ニュース
DUNLOP、新ブランドステートメント「TAKING YOU BEYOND」を策定 グローバル展開のさらなる加速を目指す
2025年12月4日 08:36
- 2025年12月3日 発表
住友ゴム工業は12月3日、マレーシア・シンガポール・ブルネイにおけるタイヤ(航空機用と冬用タイヤは除く)、チューブ、フラップの「DUNLOP」商標の独占使用権を、従来のサブライセンス先であるCortinertal Tyre Malaysiaグループから取得することに伴い、同地域において2026年1月1日よりDUNLOPブランドでの販売事業を開始すると発表した。
合わせて、DUNLOPの新ブランドステートメント「TAKING YOU BEYOND」を策定し、コミュニケーションブランドを「DUNLOP」に統一。グローバル市場でのプレミアムブランドとしての地位確立を目指すとともに、ブランド価値向上に取り組むという。
同日都内で実施された「DUNLOPブランド戦略発表会」で登壇した住友ゴム工業 代表取締役社長の山本悟氏は、「本日はダンロップの新たな挑戦と未来への約束をテーマに、130年を超える歴史を持つダンロップが真のグローバルプレミアムブランドへと進化する姿を皆さまにお伝えしたいと思います」とあいさつ。
またダンロップブランドは、獣医師のジョン・ボイド・ダンロップ氏が息子のためにタイヤを作ったことが起点で、世界で初めて空気入りタイヤを発明し、タイヤ産業のパイオニアとして歩みながら、現在は産業品やスポーツ事業へまで発展していると紹介。
続けて山本社長は、「ダンロップは“誰かのためにいいものを生み出す”という信念のもと、130年以上のあいだ革新的な技術や情熱で多くの挑戦を支えてきました。その信念は高品質な製品やサービスに宿り、挑戦のシーンには常にダンロップが存在してきました」とブランドに込められている信念を説明した。
また、2025年は欧州、北米、オセアニア地域、マレーシア、シンガポール、ブルネイにおけるダンロップブランド使用権を取得するなど節目の年となり、「2026年からはグローバルにダンロップブランドで挑戦できる準備が整った」と強調。
今後は社名は住友ゴム工業のまま、コミュニケーションは「ダンロップ」を呼称として用いて、世界中のメンバーが1つの思いで結束する“ONE DUNLOP”のもとに、グローバルに最適化したブランド戦略を展開するという。
さらに販売会社の社名も、すでに多くの拠点でダンロップを冠しているが、欧州、米州、豪州、その他一部の地域でも、ダンロップを冠した社名への変更を実施。ONE DUNLOPとして挑戦を象徴するグローバルプレミアムブランドを目指すとしている。
「自らの可能性を信じ、限界に挑戦してもらうこと。そしてその先へ進むことを支えていく」という思いを込めた新たなブランドステートメント「TAKING YOU BEYOND(トーキング・ユー・ビヨンド)」を定めたと解説。
今後は社会課題の解決を行ない、安全に暮らすための製品やサービスを提供することで人々が安心して挑戦できる土台を作り、これまで同様に世界初や日本初の技術製品を世に送り出すなど、人々の期待を超える体験の提供を行ない。極限の世界で戦う数多くのプロフェッショナルスポーツ選手をサポートするなど、極限の世界の先には人々のポジティブな感情を生み出す瞬間があり、その世界を作り出すという。
最後に山本社長は、「世界でダンロップをもう一度輝かせる。これこそが私たちの悲願であり、信念でもあります。そしてダンロップは唯一無二な存在を目指します。当社独自技術であるアクティブトレッド技術を活用し、他社との差別化を図ります。2024年に日本の市場で発売を開始した“シンクロウェザー”はその第1弾で、今後は欧州や北米でも展開します。さらには“水スイッチ”“温度スイッチ”に続く“第3のスイッチ”を搭載して、様々なタイヤに適応させます。グローバルに展開できる強いダンロップブランドと、他社と差別化ができる技術を駆使して、挑戦を象徴するグローバルプレミアムブランドを目指します」と締めくくった。
欧州や北米での事業戦略とは?
