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トヨタ 2025年3月期通期決算、営業利益は4兆7955億円で増収減益 来期営業利益見通しは関税影響もあり3兆8000億円
2025年5月9日 06:00
営業利益は期初見通しを上回る4兆7955億円
トヨタ自動車は5月8日、2025年3月期通期(2024年4月~2025年3月)決算を発表した。本業の儲けを示す営業利益は4兆7955億円となった。期初の見通しが4兆3000億円、第3四半期の見通しが4兆7000億円だったため、期初の見通し以上に営業利益を積み上げた。
対前年比で見ると、営業収益は48兆367億円(前期比2兆9413億円増、6.5%増)、営業利益は4兆7955億円(同 5573億円減、10.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益が4兆7650億円(同 1798億円減、3.6%減)となり、増収減益の決算となった。営業利益率は11.0%から9.9%へと低下した。
連結営業利益増減要因としては、期初は市場環境などで3529億円減、人への投資などで7000億円減の4兆3000億円としていたが、為替変動で5350億円増、原価改善の努力で1500億円増、営業面の努力で3600億円増、諸経費の増減・低減努力で2100億円減、そのほかで3394億円減の4兆7955億円となった。
とくに営業面の努力としては、価格改定、インセンティブの抑制、VC(バリューチェーン)収益の拡大としており、商品力の強いハイブリッド車の価格改定で利益を積み上げ、商品力が強いため販売店へのインセンティブも抑制できたとする。
電動車販売比率も上昇しており、トヨタ・レクサス販売台数1027万4000台に占める、xEV販売比率は37.4%から46.2%へ上昇。HEV(ハイブリッド車)は444万1000台と、前期比23.6%増と大きく伸びている。
また、VC収益の拡大とは新車販売だけでなく、補給・用品、中古車販売やコネクテッド関連の売上を示しており、新車だけの販売ではない売上が大きくなっている。
決算書には、事業別セグメントの状況として、自動車事業が増収減益であったのに対し、金融事業は4兆4811億円と前連結会計年度に比べて9969億円(28.6%)の増収で営業利益も6635億円(1134億円増、19.9%増)の増収増益。その他事業も増収増益で、新しい分野の売上が伸びていることをうかがわせる。
2026年3月期営業利益見通しは、3兆800億円がスタート
2025年3月期通期は営業利益で10.4%減となったが、これは期初の見通しよりもよく、決算で壇上に立ったトヨタ自動車 宮崎洋一副社長は、「未来につながる総合投資や足場固めを進めながら、価格改定効果やバリューチェーン収益の拡大などにより、高水準の利益を確保できました」とこの実績を紹介。
2026年3月期の見通しは、営業収益48兆5000億円(4633億円増)、営業利益3兆8000億円(9955億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益3兆1000億円(1兆6650億円減)、利益率6.4%と再び増収減益を見込んでいる。とくに利益率は6.4%と低い状況を予測しており、環境の厳しさがうかがえる。
この利益増減要因のなかには、資材価格の高騰で3500億円減、関税影響で1800億円減があり、関税影響については4月~5月の2か月分としている。
アメリカの関税影響については先が見通せず、実績ベースのものを計上。ここは今後の状況によっては拡大するかもしれない部分になる。また、人への投資2450億円や成長投資2250億円も引き続き行ない、合計4700億円を投資していく。
宮崎副社長は、「足場の成果を足元から取り込みつつ、中長期視点での総合投資を継続し、経営基盤の強化と将来の収益の柱を育てていく計画にしております」と説明し、関税影響については暫定的な折り込みであるとした。
株主配当については、25年3月期の配当は15円増配となる年間90円、26年3月期の配当予想は5円増配となる年間95円であると発表した。