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SUPER GT第4戦富士レース2、多くのバトルが見られたクラス別スプリントレースで、GT500は「14号車 ENEOS X PRIME GR Supra」GT300は「777号車 D'station Vantage GT3」が優勝

2025年8月2日~3日 開催
SUPER GT第4戦富士のGT500レース2を制した14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手/BS)

 SUPER GT第4戦「2025 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT SPRINT RACE」(以下、第4戦富士)が、8月2日~3日の2日間に静岡県駿東郡小山町の富士スピードウェイで開催された。

 今回の第4戦富士は、新しいレースフォーマットが採用され、土日それぞれに異なる形式のスプリントレース(レース1、レース2)という新たな取り組みが行なわれ、日曜日には通常のGT500&GT300混走ではなく、GT500、GT300それぞれのレースが独立して実施された。

 結果、GT500は14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手/BS)、GT300は777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)と、いずれも予選でポールポジションを獲得した2人が優勝した。しかし、その後ろでは多くのオーバーテイクが見られる激しいレースになり、詰めかけた多くの観客はいつもと違うSUPER GTを楽しんだ。

予選ポールは、GT500が逆襲の14号車 ENEOS X PRIME GR Supra、GT300は777号車 D'station Vantage GT3

 レース1が行なわれた8月2日と同様に、晴天に恵まれた8月3日の午前11時から行なわれたレース2の予選では、前日のレース1と同様の車両がドライバーを変えても上位に入る展開となった。

 通常レースでは、速いマシンが残り、遅いマシンが脱落するノックアウト形式の予選だが、今回のスプリント戦では、GT500が10分、GT300が20分のタイム計測方式で行なわれ、午後のスプリントレースの決勝グリッドが決定した。

GT500レース2はGT500マシンのみでのレース

 GT500は昨日のレースの再来を見ているかのように、トップ5は再びGR Supraの独占となった。この中でポールを獲得したのは昨日のレース1ではリタイアに終わった14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手/BS)。2位はやはり昨日の予選でも2位だったポイントリーダーの1号車 au TOM'S GR Supra(山下健太選手/BS)、続いて今シーズン限りでSUPER GT GT500の活動を終えると発表したばかりの石浦宏明選手が乗る38号車 KeePer CERUMO GR Supra(BS)が3位に入った。

 やはり上位にトヨタGR Supra勢、その後ろに日産Z勢、ホンダのシビックTYPE-R GT勢が続くという形になっているが、その中でも唯一64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GT(大草りき選手/DL)が気を吐いて6位に入り、ブリヂストンタイヤを装着している他のホンダ勢が11位以下になっているのと対照的な結果となった。

GT500レース2の予選ポールは14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手/BS)

GT500の予選順位

順位カーナンバードライバー車両タイヤタイム
114福住仁嶺ENEOS X PRIME GR SupraBS1分27秒477
21山下健太au TOM'S GR SupraBS1分27秒675
338石浦宏明KeePer CERUMO GR SupraBS1分27秒938
419国本雄資WedsSportADVAN GR SupraYH1分28秒004
539関口雄飛DENSO KOBELCO SARD GR SupraBS1分28秒033
664大草りきModulo CIVIC TYPE R-GTDL1分28秒137
712平峰一貴TRS IMPUL with SDG ZBS1分28秒145
824名取鉄平REALIZE CORPORATION ADVAN ZYH1分28秒186
93三宅淳詞Niterra MOTUL ZBS1分28秒425
108松下信治ARTA MUGEN CIVIC TYPER-GTBS1分28秒544
1123千代勝正MOTUL AUTECH ZBS1分28秒632
1217塚越広大Astemo CIVIC TYPE R-GTBS1分28秒676
13100山本尚貴STANLEY CIVIC TYPER-GTBS1分28秒683
1416佐藤蓮ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTBS1分28秒712
1537ジュリアーノ・アレジDeloitte TOM'S GR SupraBS1分29秒743
GT300レース2はGT300マシンのみでのレースとなった