今回の「ONE DUNLOP」「TAKING YOU BEYOND」など企業の大きな方針の発表会に合わせて、欧州や北米のダンロップブランド事業主が来日。プレゼンテーションを行なった。
ダンロップ発祥の地イギリスにあるタイヤ販売会社MICHELDEVER TYRE SERVICESは、2017年に住友ゴム工業が100%子会社化した企業で、イギリスでは2番目に大きな勢力を持つ会社。イギリス国内にタイヤショップを184店舗を展開し、2000店以上のネットワークを構築しているという。
最高経営責任者(CEO)であるGraham Mitchell(グラハム・ミッチェル)氏は、タイヤ業界に25年間従事しているベテラン。「ダンロップ氏が開発した空気入りタイヤは、乗り心地を向上させただけでなく、輸送の概念も変革させた」と言及。
また、「自転車から自動車へ、サーキットから一般道へと、タイヤの普及を加速させるとともに、モータースポーツを形作る一翼を担ってきた」と紹介。さらにダンロップはイギリスの製造業にも深く根ざしていて、ブランドの信頼性も高いという。
今回のブランド統合により、世界クラスの研究開発、近代的な製造能力、技術的専門知識のグローバルネットワークの恩恵を受けられるほか、特にイギリスでのダンロップの強みは、伝統的な認知度、信頼と歴史を重視する消費者層に今もなお共感呼ぶブランドとなっている。また北アイルランドでは、「紙幣にJBダンロップ氏が描かれるほど、発明とブランドが国家の歴史にとっても重要な位置を占めている」と説明した。加えて、確かな技術力にも定評があり、幅広いタイヤのランアップしながらプレミアムな性能も実現しているし、ディーラーとも長年築き上げてきた信頼関係もあるとアピール。
ただし、「消費者の中でダンロップブランドを再燃させる必要があり、まずはイギリスでのアイデンティティを取り戻すことが重要」といい、そのためにはタイヤを性能で選ぶユーザーに、日本の技術がしっかりと反映されているタイヤであることを伝える必要があり、さらにデジタルファーストで自社の販売ネットワークと連携させて販売すると説明。「ダンロップが賢明で本物の選択肢と認識するように徹底すると同時に、流行を追うのではなく期待を上まわる性能を提供することと、ダンロップ独自のスポーツとのつながりを活用し、パートナーシップのストーリーを構築します」とグラハム氏。
続いてドイツから来日したFalken Tyre Europe GmbHプレジデントのMarkus bögner(マーカス・ボグナー)氏が登壇。2026年からの新屋号は「Dunlop Tyre Europe GmbH」となる予定とのこと。
マーカス氏は、「これまで15年間、FALKEN(ファルケン)ブランドを扱ってきて、消費者向け自動車雑誌で高評価を獲得したり、新車装着を確保したり、研究開発センターを設立するなど、ファルケンをもっとも成長させて、ティア2メーカーとしての地位を築いてきました」とあいさつ。
またティア1のダンロップブランドを導入することで、さらなる飛躍が図れると説明。ダンロップとファルケンの2大ブランドを取り扱うことで、「価値提案」が強化され、ディーラーの期待に応えられ、事業構造の安定性を高めるといい、持続可能な成長と競争力の強化が図れるという。
OEM装着は重要な要素であるといい、ファルケンブランドを通じてすでに当社には技術力があることは証明済みだし、すでにダンロップブランドはBMWなど引き合いがあると強調。
また、欧州のオールシーズンタイヤの市場は日本よりも成熟しているが、アクティブトレッドの切り替え技術は、大幅な温度変化を特徴とする欧州の気候や、高速道路や一般道路の速度変化など、厳しい使用環境に最適で、競合他社にない独自の技術により高いシェアを獲得できると確信していると説明。欧州では2027年に発表を予定しているという。
ダンロップブランドの強みは「ブランドプレゼンス」であるとし、豊かな伝統を有し特にモータースポーツ活動では顕著な実績を残しており、2026年にはル・マン24時間レースへの復帰も示唆。また、テニスを中心にスポーツとの連携も強化を図るとした。戦略的な投資判断を行ない、ブランドのリーチの最大化しつつ、エンドユーザーと直接つながり、ブランドとの深い関りを構築すると締めくくった。
最後は北米から来日したSumitomo Rubber North Americaプレジデント&CEOのDarren Thomas(ダレン・トーマス)氏が登壇。同じく来年からの新屋号は「Dunlop Rubber North America」へと変更することが決まっている。
ダレン氏は、「これまでSRNA(Sumitomo Rubber North America)は、北米のタイヤ業界にて型破りな発想と計算された独自のアプローチで、販売および流通戦略で成長を遂げてきました」とあいさつ。またSRNAは、包括的なアソシエイトディーラープログラムを構築・実戦し、独立系ディーラーへの販促や流通を拡大させている。
ダンロップブランドの北米再投入はかなりの労力が必要になるが、現状でモーターサイクルレースで圧倒的なシェアを誇っていることから、その認知力を活用することでパッセンジャーカーやライトトラックでのシェア拡大を図るとしている。あわせて今後は、日本車だけでなく米国で製造されたクルマにも拡大させると具体的な目標を示した。
11月にはラスベガスでダンロップブランドの復活ローンチイベントを開催。各ディーラーはトップクラスのダンロップ製品を販売する準備が整っているという。ダレン氏は、「期待感だけでなく、最終的な成功のカギは製品そのものです」と前置きし、次世代オールシーズンタイヤの「シンクロウェザー」により、これまでSRNAがアプローチできていなかった米国北東部の寒冷地やカナダなどにも販売を可能にすると力説した。
続けてダレン氏は、「SUVやハードコアオフローダー向けタイヤ“ワイルドピーク”は、製品の性能と販売戦略、マーケティングが完璧に合致したことで成功間違いなしのブランドです。今後も今の認知度を活用して新製品を続々投入します」とした。
最後にブランドアンバサダーの大谷翔平選手に触れ、「ワールドシリーズ制覇という、これ以上にない絶好のタイミングです。世界的に認知され、影響力のある人物がブランドを代表することで、強烈なインパクトを与えられます。10年前、20年前のダンロップではないとディーラーは明確に理解しています」と今後の期待値を語った。
スペシャルゲストに中嶋悟監督が登場
発表会場では事業説明のほかにも、スペシャルトークショーも実施。日本最高峰の自動車レースSUPER GTやスーパーフォーミュラ選手権に参戦しているModulo Nakajima Racingの中嶋悟監督が登場。2025年シーズンの戦いを振り返り、SUPER GTのオートポリス戦で2位表彰台を獲得したことから、来シーズンの優勝に期待がかかっているなどの対話がなされた。

























