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レクサス、「SENSES-五感で感じるLEXUS体験」で新型「ES」「RZ550e“F SPORT”」を日本初公開
2025年11月10日 15:37
レクサスは、日本のものづくりが積み上げてきた歴史や文化をリスペクトし、レクサスらしいイノベーションで「味覚」「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」といった五感でオーナーの豊かな時間までをデザインする「TIME」という哲学を掲げている。
そして創業以来ラグジュアリーカーの常識を打破する挑戦をし続け、モビリティの限界を押し拡げることで、ユニークで期待を超える新しい体験を創造してきた。そのレクサスがデザインする“五感”を体感できるメディア向けイベント「SENSES-五感で感じるLEXUS体験」が10月に都内で開催された。
イベント会場には、2025年3月にベルギー・ブリュッセルで公開された「ステア・バイ・ワイヤ・システム」と「インタラクティブ・マニュアル・ドライブ(Interactive Manual Drive)」を初採用した新型「RZ550e“F SPORT”」と、4月に上海モーターショーでワールドプレミアした次世代機能「Sensory Concierge(センサリー・コンシェルジュ)」を搭載した新型「ES」の日本仕様と中国仕様が日本初公開された。
Lexus International LEXUS Electrified開発部 部長の井藤進矢氏によると、レクサスは1989年にアメリカで立ち上がり、日本では2005年から事業を開始。当初のラインアップは2車種しかなく、そこから継続的に車種を増加したほか、立ち上げ当時から最高の商品と最高のサービスを届けることと、これまでにない“おもてなし”を提供するなど、従来なかった価値の具現化に挑戦したという。
アメリカで始業した当時から、高級車の概念を覆す良質な質感や静粛性、愚直なクルマ作りを続けてきた結果、新しい提供価値、体験価値をクルマを通して共感してもらえたことで市民権を獲得。
井藤氏は、「その時代、時代でユーザ-の好む価値やデザインは変わりますが、それに合うようにチャレンジをしながら、体感してもらえる提供価値で五感を刺激して、共感してもらえるブランドや商品でありたいと、その軸をしっかり商品に反映していくことを大切にしてきました」と振り返る。
続けて、「チャレンジのテーマは、レクサスだけでなくトヨタ全体としていろんな選択肢のあるマルチパスウェイでカーボンニュートラルの実現を目指しつつ、それを笑顔で楽しみながら向かっていくことにどんどんチャレンジをしていきたいと思います」と意気込みを語った。
また、電動化技術のチャレンジとともに、「クルマに乗って楽しい」「安心して乗れる」「少し運転がうまくなったようなドライブフィールを感じられる」といった、クルマ本来の楽しさやポテンシャル、価値をどんどん引き上げ、広げていくことを目指すとしていて、「自分たちで感じて体験してそれを訴求するには、シミュレーションだったり、机上の検討も大切にしていますが、やっぱり形にして、社内のマスタードライバーやプロドライバーも一緒になって汗をかきながら乗って、乗って、乗りまくるというのを常にやってきました」と井藤氏。
新形RZに搭載されている「ステア・バイ・ワイヤ・システム」は、ステアリングとタイヤがメカでつながっておらず、電動モーターを使い電気信号で動かすので、とてもレスポンスもよく、直感的な操作が可能となる。
井藤氏は、「開発中はステアリングの中立位置からの操作範囲を左右150度ぐらいまで追い込んでみたのですが、さすがにコントロール幅が足りない。また、ショッピングモールにある駐車場の螺旋状のスロープを走ると、もう少し操作幅が欲しいと分かったり、角度を変えるロジックだったり、機構そのものを1から見直してみたり、どんどんチャレンジした結果、今の形ができあがりました」と開発の苦労を明かした。
さらに、BEV(バッテリ電気自動車)でもMT(マニュアルトランスミッション)のような体験ができる「インタラクティブマニュアルドライブ」は、ハードではなく制御を変えるだけで、「自分のマニュアル操作でシフトコントロールしている」と感じられる機構。
インタラクティブ・マニュアル・ドライブについて井藤氏は 「実は開発中に音のないパターンも試したのですが、音がなくなると途端に自分は今何を操っていて、どんなことをクルマに要求しているのかが分からなくなる体験をしたので、いかに“音”が大事な要素かと発見しました。演出するだけでなく、クルマとの対話に必要な要素であると分かりました。もちろん音源もこだわって作り、どうやれば駆動力らしいサウンドを出せるか、いかにシームレスにドライバーに伝わるかを徹底的に追及しました」と、音の重要性を説明。