 GT300は昨日のレース1で優勝した777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)が、ドライバーがファグ選手から藤井選手に替わっても変わらぬ速さを見せてポールポジションを獲得。2位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝選手/YH)で、こちらも昨日のスプリントで2位になった車両で、やはり車両の速さを証明した形だ。3位は昨日のレース1でポールを獲得した2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威選手/BS)が獲得している。

GT300レース2の予選ポールを獲得した777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)

GT300の予選順位

順位カーナンバードライバー車両タイヤタイム
1777藤井誠暢D'station Vantage GT3DL1分36秒888
24谷口信輝GOODSMILE HATSUNE MIKU AMGYH1分37秒275
32堤優威HYPER WATER INGING GR86 GTBS1分37秒300
47ザック・オサリバンCARGUY FERRARI 296 GT3YH1分37秒388
561井口卓人SUBARU BRZ R&D SPORTDL1分37秒413
65木村偉織MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GOYH1分37秒456
752野中誠太Green Brave GR Supra GTBS1分37秒462
865菅波冬悟LEON PYRAMID AMGBS1分37秒479
9666ハリー・キングseven x seven PORSCHE GT3RDYH1分37秒646
1045ケイ・コッツォリーノPONOS FERRARI 296DL1分37秒706
1118野村勇斗UPGARAGE AMG GT3YH1分37秒759
120元嶋佑弥VENTENY Lamborghini GT3YH1分37秒907
136片山義章UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIYH1分37秒928
149冨林勇佑PACIFIC IDOLMASTER NAG AMGYH1分37秒933
1587坂口夏月METALIVE S Lamborghini GT3YH1分37秒969
1662平木玲次HELM MOTORSPORTS GT-RYH1分38秒055
1731小山美姫apr LCS00h GTBS1分38秒128
1860吉本大樹Syntium LMcorsa LCS00 GTDL1分38秒390
1996高木真一K-tunes RC F GT3DL1分38秒458
2025松井孝允HOPPY Schatz GR Supra GTYH1分38秒587
2126安田裕信ANEST IWATA RC F GT3YH1分38秒793
2220平中克幸SHADE RACING GR86 GTMH1分38秒821
2311大木一輝GAINER TANAX ZDL1分38秒938
2448柴田優作Datsumou K's Frontier GO&FUN NEKONEKO GT-RYH1分39秒102
25360清水啓伸RUNUP RIVAUX GT-RYH1分39秒155
2630永井宏明apr GR86 GTMH1分39秒169
2722城内政樹R'Qs AMG GT3YH1分40秒280
2856平手晃平REALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-RYH1分40秒855

GT500決勝は、14号車 ENEOS X PRIME GR Supraをドライブした福住仁嶺選手がトヨタ移籍後初優勝

GT500レース2のスタートシーン

 GT500のレース2決勝(50分)は、16時45分と通常のレーススタート(13時~14時)からかなり遅い時間にスタートされることになった。GT300の時は晴天だったが、じょじょに雲が増えてきて、GT500のスタート時にはくもりの天候となりかなり涼しくなってきた天候の中でスタートが切られた。

 レースが始まると、4台のGR Supra+BSの組み合わせの4台、14号車 ENEOS X PRIME GR Supra、1号車 au TOM'S GR Supra、38号車 KeePer CERUMO GR Supra、39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛選手/BS)がトップ4を構成した。

GT500レース2を制した14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手/BS)

 混戦の中で目の覚める追い上げを見せたのが、10番手グリッドからスタートした8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPER-GT(松下信治選手/BS)で、1周目で6位まであがり、今週あまり調子のよくないホンダ勢の中で気を吐くような走りを見せた、しかしレース後半になるとタイヤを使い切ってしまったのかペースダウンし、ズルズルと抜かれて最終的に11位でゴールした。

GT500レース2の2位は1号車 au TOM'S GR Supra(山下健太選手/BS)

