「フォルクスワーゲン ポロTSI」長期レビュー
第2回:ポロを買って1カ月、燃費や使い勝手は?


ポロで長距離ドライブに行ってきた

 ポロが我が家にやってきて約1カ月が経過した。もう何年も手元にあるくらい馴染んでしまった。トラブルもなく、順調そのものだが、毎日のように30度を超える真夏のためか燃費の点で少し不満が出てきた。

エアコンを使いまくって総燃費は現在13.2km/L
 最初に燃費を報告すると、購入直後に満タンにしたものをスタートとし、その後の走行距離÷総給油量では13.2km/Lとなった。ポロの10・15モード燃費は20km/Lだから達成率は66%である。

日付走行距離(km)給油量(L)燃費(km/L)
2010/7/418514.6312.65
2010/7/1016513.5112.21
2010/7/1074746.49*16.07
2010/7/2434029.511.53
2010/8/537532.811.43

*2回に分けて給油

 ここに至るまでの使い方では、納車直後は毎日のように夕立があり、その後は30度を毎日のように超える暑い夏がやってきて、エアコンなしの走行はほとんどない状態だった。さらにポロは毎日の通勤車でもないので、日中に繁華街や街中の信号渋滞の多い場所を多く走行している。乗車人数も2名以上の場合が多く負荷も高い。

 街中や信号の多い場所での燃費は、全く伸びず、渋滞に多く巻き込まれたこともあり12km/L程度となっている。特に気温が高くなってからの燃費が悪く、エアコンの使用頻度の高さが影響していると思われる。

 実際に運転をしていても、先の信号が赤の場合などのとき惰行の伸びがエアコンの有無で大きく違うことを実感する。信号までたどりつくためにアクセルを踏み足せば、その分の燃料は消費してしまう。

 その一方で、1日に800km超の長距離走行(高速道路が主)をしており、現時点でポロの走行距離の半分が高速道路といった状態でもある。

 長距離ドライブであれば燃費は伸びそうだが、このドライブの経路は2名+大量の荷物の乗車で、常磐道+磐越道を走行したので、途中からアップダウンが激しい地形であるうえに片側1車線が多い道路を、流れを保ちながら一定速度で走り、燃費が悪くなった。上り坂で他車の流れに合わせて速度を維持していくと、瞬間燃費で10km/Lを切ることもしばしばあり、全行程のほとんどでエアコンを使い、ドライブの全体では約16km/Lとなった。

 低燃費車を買ったつもりなので、心情的には納得いかない点もあるが、休日や夏休みの渋滞が多く、一定速度の巡航があまりない乗り方であったこと、10・15モードの算出では考慮されないエアコンを動作させた状態での走行がほとんどであったことなどを踏まえれば、この数値は十分なのかもしれない。ちなみに同様の使い方では1.6リッタークラスのコンパクトカーでは10km/Lを切っていたので、条件からすれば決して悪い数値ではないと思う。

 流れのよい慣れた道を走行し、気温が低い早朝と夜間に走るような通勤利用では、さらに燃費が伸びると思われる。瞬間燃費計を見ていた限りでは、60km巡航が続くような郊外のバイパス道などを巡航するような状態が続けば20km/Lの燃費も達成するのは難しくなさそうに思えた。

 なお、今後も燃費計測は引き続き行っていく。夏が終わり、エアコンを使わなくなる時期に燃費がどう変わるかも注目だ。できれば、平坦な道での中距離ドライブも試してみたいと思っている。

給油はいつもセルフスタンド。誤差が出ないようオートストップで1度停止した後、ひと呼吸おいて給油して次のオートストップで止めることに統一した高速道路をひた走るポロ。長距離でも疲れ知らずなところが欧州車SLマニアの案内で会津~新潟までを追いかける。蒸気機関 対 最新TSIエンジンの新旧レシプロエンジン対決

