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SUPER GT第4戦富士レース1、初のスプリント戦でGT500は「1号車 au TOM'S GR Supra」、GT300は「777号車 D'station Vantage GT3」が優勝

2025年8月2日~3日 開催
SUPER GT第4戦富士のレース1を制した1号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔選手/BS)

 SUPER GT第4戦「2025 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT SPRINT RACE」(以下第4戦富士)が、8月2日~3日の2日間に静岡県駿東郡小山町の富士スピードウェイにて開催されている。

 今回の第4戦富士は、新しいレースフォーマットが採用され、土日それぞれに異なる形式のスプリントレースが行なわれるという新たな取り組みとなっている。新フォーマットで土曜日に行なわれたレース1では、GT500はポイントリーダーの1号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔選手/BS)が優勝し、GT300は3番グリッドからスタートした777号車 D'station Vantage GT3(チャーリー・ファグ選手/DL)が優勝した。

第3戦までのGT500のポイントリーダーである1号車 au TOM'S GR Supra
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シリーズ戦で初のスプリント戦、新たなフォーマットで土日それぞれに予選、決勝が行なわれる

 今回の第4戦富士は、SUPER GTのプロモーターであるGTA(GTアソシエーション)の新しい取り組みとして、2日間それぞれにスプリントレースを行なうというシリーズ戦としては新しいフォーマットで行なわれている。

 土曜日(レース1)には、GT500とGT300の混走で1人のドライバーが走り、日曜日(レース2)はGT500とGT300の単体レースをもう1人のドライバーで走り、通常の給油・タイヤ交換を伴うピット作業はなしという形になった。

 シリーズポイントは、土日それぞれのレースが通常レースのハーフポイントで、1つの車両それぞれのドライバーに土日のポイントを合算して与えられる仕組みとなる。

 また、通常のシリーズ戦ではGT500ならポイントの倍、GT300ならポイントの3倍×1kgのサクセスウェイトを搭載するが、今回のスプリントレースではサクセスウェイトはなしとなり、シンプルにどの車両やドライバーが速いのかがタイムや結果などから分かるという点が従来のシリーズ戦とは異なる点となっている。

 お昼ごろに行なわれたレース1の予選では、第3戦でポールを獲得した19号車 TGR TEAM WedsSport BANDOH(阪口晴南選手/YH)が2戦連続でポールポジションを獲得。2位はポイントリーダーの1号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔選手/BS)が1000分の53秒差というわずかな差で続いた。3位は38号車 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹選手/BS)が続き、トップ3台がGR Supraとなり開幕3連勝を達成したGR Supraが引き続き好調さを見せつけた形だ。

GT500の予選1位は19号車 TGR TEAM WedsSport BANDOH(阪口晴南選手/YH)

GT500の予選順位

順位カーナンバードライバー車両タイヤtaimu
119阪口晴南WedsSport ADVAN GR SupraYH1分28秒167
21坪井翔au TOM'S GR SupraBS1分28秒220
338大湯都史樹KeePer CERUMO GR SupraBS1分28秒456
43佐々木大樹Niterra MOTUL ZBS1分28秒466
539サッシャ・フェネストラズDENSO KOBELCO SARD GR SupraBS1分28秒570
624松田次生REALIZE CORPORATION ADVAN ZYH1分28秒711
7100牧野任祐STANLEY CIVIC TYPE R-GTBS1分28秒763
812ベルトラン・バゲットTRS IMPUL with SDG ZBS1分28秒870
923高星明誠MOTUL AUTECH ZBS1分28秒871
1014大嶋和也ENEOS X PRIME GR SupraBS1分28秒922
1137笹原右京Deloitte TOM'S GR SupraBS1分28秒937
1217小出峻Asteame CIVIC TYPE R-GTBS1分29秒046
138野尻智紀ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTBS1分29秒058
1416大津弘樹ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTBS1分29秒230
1564伊沢 拓也Modulo CIVIC TYPE R-GTDL1分29秒589

 GT300は、2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(平良響選手/BS)がトップタイムをマークしてポールポジションを獲得。2位は前回の第2戦富士の最終ラップでトップを快走中に痛恨のトラブルで首位陥落に終わった61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝選手/DL)、3位は7号車 CARGUY FERRARI 296 GT3(小林利徠斗選手/YH)となり、タイヤ3メーカーがそれぞれトップ3を分け合う結果となった。

