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TDKとフォーミュラEが共同会見、「パートナーシップはTDKのカルチャーと合致したから」
ジェフ・ドッズ氏はF1とフォーミュラEの関係についても語る
2026年2月18日 18:07
- 2026年2月17日 開催
当社のカルチャーとマッチするものがある
TDKは2月17日、フォーミュラEの東京大会「Tokyo E-Prix」(7月25日~26日 第14・15戦)のタイトルパートナーになったと発表し、同日、東京・日本橋のTDK本社においてTDKの代表取締役 社長執行役員CEOの齋藤昇氏とFormula E Operations LimitedのCEO、ジェフ・ドッズ氏が共同記者会見を行なった。
タイトルパートナーになったのは既報のとおりだが、会見ではTDK社長の齋藤氏とフォーミュラEのジェフ・ドッズ氏がそれぞれのパートナーシップに向けた経緯や想いを語った。
TDKの齋藤氏はまずTDKの紹介を行ない、「90年前、フェライトという磁性材料を世界で初めて工業化した会社で、当時はそれは小さなベンチャー企業だった」と紹介。カセットテープといった磁気テープのビジネスをし、現在は長期ビジョン「TDK Transformation」において、AIエコシステムへの貢献を重点戦略に据え、バッテリ、センサー、ヘッドなどの電子部品を主な事業としていることが述べられた。
モビリティについては30年前から着目。電装化、電子化、メカ制御から電子制御へという波が来ると予測し、高温や振動といったモビリティ特有の環境に対応できるような材料技術やプロセス技術を磨いてきたという。特にセンサーについては幅広い製品ポートフォリオを備え、モビリティにおけるデータインテリジェンスに貢献している。
製品の中でもMLCC(積層セラミックコンデンサー)は多く車載され、齋藤氏はEV(電気自動車)化によって1台あたりのMLCC使用数がエンジン車の5000個から1万個へと倍増することに触れ、電子部品の重要性を強調。センサーについては、AIを使うにしてもエンジンの電子制御をするにしてもデータがないと何もできないことから「センシングなくしてデータなし(No sensing, no data)」と重要な部品であることも強調した。
今回のTokyo E-Prixについては「社会のトランスフォーメーションにしっかりと貢献をしていくという意味でのコミット」とし、「Tokyo E-Prixを関係者の皆さんとともに盛り上げていきたいと考えている」と述べた。
また、スポンサーを決めた経緯の1つとして2024年の東京大会を齋藤氏が観戦し、非常に強いインパクトを受けたことから。「雰囲気、ファンとの一体感、チームワークが当社のカルチャーとマッチするものあると私自身が体感。パートナーシップを結ぶに至った」と経緯が語られた。
パートナーは、次の技術を作れるようなところが望ましい
フォーミュラEのジェフ・ドッズ氏はフォーミュラEのビジョンとして、すばらしいレースであること、従来のエンジン車から移行するエネルギートランジションをサポートし、サステナブルなスポーツであると説明した。
フォーミュラEが設立された11年前はEVの世界販売が30万台規模だったのに対し、最近では過去12か月で世界1700万から2000万台まで拡大。フォーミュラEの車両についても、以前はバッテリが持たないので2台を乗り継いでレースをしていたころから、現在は速さもバッテリも優れ、クルマも大きく進化していることを強調した。
そのレース車両についても「これはクルマのスーパーコンピューターだと思う」と表現、最先端の技術が詰まっていることから「最速であるだけでなく次世代のロードカーの開発にもつながっている」と紹介した。
そのうえで「フォーミュラEはチャレンジャーのためのスポーツ、望ましいパートナーは破壊的な技術を持ち、次の世代の技術を作れるようなところがよく、フォーミュラEにとって重要な日本に本拠地を持つTDKほどすばらしいパートナーはいない」とTDKを讃えた。
なお、ジェフ・ドッズ氏とTDKの関わりについて2つ紹介された。ドッズ氏がコミュニケーション分野で働いていたとき、ハイエンドな構成部品のサプライヤーとしてTDKを知っていたこと。そしてもう1つは「ちょっと信じられないかもしれませんが」と前置きし、1990年に出会った現在の夫人に対して、TDKのカセットテープに好きな曲を収録して送っていたエピソードを紹介した。このカセットテープは現在もあることから「品質はすばらしい」と述べた。
ナイトレースについて、サステナブルな開催を
今回の東京ラウンドは「2026 TDK Tokyo E-Prix」(第14・15戦)として初のナイトレースとなるが、そのことについてドッズ氏は「ネオンライトのもと、そのすごい速さでフォーミュラカーが走っていくのはとてもエキサイティング。フォーミュラEに参加のドライバー、チームも、東京でナイトレースがあることに心躍っている。自身の東京のイメージは都市部でネオンライトが灯る夜間の姿だが、実際にフォーミュラEのレースをすることで、このイメージを世界の5億人の視聴者に見せることができるのはとてもうれしい」とコメントした。
夜に開催することで照明などのエネルギーを使うことになり、サステナブルと反する懸念について聞かれると、「都心でレースを開催することで、人々は公共交通機関を利用して来場できる」とし、郊外のサーキットに大勢の観客が移動するために使うエネルギーやCO2の排出も少なくてすむことを挙げ、追加の電力が必要な場合はHVO(水素化植物油)などの燃料の活用によりサステナブルだとした。
TDKの齋藤氏は夜の開催について具体的なことは述べなかったものの、「夜開催はある意味ユニークな機会なので、通常のエキサイト感よりも違った形でボルテージが上がってくると思うので、期待している」と述べた。
また、東京の開催は今回が3回開催契約の最終年。継続についてドッズ氏は、多くの日本企業のサプライヤーなどがあり、日本の企業からもコミットメントが得られていることから、日本でのフォーミュラE開催が継続するという可能性があるとしながらも、東京に限らない可能性もあることを示唆した。
なお、既設のサーキットで行なう可能性について、鈴鹿との交渉については明確に否定。都市部の公道サーキットよりもコスト面で有利としながらも、都市部から離れることで観客に移動の手間をかけさせたくないという考えも示し、郊外でのサーキット開催に否定的な考えを述べた。
F1でやっていることがフォーミュラEに近づいている
TDKとの共同会見のあとにはジェフ・ドッズ氏だけでの質疑応答があり、F1との関係などについても語られた。
最近、マックス・フェルスタッペン選手がF1の電動化比率を上げた新しいレギュレーションに懸念を示した件について、「ドライビングスタイルがいろいろと妥協せざるを得ない状況になっている。彼の指摘は正しいと思う」とコメントした。
そのうえで「F1の電動化が進んでいるので、運転する上でもエネルギー戦略が重要になってきている。私たちのフォーミュラEがやっているところにどんどん近づいている」とし、現在10名のフォーミュラEドライバーがF1チームに雇用され、マシン性能を引き出す手助けをしていることも指摘した。
一方で、電動化が進みながらも「F1のドライバーは今年からのレギュレーションのマシンにも慣れていくだろう」という見解を述べた。
なお、マックス・フェルスタッペン選手と交流があるドッズ氏は、「フォーミュラEのマシンを運転してみてはどうか?」というメールを送ったというが、まだ返答は来ていないという。









