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NVIDIA、2027年までのAI半導体売上1兆ドル以上は「BlackwellとVera Rubin『だけ』での数字」とジェンスン・フアンCEO 1兆ドル以上の見通しを示す

基調講演の翌日、質疑応答に答えるNVIDIA 創業者兼CEO ジェンスン・フアン氏

 NVIDIAは3月16日~19日に、AIカンファレンス&エキスポと位置付ける「GTC2026」を米国カリフォルニア州サンノゼ市で開催している。初日の16日には、同社 創業者兼CEO ジェンスン・フアン氏の基調講演が開催された。

 この基調講演では、クルマ関連においてNVIDIAの提唱する自動運転プラットフォームDRIVE Hyperion(ドライブハイペリオン)が、日産自動車、ヒョンデ、BYDに採用されたことをアナウンス。すでにメルセデス・ベンツはCLAや新型Sクラスで採用しており、ドライブハイペリオンを採用する自動車OEMが順調に増えていることになる。

 そのほか、いすゞ自動車とTIER IV(ティアフォー)がドライブハイペリオンの一部であるNVIDIA DRIVE AGX Thor SoCを採用して、NVIDIAとともにレベル4の自律走行バスの開発を行なっていくことも発表。NVIDIAのソリューションが日本の自動車メーカーにも採用されていることを実感させるものだった。

基調講演で発表した、ファインマンなどの次世代ロードマップ

 特に日産自動車は2026年内にドライブハイペリオンにWayve AIを搭載した新型「リーフ」でのロボタクシー運用をUberとともに開始すると発表しており、2027年の乗用車搭載へ向けての開発を加速させている。

 このGTCでは、ゲームの超解像技術であるDLSS5や新たなデータセンター向け製品、推論プロセッサであるGroq 3 LPUなども発表。ジェンスン・フアン氏が2027年末までのAI半導体の売上が1兆ドル以上になるとの見通しであるとしたことも大きな話題となった。

 17日には、この基調講演の質疑応答を実施。ジェンスン・フアン氏が、1兆ドル以上という見通しについての詳しい説明を行なった。

 まず、2027年まで21か月を残した状態でBlackwellとVera Rubinだけで「1兆ドル以上」としたのか、理由はシンプルだという。これは2025年のGTC2025で、BlackwellとVera Rubin(当時はRubin)の2026年までの累計が5000億ドルだと語ったためで、この数字との対比になるとのこと。「今回の1兆ドルにCPUやGroq、ストレージを含めていたら、2つの異なる話が混ざってしまい、単純な比較ができなくなっていたからです」と説明し、単体でのビジネスが数億ドルの規模になっているCPU、新たに発表したGroq、ストレージなどは含まれていないという。

 つまり、NVIDIAの売上としてはAI関連半導体の売上は1兆ドル以上になると見ており、「1兆ドルはBlackwellとRubin『だけ』で、2027年まで『だけ』の数字です。確認しましょう。Vera CPU単体は含みません。Groqも含みません。BlueFieldなどのストレージも含みません。Vera Rubin Ultraも、Feynmanも、Feynman Next(Vera Rubin Ultraは今回発表、FeynmanやFeynman Nextは将来発表予定の製品)も含みません。いいですか?それらは一切含まれていない。Blackwellプラスアルファだけです。しかも、まだ21か月も残してこの数字ですから、実際には1兆ドルを上回る可能性が高いということです」と、1兆ドル以上という数字は確実なものであると語った。

 NVIDIAは2月25日に、2025年11月〜2026年1月期(第4四半期)決算を発表しており、そこでは売上高681億2700万ドル(3月18日時点で10.8606兆円、対前年比73%増)、純利益429億6000万ドル(同6.8408兆円、同94%増)という市場予測を上回るものだった。

今回発表の製品群を前に将来構想を語るジェンスン・フアン氏

 ジェンスン・フアン氏は「我々は明らかに非常に多額のフリーキャッシュフローを生み出しています。そして同時に、非常に速いスピードで成長しています。NVIDIAは巨大な規模でありながら、成長を『加速』させているのです。前四半期は過去最高の業績でしたが、我々の成長『率』そのものが加速しています。これまでに説明したあらゆる要素が重なり、こうした現象が起きています。我々は多額の現金を手にすることになります」と語り、ここで得たフリーキャッシュフローを、サプライヤーからの調達、確保、キャパシティへの支援、在庫の確保へ向けていくほかエコシステムへの投資を行なっていくという。

 エコシステムとは日本語では生態系とも訳されるが、より経済的にビジネスを回していくためのプラットフォームと捉えてもよいだろう。NVIDIAで言えば、より効率的にAIを動かしていくための投資、さらなるAI関連の成長へ向けての投資と取ればよいだろうか。

 実際、本誌ではNVIDIAが自動車関連の半導体に注力し始めたGTC2015から毎年GTCの模様をお届けしているが、2016年から本格的にAIへの発表が相次ぎ、2022年11月に公開されたChatGPT以降、世界的なAI爆発が起こっている。つまり、何か一つChatGPTのようなものが生み出されれば世界は大きく変わっていき、ビジネスは大きく回っていく。

「我々はエコシステムに投資します。この分野への投資は実に素晴らしいものです。率直に言って、これがコンピューティングの未来だからです。我々は『次のGoogle』や『次のMeta』、あるいは『次のAmazon』になる企業に投資しているのです。それを望まない理由があるでしょうか?我々はよろこんでそうします。そしてこれが二つ目の側面であり、CUDAを中心としたエコシステムを構築しているのです」「それでもなお、多額のフリーキャッシュフローが残ります。そこで前回のミーティングで申し上げたのは、来年度(2026年度)はフリーキャッシュフローの50%を自社株買いと配当に充てる計画だということです。昨年は今年よりフリーキャッシュフローが少なかったですが、約40%程度を還元したと思います。今年はより大きな金額ベースで、還元の割合も引き上げます。ですから答えとしては、『非常に大きな額になるだろう』ということです」(ジェンスン・フアン氏)と語り、AI半導体の成長で得たキャッシュフローを次世代のビジネスへの投資、そして自社株買いに使っていくことを改めて訴求した。