GT300予選1位の2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(平良響選手/BS)

GT300の予選順位

順位カーナンバードライバー車両タイヤタイム
12平良響HYPER WATER INGING GR86 GTBS1分37秒094
261山内英輝SUBARU BRZ R&D SPORTDL1分37秒314
37小林利徠斗CARGUY FERRARI 296 GT3YH1分37秒341
4777チャーリー・ファグD'station Vantage GT3DL1分37秒373
54片岡龍也GOODSMILE HATSUNE MIKU AMGYH1分37秒421
66ロベルト・メリUNI-ROSO BLUEGRASS FERRARIYH1分37秒547
765蒲生尚弥LEON PYRAMID AMGBS1分37秒565
85塩津佑介MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GOYH1分37秒590
956ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラREALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-RYH1分37秒605
1052吉田広樹Green Brave GR Supra GTBS1分37秒801
11666近藤翼seven x seven PORSCHE GT3RYH1分37秒814
1218小林崇志UPGARAGE AMG GT3YH1分37秒898
1320清水英志郎SHADE RACING GR86 GTMH1分37秒983
140小暮卓史VENTENY Lamborghini GT3YH1分38秒016
1511富田竜一郎GAINER TANAX ZDL1分38秒089
1626イゴール・オオムラ・フラガANEST IWATA RC F GT3YH1分38秒125
1760河野駿佑Syntium LMcorsa LC500 GTDL1分38秒217
1831オリバー・ラスムッセンapr LC500h GTBS1分38秒249
1945篠原拓朗PONOS FERRARI 296DL1分38秒285
2087松浦孝亮METALIVE S Lamborghini GT3YH1分38秒290
2162平木湧也HELM MOTORSPORTS GT-RYH1分38秒427
2296新田守男K-tunes RC F GT3DL1分38秒726
239阪口良平PACIFIC IDOLMASTER NAC AMGYH1分38秒787
24360荒川麟RUNUP RIVAUX GT-RYH1分38秒869
2530織戸学apr GR86 GTMH1分38秒869
2622加納政樹R'Qs AMG GT3YH1分39秒507
2725佐藤公哉HOPPY Schatz GR Supra GTYH1分39秒701
2848井田太陽Datsumou K's Frontier GO&FUN NEKONEKO GT-RYH1分42秒231

GT500はポイントリーダーの1号車 au TOM'S GR Supraが横綱相撲で危なげなく優勝

 土曜日のレース1はGT500とGT300の混走だが、35周と通常レースの約半分の距離で、1人のドライバーで走りきること、ピット作業がないことが通常のレースとは異なる。

 スタートはいつもの通り、静岡県警の白パト隊とパトカーによる先導でパレードラップが1周、さらにフォーメーションラップが1周行なわれ、その後グリーンフラッグとなった。

GT500のスタートシーン

 GT500のスタートでは、19号車 WedsSport ADVAN GR Supra(阪口晴南選手/YH)がスタートでトップを守ったまま1コーナーへ入っていったが、2位以下は最初から激しい争いになった。2番手からスタートした1号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔選手/BS)、3番手からスタートした38号車 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹選手/BS)の3台が激しいトップ争いを展開していたが、14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也選手/BS)が他車との接触でスピンして壁にぶつかりリタイアとなった。それによりセーフティカーが導入されることになった。

GT500のレース1を制した1号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔選手/BS)

 6周目にレースが再開されると、トップを走る19号車 WedsSport ADVAN GR Supraに1号車 au TOM'S GR Supraが1コーナーで横に並んだが、2コーナーに向けてクロスラインを通りそのままオーバーテイク。それに38号車 KeePer CERUMO GR Supraも続き、そこに19号車、4位に39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(サッシャ・フェネストラズ選手/BS)、そして13周目には37号車 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京選手/BS)が5位に上がり、リタイアした14号車を除くトヨタ勢がトップ5を独占するという展開に。

GT500の2位は38号車 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹選手/BS)

 レースは後半に雨がポツポツ降り出してくるが、その中でも1号車 au TOM'S GR Supraのリードは盤石で、結局そのままゴールして優勝。2位は38号車 KeePer CERUMO GR Supra、3位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraがゴールしたが、追い抜き時に走路外走行を取られて5秒のタイムペナルティを課せられ、5位に後退。

