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世界ラリーに参戦、すでに2勝を挙げた勝田貴元選手がラリージャパンを前に凱旋帰国 チャンピオンの可能性について「50%以上」と語る
現在、シリーズランキング2位
2026年5月22日 08:38
WRCを今シーズン2勝した勝田貴元選手
5月28日~31日の4日間にわたってWRC(世界ラリー選手権)第7戦「ラリージャパン」が愛知県や岐阜県を舞台に開催される。今シーズンの世界ラリーの現時点におけるトピックは、WRCに参戦している唯一の日本人選手である勝田貴元選手が、第3戦「サファリ・ラリー・ケニア」で初優勝を飾り、続く第4戦「クロアチア・ラリー」で2勝目を挙げ、2連勝を達成したことにあるだろう。
このWRC勝利は篠塚建次郎選手以来で34年ぶり。篠塚選手は、1991年、1992年のアイボリーコーストラリーを制しており、勝田選手はこのWRC 2勝という記録に並んだ。篠塚選手の記録は、2年連続の連覇であり、1シーズンに2勝した日本人ドライバーは初めて。この2連勝によって勝田貴元選手は、年間のシリーズポイントでも一時はトップになり、それも日本人選手としては初めてだ。
ラリージャパンにはWRCを2勝したシリーズランキング2位のドライバーとして凱旋。本人も例年最重要視しているラリージャパンであり、2022年の中京地区初開催の際は見事に3位表彰台を獲得。以降も、特別な速さを見せており活躍が期待されている。
そんな勝田貴元選手はレッドブル・アスリートの1人であり、ラリージャパン開催を翌週に控えた5月21日、レッドブルのオフィスにて共同インタビューに応じた。
この共同インタビューにおいて、勝田選手はラリージャパンとラリーフィンランドの2勝は目指すと語り、シリーズチャンピオンの可能性は50%以上と、チャンピオン獲得への強い意欲を見せた。
勝田貴元選手、シリーズチャンピオンの可能性は「50%以上はあるんじゃないかなと思って」と意欲を見せる
──WRC勝者となって迎える日本戦になりますが、これまでとは違うものになりますでしょうか。気持ちの変化などあれば教えてください。
勝田貴元選手:みなさん集まっていただきありがとうございます。今の質問ですけど、今年ケニアで初優勝をすることができ、その直後のクロアチアで2勝目、2連勝ということで、自身目標としていた優勝をまず今年挙げることができました。
その上でラリー・ジャパン、シーズン終盤で最終戦だったり、昨年は最後から2戦目というところだったんですけど。
(今年は)シーズン中盤ということもあって、気持ち的には、今までは集大成、シーズンの締めくくりをいい形で終えられるようにホームでがんばるという気持ちもあったんですけど……。
今年は中盤戦に入ったところでのラリージャパンなので、いつもとは違った雰囲気です。でも気持ちの部分では、そんなに大きく変わった部分はなくて。ホームでしっかりいい結果を出したいという思いと、(今シーズンはすでに)優勝しているからこそ、ここで絶対勝たなきゃ、今年中に勝たなきゃっていうそういった変なプレッシャーはないです。
そこら辺は、気楽に、気楽にはちょっと言葉が違うかもしれないですけど(笑)。余計なプレッシャーなく、自分のやるべきことに集中できるかなっていう、そんな心境です。
──WRCを2連勝したことについての感想と、優勝したことで新たに見えてきたものがあれば教えてください。
勝田貴元選手:これまでずっと追い求めてきていたものがケニアで達成することができて、直後の第4戦で2勝目、2連勝という形だったので。正直びっくりしていた部分もあったり、状況が状況だったので僕も結構驚いた部分あったんですけど。
特に2連勝したからどうっていうところはなくて、どちらかというと初優勝したケニアの後もそうだったんですけど、いい結果を出せた後、そういう状況の後のほうが大事といつも思っているので。
その後、また優勝できるようにっていうところもそうですし、今年に限ってではないですけど、シーズンを通していい結果をというところを目標にずっとやっているので。
その辺りを考えた上で、地に足をつけてやっていきたいなと。クロアチアの後もずっとそこは変わりはないです。もちろんラリージャパンも大事なのでそこがまず自分の中ではすごく大きな舞台となると思っています。