 もう1台追い上げたのは、予選でタイム取り消しとなり15位に沈んだ37号車 Deloitte TOM'S GR Supra(ジュリアーノ・アレジ選手)が瞬く間に4台を抜いて11位に浮上。37号車は結局その後も順位を上げ、最終的に7位でゴール。このように前日とは異なり、レース中に多くの追い抜きが見れたことはSUPER GTの新しい取り組みにとって大きな収穫になった。

GT500レース2の3位は38号車 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明選手/BS)

 14号車 ENEOS X PRIME GR Supraと1号車 au TOM'S GR Supraのトップ争いは、終始2秒前後の差で推移するという緊張の展開で、残り2分で約1秒という差に詰まってきた。残り1周の段階で1秒を切る。最後の最後でドラマがあるかと思われたが、14号車 ENEOS X PRIME GR Supraは最後まで1号車を寄せ付けず、0.728秒差という僅差でトップチェッカーを受けた。福住仁嶺選手は2024年にトヨタ陣営に移籍してから初優勝となる。

 以下、2位はその1号車 au TOM'S GR Supra、3位は38号車 KeePer CERUMO GR Supra、4位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、5位は12号車 TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴選手/BS)、6位は3号車 Niterra MOTUL Z(三宅淳詞選手/BS)となった。

GT500レース2の表彰式の模様

GT500順位結果(暫定)

順位カーナンバードライバー車両タイヤ周回数
114福住仁嶺ENEOS X PRIME GR SupraBS34
21山下健太au TOM'S GR SupraBS34
338石浦宏明KeePer CERUMO GR SupraBS34
439関口雄飛DENSO KOBELCO SARD GR SupraBS34
512平峰一貴TRS IMPUL with SDG ZBS34
63三宅淳詞Niterra MOTUL ZBS34
737ジュリアーノ・アレジDeloitte TOM'S GR SupraBS34
864大草りきModulo CIVIC TYPE R-GTDL34
923千代勝正MOTUL AUTECH ZBS34
1024名取鉄平REALIZE CORPORATION ADVAN ZYH34
118松下信治ARTA MUGEN CIVIC TYPER-GT #8BS34
12100山本尚貴STANLEY CIVIC TYPER-GTBS34
1317塚越広大Astemo CIVIC TYPE R-GTBS34
1416佐藤蓮ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16BS33
1519国本雄資WedsSportADVAN GR SupraYH33

GT300決勝は、ポールポジションからスタートした777号車 D'station Vantage GT3が昨日に続き優勝

 14時15分から行なわれたGT300のレース2決勝(50分)では、ポールポジションの777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)が順位を守って1コーナーを駆け抜けたが、2位の4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝選手/YH)は、3番グリッドからスタートの2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威選手/BS)に抜かれ3位に後退。

GT300レース2のスタートシーン

 レースはスタートでの順位変動以外は淡々と進行していたが、5番グリッドからスタートして優勝候補の一角にも数えられていた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人選手/DL)が、まるで第2戦富士での最終ラップの悲劇を再現するかのように、5周目にマシントラブルによりコース外へマシンを停め、そのままリタイアとなってしまった。

GT300レース2を制した777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)

 トップ3の順位はスタート以後まったく動かなかったが、4位以下は何度もオーバーテイクが見られる激しい争いに。その中で4位に上がってきたのは、ポイントリーダーの65号車 LEON PYRAMID AMG(菅波冬悟選手/BS)で、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGに追いついていく。そしてずっと3位の座を狙っていた65号車は、22周目に4号車を1コーナーでオーバーテイクし、3位と表彰台圏内に上がり、4号車は4位へと後退した。

 レースは典型的なタイヤ勝負となり、タイヤの性能を最後まで維持できたドライバーは上位をキープし、タイヤの性能を使い終わってしまったドライバーはズルズルと順位を下げる展開になった。

GT300レース2の2位は2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威選手/BS)

 65号車に抜かれた4号車は、あっという間に離されていき、さらに後ろから来た5号車 MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GO(木村伊織選手/YH)にも抜かれて5位に。さらにその後ろでも52号車 Green Brave GR Supra GT(野中誠太選手/BS)、18号車 UPGARAGE AMG GT3(野村勇斗選手/YH)、7号車 CARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン選手/YH)の3台が激しい争いを展開するなど、随所で熱いバトルが繰り広げられた。

