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“アウディのすべてが詰まった自信作”、新型「A4」発表会
Cd値0.23を実現した新型A4のエアロダイナミクスに関するトークショーも
(2016/2/9 00:00)
- 2016年2月8日開催
アウディ ジャパンは2月8日、2月19日に発売する新型プレミアムミッドサイズセダン「A4」の発表会を都内で開催した。発表会には1月1日付けで同社の代表取締役社長に就任した斎藤徹氏、マーケティング本部 部長の石田英明氏が登壇するとともに、後半には斎藤社長、東洋大学 理工学部 生体医工学科 教授の望月修氏、プロスキーヤー(プリンスホテル所属)の皆川賢太郎氏によるエアロダイナミクスに関するトークショーを開催した。
新型A4では、従来モデルと同様に2WD(FF)車と4WD車を設定し、ともに直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンを搭載しつつ、前者は140kW(190PS)/320Nm(32.6kgm)を、後者は185kW(252PS)/370Nm(37.7kgm)と異なる出力特性が与えられた。従来と4WDモデル同士を比較した場合、最高出力は30kW(41PS)、最大トルクは20Nm向上する一方で、燃費は従来の13.6km/Lから15.5km/L(2WD車は18.4km/L)へと14%改善することに成功した。
エクステリアではデザイン面での細かなリファインを実施したほか、エアロダイナミクスの向上を目指してアンダーボディではエンジンコンパートメント、パッセンジャーセル、ラゲッジルームの下側をフラットな形状に仕上げるとともに、リアスポイラー機能を備えたトランクリッド、マウントをボディ側に移したうえで細かいリブを加えた新デザインのサイドミラーなどによってCd値0.23(欧州仕様)を実現している。
なお、従来モデルではアバント(ステーションワゴン)もラインアップされていたが、新型A4ではまずセダンをリリースし、年内にアバントを追加することが発表されている。
新型A4はアウディのすべてが詰まった自信作
発表会では、はじめに斎藤社長が登壇してA4の歴史を振り返るとともに、A4について「次々と先進的な技術による革新を遂げ、A4は自動車の歴史に大きなインパクトを残し続けてきた。新型A4は初代アウディ 80から数えて9代目に当たる。引き続き先進的な技術を数多く搭載した」とし、その一例として1月に発表された新型「Q7」から導入を開始し、今回の新型A4でも採用されたモジュラープラットフォーム「MLB(モジュラーロンギチューディナルマトリックス)evo」が新型A4の特徴の1つと紹介。
同社は2007年に発売された「A5」を皮切りに、A4、A6、A7 スポーツバック、Q5、Q7などに第1世代のプラットフォーム「MLB」を採用。そして2012年に生産が始まった「A3」などパワーユニットを横置きするモデルに対しては「MQB(モジュラートランスバースマトリックス)」を与えつつ、1月に発表された新型Q7や今回の新型A4では第2世代のMLB evoを適用。今回のMLB evoではTFSI、TDIといった内燃エンジンはもとより、プラグインハイブリッド、EV(電気自動車)で使うことも想定して開発おり、B/C/Dセグメントのモデルに加え大型のQモデルまで対応可能という。
このMLB evoについて、斎藤社長は「電動パワートレーンにも対応したこの革新的アーキテクチャは、車両の軽量化、走行性能、安全性、インフォテイメントなどすべての面において格段に進化した。そのなかでも注目していただきたいのは、先進的な安全予防システムである新世代の予防安全システム『アウディプレセンス』。アウディプレセンスはレーダー、カメラ、超音波センサーなど各種の最新のセンシング技術を統合的に制御し、周囲の危険をいち早く察知してドライバーの安全運転を支援するシステム」とし、全モデルに標準化された「アダプティブクルーズコントロール」に新たに加えられた機能「トラフィックジャムアシスト」は、アクセル、ブレーキに加えて状況に応じてステアリング操作にまでシステムが介入するもので、自動運転の前段階にあたる走行が可能になるという。
また、アウディならではの五感に訴える質感も新型A4の特徴であるとし、「エクステリア、インテリアともに見て、聞いて、触っていただければ細部に至るまで徹底的にこだわっていることが分かると思う。このように、新型A4は格段に進化した走行性能、安全性能とともにひとクラス上の快適性と品質を実現しており、A4の属するセグメントに新たなスタンダードを提唱していると自負している。先進技術とデザインの美が融合した新型A4は、アウディのすべてが詰まった自信作。これまでと同様にお客様にご満足いただけると確信している」と自信を覗かせた。
新型A4の3点のポイント
次にマーケティング本部 部長の石田英明氏から新型A4の概要が紹介された。
石田氏は新型A4のポイントとして「デザイン&クオリティ」「セーフティ&コンフォート」「ダイナミクス&エフィシエンシー」の3点を挙げ、それぞれについて説明を行なった。
まず「デザイン&クオリティ」では、近年アウディが重要視しているプログレッシブ(先進的なイメージ)デザインを継承するとともに、フロントまわりでは2004年に発売したA6から導入しているシングルフレームグリルとLEDライトを採用。シングルフレームグリルはより拡大され、立体的な造形の8本の水平バーにすることで質感と存在感をさらに高めたという。リアでは先代同様にリアスポイラー一体型のトランクリッド、ディフューザー一体型のリアバンパーを採用するとともに、直線基調のテールランプデザインとすることで躍動感を表現した。