──今シーズンここまで大活躍されていますが、その活躍の要因とか、何かきっかけだったりとかがあれば教えてください。
勝田貴元選手:まずはここまでWRC参戦してきた経験値というところでも、いろんな経験をしてきて。自分のスピードもある程度理解して、勝てるスピードがある中で、じゃあそれをどううまくコントロールするのか。
本当にラリーっていろんなコンディション、いろんな環境下で、いろんな状況下でやっていくスポーツなので。今年こうだから来年もこうなるってならなくて、その都度柔軟性のある判断力とかが必要になってくるんですけど。そういったところが培ってきた経験を元に、自分も落ち着いて判断できているかなと思います。そこが今年大きく変わった点かなと。
精神面ですね、そこが大きく変わった点で。無理に追うことがなくなったというか、自分の中で優勝を目指して全力で戦っている中でも、間違ったタイミングでの無理なプッシュをしなくなったのは、自分でも持っていて。
それが安定して結果がある程度出せている要因かなと思います。
ただ、それも時と場合によっては逆効果、それによって勝負権を失う場合もあるので一概にそれが正しいともちろん言えないんですけど。これまでいいところまで来て、最終的に結果につながらなかったっていう経験を。今は逆に流れがよくよくないときに、なんとか踏ん張っていい結果にっていうことができているので、そこが今年は大きく変わった点かなと思ってます。
ただ本当に、先ほども繰り返しになるんですけど、攻めていかないとやっぱり勝てないスポーツなので。そういったところはもちろんこれからも攻める部分は攻める。
ただ自分の中で守るというよりかは、展開をしっかり読みながらラリーの1週間全体を見ながら、ラリーを組み立てていくというところをもっと研ぎ澄まして、いけるようにしたいなと思ってます。
あとは僕のチームのサポートだったりとか、オィット・タナック選手のサポートだったりとか、そういったところが自分にとってものすごくいい影響を与えてくれてるので、そのあたりがものすごく今年変わった点かなと思います。
──ラリージャパンで、今期3勝目を挙げるために何かポイントになること、ここを気付けたいとか、上回りたいみたいな思いがあれば教えてください。
勝田貴元選手:今年のラリージャパンは季節も例年と違うことで、コンディションが多少変わってくると思っています。タイヤの使い方も変わると思いますし。
使い方というのは、ソフトタイヤ、ハードタイヤのバランス。どのタイヤをステージで使っていくかっていうところなんですけど。
もちろん雨が降ってしまえばレインタイヤだったりソフトになるんですけど。晴れの場合に、今まではソフトタイヤを結構混合して使っていたところが、気温が上がることでソフトタイヤがなかなかうまく機能しないというか、オーバーヒートしやすくなると思うので。
そのあたりが今年新しい時期、新しいシーズンのラリージャパンになることで、結構難しくなるんじゃないかなと。あとは落ち葉の具合だったりとか、この季節になったから落ち葉がないとも言えないので。
やっぱり林道って結構そういった部分も怖くて、落ち葉が多く出るシーズンじゃなくとも、木々が生い茂っているところも走るので。
そこら辺が走ってみなきゃ分からないかなと。レッキをして、状況など分かればいいかなと思っています。
そこが今年ポイントになるというか、今までと違った点で難しくなるかなと思っています。
昨年と大きく変わったステージはないので、どちらかというと状況、コンディションの変化にうまく対応しながら。
セブ(セバスチャン・オジエ)とエルフィン(エルフィン・エバンス)はもちろん速いと思いますし、まあチームメイトはみんな速いので、それら選手たちと、もちろんライバルチームともどう駆け引きをしていくかっていうところを冷静に、自分の持ってるスピードに自信を持って戦えれば、優勝争いをしていく中で好成績で終えれると思います。そこを目標にがんばっていきたいと思ってます。
──ちょっと質問が戻るのですけど、WRCで優勝して感じた周囲の環境の変化とか、そういった点はありますでしょうか。
勝田貴元選手:周囲の変化、うーん、やはり優勝して、2連勝目もそうなんですけど、そういった好成績、成績を出した後に、まあ今回来てくださってるみなさん(報道陣)にいろいろ(記事を)出していただく。そのおかげで今までWRCの存在とかこの競技自体が届かなかった人のところまで、「初めて知りました」っていう話をよく聞くようにようになったので。本当にそういった面ではメディアのみなさんに感謝してますし、これからもっといい結果を出して、そういった露出の部分をより増やしていけるように。
