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豊田章男会長、新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」の特性について「神に祈る時間はクルマとの会話の時間に変わりつつある」と語る

ST-2クラスを優勝した鈴木斗輝哉選手(右)と語るトヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男会長(左)

「神に祈る時間は、クルマとの会話の時間に変わりつつある」とモリゾウ選手

 10月26日、スーパー耐久第6戦岡山が岡山国際サーキットで開催された。このスーパー耐久岡山でデビューを飾ったトヨタの新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」は、天候が変化する中で見事初出走・初完走を成し遂げた。

 路面もスタート時はウエット、途中はセミウェット、最後はドライと変化。さまざまな条件での公開開発が行なえた。

スーパー耐久第6戦岡山でデビューしたトヨタの新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」

 ドライバーは、スタートドライバーが佐々木雅弘選手、セカンドドライバーが石浦宏明選手、サードドライバーが小倉康宏選手、最後を担ったのがモリゾウ選手こと豊田章男会長と、4人で担当。石浦選手の時点からドライタイヤを投入して走りきった。

 この「GRヤリスMコンセプト」では、モリゾウ選手がGRヤリスについて語っていた「神に祈る時間」の解消も一つの開発目的としている。この神に祈る時間とは、コーナリング中にそれ以上アクセルを踏むと外に膨らんで行ってしまうアンダーステア的な特性を指している。

レース後、チームのみんなと語り合う豊田章男会長

 ある意味、安全方向のセッティングではあるが、積極的にクルマを動かすスキルを持つに至ったドライバーでは、その時間をなるべく減らしたいという。そうした高いスキルを持ったドライバーに向けて開発が始まったのが、リアミッドシップ4WD+400馬力新開発エンジンというパッケージを持った「GRヤリスMコンセプト」になる。

 ゴール後、ラストスティントを担当したモリゾウ選手に、その神に祈る時間について聞くことができた。

 モリゾウ選手によると、このGRヤリスMコンセプトでは「神に祈る時間は、クルマとの会話の時間に変わりつつある」という。「今まで神に祈る時間っていうのは(コーナリング中に)何をしたらいいか分からない。変なことにならないでっ!!ていうことを祈っているから、神に祈っている時間と呼んでいます」「もう少し私自身の運転技能を磨かないと、このクルマは扱えないと思いますけど、そういう中でも(神に祈る時間が)クルマと会話ができる時間に変わりつつあるというのは、大きな変化だと思いますね」と語ってくれた。

 また、今回完走した公開開発については、「(観客やYouTubeでの応援が)一番ありがたかった。ありがたいことです。クルマという商品はBtoCで、最後はお客さまが味付けをする商品でもある。そこを開発段階から知っていただくと、ご自身の手に入ったときに味付け具合が変わるんじゃないかなというふうにも期待できるので。いつ市販かと言われてもまだ分かりませんが、確実に今回の岡山の大会で一歩前進できたかなと思います。おかげさまで雨の状態、そして晴れの状態、曇りの状態、天候もずいぶん変わった。こういう貴重なデータ、本当にお天道さまにありがとうございます」と、荒れた天候でもデータが集まったことに対してお礼を述べていた。