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ボルボ、フラグシップ7シーターSUV「XC90」発表会 シンプルモダン&ラグジュアリーな新型を不動奈緒美社長が解説

2025年2月13日 開催

進化した「XC90」についてボルボ・カージャパン 代表取締役社長 不動奈緒美氏が発表

 ボルボ・カー・ジャパンは2月13日、フラグシップ7シーターSUV「XC90」の進化モデルを発売。同日に「Volvo Studio Tokyo」(東京都港区南青山)で新型XC90の発表会を実施し、ボルボ・カージャパン 代表取締役社長の不動奈緒美氏が登壇し、新しくなったXC90を紹介した。

 登壇した不動氏はまず最初にボルボの現在の状況を説明。それによると、2024年のボルボのグローバル年間販売台数は2023年比で約8%増の76万3389台となり、これは過去最高の販売台数となっている。中でもEV(電気自動車)の販売は前年比で54%の増大で販売台数の割合は23%。そしてプラグインハイブリッドは前年比16%増、販売台数の割合は同じく23%となり、EVとプラグインハイブリッドを合わせてボルボの世界販売の46%に達した。そして日本市場でも昨年度はEVとプラグインハイブリッドをあわせると30%の販売比率となっている。

 この実績について不動氏は「おそらく皆さまが想像するよりボルボの電動化は進んでいると感じられたのではないでしょうか」と語った。

ボルボ・カージャパンの表取締役社長 不動奈緒美氏
2024年度の販売台数は76万3389台
EVとプラグインハイブリッドの比率は全体の46%を占める
日本ではEVとプラグインハイブリッドの販売比率は30%となっている

 ボルボは2024年9月に2030年までに新車販売の全てをEVにするという目標を一部変更している。新しい目標は、2030年時点で世界での新車販売台数の90%以上をEV、またはプラグインハイブリッドにして、残りをマイルドハイブリッドにするというもの。これは各マーケットの進み具合、インフラの普及率などを総合的に考え、またユーザニーズに基づく考え方となっている。

 一時期に比べてボルボが唱える電動化の内容は変更を受けているが、これは電動化を諦めたということではない。EVに加え、プラグインハイブリッドやマイルドハイブリッドというユーザのニーズに合わせた電動化ラインアップをバランスよく販売・推進していくというものである。

ボルボでは2030年時点で世界での新車販売台数の90%以上をEV、またはプラグインハイブリッドにして、残りをマイルドハイブリッドにする目標を立てている

 続いては新しくなったXC90の紹介だ。XC90はボルボのフラグシップSUVであり、ラグジュアリーと実用性を兼ね備えたプレミアム7シーターモデルである。電動化についてはプラグインハイブリッドとマイルドハイブリッドの2種類が用意された。

 ボルボにおいてXC90は歴史あるもので、初代は2002年に登場。このモデルは乗用車ベースのSUVモデルの先駆けとなった存在で、ボルボの安全技術、環境性能、そして快適性が詰め込まれロングセラーモデルとして確実に世界市場に広がっていった。

 そして2015年に第2世代のXC90が登場し、以降は世界各国で数々の賞を受賞。セールスも安定していて、2025年中に累計販売台数は100万台を達成する見込みになっている。なお、日本では2016年に第2世代のXC90が導入され、現在まで1万台を超える販売となっている。

XC90は2002年にデビュー。2015年に第2世代に変わった
日本におけるXC90の販売台数の推移。不動氏は「発売開始から大きく数字が減ることはないどころか増えているという点に注目してほしい」と語った

 さて、会場に置かれたXC90を前に不動氏は「いかがでしょうか? 顔が大きく変わったなという印象をお持ちだと思います。この新しいXC90で皆さまに感じていただきたいのは、ボルボが細部までこだわったディテールです。ディテールに徹底的にこだわることがお客さまから愛され安定したロングセラーになっている理由だと私は思います。このこだわりを言葉にすると“神は細部に宿る”です」。

「まずはデザインを大きく刷新したフロントグリルを見てください。2方向から伸びる射線を重ねるように配置したデザインはシャープでスポーティな印象とともに気品あるデザインだと思います。続いてヘッドライト。ボルボの最新EVを彷彿とさせる薄型になった新しいトールハンマーデザインは、遠く離れていてもひと目でボルボと分かるものになっています」とアピール。