モータースポーツだけじゃなくて、どんなスポーツでも日本人選手だったり、今だとサッカー日本代表だったりとか日本を代表する選手が世界でがんばる、活躍するっていうのはものすごく、なんて言うのかな……。サッカーファンじゃなくとも、例えばサッカーの話で言うと共感できるといういうか。日本人としてやはり応援したいってという気持ちが強くなったりすると思うので。
露出を増やしていくためにも僕が唯一(世界ラリー選手権に)参戦している日本人選手として、これからももっと結果を出して、機会を増やしていきたいなと。
そこを僕は今までも強く思ってたんですけど、今回2連勝したことでより感じた部分でもあるので。より責任感を持って戦っていきたいなと思っています。
──このラリーとは相性がいい、このコースは走っていて楽しいという大会はあったりしますでしょうか。
勝田貴元選手:やっぱり個人的にはフィンランドですかね。僕自身9年間ずっとフィンランドに住んで、ラリー始めたころからずっとそこでラリーのイロハを学んで育ってきた場所でもあるので。フィンランドの道が一番気持ちよく走れるというか。あとは攻め甲斐もありますし。
フィンランドで結果を出すことがドライバーとしての1番のステータスかなと思ってる選手も少なくないので。僕は間違いなくフィンランドで好成績を出すことがドライバーの技術というか、技量を本当に証明すると感じてるので。
そういった意味でフィンランドは走って楽しい、かついい結果を出して認められたいみたいな思いはあります。
昨年2位だったので今年こそはそこで優勝するというのを目指して。あとはそうですね……先日行なわれたカナリアス大会(ラリー・イスラス・カナリアス)。こちらはターマックラリーなんですけど、ここはサーキットみたいにインカットも少なくて、ものすごくきれいな舗装をずっと走れるので。僕はもともとサーキットのレースをやっていたんですけど、そういった経験も使えますし、気持ちよく楽しく走れる、ラリーかなと思います。
──続いてですが、さまざまな路面に対応するコツだったりとか秘訣はあったりしますでしょうか。
勝田貴元選手:うーん、難しいですね。秘訣というより、ラリーの場合は経験値がものをいうスポーツ、モータースポーツなので。
先ほども言ったように来年も同じコース走るとはいえ、雨が降っていたらグリップもコンディションも違う。晴れていても、節の状況だったり道の状況によって全然走らせ方も変わってくる場合もある。その辺りはラリーはものすごく難しい。
同じチャンピオンシップ、選手権の中で、舗装も走って、雪も走って、砂も走って、土も走ってっていう。その土って簡単に一言で言っても、サウジアラビアのような砂漠地帯もあれば、フィンランドみたいなものすごくコンパクト、固まったグラベルもあったり。砂もあって、土もあって。ものすごくいろんな種類の土だったり、そういったコンディションがあるので。
そこがWRCの難しさでもあり、魅力。ラリードライバーとして戦って、WRCでチャンピオンを獲るっていうのは、そういったすべてのコンディションで結果を出さないといけないので。秘訣は、僕は別に持ってないんですけど(笑)。難しさでもあり魅力かなと思ってますね。
──さまざまな路面を走る上で、楽しいと思う瞬間とか、快感を感じる瞬間ってあったりしますか。
勝田貴元選手:このコンディションだからどうっていうよりかは、その状況下、例えばこのコーナーの世界中にいろんなコーナー、サーキットとは違って本当に1回、2回しか走らないようなコーナーがずっと続くので、1個前のコーナーがこれだけグリップしてたから次のコーナーも一緒っていうわけにはもちろんいかなくて。ただそれぞれのコーナーで、自分の中でもうこれ以上いけなかったなとか、限界ギリギリで抜けられたとか、そういったときに自分の中でのアドレナリンと言うのはちょっと違うんですけど、快感というか、そういった感覚はやっぱありますね。
あとステージ1個走り切った後に、そういったコーナーがより多い、こう自分の中で完璧に近い走りができた後なんかはよりそういった思いがすごく出るので、そういうときはすごく興奮しますし、ラリーの楽しさかなと。
