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ロールス・ロイス、現代アーティストのシリル・コンゴ氏が手塗で仕上げた限定5台の特別な「ブラック・バッジ・カリナン」
2026年5月19日 11:13
- 2026年5月15日(現地時間) 発表
ロールス・ロイスは5月15日(現地時間)、世界的に著名なマルチディシプリナリー・アーティストであるシリル・コンゴ氏が、ベニヤやレザーのインテリア素材の1つひとつにハンドペイントを施した限定5台の特別仕様車「ブラック・バッジ・カリナン・バイ・シリル・コンゴ(Black Badge Cullinan by Cyril Kongo)」を発表した。
このプロジェクトは、ニューヨーク、ソウル、さらにロールス・ロイスの本拠地であるグッドウッドのプライベート・オフィスを通じてキュレーションしたもので、5台はいずれも共通の創造的テーマを共有しつつも、それぞれがコンゴ氏の個性を反映した異なる表現となっている。
また、ベースとなったロールス・ロイスのよりダークで反骨精神あふれるもう1つの側面を表現した“ブラック・バッジ”シリーズは、ブランドの最も大胆な表現そのもので、その精神はコンゴ氏の芸術作品が放つ強烈な存在感と見事に呼応し、スターライト・ヘッドライナー、ピクニック・テーブル、フェイシア、後部座席のウォーターフォールなど、インテリアの随所に表現されている。
前例のないコラボレーション作品
ロールス・ロイスは、今回のビジョンを具現化するため、コンゴ氏をデザイナー、エンジニア、職人で構成されるビスポーク・コレクティブの一員として歓迎。プロジェクトの初期段階から、コンゴ氏はロールス・ロイスの本拠地である“ホーム・オブ・ロールス・ロイス”に常駐し、チームと共に作業を推進。
これまでにも著名なクリエイターとの協業実績はあるが、今回のプロジェクトはこれまでにないレベルでの共創を実現し、構想からデザイン、最終的な製作にいたるまで、すべての工程にコンゴ氏が関わり、専用スペースで各パーツを1つひとつ手描きで仕上げたという。
ブラック・バッジ・カリナン・バイ・シリル・コンゴは、「運命」「想像力」「個の力」といったテーマで形作られていて、コンゴ氏は今回のコラボレーションのために構想した自身の世界観「コンゴバース」を具現化したという。
5台のクルマは共通のインテリアカラーであるブラックを基調に、鮮やかな色彩をアクセントとして採用。今回インテリアは4つの異なるゾーンに分けられ、運転席は「フェニックス・レッド(Phoenix Red)」、助手席は「ターキーズ(Turchese)」、後部座席は「フォージ・イエロー(Forge Yellow)」と「マンダリン(Mandarin)」を用いて、それぞれ対照的なカラーリングで構成している。
また、このカラーは、ステッチ、パイピング、シート・インサート、ヘッドレストの「RR」モノグラム、ラムウールのカーペットにいたるまで共通させている。コンゴ氏は、この共通のカラーパレットをもとに、5台それぞれに異なるインテリア・アートワークを手描きで制作し、それぞれのクルマを真に唯一無二のコレクターズ・ピースへと昇華させた。
コンゴ氏の手描きで仕上げられたスターライト・ヘッドライナー(1344個の光ファイバー製の「星」によって、車内に静謐な夜空のような印象を与えるルーフライニング)は最大の見どころ。コンゴ氏は想像上の惑星や星座に加え、物理学者である兄とアトリエを共にして以来、コンゴ氏を魅了し続けている量子物理学へのモチーフも織り交ぜていて、作品には数式や公式が埋め込まれ、想像力の無限の可能性を象徴している。
この構想を実現するため、インテリア・サーフェス・センターの職人たちは70色以上の塗料を用意し、コンゴ氏が自由に表現できる創作環境を整えたという。また、各作品はスポンジ、エアブラシ、筆を組み合わせて描いたという。
スターライト・ヘッドライナーの塗装が完了した後、コンゴ氏はビスポークのエンジニアと緊密に連携し、すべての「星」の正確な配置と色を決定。各「星」は、コンゴ氏自身が1つひとつ数え、配置を指定した上で、職人によって丹念に手作業で配置したという。また各スターライト・ヘッドライナーには、ブルー、フェニックス・レッド、フォージ・イエロー、コバルト・ブルー、トゥイッケナム・グリーン、またはライム・グリーンのイルミネーションが採用され、8つのシューティングスターが配置されている。
さらに、天井全体を横断する1本の流れ星もふくまれており、これはロールス・ロイスとして初の試みという。
コンゴ氏のシグネチャーである「ネームタグ」も随所に使用
ブラック・バッジ・カリナン・バイ・シリル・コンゴの制作に先立ち、インテリア・サーフェス・センターの職人たちは、19点のベニヤパーツをそれぞれブラックで塗装し、塗装ラボ内に特別に製作した固定具に装着。その後コンゴ氏が、さまざまなサイズのエアブラシを用いて、細部まで表現に深みを持たせながら、自身の代名詞ともいえる「コンゴバース」のデザインを描き上げた。
ベニヤパーツは、フェイシア、センターコンソール、リアコンソール、ピクニックテーブル、そして後部座席間のウォーターフォールなどにわたり、車内全体が連続した1つのアート作品に仕上がっている。また、コンゴ氏のシグネチャーである「ネームタグ」は、サンバイザーの内側やラゲッジ・コンパートメントの蓋の内側にもペイントされているほか、ドアのレザー部分にも精緻な刺繍として忠実に再現されている。
