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キント、アップグレードサービス名を「TOYOTA UPGRADE FACTORY」「LEXUS UPGRADE FACTORY」に変更 第1弾は「後付けセキュリティシステム」など3製品
2025年12月18日 13:30
- 2025年12月18日 発表
- Smart Upgrade Switch セキュリティシステム:6万8420円~7万7220円(部品代、取付費、保証を含む)
- セキュリティシステムプレミアム:18万5900円~24万3210円(部品代、取付費、保証を含む)
- ランドクルーザー“300”後付けおくだけ充電(Gen4):2万6400円(部品代、取付費、保証を含む)
トヨタ自動車とKINTO(キント)は、両社で展開しているアップグレードサービス「KINTO FACTORY」の名称をよりユーザーが分かりやすいよう、12月から「TOYOTA UPGRADE FACTORY」「LEXUS UPGRADE FACTORY」に変更。また、名称変更後の第1弾として「後付けセキュリティシステム」など3製品の取り扱いを12月18日から順次開始した。
新たに用意されるのは、トヨタ車を対象とする「TOYOTA UPGRADE FACTORY」のみで取り扱うスマートフォン連携モデル「Smart Upgrade Switch セキュリティシステム」で、スタート当初は「アルファード」「ヴェルファイア」「ランドクルーザー“300”」「ランドクルーザー“250”」の4車種に対応。現行モデルを中心として対応車種のさらなる拡大も検討されている。価格(部品代、取付費、保証を含む)は車種やグレードによって異なり、6万8420円~7万7220円。月額料金などは不要な買い切り型のサービスとなる。
また、2025年10月からトヨタとレクサスの正規販売店で取り扱いが開始された「セキュリティキー」を利用するハイエンドモデル「セキュリティシステムプレミアム」を、「TOYOTA UPGRADE FACTORY」と「LEXUS UPGRADE FACTORY」でも2026年春からの予定で施工申込を受け付ける。
対象となるのは既存の販売店での取り扱いと同じくトヨタ車9モデル、レクサス車3モデルで、価格(部品代、取付費、保証を含む)は車種やグレードによって異なり、18万5900円~24万3210円。今後は現行型モデルに加え、従来モデルにも対象を拡大する予定となっている。
このほか、ユーザーからの要望が多かったことを受け、ランドクルーザー“300”初のアップグレードアイテムとして「後付けおくだけ充電(Gen4)」も12月18日から施工申込の受け付けが開始された。価格(部品代、取付費、保証を含む)は2万6400円。
トヨタとレクサスのサービスだとより明確に伝えるため名称変更
事前に実施された説明会では、まずサービス名称変更の理由について「お客さまにトヨタとレクサスで行なっているサービスであることを、より明確にお伝えしたい」との考えを反映したものであると説明。しかし、2022年1月から約4年間行なわれてきたアップグレードファクトリーで進めてきた、自動車メーカーとして新車を販売したらあとはメンテナンスを提供するだけで終わりという姿勢ではなく、ユーザーが乗り続けているクルマの価値もさらに高めて「お客さまのカーライフに幸せを提供すること」を目指した取り組みは変わらず続けていくと語られた。
また、アップグレードサービスの施工申込などについてはしばらくのあいだ既存のKINTO FACTORY Webサイトで続け、タイミングを見計らって新しいWebサイトを立ち上げ、移行する予定としている。
アップグレードファクトリーの活動は、サービス開始前後には社内外から否定的な意見も寄せられたとのことだが、ユーザーが保有中の車両にも最新の安全技術や各種装備を提供して「クルマの一生に責任を持つ」という理念が共感を生み、スタート時の商品数約30アイテム、対象車種約10車種、取り扱い販売店数6社という状態から、約4年の活動をつうじて商品数約170アイテム、対象車種約50車種、取り扱い販売店数120社までサービスが大きく成長。2025年度中に47都道府県のすべてでサービス提供を行なう計画となっている。