自然が相手でもあるので、そこら辺は難しいですけど、難しいからこそ高揚感て言うのかな。なんか自分の中でこう、あれだけ、あれ以上いける、いけないだろうみたいなそんな思いができるっていうのは、ラリーならではだと思うので。
ラリーをやられたことある人は多分分かるかなとは思うんですけど。そこがやっぱりどんなコンディションでも、その限界を見極めて走るっていう、そこに楽しさがあるかなと思います。
──その楽しさだったりとか魅力っていうのも、これまでの経験だったりとか、大会の出場経験っていうところから来るかと思いますけれども。近年挫折を味わって、その上で感じた教訓だったりとか、そこからどのように成長しようと思った、みたいな思いだったりとか、意気込みなどはありますか。
勝田貴元選手:挫折、そうですね。厳しい状況、難しい状況っていうのは今までたくさん経験してきて、1つにピックアップすることはできないんですけど。その都度思うのは、ここで諦められないっていう思い。
それは自分がどうなりたいから、将来成功したいからというよりかは、ここまで来るまでに、これだけの人にサポートしてもらって、手伝ってもらって自分が今ここにいて走れているっていう。そこで諦めたら、そのすべてを無駄にしてしまうって感じるので。僕はそうしないため。
特にラリーを始めた当初、レースから転向して最初の1、2年。特に1、2年目ですね。リタイア、クラッシュが多かったり、経験不足でなかなか結果が出ないとき。やっぱりその転向したのは、間違いだったからなって思う瞬間もなかったと言ったら嘘になるんですけど。そういった状況の中で支えてくれた人。
自分のポテンシャルを信じて応援してくれた人だったりとか、支えてくれた人、その人たちへの感謝って言うのかな。その人たちに向けても、その人たちの気持ちを踏みにじるわけにはいかないっていうんですかね。
そういった思いが近年難しい状況のときはすごく心に残って、そのためにも結果を出して、自分が選んだ道が間違ってなかったっていうことだったりとか、その人たちが自分をサポートしてくれたことが時間の無駄じゃなかったっていうことだったりとか、そういう証明はやっぱりしたいっていう思いがあったので。
なんかそうですね、そういう状況がたくさんあって。経験してきたからこそ、そうなってしまったとき、そうしないように努めてても、やっぱなってしまうときはあるので。そうなったときにより早く立ち直って、次に向けて、改善していく。そういったマインドを持ってやっていくことが大事なので。
そこら辺はここまで来るときに、いろんな試行錯誤しながらですけど、なんとなく自分の中でこういう風に立ち直れれば次につながるとか、そんな感覚はこれまでの経験からいろいろ得ることができたかなと思ってます。
──人生における最大の転機はありますでしょうか。
勝田貴元選手:最大のっていうのって、ピックアップが難しいっていうのもありますけど。そうですね、なんかもう今振り返ればもうちょっとしたこともすべてが、転機だったんだなって思うことが多くて。
振り返ればレースのときから、あのときもしここで負けていたら世界選手権に行ってなくて。
例えば僕が世界で活躍するドライバーになりたいって目指すきっかけになったのも、カートのときに世界選手権に出たことがきっかけなんですけど。その世界選手権が日本代表が3名しか選ばれないもので。レースに勝たなかったら行けなかったんです。そこで勝ったから行くことができて、行って決勝が7位だったんですけど、途中までずっと1番で。
勝てる感覚があって勝てなくて、それで悔しくて、「ここでリベンジしたい、世界で勝ちたい」っていう思いがそこからすごい芽生えて。それを目標にずっとやってたので。
そういったところから考えると、もう本当に1つ1つ、そういったことが転機というか、まあ今につながってる感じがあって。
逆もしかり、今のはいい例ですけど、逆にあそこで、例えばF3のとき僕はシリーズ2位で終わったんですけど、例えばチャンピオン取っちゃってたら、あのままレース続けてたのかなとか。そしたらラリーやってなかったかもしれないですし。
すべてのよかったこと、わるかったことが本当につながった上で、今になっていると思うので。
これだけが大きな転機っていうよりかは、すべてが今につながっている感じがして。
優勝したときもそうですし、WRC 2でスウェーデンを優勝したときもそうなんですけど。何か1つには絞れないですね。
