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AVLと日本特殊陶業、SOEC(固体酸化物形電解装置)を活用した水素製造技術を共同開発
2025年6月5日 08:30
- 2025年5月21日 発表
AVLは5月21日、SOEC(固体酸化物形電解装置)技術の開発に取り組む日本特殊陶業と提携して、グリーン水素製造の技術開発や産業化に取り組むことを発表した。
現在、日本特殊陶業が開発に取り組んでいるSOEC技術は、製鉄、石油精製、化学品製造、合成燃料の生産など、排熱を利用できるプロセスと組み合わせた場合、アルカリ型、PEM型、AEM型といった他の水素製造技術と比較して、電気エネルギーから水素への変換におけるエネルギー効率の面で優位性を持つという。
日本特殊陶業は固体酸化物セルやスタックに関する経験、AVLはスタックをモジュールや電解装置全体のシステムへと統合する技術を有し、両社はこの分野におけるそれぞれの知見と技術を結集し、スタックモジュールおよび電解装置全体のシステム開発に注力していくという。
この協業は、2025年5月21日にAVLのCEOであるヘルムット・リスト教授と、日本特殊陶業のグローバル戦略本部経営戦略グループ経営戦略室・事業基盤戦略室担当上席執行役員である鈴木啓司氏により、オーストリア共和国連邦大統領アレクサンダー・ファン・デア・ベレン博士の立ち会いのもと、オーストリア貿易使節団「Composing the Future - Together(未来の共創)」の一環として発表された。
日本特殊陶業 上席執行役員の鈴木啓司氏は「SOECは、産業分野における最も効率的なグリーン水素製造技術としての導入が期待されています。日本特殊陶業が長年培ってきた電気化学材料技術の知見と、市場で実証されたAVLのシステム設計力との連携により、カーボンニュートラルな産業の実現に向けた産業規模での展開が大きく前進しています」とコメント。
AVLのCEO兼会長であるヘルムット・リスト教授は「SOECは、その高い効率性により、グリーン水素の製造においてますます重要な役割を担いつつあります。日本特殊陶業との協業は、この重要な技術のスケーリングを加速させるうえで大きな一歩です。産業界のCO2排出量を持続的に削減し、気候に優しいエネルギー社会への移行を積極的に推進することを明確な目標に据えています」と述べている。