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新生BMWアルピナが発進 内燃エンジン搭載のコンセプトカー「Vision BMW ALPINA」考察

2026年5月15日(現地時間)公開
新生BMW ALPINAが放つコンセプトカー「Vision BMW ALPINA」

新生BMW ALPINAの目指す未来とは?

 新生BMW ALPINAがいよいよ発進である。5月15日(現地時間)にイタリアはコモ湖畔で開催されたヴィラ・デステにて、コンセプトカー「Vision BMW ALPINA」を公開し、BMW傘下のプレミアムブランドとしての新たな旅をスタートさせたのだ。

 実はそれに先立つ5月初旬に、ミュンヘン近郊でクローズドで開催されたブランドローンチのイベントに招待いただき、ひと足先に実車をチェックし、首脳陣やデザイナーに話を聞くことができた。BMW ALPINAの目指す未来とは、さてどんなものだったのか。

 本題に入る前に、事の成り行きを説明しておく。そもそもアルピナはBMW車をベースとするチューナーとしスタートし、主に耐久レースでの活躍でその名を轟かせたのち、BMW車をベースとするコンプリートカーを送り出す独立した自動車メーカーとなる。高性能でありながら快適性は高く、たたずまいは控えめ。精緻に作り込まれた珠玉のモデルは世界中のエンスージアストに支持された。

 しかしながら2022年3月、そんなアルピナの商標権がBMWグループに譲渡されることが発表される。アルピナ社自体ではなく、そのブランドだけが買収された形であり、それが今回、新生BMW ALPINAとして正式にお披露目されたわけだ。

「Vision BMW ALPINA」は、その名のとおりブランドの将来目指す姿を暗示させるモデルと言える。全長5mを優に超えるサイズの2ドアクーペは、存在感をひけらかすようなものではなく、むしろ控えめで上品な仕上がりで、細部にはこれぞアルピナというモチーフが、やはり洗練された形で散りばめられている。

2ドアクーペスタイルの「Vision BMW ALPINA」。ブランドの将来目指す姿を暗示させるモデルだ

 往年のBMW 635CSiをベースとしたアルピナB7クーペのイメージで、フロントには逆スラントしたシャークノーズが採用され、しかもキドニーはフローティングしたパネルで覆われている。キドニーの輪郭を描き出しているのはクロームではなくLEDである。デザイントップのMaximilian Missoni氏によれば「内燃エンジン車であれ電動パワートレーン搭載車であれ、BMWという出自を明確にアピールできるように」というのが、その狙いのようだ。

 さらに、フロントスポイラーには「ALPINA」の文字が入れられている。そしてボディサイドにはこれも象徴的なモチーフであるチェーンのような柄のデコライン。デザインは従来より繊細で、この雰囲気からして今後はそこまで強く主張させない方向なのかと想像できるが、一方で従来のデカールに対してBMW ALPINAではこれをハンドペインティングで描き入れるそうだ。

LEDのキドニーとともに「ALPINA」の文字が印象的なフロントまわり。リアの中央にはBMWとALPINAのバッヂが備わる

 20スポークのホイールも、やはり伝統の再解釈。よく見るとそのスポークはそれぞれ、デコラインと同じようなチェーン形状とされている。いや、そこだけじゃない。実はこのモチーフはグリルの内側、スカッフプレート等々、そこかしこに用いられている。デコラインそれ自体は控えめだが、代わりに各部にあしらわれ、隠れキャラのようなコダワリを主張しているのである。

20スポークホイール

Vision BMW ALPINAはV8エンジン搭載

 上質なレザーを用いたインテリアは、凝ったステッチ、それを束ねるようにワンポイントで使われたテーマカラーの青と緑など、ディテールも凝っている。そしてステアリングホイール中央には、リデザインされたBMW ALPINAのマーク。従来とは書体が異なり、何より単色になっているのが大きな違いだ。聞けば、従来の青と赤は、例えばこのクルマのようなインテリアでは目立ち過ぎるということで、トーンが抑えられたのだという。

 ちなみにこのマークが付くのはステアリングホイール、そしてホイールの中央だけ。車体前後のマークはBMWで、リアはその下にバラ文字で「ALPINA」と入る形だ。

Vision BMW ALPINAのインテリア
ステアリングホイールに付くBMW ALPINAのマークは単色に抑えられたもの。そこに描かれるモチーフが意味するものとは……

 こうして見ると、デザインのリニューアルは思いのほか慎重に行なわれたという印象である。ヴァイスプレジデントのOliver Viellechner氏によれば「今回のVision BMW ALPINAはあくまでコンセプトカーで、実際に登場するモデルは既存のBMW車をベースとする」という。それも含めて、アンダーステイトメントな存在感は今後もキープされそうだ。

 それを端的に示していると感じられたのがコンセプトの1つ「SPEED,NOT SPORT」という言葉である。BMW ALPINAは高い性能を有する一方で、ドライバーをいたずらに刺激しない、長距離を疲れず速く移動できるクルマであることを志向するというのだ。これもやはり従来のイメージを継承するものと言える。

 高性能という観点で言えば、見逃せないのがパワートレーンである。今回のVision BMW ALPINAは内燃エンジン車だった。具体的にはV8である。モノトーンに改められたマークに、変わらずキャブレターとクランクシャフトのモチーフが踏襲されていたのは、つまりそういうことだったのかもしれない。

 BMW ALPINAの市販モデルの登場は2027年になる。前述のとおり、既存のBMW車をベースとするもので、アッパークラスのモデルからスタートする予定だ。ただし、Vision BMW ALPINAの顧客からの評価は高く、将来的にはこうしたオリジナルモデルも考えていないわけではないという。

 いずれにしても新しいブランドの登場はワクワクさせるものがある。早く市販モデルの姿を見てみたいところだ。

BMW ALPINAの市販モデルの登場は2027年。デビューが待ち遠しい