──続いてちょっと日々のことについておうかがいしたいんですけれども、今いろいろ練習だったりとかをされる中で、大切にしているルーティンですとか、そういったものはありますでしょうか。
勝田貴元選手:ルーティンは結構大切に持ってるほうかなと自分では思ってて。「ラリー行く前にカツカレーを食べる」っていうのはもしかしたらメディアのみなさんも聞いたことあるかもしれないんですけど。
ココイチのカツカレーを、これはもうカート時代からですね、子供のころから変わってなくて。たまたまカツカレー、ココイチのカツカレーを食べた次の日のレースで優勝したっていうのがきっかけで、そこからずっと続けてるっていうだけなんですけど。あとはカツカレーが好きっていうのもあって、ココイチのカツカレーをずっと食べてます。
それ以外は、そうですね、ラリーウィーク入って家を出る前にトイレ掃除してくとか。トイレ掃除を普段からしてるんですけど、徹底的にきれいにする、みたいのは、この2つは必ずやってますね。はい。
──今シーズンと、ラリージャパンに向けての目標をうかがえればと。今シーズンに関してなんですけれども、今シーズンのパフォーマンスで新たに取り組んでいることと、それを踏まえてズバリ今期王者になる確率が何%くらいか。お答えできる範囲で大丈夫ですので。
勝田貴元選手:最後の質問がインパクトありすぎて(笑い声)。
──今期のパフォーマンスで新たに取り組んでいることでしたりとか、それを踏まえて、(チャンピオンは)このぐらいの確率でいけると。お答えいただければと思います。
勝田貴元選手:今年になって新たに取り組んでるというよりかは、昨年までとは違った体制って言うんですかね。体制というほどじゃないんですけど、遠隔でオィット・タナック選手にいろいろと見てもらいながら、一緒にやっています。二人三脚感が出て、今までもチームのサポートは本当に手厚くて、ヤリ=マティ監督はもちろん、ユハさん、ユハ・カンクネンさんもいつも大きなサポートをしてくれていて。
で、トム・ファウラーという、チームのエンジニアのトップの方だったりとか。結果がよくてもわるくても親身になってサポートしてくれているので。そこに対して今まで何か不満があったとかまったくなくて。今までもいい状態だったんですけど。
やっぱり何ですかね。ドライバーってクルマの中でヘルメットをかぶって、ステージ行った瞬間に自分との戦いになってくるので。そうなったときにやっぱり自分との戦いでどう自分をコントロールするかっていうところもそうですし、どう1週間をうまく組み立てるかっていうところが、うまくできてないなと自分の中で昨年すごく感じて。
2年前、3年前から勝てるスピードがあるって自分で感じ始めて、実際にそれがステージタイムだったり、2位という結果だったり、より出るようになって。
ただあと一歩、及ばない。
そういったところが出てきたときに、自分の中でこういったサポートがあったらもしかしたらっていう思いから、オィット・タナック選手にお願いして今サポートしてもらってるんですけど。そこが今年は、なんですかね、顕著に(笑)、結果にも現われてるかなと。
やっぱり、オィットさん本人も言ってますけど、大したことやってないとは言いつつも、僕の中ではやっぱり、何て言うんですかね。孤独なときもやっぱりあるので、コ・ドライバーと一緒にやってますし、力を合わせてみんなでやってるんですけど。やっぱりドライバーにしか分からない部分ってどうしてもあって。
ドライバーだからといって、例えばなんだろうな、僕の中ではそのカテゴリ、そのレベル、勝てるスピード、チャンピオン争いできるスピードっていうところで争った人。だからこそちゃんと分かるというか、話が通じる部分があると思ってて。
僕はまだチャンピオン争いをしっかりできてないですけど、オィット・タナック選手なんかは、もう何年もそういった状況でたくさん優勝してきてる選手なので。そういった選手からアドバイスというか、自分はこう思うんだけどどう?っていう風に聞いたときに意見もらえることで、より自信を持って自分の決断に自信を持って戦える、そこはやっぱり大きいかなと思います。
チャンピオンシップ、可能性に関してなんですけど。まあゼロじゃないのは間違いなくて。あのゼロだったらここにいる意味はないと思ってますし。
自分としては間違いなく今年チャンスはあると思っていて。どうですかね、こういうのって数値で言うのって僕もあんま得意じゃないんであれですけど。