使い勝手も走行性も大きな不満なし
 ポロに1カ月乗ってみた現時点で、不満に思う点は少ない。以下に無理矢理に粗を探した結果を記載する。

カップホルダーの位置が悪い
 センターコンソールのカップホルダーに飲み物を入れると、取り出しにくく、最悪の場合は上のエアコン操作パネルにひっかかってこぼしそうになる。

 ドアにあるカップホルダーは大型のボトル用で、一般的な500mlのタイプだと不安定。

シート下のトレイサイズが小さめ
 内寸はおよそ225×95×105mmで、箱入ティッシュが入らない。もう少し大きかったらよかったのにと思う。

温度表示が常時表示ではない
 メーター内の外気温の表示は操作ボタンで選ばないといけない。夏は外気温を見てもげんなりするだけだが、冬は凍結スリップの目安になる。4度以下では警告が出るらしいが、できれば常時温度を見ておきたい。

水温計がない
 新世代のエンジンでは、運転者が冷却水の水温を気にする必要はないのだろうが、通常あるものがないのは不安になる。水温異常があればタコメーターの中に赤い警告ランプが点灯する。

バックライトが片方点灯
 実用上の問題はないが、納車からこれまでの1カ月間に、ガソリンスタンド、近所の方、クルマを見に来た知人に「切れてるよ」と言われ続けることが不満。納車時にも「もともと片方点灯なので切れたと思わないように」と説明された。世の中にはバックライトが片方の車種も多いはずだが、それらは周囲に“球切れ”や故障と誤解されているのだろうか。

コンソールのカップホルダーは奥まったところにあり、ちょっと使いにくい上から見るとエアコン操作パネルの下に隠れているドアのカップホルダーは、500mlボトルを入れると小さすぎて不安定だ
シート下の収納スペース。TSIでは運転席側だけに装備される外気温の表示は切り替えで表示できる。ふだんは燃費計を表示させているので、切り替えないと確認できない
燃費計は、瞬間、エンジンかけてからの平均、リセットするまでの平均の3タイプで見ることができる。リセットした後、ノロノロ渋滞ばかりの道を走れば、こんな極悪燃費の数値も出てくることもやむを得ないスピードメーターをデジタル表示することもできるバックライトは運転席と反対側だけ点灯する。運転席側の対称位置にはリアフォグライトがある

 反対にポロのよい点は、加速が鋭くスムーズなため“渋滞を起こしにくい”クルマなのではないかということ。フォルクスワーゲンが提唱する、素早く加速し、1度アクセルを離して一定速で走るという乗り方にぴったりだ。

 絶対的なエンジン出力はそれほど大きくないものの、実用域でのトルクが太いため、道路で流れに乗って走る際に有効。ある程度の加速性が求められる高速道路の合流や料金所からの加速も、太いトルクのおかげで高回転まで回す必要がない。勇ましいエンジン音を出さずに済むため、同乗者や周囲へ不安感を与えることも少ないだろう。

 ただ、燃費性能を優先したシフトスケジュールやドライブバイワイヤのアクセルのためか、交差点の左折時など、減速した後の再加速がもたつくことがある。キックダウンを期待するならより深くアクセルを踏む必要がある。これはクルマの癖と見ておいたほうがよいだろう。

 運転感覚も良好だ。特に前方視界がよくAピラーの死角も少ない。1685mmというコンパクトな全幅、直進性がよいこと、ちょうどよい軽さのパワーステアリングの相乗効果で、身軽にスイスイ運転できるクルマという印象だ。

 インテリアで意外に良好と感じたのが、ウレタンステアリングの触り心地。新車というせいもあるが、シボ加工が深いせいか、夏の暑い日でもベトつく様子がないのだ。しかも滑ったりするこもない。革巻きのステアリングのソフトな触り心地もよいが、ウレタンなら汗が滲み込むこともないので、夏の清潔感はこちらのほうが上である。