仕上げとして、アートワークを保護するために、ロールス・ロイスの職人は各パーツに10層のラッカーを施し、その後ていねいに研磨し、磨き上げ、ロールス・ロイスのインテリアにふさわしい深みと耐久性を備えた、輝きのあるパーツに仕上げた。
ボディカラーは、太陽光の下できらめくブルーの粒子を混ぜ込んだラッカーでさらに強調し、光の加減で表面が青く見える効果を施した深みのある「ブルー・クリスタル・オーバー・ブラック」を採用。また、ロールス・ロイスとしては初となるグラデーション・コーチラインも採用し、左側はフェニックス・レッドからフォージ・イエローへし、右側はマンダリンからターキーズへと色が淡く移ろい、それぞれにコンゴの「ネームタグ」モチーフがデザインとして組み込まれている。
さらに、ロールス・ロイスとしては初めて、23インチのパート・ポリッシュド・ブラック・バッジ・アルミホイールの裏側に、異なる色のブレーキ・キャリパー(フェニックス・レッド、ターキーズ、フォージ・イエロー、マンダリン)を配置し、コーチラインやインテリアのビビッドなアクセントカラーにマッチさせた。
そのほかにも、エクステリアのコーチラインに使用しているフェニックス・レッドの「ネームタグ」グラフィックは、イルミネーテッド・トレッドプレートや、ドアに収納されたブラックのビスポーク・アンブレラにもあしらわれている。
アーティスト シリル・コンゴ氏のコメント
ブラック・バッジ・カリナンを初めて目にしたとき、私はその世界観を自分なりの解釈、つまり「コンゴバース」と呼ぶ形で表現したいという衝動に駆られました。それはファンタジーや数式、シンボル、ピラミッド、原子、そして想像上の惑星が交錯する場所です。ロールス・ロイスはこうしたアイディアを温かく迎え入れ、実際の形として具現化してくれました。それこそがこのプロジェクトを特別なものにしたのです。これは私の視覚言語とロールス・ロイスのものづくりを融合させた、クルマそのものをキャンバスとして行なう対話でした。ロールス・ロイスの職人たちと共に、この世界観を形にできたことは、まさに貴重な体験でした。
このコラボレーションがこれほど特別なものになったのは、私とロールス・ロイスの世界間で絶え間ない対話が交わされたからです。あらゆるアイディアが、細心の注意と好奇心を持って受け止められ、私はブランドのクリエイティブ・スタジオに完全に没頭できました。私の作品は想像力の無限の力を映し出しています。実在しないけれど存在し得る世界を描くこと。そしてそのビジョンをロールス・ロイスと一緒に具現化できたことは忘れられない体験でした。
初めてスターライト・ヘッドライナーを目にしたとき、すぐに心を奪われました。それはまるで動き続ける宇宙のようで、没入感のある存在です。この要素は私の作品の核になるだろうと直感しました。私たちはこの作品にグルーヴを持たせるにはどうすればよいかを話し合いました。私にとって、絵を描くことはジャズのようなものです。動きがありながらも、すべてがつながっているのです。この作品を1歩ずつ発見していってほしい。探求すればするほど、新たな発見があります。エクステリアは、車内に広がる世界をほのかに示唆するヒントに過ぎないのです。
ロールス・ロイス・モーター・カーズ ヘッド・オブ・ビスポーク・デザイン フィル・ファーブル・ド・ラ・グランジュ氏のコメント
シリル・コンゴとの共同作業の進め方は、これまでにないものでした。生産開始の6か月前には彼をグッドウッドの本拠地に招き、私たちの世界観を体験してもらいました。スペシャリストや職人たちとの対話、工具や技術の共有、そして全カラーパレットも自由に使用できる環境を提供しました。実際のクルマ作りでは、ビスポーク部門内に専用の作業スペースを設け、シリルと私たちのスペシャリストが密接に連携し、彼の芸術的表現をクルマの各要素に落とし込んでいきました。このコラボレーションは、絶え間ないアイディアの交換と、好奇心と創造的な自信を共有するプロセスでした。こうした社内での密接な開発体制により、シリルはその瞬間のインスピレーションを大切にしながら、自由に表現できたのです。
ロールス・ロイス・モーター・カーズ デザイン・ディレクター ドマゴイ・デュケク氏のコメント
創造性と想像力こそがロールス・ロイスを形作る原動力であり、オーナー1人ひとりの個性を反映した特別なクルマを生み出しています。お客さまと共に最も複雑なビスポークを創り上げる場であるプライベート・オフィスもまた、この信念を体現しています。こうした場での対話を通じて、斬新で大胆な現代アートを求める、志を同じくする特別なコレクターたちのニーズが見えてきました。この想いを具現化するため、私たちはシリル・コンゴ氏とコラボレーションしました。彼の表現力が豊かで妥協を許さないスタイルは、ブラック・バッジ(Black Badge)の精神と完璧に共鳴したのです。この前例のないコラボレーションでは、コンゴがロールス・ロイスのデザイナー、職人、エンジニアからなるビスポーク・コレクティブ(Bespoke Collective)と共に制作し、唯一無二のモーター・カーが実現しました。その結果として誕生したのが、5台の「ブラック・バッジ・カリナン・プライベート・コミッション(Black Badge Cullinan Private Commissions)」です。それぞれが独立したアートピースであり、2つの揺るぎない創造的な世界が交差して生まれた結晶です。














