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三菱自動車、「デリカD:5」大幅改良モデル公開 加藤隆雄社長「デリカD:5がキャプテンで販売台数の底上げをけん引してもらう」
2025年12月18日 18:39
- 2025年12月18日 開催
三菱自動車工業は12月18日、大幅改良した「デリカD:5」の取材会を三菱自動車本社ショールーム(東京都港区芝浦)で開催。三菱自動車工業 取締役 代表執行役社長 兼 最高経営責任者の加藤隆雄氏が登壇し、新型デリカD:5にかける意気込みや商品特徴について語った。
新型デリカD:5は「ジャパンモビリティショー 2025」でプロトタイプを参考出品するとともに、10月30日から予約注文を開始。発売日は今冬となっていたが、正式発売日が2026年1月9日であることが明かされた。価格についてもアナウンスされ、「G」が451万円、「G-Power package」が474万6500円、「P」が494万4500円となっている。
今回の改良では力強いスタイリングと走りをさらに進化させており、エクステリアではフロントグリルとフロントバンパー、リアバンパーをシンプルで立体感のある力強いデザインとし、リアゲートの「DELICA」ロゴをガーニッシュ内に取り込むことでリアゲートパネルをよりシンプルでプレミアム感のあるデザインへと変更。ボディサイドには新採用のホイールアーチモールに加え、力強さを強調しギア感を高めた新デザインの18インチアルミホイールを採用した。
インテリアでは、8インチカラー液晶のディスプレイメーター採用による視認性の向上に加え、金属調アクセントを採用したインストルメントパネルにより、先進性に加えてギア感とプレミアム感を向上。センターパネルは傷つきに配慮したダークグレーとしたほか、シートには「CHAMONIX」でも使われるスエード調素材(撥水機能付)と合成皮革のコンビネーション生地を採用し、ステッチを内装各部同様のカーキ色とするなど、より機能的で統一感のあるインテリアに仕上げた。センターコンソール、フロアコンソールの下部に USB Type-Cをそれぞれ2ポート追加して利便性を向上させ、さらに前席まわりに遮音材を追加するなどして静粛性も高めたという。
走行性能については、三菱自動車独自の車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載したのが新しい。これにより悪路走破性の向上と優れた直進安定性、意のままの操縦性を実現するとともに、4つのドライブモード(NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW)と下り坂でも車速を一定に保つヒルディセントコントロールを採用し、路面状況に応じた最適な走行を可能にしている。
取材会で登壇した加藤社長は、デリカD:5が2007年の発売から約19年経った今でも三菱自動車を代表するクルマであることを強調するとともに、今回の新型ではオフロード感と力強さを強化したデザインを採用し、機能面ではS-AWCを追加して雪道などでの回転性能を向上させたことを報告。また、雪道や砂利道などさまざまな路面状況に合わせた4つのドライブモードを搭載していることもアピールした。
一方、自動車業界全体の話題についても触れ、「今年は関税の問題もありましたし、それから中国メーカーなどがどんどん安売りで出てきたり、EUの環境基準の見直しというのもありました。そういったものに自動車業界は対応していかなければならないということで、われわれとしてもいろいろな施策を考えていかなければならないわけです。いろんな施策を考えるといっても、そのベースにあるのはやはりデリカD:5のような三菱自動車らしいちょっと尖ったクルマと言いますか。そういう商品がわれわれのビジネスのベースにあるということで、このデリカD:5はそういった三菱らしさを今後も具現化してアピールしていく。そういうクルマになってくれると思います」とコメント。
また、2025年前半にはクルマの打ち切りが各国であったため販売台数が低迷する状況に置かれたものの、新型デリカD:5の予約受注を開始して1か月半で約5000台の受注、また10月29日に発売した新型「デリカミニ」が1万5000台を超える受注があったことを報告。さらに海外では、新型ミッドサイズSUV「デスティネーター」がインドネシアで1万4000台以上、フィリピンで1500台(11月末発売)、ベトナムでは半月で3700台以上の受注があり、加藤社長は販売が好調であることを示すとともに、「デリカD:5、デリカミニのデリカ親子、それからデスティネーターの3モデルで2025年度末に向けてどんどんと台数を引き上げていきたい。デリカD:5がキャプテンということで販売台数の底上げをけん引してもらいたいと思います」と述べた。
以下、質疑応答の内容を一部記載する。
──国内事業について、関税の影響などがある中で国内販売を強化されていくという方針を打ち出されていらっしゃると思います。販売規模を1.5倍にするといった方針の中、今回の新型デリカD:5がどのような役割を果たされる車種となっていくと見ていらっしゃるのか、その点について教えてください。
加藤社長:デリカD:5はオフロードのミニバンSUVという、ちょっと他社にないカテゴリーだと思うんです。われわれがそう言っているだけじゃなく、ファンの皆さまにもそう受け入れられているクルマです。今、自動車会社がたくさんある中で、われわれのクルマを買っていただこうとすると、三菱自動車の場合はそういった特徴のある、そういうもので勝負していくしかないと思っています。うちの会社が調子わるい時も、デリカD:5だけは売れ続けるということで、本当に三菱自動車らしさを体現したクルマなので、さきほどデリカD:5がキャプテンだと話しましたが、デリカD:5がリーダーというような感じで、デリカミニも出ましたし、今後もそういうクルマをどんどん出していく。出していくことによって販売台数の拡大というのを図りたいと思っています。
──ホンダと日産が米国で共同生産であったり開発だったりを検討している中で、御社としても合流することを検討していくというような報道もありましたが、そういった計画も含め、今どのように考えていらっしゃるか。
加藤社長:私の方からは北米だとかそういうことは関係なしに、日産さんやホンダさんとの協業、これについてはもう話をしていますし、順調に進んでいるというふうに思っています。今日はそれだけということでお願いしたいと思います。
──今やデリカD:5は御社の中でデリカミニの次に売れ行きを誇る大黒柱となっているわけですが、加藤社長が考える今回のデリカD:5の三菱らしさはどんなところにあるのか教えてください。またデリカD:5が出てから19年目ですが、個人的なデリカD:5の思い出があれば教えてください。
加藤社長:デリカD:5はさきほども言ったようにオフロードのミニバンSUVということで、お客さまに非常に受け入れられているという面は確かにあると思うんですけれども、いろいろとお客さまにお話を聞いていると、若いころに家族でデリカでいろんなところに遊びに行ったという昔の思い出をお持ちの方が、今度また新しくデリカD:5を購入いただけると言いますか。デリカのファンの方もそうなんですけれども、家族に密着した、クルマで家族と一緒にどこでも行けるようなクルマと、そういうところが特にお客さまに受け入れられているのではないかと思います。どこへでも行けるよということをアピールしながらも、やはり家族でこのクルマに乗って本当に楽しんでいただきたいな、そういう思いを込めてこれからも販売していきたいと思っています。
またデリカD:5の思い出ですが、私は4年間、インドネシア現地の工場の社長としていましたけれども、その時にずっと自分が乗っていたのがデリカだったんです。インドネシアは凸凹の道が多く、急にボーンと大きな穴が開いたりしていて、大変な道がけっこう多い。雨が降ると水浸しになって、普通のクルマが通れないようなところもしょっちゅう出てくるんですけども、このデリカD:5に乗っていたおかげでちょっとした洪水だとか、ちょっとした荒れた道でも走り抜けてくれる。改めてその時さすがデリカD:5だなと思いました。四駆で走行性能が高いというのもありますけれど、そこが私がデリカD:5に対して感心したというか、思い出というか、そういうことになりますね。