GT300レース2の3位は65号車 LEON PYRAMID AMG(菅波冬悟選手/BS)

 結果は、ポールからスタートした777号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢選手/DL)が一度も順位を譲ることなくチェッカーを受け、ポールトゥウインで優勝。2位はスタートで順位を上げた2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT、3位はレース中盤に4号車を抜いて順位を上げた65号車 LEON PYRAMID AMG。4位は5号車 MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GO、5位は追い上げてきた52号車 Green Brave GR Supra GTを振り切った4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、6位はその52号車となった。

GT300レース2の表彰台の模様

GT300順位結果(暫定)

順位カーナンバードライバー車両タイヤ周回数
1777藤井誠暢D'station Vantage GT3DL31
22堤優威HYPER WATER INGING GR86 GTBS31
365菅波冬悟LEON PYRAMID AMGBS31
45木村偉織MACHSYAKEN AIR BUSTER MC86 MACH GOYH31
54谷口信輝GOODSMILE HATSUNE MIKU AMGYH31
652野中誠太Green Brave GR Supra GTBS31
718野村勇斗UPGARAGE AMG GT3YH31
87ザック・オサリバンCARGUY FERRARI 296 GT3YH31
9666ハリー・キングseven x seven PORSCHE GT3RDYH31
1045ケイ・コッツォリーノPONOS FERRARI 296DL31
1156平手晃平REALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-RYH31
120元嶋佑弥VENTENY Lamborghini GT3YH31
1362平木玲次HELM MOTORSPORTS GT-RYH31
149冨林勇佑PACIFIC IDOLMASTER NAG AMGYH31
1587坂口夏月METALIVE S Lamborghini GT3YH31
1696高木真一K-tunes RC F GT3DL31
1760吉本大樹Syntium LMcorsa LCS00 GTDL31
1826安田裕信ANEST IWATA RC F GT3YH31
1911大木一輝GAINER TANAX ZDL31
20360清水啓伸RUNUP RIVAUX GT-RYH31
2120平中克幸SHADE RACING GR86 GTMH31
2248柴田優作Datsumou K's Frontier GO&FUN NEKONEKO GT-RYH31
2325松井孝允HOPPY Schatz GR Supra GTYH31
2430永井宏明apr GR86 GTMH31
2522城内政樹R'Qs AMG GT3YH30
R61井口卓人SUBARU BRZ R&D SPORTDL4
R31小山美姫apr LCS00h GTBS2
R6片山義章UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIYH1

50分は長いレースだったと両ドライバー、やりようによってはスプリントは面白くなる

福住仁嶺選手(左)、藤井誠暢選手(右)

 レース2の終了後、表彰式が行なわれ、さらに優勝の2人のドライバーによる優勝会見が実施された。

福住仁嶺選手

福住仁嶺選手:50分は長いレースだった。レースは気温や路温が下がっていく中で行なわれたが、自分が選んだタイヤが逆方向で柔らかいタイヤの人に抜かれると思ったが、その前にギャップが築けたことが勝因。トップを走っていて、後ろが2秒ぐらいにずっといるのは本当に厳しかった。それでも1号車に勝てたというのは大きな自信になった。
 (普段のフォーマットとの差を聞かれて)500に関してはスタート時間が遅くて路温が下がっていたので、空力による差がでる状態になり、なかなか抜けない状況になったのではないかと考えている。これがもっと暑い時間に、タイヤの保ちの差が出てくるサーキットでスプリントをやると面白いのではないだろうかと感じた。

藤井誠暢選手

藤井誠暢選手:意外と50分が長く、このフォーマットだと各車両が持っているラップタイムなりの競争だったと思う。それで終わってみたら優勝出来たという結果だ。(普段のフォーマットとの差を聞かれて)こういう自分次第ですべてをコントロールできるレースはあったら面白いと感じた。