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夏休みは空港へ「はたらくクルマ」を見に行こう
羽田空港国内線第1旅客ターミナルで見られるJALのクルマたち
(2014/8/13 14:28)
- 2014年8月13日
8月も半ば近くなり、本格的なお盆休みに突入している人も多いだろう。この時期は帰省や旅行などで空港へ行く機会も多く、待ち時間などに外を見ていると航空機のまわりで忙しく働いているクルマに気が付くはずだ。本記事では、その「はたらくクルマ」たちを紹介していく。
取材は、JAL(日本航空)の協力のもと、東京国際空港(羽田空港)国内線第1旅客ターミナル側で行い、JGS(JALグランドサービス)東京支店総務部業務グループ 甲斐和幸氏、同 西川和宏氏にお話をうかがった。
空港で見かける働くクルマの代表格が「トーイングカー」。航空機は基本的に後退できないため、トーイングカーによって所定の位置まで押し出す必要がある。トーイングカーと航空機は「トーバー」とよばれる棒状のもので接続され、押したり牽引したりすることで航空機を運んでいく。このトーイングカーの運転に必要な免許は大型または大型特殊牽引免許に加え、空港内のクルマを運転する資格が必要で、JGSではヘルメットに貼られたマークで資格の有無が一目で分かるようになっている。
トーイングトラクターによる航空機の移動は主に航空機を後進させるものだが、空港では航空機をトーバーを用いずに引っ張っているものを見かけることがある。これは、トーバーレストーイングカーと呼ばれるクルマで、文字どおりトーバーを用いずに航空機の移動を行う。今回取材したトーバーレストーイングカーはドイツのGoldhofer製で、JGSではこのメーカーのものを使っているという。
航空機を移動させる仕組みはトーバーレストーイングカーの内側にあり、航空機の前輪を抱え込んで台に乗せるようになっている。これにより、航空機の前輪を浮かせ、自由に移動させることができる。あまり例えはよくないが、駐車違反のレッカー移動の際、前輪を浮かせることで自由な移動を可能にしているのと同じ仕組みだ。
航空機が到着すると、同時多発的にさまざまな作業車が航空機に配置されていく。多くの作業が同時並行で進むので、ここからは各種作業車を写真で紹介していく。
●給油車
給油車はJGSの車両ではなく、羽田空港内にある給油会社の車両になる。写真で見て分かるように、本体にタンクを搭載しているわけではなく、駐機場に埋め込まれたハイドラントシステムの配管から航空機へ燃料を送り込んでいる。ハイドラントシステムは、効率的に給油をするために構築されたもので、航空燃料油槽船で東京湾まで輸送された燃料を、給油会社の桟橋で受け入れ。貯油タンクを介し配管を通じて駐機場の真下まで圧送している。
●ハイリフトローダー
航空機が到着すると、素早く荷物を下ろすためのハイリフトローダーが横付けされる。航空機の種類ごとに貨物室のドアの扱いが異なるため、機種ごとの資格が必要とのこと。
●トーイングトラクター
空港内でもっとも見かけるクルマがトーイングトラクター。主に手荷物や貨物コンテナのパレットを引っ張る車両で、空港内を所狭しと走り回っている。とくに長大なパレットを接続しての移動は見もので、後方のパレットがどう動くかを予測しつつステアリングを操作している。トヨタ製。
●給水車
航空機に水を搭載するための給水車。航空機の下に入り込めるよう、車高を抑えてある。
●パセンジャーステップ
ターミナルに直接横付けされた航空機はPBB(パセンジャーボーディングブリッジ)で乗客の乗り降りを行うが、ターミナルから離れた個所ではこのパセンジャーステップを使用する。一般的には屋根付きのものを使い、特別な場合には屋根なしのものを使う。特別な場合とは賓客の来日などで、航空機から手を振りながら降りてくるニュース映像でおなじみだろう。
●そのほかの車両
羽田空港ではさまざまな作業車がJGSをはじめとした多くの人々によって運営されている。これら多くのサポートスタッフの高度な作業によってJALはFlightStatsの定時到着率2年連続世界第1位を実現したのだろう(ちなみにJALグループとしてもNetwork部門で世界第1位)。空港では大空へと飛び立っていく航空機に目を奪われがちだが、それを支える“はたらくクルマ”にも注目してもらえればと思う。