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ホンダ、2026年F1開幕を前に現状報告 異常振動とバッテリ損傷に全力で対応
「難しいからこそやるというのがホンダ、必ず勝ちにいく」
2026年2月28日 14:46
- 2026年2月27日 開催
「極めて厳しい」テスト結果
ホンダ・レーシング(HRC)は2月27日、都内で2026年F1シーズン開幕に向けたプレスブリーフィングを開催した。HRCの渡辺康治代表取締役社長と専務取締役で四輪レース開発部長の武石伊久雄氏が、アストンマーティンF1チームとしてバルセロナとバーレーンで実施したプレシーズンテストを終えた今、直面している現状の説明と、今後に向けた決意を語った。
渡辺社長は最初に現状を説明し、「先日行なわれましたバルセロナ及びバーレーンでのプレシーズンテストですが、率直に申し上げて、われわれにとって極めて厳しいものでした。想定していたパフォーマンスが十分に発揮できず、複合的な課題が明らかになりました」と、テストでの苦戦を認めた。
「しかしながら今回のテストは、同時に課題を可視化できたという意味では非常に重要なプロセス」とし、エンジニア、メカニックの連携を密にして改善に取り組み、アストンマーティンF1チームとも議論を重ねて解決策の具体化をしているとした。
さらに渡辺氏は「大きな困難に直面した時こそ組織は強くなり、技術は磨かれ、人は育つ」「この苦戦する過程も含めて、再びわれわれがトップを目指して、泥臭く進む姿みたいなものがわれわれとっての挑戦の本質」と述べ、「この歩みを温かく、そして時に厳しく、長い目で見守っていただけたらと考えています。今シーズンもホンダの挑戦へのご支援、ご声援を心よりいお願いいたします」と述べた。
異常振動によってバッテリシステム系にダメージを被った
技術的な現状については、4輪レース部部長の武石氏が説明した。武石氏も「プレシーズン検査の結果、非常に重く厳しい状況であると受け止めている」と述べ、ホンダの開発拠点である栃木県のHRC Sakuraでは開幕戦に向けた作業を行ない、アストンマーティン側からは5名のエンジニアがHRC Sakuraに来て改善に加わっているという。
今回の問題の原因は、異常振動によってバッテリシステム系にダメージを被ったこと。アロンソがバーレーンでのテスト走行中に停止させたのは、そのまま走行を続けてはいけない危険性があったからだと説明した。ただし武石氏は、すぐに事故に直結するものではないとし、原因となる場所など詳細な説明は避けた。
異常振動の原因は、振動源がエンジンであるのは当然としながらも、バッテリシステムにダメージを負う結果になったのは複合的な要因で、エンジンが出した振動をどう車体が受け止め、どう伝わっていくかという問題があり。振動は必ずあるものとして想定はしていたが、想定外のことが起こったという。
改善については、シミュレーターやHRC Sakuraのテストベッドで数多くのパターンで検証を進めているが、実際の走行とは異なる部分もある。その点については、バーレーンで走行して集めたデータも活用しながら解決につなげていくとのことだ。
異常振動による問題はかつてのレッドブル・ホンダ時代には見られなかったという指摘については、レギュレーションが全く違うということと、あくまで複合的な要因のため、どちらがいい、わるいという問題ではないとした。
渡辺氏も今回の問題について「1番プライオリティとして高いのはやっぱり振動対策。そこをアストンマーティンと改善しないと先に進めない」とし、パフォーマンスを出すのはその次のステップだとした。
なお、現在のF1は予算制限がある。これについては現在のトラブル解決のためにリソースを前倒しで投入するなどの調整を行なっているという。3月1日のホモロゲーション(仕様承認)期限が迫るなか、信頼性と耐久性に関するアップデートは継続可能であることから、まずは開幕に向けて走れる状態を作ることが最優先事項だとしている。
アストンマーティンとの関係は、決してわるい状況ではない
困難が続いてる状況のなかで、アストンマーティンとの関係について問われると渡辺氏は「長期のパートナーシップを目指していて、今の段階で言うとお互いワンチームで解決しましょうという団結した関係にある」と述べ、「ローレンス・ストロール会長やニューウェイとちょくちょく電話で話しますけど、どういう風に解決しようかという非常に前向きな議論ができていて、開幕を控え、オーストラリアでちゃんと走るために全力でやろうということは確認し合っている」とし、「決してわるい状況ではない」と強調した。
武石氏も「現場にデータに基づいて物事を解決していこうという雰囲気がある」と、ポジティブに捉えているとした。
また、連携がとれている具体例として武石氏は、アストンマーティン側から5名がHRC Sakuraに来ていることに触れ「アストンマーティン側の部品を変更してでもなんとか対応してくれようとしてくれてる状況で、ひょっとしたらアストンマーティンの部品をうまく組み込んでうまくいく可能性もある」とした。
難しいからこそやるというのがホンダ、必ず勝ちにいく
最後に渡辺氏と武石氏からファンに向けたメッセージがあった。
渡辺氏は「アストンマーティンと組んで、また正式にワークス活動ができるというのは本当に心からうれしいと思ってます。プレシーズンテストで非常に厳しい状況になっていますけども、われわれは絶対にここで諦めないので、開幕戦に向けて努力をしていきたいと思います」。
「新しいチームと組み、新しい燃料、新しいオイルと、いろいろな要素が新しいチャレンジになるので、非常に難易度の高い部分がありますが、だからこそわれわれはやる。難しいからこそやるというのがホンダだと思っていますから、決して諦めずに、多少時間がかかることがあっても、常に上を向いてやっていきたいと思いますので、ファンの方々はぜひ応援していただきたいと思います」と応援を呼び掛けた。
武石氏は続いて「非常に厳しい状況ですが、できる限り開幕に向けて打てる手を打っていきたいと思っていますので、その結果がどうなるかを、まずは見ていただきたいなと思ってます。色々ありますが、必ず勝ちにいきますので、時間はどのくらいかかるかわからないですけれども、とにかく早く勝てるようにしていきますので、その過程をずっと見守っていただきたいなと思います」と、勝ちにいくことを宣言した。



