日野、国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「プロフィア Z FCV」を10月24日発売

国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「プロフィア Z FCV」

　日野自動車は、国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「プロフィア Z FCV」を10月24日に発売する。架装バリエーションはドライバン/ウイングバン（トランテックス製）で、価格は仕様によって異なるため非公表。

　販売エリアについては、安定的な稼働を実現するため当面の間は経済産業省が示した「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」を中心に計画しており、東北重点地域（福島県）、関東重点地域（東京都および神奈川県）、中部重点地域（愛知県）、近畿重点地域（兵庫県）、九州重点地域（福岡県）を想定している。

　日野はカーポンニュートラルの実現に向け走行中CO2排出量の大幅削減を目指しており、国内貨物自動車全体のCO2排出量の約6割を占めると言われる大型トラックの環境性能向上を課題の1つとして掲げている。

　商用車の電動化においては、高い環境性能はもちろんのこと、事業に使う車両としての実用性との両立が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレーンを採用していくことが重要になるという。幹線輸送に使われる大型トラックには十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求められるため、水素を燃料として発電する燃料電池車が有効だと考えているという。

　その考えのもと、2023年に「プロフィア Z FCV」の走行実証車を製作し、パートナーであるアサヒグループジャパン、西濃運輸、トヨタ自動車、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸とともに、各社の物流業務で使用しながら2025年8月末までに走行距離約43万kmの実績を重ねてきた。走行実証車は4台あり、述べ稼働日数は1492日、そして延べ走行CO2削減量は約23万2000kg（軽油相当量：約9万L）になったとしており、ドライバーからは「とにかく静か」「非常に加速性能が良い」といった声が寄せられたという。

　新型プロフィア Z FCVは、大型トラック「プロフィア」をベースにトヨタと日野が共同開発したもの。大型トラックに求められる耐久性と信頼性を確保するとともに、シャシーは燃料電池車に最適なパッケージングを専用設計し、荷台スペースと積載量の最大化を図った。

　パワートレーンには、トヨタ「ミライ」に採用しているFCスタックをベースに、大型商用車向けに改良したものを2基、70MPaの高圧水素タンクを6本（200Lを4本、230Lを2本：搭載水素量50kg）、リチウムイオンバッテリを2パック、後輪車軸とセットの駆動モーター2基を搭載し、日野の大型車・電動車技術と走行制御を導入する。水素充填時間は充填口を2口そろえることで15～30分としており、フル積載の状態で航続距離650km（社内測定値）を確保しているという。

　車両の寸法は1万1900×2490×3780mm（全長×全幅×全高）。車両総重量は25t。仕様によって異なるものの、荷台内寸高長は8900mm、荷台内寸高は2455mm、積載量は1万1600kgとし、幹線輸送に見合った積載能力を確保したとしている。