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フェラーリ、新型2+2クーペ「アマルフィ」日本初公開 エレガントなボディと0-100km/h加速3.3秒を両立

2025年7月29日 開催
新型「アマルフィ(Amalfi)」発表会で登壇したフェラーリ S.p.A. ヘッド オブ プロダクト マーケティング エマヌエレ・カランド氏(左)とフェラーリ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 ドナート・ロマニエッロ氏(右)

 フェラーリ・ジャパンは7月29日、新型FRクーペ「アマルフィ(Amalfi)」の発表会を都内で開催し、日本初公開した。価格は3418万円で、欧州市場で2026年初頭からのデリバリー開始を予定している。

 アマルフィは7月1日(現地時間)に世界初公開されたフロントエンジンの2+2クーペ。長いフロントノーズのボンネット下には、最高出力640CV、最大トルク760Nmを発生するV型8気筒3.9リッターツインターボエンジンを搭載。8速DCTをかいして後輪を駆動して、0-100km/h加速3.3秒、0-200km/h加速9.0秒、最高速320km/hを実現するモデル。

 F154型エンジンには先進的なターボチャージャー制御システムを搭載。専用キャリブレーションによって2基のターボチャージャーを個別に制御可能として、ターボチャージャーの最高回転数を17万1000rpmまで強化。スロットルレスポンスを高め、過給圧制御の正確性を向上させている。

 このほかにもエンジン技術としてフラットプレーン式クランクシャフト、等長シングルスクロール・マニホールド、排気を個別制御するツインスクロール技術などを採用して、途切れることなくリニアに高まっていく出力特性、各ギヤの中・高回転域で強力に車体を加速させるトルクカーブなどを手に入れている。

新型アマルフィ。ボディカラーは「Rosso Portofino(ロッソ ポルトフィーノ」
ボディサイズは4660×1974×1301mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm。車両重量は1470kgで前後重量配分は50:50となる
F154型のV型8気筒3.9リッターツインターボエンジンは最高出力470kW(640CV)/7500rpm、最大トルク760Nm/3000-5750rpmを発生

 美しいボディフォルムと一体化したリアの「可変アクティブ・ウィング」を活用して、LD(ロー・ドラッグ)、MD(ミディアム・ダウンフォース)、HD(ハイ・ダウンフォース)の3種類を自動的に切り替える「アクティブ・エアロダイナミクス」を採用。HDポジションでは250km/h走行時に110kgのダウンフォースを発生するという。

 足まわりでは、ブレーキを電子制御するブレーキ・バイ・ワイヤを採用。6Dセンサーで計測するデータを使って高い精度で車速を測定し、各輪の最適なスリップ値を特定する「ABS Evo」システムによって制動力を最適分配。ドライブモードを自在に制御する「マネッティーノ」とも連動して、直進時だけでなく、旋回時にも横方向の安定性と前後方向の減速を総合的に制御。ペダルストロークを減少させ、より正確な制動力調整を可能にした。

 ボディカラーは「Verde Costiera」「Rosso Corsa」「Bianco Artico」「Giallo Montecarlo」「Grigio Abu Dhabi」「Rosso Portofino」「Rubino Micalizzato」「Violetto Dino」など8種類をラインアップ。

「流麗な単体の塊であるスピードフォルムから展開して、力強くダイナミックな個性を生み出す」というエクステリアデザイン
リアバンパーの両側に2本出しのエキゾーストエンドを組み込むスタイル
ボディのリアエンドに「可変アクティブ・ウィング」を装備。走行状況に応じて高さが自動的に切り替わる仕組みで、停車状態ではLD(ロー・ドラッグ)位置で固定される
タイヤサイズはフロントが245/35ZR20、リアが285/35ZR20。標準タイヤをテクニカル・パートナーであるピレリ、ブリヂストンの2社と共同開発し、「P Zero」(写真)、または「Potenza Sport」のいずれかを装着する
トランク容量は273L。リアシートの背もたれを前方に倒して長尺物を収納するトランクスルー機能も備える
トランクリッド内側に装着するオプションなどを一覧表示するパネルを設置

 インテリアではドライバーの正面に15.6インチのデジタル式インストゥルメントクラスターを備えるほか、インパネ中央に10.25インチのタッチパネルディスプレイをレイアウト。さらに助手席前方にも8.8インチのパッセンジャー用ディスプレイを設定して、3つのディスプレイでさまざまな情報、車両セッティング、マルチメディア機能に対応する。

アマルフィのインテリア
ステアリングには多彩な物理ボタンを備え、F1マシンを連想させるデザインとなっている。左下にあるエンジンのスタート/ストップボタンはアルミニウム製
ステアリングの奥にカーボン製の大型パドルシフトを備える
撮影車両はもちろん停車状態だが、15.6インチのデジタル式インストゥルメントクラスターはデモモードに設定され、走行中に表示されると思われる各種情報を表示していた
ドアトリム
アクセルペダルはかかと側に支点があるオルガン式
インパネ中央の10.25インチのタッチパネルディスプレイ
センターコンソールの中央にも大型のフェラーリエンブレムを配置
助手席前方にも8.8インチのパッセンジャー用ディスプレイを搭載する
助手席の足下前方に大型のフットプレートを用意
レッドステッチが施されたレザーシートを前席に設定。ヘッドレスト側面のレバーを操作してシートバックを前方に倒し、後席にアクセスする