 それにより37号車 Deloitte TOM'S GR Supraが3位に上がることになった。4位は19号車 WedsSport ADVAN GR Supraがこちらも繰り上がった。結局GR Supraがトップ5を独占した。

GT500の3位は37号車 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京選手/BS)

 6位は12号車 TRS IMPUL with SDG Z(ベルトラン・バゲット選手/BS)、7位は3号車 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹選手/BS)と2台の日産勢が続き、8位は100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(牧野任祐選手/BS)、9位は17号車 Asteame CIVIC TYPE R-GT(小出峻選手/BS)、10位は8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT(野尻智紀選手/BS)が入りホンダ勢3台が続いた。ただし、3号車 Niterra MOTUL Zには5秒のタイムペナルティが出され、100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GTが7位に繰り上がった。

GT500表彰式

GT500のレース結果(暫定)

順位カーナンバードライバー車両タイヤ周回数
11坪井翔au TOM'S GR SupraBS35
238大湯都史樹KeePer CERUMO GR SupraBS35
337笹原右京Deloitte TOM'S GR SupraBS35
419阪口晴南WedsSport ADVAN GR SupraYH35
539サッシャ・フェネストラズDENSO KOBELCO SARD GR SupraBS35
612ベルトラン・バゲットTRS IMPUL with SDG ZBS35
7100牧野任祐STANLEY CIVIC TYPE R-GTBS35
83佐々木大樹Niterra MOTUL ZBS35
917小出峻Asteame CIVIC TYPE R-GTBS35
108野尻智紀ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTBS35
1123高星明誠MOTUL AUTECH ZBS35
1224松田次生REALIZE CORPORATION ADVAN ZYH35
1316大津弘樹ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTBS35
1464伊沢 拓也Modulo CIVIC TYPE R-GTDL35
R14大嶋和也ENEOS X PRIME GR SupraBS0

GT300は777号車 D'station Vantage GT3が優勝、ポイントリーダーの65号車 LEON PYRAMID AMGは3位

GT300のスタートシーン

 GT300はポールからスタートした2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(平良響選手/BS)がそのままトップで1コーナーを通過、2番手の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝選手/DL)が2位で続く展開に。

 GT500車両のクラッシュにより導入されたセーフティカーがピットに戻ると、レースが6周目に再開。3位の777号車 D'station Vantage GT3(チャーリー・ファグ選手/DL)が2位の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTを抜いて、トップの追撃態勢に入っていった。その後、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはズルズルと順位を下げていき、最終的には8位に終わった。

GT300を制した777号車 D'station Vantage GT3(チャーリー・ファグ選手/DL)

 レース後半には雨が降ってきて2号車 HYPER WATER INGING GR86 GTのペースが上がらなくなった。その結果、21周目の1コーナーで2位の777号車 D'station Vantage GT3が2号車を抜き、続いて4号車 GOODSMILE HATSUNE MIKU AMG(片岡龍也選手/YH)も2号車を抜き瞬く間にトップの2号車は3位に転落することになった。最終的に2号車は6位まで順位を下げてレースを終えた。

GT300の2位は4号車 GOODSMILE HATSUNE MIKU AMG(片岡龍也選手/YH)

 レースは最終ラップまでこの2台の争いが続き、結局777号車 D'station Vantage GT3が守りきって優勝し、2位は4号車 GOODSMILE HATSUNE MIKU AMGで、2戦連続で2位表彰台を獲得した。3位はポイントリーダーの65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥選手/BS)が入った。4位は7号車 CARGUY FERRARI 296 GT3(小林利徠斗選手/YH)、5位は52号車 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹選手/BS)。

GT300の3位は65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥選手/BS)
GT300の表彰式

GT300のレース結果(暫定)