続けて、「そのほかにも、電動化技術は新型車だけでなく、現在の保有車にもどんどん広げていく必要もあり、メンテナンス部品が手に入らない時代になってきますので、今長く乗っているクルマに対しても、カーボンニュートラルの実現に向けて、われわれの技術で挑戦できればいいなと思っていて、象徴的にですが『スプリンター・トレノ』をBEVにコンバージョンし、外見はそのままに中身だけをBEVにすることで、ユーザーのクルマをそのままの形で未来に残すといったことも商品化できるように挑戦しております」と、電動化技術の可能性についても言及した。
また、五感で伝えるのは実際にはなかなか伝わりにくい場面もあるとのことで、レクサスでは、クルマだけではなく「タッチ・ジャパン・ジャニー」という“旅”と“食事”や“アクティビティ”など、いろいろな体験を組み合わせてユーザーの五感を刺激しつつ、その土地の魅力も伝えるといった企画も実施している。井藤氏は、「特に電力をほぼ水力発電でまかなっている九州の屋久島では、ゆっくり走ることとか、新しいクルマの価値を広げるポテンシャルがBEVにはあるんじゃないかと思います」と期待を述べた。
そのほかにも、BEVを購入してから売却までの間に直面する様々な不安や困りごとをサポートしつつ、いろいろな共創パートナーと共にレクサスならではのサービスや体験を提供し、ユーザーがBEVとともに過ごす時間を新しく、そして豊かにする活動「「LEXUS Electrified Program」も実施。2025年5月には、ミシュランガイド2つ星・グリーンスターを獲得した美山荘での食体験と宿泊を組み合わせた特別プラン「奥京都に息づく自然と文化に触れる食の旅」を開催し、美山荘当主と一緒に摘草へ行く体験プログラムを実施している。
レクサスBEV初の“F SPORT”モデルとなる「RZ550e“F SPORT”」
Lexus International アシスタントチーフエンジニアの寺田寧之氏は、「レクサスは、2005年のRX 400hの発売以来、ラグジュアリー市場における電動化の先駆者として、電動車の開発をけん引してきました。下山にある新たな開発拠点では、ドライビングの楽しさと本質的価値を追求するため、ハードウェアとコア技術の研鑽を続けています」と説明。
続けて、「レクサスは電動化技術を磨き上げ、『ステア・バイ・ワイヤ・システム』や『ダイレクト4』といった新技術に挑戦し続けることで、ハードウェアとソフトウェアの融合によるまったく新しいドライビング体験の提供を目指しています。
また、開発の柱に“ナチュラルな操作性”“ドライビングの楽しさ”“BEV基本性能の追求”の3つを掲げ、まったく新しい体験を提供する車両として追及。静粛性と快適性を維持しながら、航続距離、充電制御の向上、プラットフォームの改良によるバッテリの大型化も実施したほか、、コンパクトなBEVパワートレーンの低重心化により、すべてのドライビング体験を高めることに成功したとしている。
FWD(前輪駆動)モデルは、約14%容量アップした電池パックに加え、インバータの高効率化により、航続距離は733kmと現行モデルよりも100km以上も大幅向上。さらに新たなプレコンディショニング機能を採用したことで、冬季のマイナス10℃という厳しい環境でも、0%→80%の急速充電時間を常温と同じ30分と大幅な短縮を実現したという。
レクサスBEV初のFスポーツモデルとして、強力なダウンフォースによる安定性と、電燃性能と航続距離を両立するため、新開発のモーターユニットの出力向上や新エアロホイールなどの技術革新に取り組んでいて、新開発の前後高出力モーターの採用により、システム出力は300kWを達成。新型RZ Fスポーツは、ドライバーの感性に響く体験を提供するとしている。
次世代機能「センサリー・コンシェルジュ」を搭載した新型「ES」
続いて、Lexus International チーフエンジニアの千足浩平氏は、新型ESについて、「1989年にレクサスブランドを立ち上げて以降、脈々と受け継いてきた伝統的な乗り心地や静粛性を大事にし、そこに電動化技術で新しい価値を加え、その嬉しさを全ての席で感じてもらうことを目標にしてきた」と説明。新型ESを開発するにあたっては、「エクスペリエンス(Experience)」「エレガンス(Elegance)」「エレクトリファイドセダン(Electrified Sedan)」と、3つの“E”をコンセプトに掲げたと紹介。
