ニュース

ポルシェジャパン イモー・ブッシュマン社長に日本市場の展開について聞く 「新型カイエンのローンチは8月予定」

オートモビルカウンシル2026で新型「911ターボS」のジャパンプレミアも

2026年4月10日~12日 開催
「オートモビルカウンシル2026」でジャパンプレミアとなった「911 ターボ S」と、2025年8月1日付でポルシェジャパン株式会社の新しい代表取締役社長に就任したイモー・ブッシュマン氏

 4月10日、幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で「オートモビルカウンシル2026」(会期:4月10日~12日)が開幕した。ポルシェジャパンは、その会場内ブースにおいてジャパンプレミアとなる「911 ターボ S」をはじめ、オフィシャルパートナー契約を結ぶ「東京マラソン2026」の審判長車で使われた「タイカン」、そしてクラシック911(1976年式Gモデル)の3モデルを展示している。

 会場で目を引くのは911 ターボ Sだ。911シリーズのトップエンドに位置する911 ターボ Sは、2025年9月のモーターショー「IAAモビリティ」で発表されており、523kW(711PS)の4WDスポーツカーは、これまで市販された911の中で最もパワフル。その中核は911 カレラ GTSのT-ハイブリッド技術となるが、新しい911 ターボ SではT-ハイブリッド技術が大幅改良を受け、911 カレラ GTSでは電動エグゾーストガスターボチャージャー(eターボ)が1基搭載されるが、新型911 ターボ Sでは2基に変更された。

 このタービンとコンプレッサーは最上位モデルの要件を満たすように特別に設計されたものといい、2基のeターボは性能の大幅な向上に貢献するだけでなく、パワートレーンの応答性も向上。これにより、ターボ S(クーペ)の0-100km/h加速は先代モデルから0.2秒短縮して2.5秒、0-200km/h加速は0.5秒短縮して8.4秒を達成。最高速は322km/hとした。

 911 ターボ SにT-ハイブリッドパワートレーンを搭載したことで85kgの重量増となるが、2024年秋に最終開発段階の一環として実施されたニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのラップタイムは、先代モデルよりも約14秒速い7分3秒92を記録したという。

T-ハイブリッドパワートレーンを搭載する新型911 ターボ S(3635万円)
新型911ターボSからクレストのカラーはターボナイトに。今後登場するポルシェモデルのターボと名のつくモデルのステアリング、ボンネット、ホイールの計6か所のクレストはターボナイトとなる
「東京マラソン2026」の審判長車でも使われた「タイカン」
クラシック911(1976年式Gモデル)。なお、4月10日にはクラシック911をデザインしたアパレルグッズの販売もスタートしており、会場にも並べられていた
2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて2025-2026 テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーに「ポルシェ 911 カレラ GTS」、実行委員特別賞に「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」が選ばれており、会場には両賞の表彰状とトロフィーも展示された
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京のコースが走れるレーシングシミュレーターも用意される

 なお、会場では2025年8月1日付でポルシェジャパンの新しい代表取締役社長に就任したイモー・ブッシュマン氏が本誌のインタビューに応じたのでその模様をお伝えする。

日本への造詣が深いブッシュマン氏に日本市場について聞く

ポルシェジャパン株式会社 代表取締役社長のイモー・ブッシュマン氏

 ブッシュマン氏は1998年にドイツのアウディ本社でキャリアをスタートさせたのち、アウディAGのセールスマネージャーとして日本のマーケットを担当。2010年8月~2014年6月にはフォルクスワーゲン本社のフォルクスワーゲン乗用車ブランドでセールス ファーイーストのゼネラル マネージャーとして日本を含むアジアのマーケットを担当するなど、日本への造詣が深い人物として知られる。

 そんなブッシュマン氏に、今の日本市場をどのように見ているのか、またどんなカーガイなのか聞いてみた。なお、話の中で新型「カイエン」が8月ごろにローンチを予定していることがアナウンスされた(納車は9月ごろ)ので、日本デビューを待っている方は楽しみにしてほしい。

──新型911 ターボ Sは従来からどのような進化を果たしたのでしょう?