うーん、50%以上はあるんじゃないかなと思って(笑)。でも今年のシーズン本当に特殊で、序盤戦でうまくいくとあんまりよくないというシーズンなので。
なぜかというとターマックラウンドが、このラリージャパン以降は1個もなくて。あとは全部グラベルラリーになる。
そのグラベルラリーも後半、夏以降は全部、掃除役と言われるコンディションの変化が非常に大きいので。後半戦に向けてランキング上位にいると、なかなかパフォーマンスを思うように発揮できないラリーが続くので。
そこはもう本当に致し方ないとは思うんですけど。そこに行けば行くほど自分との戦いになると思うので。あとは展開ですよね、雨が降れば逆になりますし。
ただ今の状況、今の自分が持ってるスピード、そういったものをちゃんと自分でコントロールして戦えれば、最後までチャンピオン争いした上で、どうなのかっていうところまではいけるんじゃないかなと思っている。もちろん簡単ではないですし、自分に足りない部分もあるんですけど、そこはシーズンを追いながら、今までの経験と一緒に戦って。最後まで戦い抜きたいなと思っています。
──ありがとうございます。直近に控えるラリージャパンに関して、ラリージャパンに向けての意気込みと抱負をお願いします。
勝田貴元選手:やはりホームラリーっていうところで、ここで結果を出したいっていう思いはすごく強くて。さっき気楽にって、ちょっと言葉は多分違うんですけど、少しこう肩の荷を軽くした上で戦えるっていうのは多少はあって。
やはり優勝っていうところを1回しているからこそ自分の中でそこだけを追い続けるよりかは、ラリージャパンで優勝するためにどう戦えばいいのか。
何だろう、変なプレッシャーというものがなくなった気がするので。ただやることはそんなに大して変わっていなくて。勝つために、いい結果を出すために、このラリージャパンで戦うために必要な準備をして、必要な戦い方をする、必要な走りをするっていう、それだけなので。
間違いなく、今年自分の中で、毎年ですけど、ラリージャパンは1番大事なラリーとして捉えてますし。今年は特にラリー1、今の現行ラリー1での最後のラリー、最後のターマックラリーということで、より多くの方に見ていただきながら、その前で優勝できるようにがんばりたいと思っています。
──今日は勝田選手は、日本に帰られて名古屋方面からこちらに来られたと覆うのですが、WRCで初めて優勝して、お父さんであるのりさん(勝田範彦選手)となにか話をしたことはありますか? そして、一気に2連勝して、そこで離したこととかありますか? (勝田貴元選手の)1勝目のときは、お父さんは(沖縄のラリーチャレンジで、豊田章男選手のコドライバーとしてラリーチャレンジに参戦中で)、すごくソワソワしていたのですが。何か話をされたことがあったら教えてください。
勝田貴元選手:もちろんすごくよろこんでくれていて、多分話したいことたくさんあると思うんですけど。僕があんまり話したがらない人っていうのを多分お父さんもよく分かってるんで、あえて何も聞いてきてないですね。
聞きたい、話したいとかはなくて、「おめでとう」っていうメッセージしてくれて、「ありがとう」っていうやり取りぐらいに。
──2勝目は?
勝田貴元選手:「おめでとう」はありました、「おめでとう」は(笑)。言われて「ありがとう」って。
でも本当に、ものすごく応援してくれていて、いつも家族みんな。もちろんそれは支えにもなっているんですけど。僕の家族だからこそ僕の性格をすごく理解してくれていて。勝ったから終わりじゃないというか、最初に言ったように、勝った後とかいい結果の後のほうがやっぱ大事なので。
その後にやっぱりどれだけいい結果を継続できるかとか、1回勝ってその後グダグダだったら意味ないですし。やっぱりその後いいときの後にどう振る舞えるかというか、立ち回れるかみたいところ、そういったところを。
僕がカートのころからですけどすごい意識しているんで。みんなでワイワイ大騒ぎっていうのはまずなくて、なんかそういう気分、雰囲気を出さないためにもあえて何も言ってこない感じがしますね。家族は特に。はい。
──先ほどチャンピオン50%以上という、数字が出たもんですから。
勝田貴元選手:ごめんなさい、結構雑な(笑)。適当に言っちゃたあれですけど。
──そうなってくると聞きたいのがですね、ズバリあと何勝くらいを目標にされてるのかなっていうのはありますか?