新開発の防犯技術を旧型モデルに提供し、安心して乗り続けられる環境を
続いて、後付けセキュリティシステム発売に至った経緯についても説明を実施。トヨタでは車両の盗難対策に力を入れているが、警察庁が発表している車種別の盗難台数データを見ると、2023年と比較して2024年はワースト10に名を連ねるトヨタ車の被害件数は増加傾向となっている。
自動車メーカーの盗難対策と窃盗犯の突破はいたちごっこの様相を呈しており、トヨタでは進化を続ける盗難手口の解析を速やかに行ない、対抗する新技術を開発して新型車に導入しているが、盗難被害の内容を精査してみると、被害に遭っているのはそれぞれ少し古めの先代モデルが中心となっており、新型車で対策を進めると同時にユーザーに納車したあとの車両に向けた対策も重要であるとの分析結果が出たことから、これまでアフターセールス市場に任せていたセキュリティ対策にメーカーとして取り組むこととなった。
トヨタではこれまでにも後付けセキュリティシステムの製品として、車内通信で利用されているCAN(Controller Area Network)に車外から特殊機器を使って不正に侵入し、ドアの解錠やエンジン始動を短時間で済ませて車両を盗む「CANインベーダー」と呼ばれる盗難手口に対抗するアップグレードサービスとして、CANの不正侵入を遮断する「セキュリティシステム」を2023年8月に製品化。トヨタとレクサスの販売店でサービス提供を行なっている。
新たに用意されたSmart Upgrade Switch セキュリティシステムとセキュリティシステムプレミアムでは、CANインベーダーに加えてスマートキーの普及に合わせて被害が拡大している「リレーアタック」、特殊機器で車両のスマートキーシステムにアクセスし、不正キーを生成してエンジン始動などを行なう「キーコピー」、車外から特殊機器を使ってスマートキー情報を不正にコピーしてドアの解錠、エンジン始動などを行なう「ゲームボーイ(通称)」、さらに原始的なドアのこじ開けといった多岐にわたる盗難手口に対応。新開発した防犯対策を旧型モデルにも提供し、安心して愛車に乗り続けられる環境を実現する。
Smart Upgrade Switch セキュリティシステム
Smart Upgrade Switch セキュリティシステムはトヨタの純正用品として初めてスマホと連動して、エンジン始動ロックも可能な後付けセキュリティシステム。iOS16.x以上、またはAndroid11.x1以上に対応するスマホにそれぞれで対応する公式ストアから「TOYOTA Smart Upgrade Switch アプリ」を事前にダウンロードしておき、車両の簡単には取り外せない場所に追加装着した専用機器とBT(Bluetooth)で通信して、「エンジン始動ロック」「スマホプッシュ通知」「犯人への音声威嚇」という3つの機能で車両の防犯性を向上させる。
「エンジン始動ロック」では、専用機器の追加によって独立したエンジン始動認証を新たに構築。機能をONにしている場合はエンジンの始動にスマートキーの車内持ち込みに加え、スマホの画面に表示される「ロック解除」を操作する2重の認証が必要になる。これにより、従来からあるスマートキーが車内に存在するよう偽装するだけの手口ではエンジンが始動できず、盗難被害に対抗できるようになる。
警戒機能は「常時警戒」のON/OFFに加え、夜間の寝ているあいだなど、ユーザーの生活スタイルや使い方に合わせて警戒をONにする時間帯を最大4種類まで保存できる「スケジュール」も用意して、防犯性とユーザーの使い勝手を両立させている。
TOYOTA Smart Upgrade Switch アプリでは車両を最大3台まで管理可能としており、逆に車両側では家族での利用などを想定して同時ログイン4台までスマホの接続が可能。この場合、操作権限は接続順に優先される。なお、スマホを紛失したりバッテリ切れになっているような状況でクルマを動かさなければいけないシーンに対応するため、ユーザーが任意で設定したコマンド操作を行なうことでエンジンを始動させる「緊急始動」の機能も用意している。
