のラインアップが表示される。特に法人の場合はWebサイトだけの情報提供では課題に対応しにくいため、利用法など詳しい話を聞きながら最適な提案をするコンシェルジュ機能を用意し、EV導入について熟知した担当者が対応することもできるという。
また、掲載するコンテンツはEV導入を決めた人だけでなく、興味がある人、これから検討したい人の疑問にも答えられるような記事をそろえる。基本的な質問から詳しい人の疑問にも答えられるにようにするほか、EVを使うことによる新しい生活などの紹介をもしていきたいという。
EVそのものを選ぶ機能は具体的な予定はないが、今後追加する可能性はある
質疑応答では、EVそのものを選ぶ機能の提供についても問われた。窪田氏は、ニーズはあり、議論はあったとしたものの「まずは周辺のサービスから」と返答。さらにはニーズが高そうな機能として「今後追加する可能性は十分にある」とした。
現時点で具体的な予定はないと強調しながらも、利用法によってEVのタイプが異なり、電池の容量の大小、充電網などによっても異なってくるため、今回提供するサービスと車種選定は切り離せない課題となるとの認識も示した。
また、数値目標や法人向けや個人向けなどの比率などは特に公開していないが、件数では個人向け、金額では法人向けが多くなるとの見通しも示し、それぞれにノウハウのある三菱自動車、三菱ふそうの知見などを活用していく。
販売店向けとして三菱自動車、三菱ふそうの販売店に情報提供を行なうが、すでに販売店独自にEV周辺ビジネスを展開していところもあり利用は任意。EV周辺の課題は幅広いため、案件によって活用するような利用もある。また、オープンプラットフォームを強調していることから、そのほかのメーカーやブランドにも展開し、将来的にはEVを扱う中古車販売店、さらには海外展開も考えられるとした。