イモー・ブッシュマン氏:711PSのバイターボというのは今までの911の中で一番パワフルなモデルなのですが、アップデートした箇所はいろいろとあります。それは運転した瞬間にきっと「あれっ?」と感じていただけると思います。あとはGTSで始まったT-ハイブリッドということで、このエンジンがアップグレードされているというところが一番のキーポイントだと思います。

──ブッシュマンさんはアウディAGのセールスマネージャーとして日本のマーケットを担当したのを皮切りに、マレーシアや中国を担当されるなど、アジアマーケットのスペシャリストという印象があります。そのブッシュマンさんから見て今の日本市場はどのように見えているのか、またポルシェジャパンのトップとしてどのような方針を打ち出そうとしているのか教えてください。

ブッシュマン氏:私はアジアの市場というのは世界の市場の中でも最もエキサイティングで、成長の潜在性が高いと常に思ってまいりました。その中でも、日本というのはやはりクルマを愛する愛好家の方々の情熱のレベルが違うと思っていました。

 私は日本でこういう仕事に就けたことを光栄に思っておりまして、日本の市場はいま言った通りなんですけれども、ポルシェが日本で事業を展開するところ、自分がクルマが大好きで、そして日本市場が好きだというところが兼ねあって、さらにポルシェならではのすごいチームがそろっているのです。そこで、一緒にこの市場で働けるということは本当にありがたいなと思っています。

 私のビジョンというより、これはシンジ(ポルシェジャパン 広報部長 黒岩真治氏)といつも話していることなのですが、私たちのビジョンとしては当然、日本の市場にいいスポーツカーを提供し続けるのが使命となりますが、そこでポルシェファンの方、そうでない方も含めて、ポルシェを運転することの喜びが伝わるようにそれをもたらさなければならない。さらに、それをするためには日本のコミュニティの一員として確固たる存在感を持たなければならない、ということは常日頃話しています。

──話は変わり、新型カイエンが今夏に発売される予定とのことですが、こちらは純粋なEVモデルとなりました。一方でEVと並行し、内燃機関モデルとハイブリッドモデルも販売されることがリリースでアナウンスされましたが、これは従来モデルも併売するという意味でしょうか。そのあたりの戦略について教えてください。

ブッシュマン氏:やはり私たちはどのセグメントにおいても、最もそのセグメントで最高峰のスポーツカーを提供しなければならない。神髄にあるのはスポーツカーであることで、あとは選択肢の幅を持たせていく、充実させるという意味で内燃機関とプラグインハイブリッド、EVをそろえていく。既存のカイエンの中に、ラインアップを充実させていくということだと思っています。

新型カイエン

──日本はハイブリッドが強い国だと思いますが、カイエンのEVに勝機はありますか?

ブッシュマン氏:今回のカイエン、すごいものになっていると思っています。皆さんの関心が高まるという手応えがあります。なぜそう感じるかというと、このモデルを見ると絶対にもっと知りたい、本当にそれができるのか、という関心を持っていただけると思います。私たちは単なるEVを売っているわけではなく、パフォーマンスSUVにおいてのEVという選択肢を提供できます、ということをお伝えしたいと思います。ですから、大切なのはスポーツカーであるということであって、さらに選択肢の幅をもたせてお客さまに自由に選んでいただけるようにしていく。カイエンのファンの方がいらしたら、例えば内燃機関を好む方もいらっしゃるし、ハイブリッドを好む方もいらっしゃる。そこにEVという新たな選択肢が加わるというふうに考えています。

 本当に今回のカイエンがすばらしいなと思ったのがパフォーマンスです。パフォーマンスSUVとはなんぞや? というところの再定義をポルシェは見事にやってのけたなと私は思っています。1156PS(カイエン・ターボ・エレクトリック)という最大級の出力を実現しているにもかかわらず、さらにカイエンのデザイン言語があるのですが、それがすごくいい形で反映されていて、個人的には特にインテリアに注目していただきたいです。これは目利きが効いてこだわりがある日本の皆さまが喜ぶぐらい、また1つ段階が上がったかなという感想を持っています。

──今までのモデルもカイエンの内装はすばらしいものでしたが、さらにすごいのですね。具体的に挙げるとしたらどの部分でしょう?

ブッシュマン氏:そうですね、とにかくさらに引き上げられたと思ったのがユーザーインターフェースだと思います。スクリーンがただフラットじゃなく、カーブの曲線がとてもいい感じで、それは機能性を追求した上でのものなのですが、そういう意味ではスクリーン上での見え方をちゃんと機能で分けているというところのよさというのは、おそらく機能美のようなものを感じていただけるのではないでしょうか。

新型カイエンのインテリア

──航続可能距離については?