「スマホプッシュ通知」では、警戒がONになっている状態でドアロックの解除、エンジンの始動操作が行なわれたことを検知した場合、登録しているスマホに検知した情報をプッシュ通知でメッセージ送信。登録したスマホがBT接続の範囲外(一般的に車両から十数m程度)だった場合には、次回接続時に検知内容を「乗車検知ログ」として送信。愛車が盗難やいたずらなどの被害に遭いかけている状況が分かり、警戒や対策ができるようになる。
「犯人への音声威嚇」では、一般的に普及しているセキュリティシステムのような車外に向けた大音量スピーカーを使った警告音ではなく、ドアの施錠を破って車内に侵入した犯人に向けて専用装着するスピーカーから「オーナーに通知を送った」という日本語と英語の威嚇メッセージが流れ、犯人に犯行を諦めるよう伝える。
メッセージはETC車載器のガイド音声程度を想定した音量となり、車内の犯人には明確に意図を伝えて威嚇しつつ、夜間でも駐車場周辺に迷惑をかけにくい音量設定で気兼ねなく利用できる機能としている。
また、Smart Upgrade Switch セキュリティシステムは「OTAアップデート」にも対応。発売後に盗難や不正侵入の新しい手口が発覚し、これに対抗する防犯機能が開発された場合には、まず、スマホのWi-Fi機能やセルラー通信を使って対応アプリストアからTOYOTA Smart Upgrade Switch アプリに追加データをダウンロード。そこからBT接続によって車両に新機能が与えられる。
セキュリティシステムプレミアム
2026年春からTOYOTA UPGRADE FACTORYとLEXUS UPGRADE FACTORYでも施工申込を受け付けることになったセキュリティシステムプレミアムは、できる限りこれまでと変わらない使い勝手を維持しつつ、ランドクルーザーシリーズやアルファード、クラウン、レクサス・LXといった盗難のターゲットになりやすくなっている車種の防犯性を向上させるために開発された後付けセキュリティシステム。
Smart Upgrade Switch セキュリティシステムと同様、車両の簡単には取り外せない場所に専用機器などを追加装着して、スマートキーを認識してロックを解除する通常の車両セキュリティとは別系統でエンジンの始動やドアロックの解除に必要な認証システムを構築。これにより、「セカンドイモビライザー」「ドアのダブルロック」「セルフパワーサイレン」という3つの防犯機能が車両に付与される。
中核となるのは1つの専用機器に対して2個限定で用意されるセキュリティキー。基本的にユーザーは車両のスマートキーと合わせてセキュリティキーを持っているだけでエンジンの始動やドアの解錠が可能となる。防犯面から見た場合にはセカンドイモビライザーの効果により、エンジンを始動させるためにはスマートキーとセキュリティキーの両方がそろっている必要があり、物理的に専用機器を取り外したり配線の迂回などを行なってもエンジンは始動しないようロック状態が維持されるため、高い防犯効果が期待できるシステムとなっている。
一方でユーザーの利便性を低下させないよう、コネクティッドサービス「T-Connect」アプリやトヨタ純正用品による「リモートスタート」機能はそのまま使用可能で、メーカー純正品として用意されるセキュリティシステムならではのメリットとなっている。
セキュリティキーは防犯性確保の観点から2個までしかシステムに紐付けできない設計となっており、セキュリティキーを2つとも紛失した場合はシステム全体を入れ替える必要が生じる仕組みとなっている。
一方、ドアのダブルロックでは防犯性を高めるため、一部で機能の制限を実施。純正状態ではスマートキーのボタンを押すことで数m離れた場所からでもドアの解錠/施錠が可能となっているが、セキュリティシステムプレミアムでは盗難ツールなどによる不正なロック解除を防止するため、セキュリティキーの認識範囲を車両から1m程度に限定している。