順位カーナンバードライバー車両タイヤタイム周回数
1777チャーリー・ファグD'station Vantage GT3DL1分37秒37333
24片岡龍也GOODSMILE HATSUNE MIKU AMGYH1分37秒42133
365蒲生尚弥LEON PYRAMID AMGBS1分37秒56533
47小林利徠斗CARGUY FERRARI 296 GT3YH1分37秒34133
552吉田広樹Green Brave GR Supra GTBS1分37秒80133
62平良響HYPER WATER INGING GR86 GTBS1分37秒09433
75塩津佑介MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GOYH1分37秒59033
861山内英輝SUBARU BRZ R&D SPORTDL1分37秒31433
9666近藤翼seven x seven PORSCHE GT3RYH1分37秒81432
1018小林崇志UPGARAGE AMG GT3YH1分37秒89832
1156ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラREALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-RYH1分37秒60532
1211富田竜一郎GAINER TANAX ZDL1分38秒08932
1345篠原拓朗PONOS FERRARI 296DL1分38秒28532
1426イゴール・オオムラ・フラガANEST IWATA RC F GT3YH1分38秒12532
156ロベルト・メリUNI-ROSO BLUEGRASS FERRARIYH1分37秒54732
1620清水英志郎SHADE RACING GR86 GTMH1分37秒98332
1731オリバー・ラスムッセンapr LC500h GTBS1分38秒24932
1860河野駿佑Syntium LMcorsa LC500 GTDL1分38秒21732
1962平木湧也HELM MOTORSPORTS GT-RYH1分38秒42732
20360荒川麟RUNUP RIVAUX GT-RYH1分38秒86932
2187松浦孝亮METALIVE S Lamborghini GT3YH1分38秒29032
229阪口良平PACIFIC IDOLMASTER NAC AMGYH1分38秒78732
2322加納政樹R'Qs AMG GT3YH1分39秒50732
2430織戸学apr GR86 GTMH1分38秒86932
2525佐藤公哉HOPPY Schatz GR Supra GTYH1分39秒70132
2648井田太陽Datsumou K's Frontier GO&FUN NEKONEKO GT-RYH1分42秒23131
270小暮卓史VENTENY Lamborghini GT3YH1分38秒01617
2896新田守男K-tunes RC F GT3DL1分38秒7264

0.5点取りこぼしたことを悔しがる坪井選手、明日の見どころは500と300が別に走るガチレースになること

GT500優勝の坪井翔選手(左)、GT300優勝のチャーリー・ファグ選手

 レース終了後には両クラスの優勝者による会見が行なわれた。GT500で優勝した坪井翔選手、GT300で優勝したファグ選手に、新しいフォーマットへの感想などの質問が出た。

GT500優勝の坪井翔選手のコメント

GT500優勝の坪井翔選手

 自分としては予選がダサすぎた(1コーナーで飛び出して0.3秒程度ロスした)。そんなミスをしたのによく2番手になれたなというほどのミスだったので。決勝に関しては正直2列目までにいればチャンスがあると思っていた。ただ、途中で雨が降ってくるなどのイレギュラーで影響を受けないでほしいと考えていたので、しっかりと1位を守れてゴールできたのはよかった。

 このレースフォーマットに関しては、通常のレースでも35周で1スティントなので、ドライバーとしては通常の1スティントをやるレースと大きな違いはない。ただ、スケジュールに関しては割とハードで、特にメカニックの方がお昼抜きで作業などということはあったので、例えば金曜日にウォームアップをやるとかそこは再考の余地があると考えている。ただ、見ているお客さまに楽しんでいただけることが重要なので、そうであればよかったと思っている。

 自分たちにとっては、通常の第4戦はサクセスウェイトがだいぶ搭載されるので、1点か2点を取るというレースになるのに、今日すでに10点取れたというのはシリーズ争いにとってポジティブでしかないと考えている。ただ、今日は(予選でポールを取れなかったことで)0.5点取りこぼしてしまったので、明日はそこも含めてチームメイトに頑張ってほしいと思っている。

 明日は、GT500とGT300が別に走るというのがお客さまにとっても魅力になると思います。正直今日はあまりバトルがなかったので、明日はバトルがあればいいなと思っている。明日はレースを見る側にまわることになるが、今日のデータなどからしっかりフィードバックして、(パートナーの)山下選手が勝てるようにしっかり応援したいです。

GT300優勝のチャーリー・ファグ選手のコメント

GT300優勝のチャーリー・ファグ選手

 SUPER GTの関係者の皆さまのご尽力でこういうレースができたことに感謝したい。とにかく走っていて楽しかったし、今日の結果はハッピーです。1日で公式練習、予選、決勝まで全部やるというのはとても刺激的な体験だったし、ドライバー個人個人のセッティングを試したり、自分の思いどおりのレースができるというのがこのフォーマットの魅力だと思う。