 また夏に重宝なのが、車外からキーレスで窓を全開できること。リモコンキーのドアロックスイッチの「解錠」を長押しすると、窓が全開になるのだ。「施錠」の長押しで窓が全閉できることは以前から知っていたが、その逆があることは説明書を読むまで気づかなかった。今では乗り込む前に窓を全開するのは、ポロの走り始めに必須の儀式になっている。

800kmのドライブの後では、特にフロントバンパーの平面部分が虫だらけスペアタイヤがなく、パンク修理キットが装備されるおかげで、比較的大きな荷物収納スペースが存在している。かなり使える収納場所ウレタンステアリングのシボ。さらっとしていて手触りは気持ちよい。経年でどれだけ変化するかにも注目
最近のコンパクトカーに多い三角窓がないので、斜め前方の視界は良好リモコンキーには、施錠、トランク解錠、解錠の3つのボタンがある。全体解錠のボタンを押し続けると窓が全開となる。夏場に便利

ETC&オーディオを装着
 今日までのポロのモデファイは、ETCとオーディオだ。

 ETCは、三菱電機製の窓貼り可能な「EP-538」を装着した。ポロの場合、ダッシュボードまわりに物入れのようなものがなく、分離型ETCでは本体の設置場所に悩むことになる。その点、この機種はフロントガラスの上に一体の本体を貼り付けるだけで、それ以外の設置場所を必要としない。しかも低価格だった。

 ポロのフロントガラスは電波を通すタイプとのことで、どこに設置しても電波の透過では問題がないが、視界を遮らないところとしてミラー上のメッシュの部分に貼り付けた。

ETCは三菱電機のEP-538。窓に貼れば本体の設置場所に悩む必要がないのが便利。カードが刺さっているかどうかも運転中に確認しやすいヘッドライトのスイッチの下にでも小物入れがあればETC本体を収納できるのだが……。ポロのダッシュはすっきりシンプルで何もない

 オーディオは、純正の「RCD310」がMP3ファイルを書き込んだCD-Rの再生ができて、AUX端子も備えるが、USBオーディオを使いたかったこともあり、交換してしまった。

 ただし、現在のフォルクスワーゲン車の場合、面倒な点がある。車両からの信号が、完全にCAN-BUSという自動車内のデータ通信網の制御となってしまい、いわゆるアクセサリー電源は取り出し不可能。イルミネーション電源などの信号は遠くから配線を引き回す必要がある。

 アクセサリー電源はイグニッションONで代用することも可能だが、純正ラジオと同様にエンジンを切っても、キーを抜くまではラジオが止まらない動作を実現したかったのと、今後のカーナビ導入準備もあり、CAN-BUSアダプターを購入することにした。

 カーナビやオーディオのためのCAN-BUSアダプターは国内メーカーからも販売されているが、国内では入手困難な取り付けキットも購入したかったため、個人輸入で調達した。

 購入したのはCAN-BUSアダプターがPAC Audioの「C2R-VW2」、取り付けキットはScosche Industriesの「VW2317B」で、どちらも米国Amazon.comで購入、日本への転送サービスを利用して取り寄せ、合計で1万円弱だった。

 さらに、取り付けにはアンテナコネクターの変換とアンテナ線に電源を重畳するためのアダプターも必要になるが、今回は手持ちのパーツを活用した。

 取り付けキットの「VW2317B」のよいところは1DINと2DINのどちらも使え、1DIN利用の場合の物入れまで付属していること。手持ちのオーディオのケンウッド「U535」を取り付けてみたが、すっきり収まり、iPhone接続時はiPhoneを下段の物入れに入れておくことができ、とても便利になった。

 CAN-BUSアダプターからの信号は、現在のところアクセサリー電源とイルミネーションしか利用していないが、ポロで問題なく利用できている。アクセサリー電源にはリレーを加え、PNDの電源もここから取り出し、ラジオと同じタイミングでON/OFFができている。