プラグインハイブリッドモデル。フロントフェイスが大きく変わり、ヘッドライトは薄型のトールハンマーデザイン。ボディサイズは4955×1960×1775mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2985mm
リアビューのデザイン変更はないが、コンビネーションランプの一部がブラック仕上げになっていてレンズのコントラストがはっきりした
プラグインハイブリッドのグリルまわりはブラックアウト化
サイドミラーもブラック仕上げ
プラグインハイブリッドの標準ホイール。タイヤサイズは275/35R22
充電口のハッチデザインが以前の丸型から四角っぽい形状に変更されている
マイルドハイブリッドモデル。マイルドハイブリッドはグリルにシルバー加飾が入る
リアビュー。プラグインハイブリッド同様、コンビネーションランプが変わっている
マイルドハイブリッドの標準ホイール。タイヤサイズは275/45R20
ミラーはボディ同色になる

 続いてインテリアデザインについて、不動氏は「刷新されたインテリアはスカンジナビアデザインの要素が従来よりもより多く、より色濃く反映されています。ボルボ伝統の長い時間座っていても疲れないシートは、おなじみのナッパレザーシートに加え、新たに2種類の環境に配慮した素材を使用するシート用意しています。1つ目はボルボ独自のリサイクル素材とバイオ素材から作られたキルティング仕上げの『ノルディコ』。そして100%リサイクルポリエステルで仕立てた『ネイビー・ヘリンボーンウィーブ・テキスタイル』です。このように新しいXC90では多彩な素材を採用し、サステナブルでありながら上質で快適な空間を提供しています」とその魅力について語る。

マイルドハイブリッドのフロントシート。ノルディコ仕様
2列目シート
不動氏によるとドアトリムもシンプルであり機能的な美しさと使い勝手のよさを併せ持ったデザインになっているという
プラグインハイブリッドのフロントシート。ネイビー・ヘリンボーンウィーブ・テキスタイル
2列目シート
フロントドアトリム
リアドアトリム

 また、オーディオについてはスピーカーメッシュ・デザインが一新された「Bowers&Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステム」をオプション設定し、「1410Wの高出力、19個のスピーカーとサブウーファーによりコンサートホールにいるような臨場感あふれるサウンドを実現するだけでなく、美しいデザインはインテリアを格調ある空間へと作り上げています。そしてダッシュボードは従来どおり直線的な形状でありますが、グローブボックスの上部は100%リサイクル素材を使用したテキスタイルパネルとウッドパネルが組み合わされて、シンプルかつクリーンな仕上がりとなっております」と細部について紹介した。

「Bowers&Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステム」をオプション設定
EX90やEX30に採用される次世代ユーザー・エクスペリエンスを導入。センターディスプレイは9インチから11.2インチに大型化され、ピクセル密度も21%向上。操作性と視認性が大幅に進化した
ダッシュボードは従来どおり直線的な形状だが、グローブボックス上部は100%リサイクル素材を使用したテキスタイルパネルとウッドパネルが組み合わさる

 最後に「ディテールのデザインはセンスのよさだけでなく、使う人のことや機能を考えたものです。それは若い世代中心に人気の北欧家具に通じるものがあると私は考えています。北欧デザインのシンプルモダンとボルボのデザインは通じるものがあり、それにラグジュアリーを加えたのがXC90だと思います。そして忘れてはいけないのが、他のボルボ車と同様、XC90は世界で最も安全なクルマであることです。このクルマの特徴として3列目のシートがあります。こちらのシートでは身長が170cmまでの人であれば、他のどのシートとも変わらない安全性が確保されています。ボルボではその安全性を確かめるために3列シートに特化したリアルな衝突実験も行なっております。そうしたことから3列目シートの安全性は特筆するものだと私は思います」。

「最後にメカニカルについてのアップデートについても触れさせていただきます。今回、マイルドハイブリッドモデルはミラーサイクルエンジンとなり、燃費が約5%改善されました。そして車体にも改良を加え、乗り心地と静粛性を向上させています」と、不動氏は新しいXC90について紹介した。

シフトノブはボルボのこだわり部分。スウェーデンのクリスタルガラスを使っていて、職人が1つずつ手作りで仕上げているもの。それゆえに世界で1つというものになっている
プラグインハイブリッドのエンジンルーム
マイルドハイブリッドのエンジンルーム
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