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日産、ダイムラー製2.0リッターエンジン搭載の新型スカイラインを5月に発表
5月に「80周年記念車」、6月に「スマート・ルームミラー」を発売
(2014/4/18 23:38)
日産自動車は4月18日、神奈川県横浜市にある日産自動車 グローバル本社ギャラリーで2014年度の国内販売の取り組みに関する説明会を実施した。
説明会の冒頭で、日産自動車 代表取締役副社長、チーフ コンペティティブ オフィサー(CCO)の西川廣人氏は、「2014年は日産にとって節目であり、大変重要な年になります。会社設立から80周年であり、またルノーとアライアンスを組んでから15年です。2011年から取り組んでいる中期経営計画“日産パワー88”も中間の折り返し地点で、後半の出だしとなる重要な局面です。5月の決算発表で2013年度の詳細を報告しますが、世界の総販売台数は520万台に到達する見込みで、当社としては過去最高となり、着実に成長していることをご報告できると思います」と語った。
また、日産パワー88の進捗状況について触れ、前半となるこれまでに事業拡大に向けた投資を積極的に進め、2014年度はこの成果として、メキシコ、タイ、ブラジルなどの複数の工場で生産がスタートする。さらにグローバルで新型車を9車種導入する予定となっており、このなかには電気自動車(EV)の第2弾となる商用車「e-NV200」が含まれていることも明かしている。
他社との協業に関しては、三菱自動車工業やスズキと行っている軽自動車事業、ダイムラーとのパートナーシップなどをさらに進め、ダイムラーとの関係で最初の成果として、5月にダイムラー製の新型2.0リッターガソリンエンジンを搭載した新型スカイラインを発表する予定であると明らかにした。
EV技術を活用した新型ハイブリッド導入を検討中
国内販売の取り組みの具体策については、日産自動車 副社長の片桐隆夫氏が解説を担当。2013年度の国内販売実績は、消費税の8%化などに対する駆け込み需要といった要因などもあり、日本国内の全体需要は前年比9%増の569万台。日産は国内需要の増加幅を上まわる11%増の72万台となっており、シェアを0.2%拡大となる12.6%としている。投入した新型車両では、軽自動車の「デイズ」「デイズ ルークス」が好調で、2014年3月の販売ランキングでデイズシリーズとして3位となり、2013年度は日産の軽自動車シェアとして過去最高となる10.0%となっている。登録車でも「セレナ」「ノート」「エクストレイル」「スカイライン」といった主力車種が好調であり、新車効果が年間として発揮される2014年の好材料であると位置づけている。
日産パワー88も着実に進展させ、そのために「商品」「ネットワーク」「新・技術の日産」の3点がポイントになると紹介。商品面では西川CCOからも紹介された商用EVのe-NV200の市場投入に加え、「EV技術を活用した新型ハイブリッドシステムの導入を検討している」と語り、フーガハイブリッドやスカイラインに続く新しいハイブリッドカーが登場する可能性があることを明かした。
また、2020年に向けて開発を続けている自動運転の実用化では、要素技術となる先進技術を先行して市販車に導入。すでに販売している「アラウンドビューモニター」「エマージェンシーブレーキ」「インテリジェントパーキングアシスト」に続き、2月に発表して話題となった「スマート・ルームミラー」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140228_637573.html)を、6月からエルグランドとエクストレイルのディーラーオプションとして販売すると発表した。
このほか、キューブ、リーフ、ジュークの3車種に特別仕様車の「80周年記念車」を設定し、キューブとリーフは5月、ジュークは2014年上期中に発売することも紹介された。日産のヘリテージカーであるフェアレディZやGT-Rなどのイメージカラーをモチーフとした「オーロラフレアブルーパール」「プレミアムディープマルーン」「プレミアムサンフレアオレンジ」と「ブリリアントホワイトパール」の4色をボディーカラーに設定し、さらに専用装備としてブロンズカラーのドアミラー&ホイールカバー、クローム仕上げのドアハンドルなどを装着している。
最後に片桐氏は、「このように魅力的な新型車を次々に市場投入してユーザーに高い満足を感じてもらうことで、日産のホームマーケットである日本市場で確固たる地位とブランドを築いていく」とコメントして説明を終えた。
説明会の会場となった日産自動車 グローバル本社ギャラリーには、80周年記念車の特別カラー3色に塗られたキューブ、オーロラフレアブルーパールのリーフ、ブリリアントホワイトパールのジュークが、ヘリテージカーの「スカイライン R34 GT-R V-スペックII」「フェアレディ240ZG」「フェアレディZ Version ST」と並んで展示。また、新ディーラーオプションのスマート・ルームミラーを装着したエルグランドとエクストレイルも用意されていた。残念ながらスマート・ルームミラー装着車の2台は当日のみの展示だったが、80周年記念車とヘリテージカーはゴールデンウイーク期間の5月7日まで展示予定となっている。このほかにも同ギャラリーでは、テレビドラマ「西部警察」の劇中で使用された「サファリ4WD」などを展示する「ゴールデンウィーク・ファミリーイベント」を5月6日まで開催している。ギャラリー内の展示車両は都合により入れ替えられる場合もあるので、見学に足を運ぶ前には可能であれば展示車情報(http://www.nissan.co.jp/GALLERY/HQ/LINEUP/)をチェックしてほしいとのことだ。
スマート・ルームミラー装着車
130万画素の高性能狭角CMOSカメラを車両後方に向けて設置し、撮影した映像をアスペクト比約4:1の液晶モニターで映しだすというスマート・ルームミラー。カメラ制御と画像処理プログラムを使うことで、極端な光の強弱に影響されず安定した視界が得られるほか、カメラ自体がリアハッチのガラス面内側に設置されるため、車内のヘッドレストや同乗者などによって死角が生まれることもない。一般的にミラーはドライバーの視野に合わせて角度を調整するので、同乗者は映し出される内容を見てもあまり意味がない。しかし、液晶表示は設置する角度に関係なくカメラが捉えた映像を表示するため、運転席以外に座っている人にも後方の状況が確認できるメリットがある。
今回の発売では、最上級ミニバンで需要も多く、以前から日産の先進技術をいち早く導入するモデルとして位置付けられてきたエルグランド、“テクノロジー×タフギア”をキャッチフレーズに使い、新時代のSUVとしてアピールしているエクストレイルの2台が装着車として選ばれ、新車購入時に加え、すでに現行型モデルを購入した人も、ディーラーでの後付装着が可能だ。
どちらの車両でもカメラを固定するベース部分だけが専用設計となっており、カメラとミラー部分は同じものを使用。技術的には別のモデルに装着することもそれほど難しくないとのこと。これまでにない技術で日産としてもどれだけの需要があるか見極められない状態だが、反響を確認しつつ、採用拡大も予定しているという。