ブッシュマン氏:すみません、おそらく8月ごろにローンチを予定していまして、納車が9月ぐらいになるかと見ていますが、そのころにお伝えできると思います。

──EV関連でもう1つ、現在ポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンが展開するオーナー向けプレミアム充電サービス「Premium Charging Alliance(PCA)」がレクサスの充電サービス「LEXUS Charging」と連携するなどサービスの充実化を図っていますが、ポルシェディーラーとして急速充電器の設置率というのはどれくらいなのでしょうか。

ブッシュマン氏:52か所あるすべてのポルシェディーラー、そしてアウディとフォルクスワーゲンディーラーにもすべて設置はあります。ポルシェディーラーにあるのは150kWが基本なのですが、もっとハイパワーのものも現在考えています。今後のEVはもっと高速充電に耐え得るものになっていくということで、現在投資を始めています。ポルシェディーラーではアップグレードが始まっているところです(※2026年に入って一部店舗で最大240kWの超急速充電器の採用がスタートしている。PowerXの240kW、e-Mobility Powerと東光高岳が共同開発する350kWの2器を推奨充電器としてディーラーに案内しているという)。

 やはりレクサスとの協力、アライアンスに加わっていただいたことが、OEMのお客さまも含めていろいろな方にアクセスが開かれました。お互いにとってよいことだと思っています。

──今回の「オートモビルカウンシル2026」ではポルシェ・エクスペリエンスセンター東京をテーマとして演出されたとうかがいました。PEC東京(ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京)には何度か足を運ばせていただき、何度行ってもクルマ好きには魅力的な場所だと感じています。またポルシェジャパンとして東大と独自の教育プログラム「ラーン ウィズ ポルシェ」を展開されるなど、文化や教育にとても力を注いでいる印象を持っています。ポルシェというスポーツカーブランドがこうした文化や教育にも注力するのはなぜなのか知りたいです。

ブッシュマン氏:ポルシェはほかのメーカーさんと比較すると企業規模は小さいです。だからこそパーソナルな活動ができると思っているのですが、日本にはポルシェを受け入れていただいて、われわれも成功を収めていることを考えますと、やはりそれに対しての感謝、そしてよき企業市民として日本社会に対して何ができるか。何か恩返しをしたいという、それはある意味企業としては当然のことで義務だと思っています。

「ラーン ウィズ ポルシェ」という、若い方が学んで成長していくのにわれわれが関わることができてすごく光栄ですし、PEC東京に関しても、本当に木更津の皆さんと密な関係で、その地域の一構成要因になれているなという実感を持っています。さらに東京がホームタウンということで、東京マラソンをお支えできるということもわれわれは光栄に思っています。

 コミュニティに対して、われわれができることを還元していく形で自然と生まれているものだと思います。ポルシェはあくまでスポーツカーブランドですけれども、われわれが足場を組ませていただいている場所に対しては皆さまの一員です、というところをちゃんと表現できているのではないかと思っています。

日本で文化や教育に注力する理由について、ブッシュマン氏は「よき企業市民として日本社会に対して何ができるか。何か恩返しをしたい」とコメントした

──「ラーン ウィズ ポルシェ」は世界でも展開されているのでしょうか?

ブッシュマン氏:いえ日本だけです。ポルシェはどの世界の市場に行っても、法人としてそのコミュニティの一員となれるかということを考えたプログラムをそれぞれが開発するのです。なので、日本の「ラーン ウィズ ポルシェ」はすごくいいプログラムになったなと思っています。

──ブッシュマンさんの愛車遍歴が知りたいです。どのようなカーガイなのでしょう?

ブッシュマン氏:本当にクルマと一緒に育ってきて、父がクルマの運転が大好きだったんです。よくいろいろドライブに行って、一番すごいのが父と私、2週間かけてドイツからパキスタンを陸路で旅をしたことがあります。そして大学のとき、自分は自動車の会社で働きたいという気持ちがありました。ドイツ人ですと自動車業界で働きたいとなると、いくつかの企業の選択肢があるわけですけれども、やっぱりどこかで私はポルシェをいつか所有してみたい、そこで働きたいという気持ちがあったのです。

 フォルクスワーゲングループの中には本当にいいブランドがたくさんありますから、まずは自動車業界で働こうというときに、すごくいい機会だった。自分の人生の旅の中で、今、ちょうど旅路がここ(日本)にきて、ポルシェで実際に働くことができたということで、1つ夢が実現したと思います。

「オートモビルカウンシル2026」は4月10日~12日の期間に行なわれている