スポーティさやエレガンス、人生の喜びが完璧に融合した1台とロマニエッロ社長

フェラーリ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 ドナート・ロマニエッロ氏

 発表会では最初に、フェラーリ・ジャパン 代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏が登壇。「本日ご紹介するクルマは、南イタリアのリヴィエラ、コスティエラ(海岸)が持つ海の力、そして自然体で人生を楽しむ愛に満ちあふれた1台です。なぜこのクルマが『アマルフィ』なのか、それはコスティエラが南イタリアの豊かな伝統や洗練された美しさ、そして『La Nuova Dolce Vita』(新しい甘い生活)の精神が息づく場所だからです。世界中の人々が夏を祝い、人生を楽しみ、このよきクルマで休暇期間を彩るために訪れる場所です。このクルマは、そんなコスティエラに捧げるオマージュであり、スポーティさやエレガンス、人生の喜びが完璧に融合した1台です」とニューモデルについて解説した。

アマルフィはコスティエラに捧げるオマージュであり、スポーティさやエレガンス、人生の喜びが完璧に融合した1台とロマニエッロ氏

ドライビングパフォーマンスと人生の喜びを提供する

フェラーリ S.p.A. ヘッド オブ プロダクト マーケティング エマヌエレ・カランド氏

 アマルフィの詳細解説は、この発表会のために来日したフェラーリ S.p.A. ヘッド オブ プロダクト マーケティングのエマヌエレ・カランド氏から行なわれた。

 カランド氏は、フェラーリの最新モデルであるアマルフィに与えるべきLa Nuova Dolce Vitaのコンセプトはどんなものかを数年前から考えて続けてきたと語り、それは2020年に公開した先代モデルの「ローマ」で初めて採用され、2022年に誕生した「ローマ スパイダー」でもさらに魅力を高めて継承。そしてアマルフィはLa Nuova Dolce Vitaが歩む旅路の新しいチャプターになると説明した。

 アマルフィはフェラーリが「スポーティなライフスタイルを示す」モデルに位置付けられ、スポーティであること、スポーティなライフスタイルを提供することという2つの面を強調。フェラーリらしいパワフルなエンジン性能やドライビングパフォーマンス、エネルギッシュな加速性能などを楽しめることに加え、日常的な運転でも楽しさを提供することで、ドライビングパフォーマンスと人生の喜びを提供するという。

 フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリ氏は「エンジンこそクルマの魂だ」との持論を持っており、アマルフィでも強力なV型8気筒ターボエンジンを搭載。フェラーリのエンジンラインアップでも圧倒的なパフォーマンスを発揮して、「20世紀最高のエンジン」との呼び名を持っているとアピール。さまざまなスポーツカーで培ってきたノウハウを融合させることで、640CVの最高出力と0-100km/h加速3.3秒、0-200km/h加速9.0秒を実現している。

 エンジン出力に加えて8速のF1 DCTでもキャリブレーションを行なって、ドライブフィーリングをさらに改善したほか、電子制御システムを統合制御するマネッティーノについてもキャリブレーションを実施している。

 エンジンが発生するパワーを路面にしっかりと伝達するためにはエアロダイナミクスも重要な要素となるが、走行性能を高める一方で、美しくシンプルでクリーンなエクステリアデザインを両立させるという要求を実現することが非常に難しかったと説明。このため、車体の後方に3つのポジションを使い分ける可変アクティブ・ウィングを設定して、ボディラインと完全に一体化する低速状態から、ハイダウンフォースの設定では250km/h走行時に110kgの追加ダウンフォースを発生するよう変化することを紹介した。

 ワインディングロードを爽快に駆け抜けるためには、力強いエンジン出力だけでなく、ブレーキ能力による制動力も重要だと説明。このためにブレーキングシステムを一新して、ブレーキ・バイ・ワイヤを採用したほか、ABS Evoも搭載。ブレーキング時のペダルフィーリングを新たにして、安定した制動力を発揮するほか、路面状況に応じて最適な走りを可能とするという。

走行性能の改良点としてエンジン、可変アクティブ・ウィング、ブレーキ・バイ・ワイヤの3点を紹介

 日常的なシーンで魅力を提供する要素としては美しい外観デザインを取り上げ、フェラーリで外観デザインを造り上げる際にデザインの原形となる「メタフォーム」と呼ばれる立体物を紹介。メタフォームには必要とされるデザインエレメントが盛り込まれ、アマルフィでは非常にシャープでエレガントなラインと、塊感のあるモノリシックな面構成という2つの異なる要素を融合して構築されている。

 このほか特徴的な部分としては、先代モデルのローマにはあったフロントグリルをアマルフィでは排除して、シンプルでクリーンな美しい形状を実現。一般的にクルマのフロントマスクは人の顔を連想させるイメージを持つが、今回のデザイン設計ではそういった要素をすべて排除したと述べた。

 リアでは4灯式のコンビネーションランプをさりげない雰囲気に仕上げ、これらについてはフェラーリのチーフ デザイン オフィサーであるフラビオ・マンツォーニ氏が掲げる「複雑さを一切排除したシンプルさこそが、そのクルマを永遠に愛されるものにする」というコンセプトに基づいたものだと解説した。

「メタフォーム」と呼ばれる立体物を紹介しつつ、アマルフィの外観デザインについて解説
カランド氏のプレゼンテーション終了後、ステージ後方のLEDパネルが左右に開いてアマルフィが日本初公開
アマルフィを運転していたのはロマニエッロ氏