実際に車両から2~3m程度離れた位置でスマートキーの解錠ボタンを押すと、セキュリティの認証系統が分離されているため、スマートキーによる解錠操作と連動してドアミラーは展開するが、セキュリティキーが効果範囲にないためドアロックはキープされたままになるシーンが事前説明会で実演された。
不正なアンロックを防止しても、ウィンドウを割ったりドアのこじ開けたりして車内に侵入されたときや、セキュリティキーを検知していない状態でのエンジン始動、補機バッテリなどの取り外しが行なわれた場合の対策として、バッテリを内蔵して車体から取り外されそうになっても自力で大音量の警告音を鳴らすことが可能なセルフパワーサイレンを用意。ドアロックやエンジン始動といった車両ECUのステータス情報を異変の検知に利用してサイレンが作動する構造となっており、一般的な市販品のように衝撃などを検知する追加センサーを使う場合と比較して警告音の誤作動を抑制。本当に必要なケースだけでサイレンが鳴るようにして気兼ねなく利用できる装備となっている。
セルフパワーサイレンは車外からはアクセスできない車内スペースに取り付けられ、音量は内蔵バッテリによって駆動する関係もあって80dB~90dB程度。設置場所が車内でクルマのホーンよりも少し小さめの音量となるが、ウィンドウが割られたりドアがこじ開けられているような作動の想定シーンでは、ある程度離れた場所まで十分にサイレンが響くと説明された。
このほかにも盗難などの被害を事前に防止する対策として、セキュリティの作動中は赤い光が点滅する「LEDインジケーター」をステアリングコラム右側に設置。ユーザーがボディなどに貼り付けて盗難対策していることをアピールできる「専用ステッカー」2枚も付属する。
LEDインジケーターはあまり大げさになりすぎないようシンプルなデザインが与えられている一方、車両の盗難などを企図する犯人が運転席に近付くと車外から見えやすい場所にレイアウトして、ドアウィンドウによる光の拡散なども利用して防犯性を高める。また、LEDインジケーターはセキュリティキーがバッテリ切れを起こした場合にキー認証を行なう受信機としての役割も備えている。
セキュリティキーのバッテリ駆動期間は約1年。バッテリ切れになってしまった場合はスマートキーに内蔵されているメカニカルキーを使ってドアロックを解除し、セキュリティキーをLEDインジケーターに近づけると非接触給電によってセキュリティキーが一時的に作動。システムがセキュリティキーを認識してセカンドイモビライザーが解除され、エンジン始動が可能になる。メカニカルキーによる解錠時にはセルフパワーサイレンが作動して警告音が鳴ってしまうが、LEDインジケーターにセキュリティキーを近づけたタイミングで警告音が停止する。
ランドクルーザー“300”後付けおくだけ充電(Gen4)
Smart Upgrade Switch セキュリティシステムと同じく12月18日に発売されたランドクルーザー“300”向けの後付けおくだけ充電(Gen4)は、シフトセレクター左側にある純正装備の「フロントコンソールオープントレイ」をワイヤレス充電規格「Qi」に対応するおくだけ充電のスペースに変更するアップグレードアイテム。担当者がランドクルーザーオーナーのオフ会などに参加した際に、多くのオーナーから「おくだけ充電をランクルにも設定してほしい」という要望が寄せられたことを受けて製品化が決定したという。
パナソニック オートモーティブシステムズが開発した2軸式のムービングコイル方式を採用し、Qiに対応するスマホをスペース内に置くだけで、スマホ側のQi充電器の位置をパネル裏面に備え付けたセンサーが検知。パネル下にある充電コイルが正確な位置合わせを行ない、最大10Wのワイヤレス充電を実現する。Apple製品の「MagSafe」には対応していないためスマホの固定はできないが、幅広いQi対応製品に的確なワイヤレス充電を行なえる点をメリットとしている。





































