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ブリヂストンとispace、中小型月面探査車向けタイヤの実用化に向け基本合意書を締結
最短2029年ごろの実用化を目指す
2025年8月7日 12:38
- 2025年7月31日 発表
ブリヂストンとispaceは7月31日、中小型月面探査車向けタイヤの実用化に向けた基本合意書を締結した。
両社はこの合意に基づき、小型および中型月面探査車の性能向上に向けた活動を共同で進める。ispaceが研究開発を進める小型および中型月面探査車のプロトタイプに、ブリヂストンが開発を進める柔らかく変形することで高い走破性と耐久性を提供する月面探査車用タイヤ(弾性車輪)を装着し、地上での評価検証を実施する。
その検証を通じ、月面での技術実証の実現性や事業性の評価も行なうことで、最短2029年ごろの実用化を目指していく。ブリヂストンとispaceは今回の取り組みを通じて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に設置された宇宙戦略基金の活用なども見据え、両社で日本の宇宙産業の発展に貢献していくという。
今回の発表について、ブリヂストン BSJP直需タイヤ戦略企画/新モビリティ事業部門長の太田正樹氏は、「ブリヂストンは2019年より月面探査車用タイヤの研究開発を開始、2025年4月には中小型月面探査車向け軽量化タイヤのコンセプトモデルを発表するなど、さらなる宇宙ビジネスのネットワーク拡大と共創機会の創出に取り組んでいます。この度、当社の取り組みに共感いただいたispaceと協業を開始するに至り大変光栄です。ブリヂストンの月面探査車用タイヤは、金属製スポークの採用により、耐久性を確保しながら柔軟に変形することで、月面の岩などの障害物を乗り越えられる優れた走行性能を提供します。これにより、過酷な月面環境においてispaceのローバーを足元から支え、共にさまざまなミッションへ挑戦していきます。日本発の宇宙スタートアップ企業であるispaceとの協業を通じ、当社の弾性車輪技術の優位性を確立し、日本における月面開発の発展に貢献してまいります」とコメント。
また、ispace 代表取締役CEO & Founderの袴田武史氏は「ispaceが目指す、シスルナ経済圏の構築には多様な業種のプレーヤーの参画が欠かせません。今回、ブリヂストンとの基本合意書締結と将来の月ミッションでの実証に関する検証は、まさにそれを証明するものです。世界の道を知り、地球のあらゆるモビリティの進化を技術で支えてきたブリヂストンが、極限の環境で安心・安全を守り“人類の夢を背負った宇宙探査を支える”べく研究開発を進める月面探査車用タイヤが、今後月における人類の発展に貢献することは間違いありません。ispaceが開発するマイクロローバーは世界最小クラスの月面探査車で、月面という人類の目指す新しい場所には、なくてはならない技術です。新たな環境でシスルナ経済圏の構築のため、共に協業出来ることを楽しみにしています」と述べている。