具体的には、ストレスフリーで余裕とゆとりがあり、振る舞いや所作が上品である。また電動化技術によってクルマの原点である走りの楽しさを大きく進化させ、五感を刺激する体験を通じてユーザーの豊かなライフスタイルをサポートすることだという。
2018年に発売した現行ESは、ハイブリッドのFWD(前輪駆動)モデルのみだったが、新型ESは、ハイブリッドの「350h」に加え、BEVの「350e」「500e」の計3種を導入すると宣言。また全モデルFWDだけでなくAWD(全輪駆動)を用意すると明かした。特にBEVモデルのAWDは動力性能が大きく向上していて、環境性能との両立を高次元で達成したとしている。なお、日本での発売は2026年春ごろの予定という。
走行性能は「Pleasant time for all seats」をコンセプトに掲げ、優れた静粛性と乗り心地をさらに磨き上げるとともに、HEVとBEVそれぞれのパワートレーンの特性を活かし、レクサスらしい走りの深化を追求。最大5人のすべての乗員がリビングにいるかのような快適な時間を過ごせるように仕上げたとしている。
エクステリアは、次世代BEVコンセプトモデル「LF-ZC」のデザインから着想を得た表現に挑戦。パッケージングとセダンがもっとも美しく見えるプロポーションの両立を追求しつつ、エレガンスなデザインをより進化させながら、クリーンで心地よい独自の世界観を創造している。
新型ESは、GAKプラットフォームを刷新したことで、全長とホイールベースを延長。広々とした室内空間を確保。座席の位置も高くすることで乗降性を高めつつ、視点も高くなり運転しやすさを向上させたほか、窓枠の位置を下げてガラスの面積を広げたことで開放感のあるキャビンを実現している。
加えて新型ESは、レクサスの目指す「time in design」の概念を、イルミネーション、音楽、マルチメディア画面、空調(フレグランス込み)、シートベンチレーション/ヒーターを連動させ、多感覚を刺激する空間と演出で魅了し、レクサスならではのパーソナライズされた体験価値を提供する次世代機能「センサリー・コンシェルジュ」を初搭載する。ユーザーの気持ちに寄り添える3つのモードが用意されるが、日本への導入は法規の認証などが必要なため、まだ先になるとのこと。ただイベントでは中国仕様で実際に体感できた。
5種類の香りは、香料メーカー「Givaudan Japan(ジボダン ジャパン)」のシニアパフューマーである大川正洋氏が先導して開発。レクサスのシグネチャーマテリアル「Bamboo」を香りで表現し、車室空間にほのかな贅沢と深いインスピレーションをもたらす5つの異なるテーマとをそれぞれ調和させた香りを創作。ジボダンの独自技術を用いて京都の“竹林”の香りを再現した「Bamboo Accord(バンブーアコード)」を完成させた。その香りは“竹”だけではなく、そこの“土壌”や“空気”までも含めた竹林空間そのものの香りとなっている。
新型ESに込められたデザインとは?
Lexus International プロジェクトチーフデザイナーの熊井弥彦氏は、リアルタイムでデッサンを描きながら新型ESのデザインについて詳説を実施。熊井氏は、現行ESのデザインDNAについて、「代々受け継がれているスリークでエレガントなデザインをDNAとして培ってきた」と紹介しつつ、「セダンとしてのかっこよさを追求してきた」と説明。
BEVは床下にバッテリを搭載するためクルマの厚みが増えてしまうので、熊井氏はドアにあえて横ラインを入れることで厚みを上下に分散しつつ、先進性も表現。また、バッテリの上に座るためヒップポイントがどうしても高くなってしまう点も、スリークなルーフラインを維持しつつ、ヘッドクリアランスを確保し、セダンならではの搭乗者の快適な乗車スタイルを実現したという。
味覚でもレクサスを味わう
イベント会場では、レクサス×ジボダンジャパン×美山荘の共創スイーツが提供され、味覚でもレクサスを味わう企画も実施。
オリジナルスイーツを仕上げた美山荘 四代目当主の中東久人氏は、ホテル経営を学んだ後、3つ星レストランや金沢の料亭で修業。1995年に美山荘を継承。今回は、バンブーアコードの香りを嗅いだときに、「太陽光の香りを感じた」といい、「この日向臭さのあるスイーツを作ろうと思った」と説明。
実際に美山壮で提供している夏涼菓「杉薫水羊羹」をベースに、あんずやクランベリーといったドライフルーツの酸味を加えたほか、微量の山椒を使うことでピリッとした刺激も隠し味として付与したという。また、オリジナルウォーター「粽笹の水」も合わせて提供され、レクサスの世界観を味わえた。
















