米国Amazon.comから転送サービス業者を通して届いたCAN-BUSアダプターと取り付けキットPAC Audioの「C2R-VW2」はCAN-BUS変換本体とコネクター類までセットになっている。線は先バラなので自分でギボシ端子を付けなければならない取り付けキットのScosche Industries「VW2317B」。Scoscheの製品はアメリカ車向けは国内カー用品店でよく見かけるが、ドイツ車向けはあまり見たことがなかった
ビニール袋に無造作にこれだけのパーツが入っている。2DINと1DINのどちらにも対応する「VW2317B」を使って1DINのオーディオを取り付けた。プラスチック無塗装だが、質感はまあまあ。1DIN時の小物入れまで入っている。出ている線はPND用の電源線純正オーディオ「RCD310」のアンテナ端子は欧州車によくあるタイプのもの。フォルクスワーゲンはアンテナアンプの電源も重畳されているので、BMW用として市販されている国内で一般的なJASOタイプへの変換コネクターを使うと接続できても電源供給で問題が出るようだ
取り外した純正オーディオのRCD310。表示や操作が大きいのは純正ならでは。ちなみに中身はスッカスカだ

サービスキャンペーン&1000km点検も問題なし
 ポロ TSIと言えば、ネット上でも話題になった惰行後のエンストの問題があり、早速サービスキャンペーンでエンジンとDSGのファームウェアアップデートが行われた。パソコンや周辺機器のように自分ではできず、ディーラーから連絡を受け、ディーラーの整備工場にクルマを持ち込んで作業が行われた。

 作業は1時間ほどかかり、タッチパネル付きの専用コンピューターをポロの運転席足元にあるOBDコネクターに接続して行われた。アップデートの詳細は不明だが、新しくなった制御プログラムになっても走行性能に違いは感じられなかった。燃費についても、変わったようには思えない。

 惰行の後でエンジンが止まってしまうのは、惰行時の燃料カットなど燃費対策との兼ね合いがうまく機能していなかったのだろうと想像する。アイドリングが静かなポロゆえに、エンジンの停止は気づきにくい。安全のためにも、発売前にしっかり検証をしてほしかった。

 また、ディーラーが独自で行っている1000km点検も受けた。以前は新車購入後に1000km点検をする制度があったそうだが、今はメーカーで設定しないらしく「フォルクワーゲン 柏」独自でやっている。

 作業内容は各部の点検という程度だが、ホイールボルトの点検と増し締めなど、乗り出してしばらくたった時期にユーザーが点検すべきところもやってくれた。また、エラーログの読み出しも行なわれ、DSGのエラー記録も発見された。これは後日メーカーで詳しく解析され、対策が行われるかもしれないという。

 1000km点検の作業自体は短いものだが、自分には有意義で、たとえメーカーが設定していなくてもやるべきものだと思った。

サービスキャンペーンの案内ハガキが届いた。リコールと同じで、車検証の使用者宛に届くものだ。ファームウエアのアップデート中。運転席にタッチパネル式のコンピュータが置かれ、エンジンルーム内には補助バッテリーがつながれている1000km点検では、リフトで持ち上げられ、各部の点検や増し締めが行われた

カーナビは次回に検討予定
 フォルクスワーゲンのカーナビといえばメーカーオプションの「RNS510」があるが、インパネ内の走行案内や、各種表示ができる純正ならではの一体感は捨てがたいものがある一方で、純正品でVICSビーコンの装着ができないことや、最大の問題である高価格という問題がある。

 残念ながら自分の購入時点では選択ができなかったオプションだったが、価格の面を考えると、選択可能だったとしても、選択していたかは微妙なところだ。

 現時点でカーナビがないのも不便なので、旧型PNDを置いている。最先端のベーシックカーに釣り合うカーナビはどれがよいのか、次回以降でさらに検討したい。

(正田拓也)
2010年 8月 16日