また、サイドビューではドア下部にフロントからリアにかけて上昇していくデザインを与えるとともに、「ショルダーラインは従来ではつまみ型のプレス加工だったところ、谷型のプレス加工に変更し、影をショルダーラインのところで表現した」という。
ボディサイズについては4735×1840×1430mm(全長×全幅×全高)となり、従来モデルから15mm長く、15mm広くなり、全高は10mm低くすることでよりワイド&ローを強調。ホイールベースは15mm延長されて2825mmとなっている。
インテリアでは、室内の広さを強調する飛行機の翼を連想させるデコラティブパネルを採用したほか、先代モデルから室内長が17mm延長され、加えてショルダー部分の幅は11mm、前席乗員のヘッドクリアランスは24mm、後席足下空間は23mm(数値は欧州仕様での比較)拡大されたことで快適性が向上。また、新型TTから導入された、12.3インチの高輝度液晶モニターを用いたフルデジタルの多機能ディスプレイシステム「アウディバーチャルコックピット」(マトリクスLEDヘッドライトパッケージとセットオプション)も設定されている。
「セーフティ&コンフォート」については、新型A4では万が一の事故の際にフロントのシートベルトを巻き上げて拘束力を高める「アウディプレセンスベーシック」、約85km/hまでの速度で周囲のクルマや歩行者を感知し、衝突の危険性がある場合に警告を行なうとともに、必要に応じて自動ブレーキを作動させる「アウディプレセンスシティ」、走行速度が約60~250km/hまでの間、車両が走行レーンを越えないようにステアリングを自動修正してドライバーをアシストする「アウディアクティブレーンアシスト」とともに、「リヤビューカメラ」「アダプティブクルーズコントロール」「アウディパーキングシステム」などを全モデルに標準採用。
このほか、石田氏は交差点などで右折時に対向車がきた際にシステムが危険と察知した場合にブレーキが自動的に作動する「ターンアシスト」(約2~10km/hでの走行中にターンシグナルを操作すると起動)、アダプティブクルーズコントロールに新たに追加された、0~65km/hで渋滞時に先行車両に合わせて制御を行ない、車速が0km/hになっても3秒以内に先行車両が動き出せば自動的にクルマを再発進させる「トラフィックジャムアシスト」、路上駐車をした場合など、降車時に後方から車両や自転車などが近づいてきた際に室内側ドアハンドルの近くに設置されたLEDの点滅によって危険を知らせる「エグジットワーニング」などをアピール。
「ダイナミクス&エフィシエンシー」では、駆動方式によって2種類の直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンが用意されていることを紹介したほか、Cd値0.23(欧州仕様)を実現したエアロダイナミクス、従来モデルから最大120kgの軽量化に成功したボディについて紹介。
この3点を以って、石田氏は「新型A4は従来からアウディにお乗りいただいているオーナーはもとより、国産車オーナーの方にもぜひお試しいただきたい」として、プレゼンテーションを締めくくった。
Cd値を犠牲にすることなくいいデザインを作った
発表会の後半には斎藤社長、東洋大学 理工学部 生体医工学科 教授の望月修氏、プロスキーヤーの皆川賢太郎氏によるエアロダイナミクスに関するトークショーが開催された。
トークショーの冒頭、今回の新型A4を担当した独アウディ エアロダイナミクス開発担当者のモニ・イスラム氏の映像が放映され、開発に2年の歳月をかけたというドアミラーでは取り付け位置を従来モデルから変更してドアパネル最上部に固定するとともに、ミラーハウジングには小さなリブを与えることでわずかなタービュランス(乱気流)を発生させ、その結果全体の空気の流れが安定してウィンドウノイズを低減させたこと、アンダーボディをフラットにするためエンジンコンパートメントやサスペンションなどをカバーするパネルを装着しただけでなく、車両の基本構造そのものから空力的に最適化された表面が得られるようにし、場所に寄ってスポイラーなどを装着して空気の流れを整える工夫をしたことなどを紹介。
皆川氏はアルペンスキーの際に受ける空気抵抗について触れ、「1/100秒で競われる競技なので、身体に密着したレーシングスーツを着て空力実験なども行なう。例えば実験中に脇を上げたらどのくらいの抵抗になるのかとか、背中を丸めて首を下げることでどのような空気の流れになるのかといったことなど、実際にフォームを撮影してタイムを縮められることを模索する作業をしている」と、タイム短縮のためにさまざまな実験をしていることが紹介された一方で、アウディでは1933年から空力実験を実施し、1車種につき1200時間を要していることなどを紹介。
また、斎藤社長からはアウディの空力に対する熱意と優れた空力性能を実現するデザインについて説明が行なわれ、「常に新らしい技術で時代をリードしていくのがアウディのアイデンティティであり使命であると思っている。空力でいえば0.3というCd値を市販車で切ったのはアウディだし、デザインではシングルフレームグリルの先鞭をつけ、後の流行を作った。実は日本でアウディを購入するときの動機はデザインで、従ってデザイナーは妥協したくないと思う。ところがデザインと空力はトレードオフの関係で、例えばデザイナーはスポーティなフォルムにしたいのでなるべくトレッドを広げたくなる。しかしそうすると空力的に見ると前面投影面積が大きくなってCd値が下がってしまう。しかし最終的に出来上がったA4を見ると、すごくいいところで妥協しているというか、Cd値を犠牲にすることなくいいデザインを作ったと思う」と述べ、空力とデザインともに優れたものを持ち合わせているのが新型A4であることが説明された。