勝田貴元選手:少なくとも2回は勝ちたいです。少なくともというのは、ラリージャパンとフィンランドでは絶対に勝ちたいと思っているので。この2つという意味で2つ。勝てるんだったらもっと勝ちたいですけど。
でも状況は簡単ではなくて、世界最高峰のドライバーがみんな集まった上でライバルチームの、ライバルチームはもちろんなんですけど、自分と同じクルマ、自分と同じチームに世界チャンピオンが1人と、毎年チャンピオン争いしているドライバーが1人。で将来有望な若手が2人と。
F1で言えばアロンソとかハミルトン、+マックス(フェルスタッペン)とルクレールみたいなのがチームメイトにいるようなもんなんで。簡単じゃないですけど、それが分かった上で倒していかないと自分のこの先もないと思っていますし、そのために自分は今走ってると思っているので。勝てるときに勝てるだけ勝って、そうじゃないときも、苦しいときも、しっかりポイント持ち帰れるようにシーズンを戦っていければ、間違いなく可能性はあると思っています。
50%(以上)はなんとなくの数字なんで。でも本当に可能性はゼロじゃないのは間違いなくて、自分としては自信持って戦い抜けると思ってます。
──先ほど自分が勝っていくことによって、日本でのラリー人気が上がっていくのではないかというお話ありました。若いカートをやっている、これからレーシングドライバー、ラリードライバーを目指そうと思っている子供たちに、こんなことしてあげたいとか、こんなこと伝えてあげたいっていう思いはありますか?
勝田貴元選手:ありがとうございます。してあげたいっていう意味でいうと、今はやっぱり現役なので、やりたいことは限られてきてしまう、行動も含めて限られちゃうんですけど、少しでもサポートできること。
今だとカート協会というものが出来上がって、山本尚貴さんっていうレーシングドライバーの方が頭に立って子供たちをサポートしている。
そういった団体が出来上がった上で成り立っているんですけど、僕もそこら辺とは話をよくしていて。僕もカート出身というところだったりとか、子供たちが夢を持てる環境。例えば将来F1ドライバーになりたい、WRCドライバーになりたいとか。
ただ子供って子供なりにやっぱりよく考えてて、「これはでも非現実的だよね」とか、子供なのにそこまで、何て言うのかな、「これは自分には無理だな」とか、「世界には行けないな」とか状況によってはあると思うんですね。
モータースポーツってよくわるくもお金がかかるスポーツなので。サポートできる体制・環境より、そういった思いを強く持ってがんばっている子が、つなげられる環境っていうのを立てれるように自分の中で将来的にもやっていきたいなと思ってます。
そういった子供たちがいつか、例えばラリーに行きたいって思ったときに入りやすい環境。僕もレースから最初ラリーに来たとき、父、祖父がラリー関係なので、ラリーをやりやすい環境がありましたけど、それでもやっぱり簡単じゃない。そうじゃなければもっとハードルって高かったと思うんですね。
ただ今はトヨタさんが、トヨタガズーラリーチャレンジだったりとか、入門向けのラリーもやってるので。そういったところから、(全日本ラリーの)モリゾウチャレンジカップもそうですけど、入れる幅は広がっている。
ただ本当にじゃあそこに、い、行きたいってなったときにすぐに走れるのかっていうとやっぱそういった体制ってまだ整ってないと思うので、僕は一ラリードライバーとしては、そういったところの環境もちゃんと作っていけたらいいなという思いは強く持ってます。
あとは先ほどの話にもちょっとつながるんですけど、子供たちにはとにかく大きな夢を持ってほしいと思っていて。僕も世界で活躍したいと思うきっかけがあったからそう思いましたけど、果たしてあそこで世界選手権でそうなっていなかったら、そういう思いがあったのかって言われると自分も分かんないですし、よく聞くのは「自分は国内でここら辺まで行けたらいいかな」とか。
子供がですよ、小学生ぐらいの子供が、中学校にも上がってないような子がそうやって言ってるのを聞くと、「そんな夢でいいの?」みたいなと、やっぱり思っちゃう部分もあって。
そういった子たちが自信を持って、「自分はここまで行きたい」って思えるような環境というか、ルートというか道というか、そういったものを作っていきたい。
伝えたいこととしては、小学生の子なんか本当に無限大なので可能性は。諦めなければ絶対に何かにつながる可能性はあるし、大きい夢を持ってほしいです。小さくまとまってほしくないというか、そんな思いはすごく思っています。
僕のカートの現役のときもそうでしたけど、すごい速いのにそうやって言っいてる子もいたりとか。結構そこは気持ちの持ちようだと思っているので。僕も最初そうやって、優勝するためにラリーに来たって、最初ラリー始めた当初言ったときは笑われましたし。実際、じゃあできるって思っていた人ってどれくらいいたのかって、多分ほとんどいなかったと思うんですね。でも実際そういう風にできて、自分の実力だけじゃなく、そのまわりのサポートがあった上でこうさせてもらえた。でも、そういう思いがなかったらそこまでも行けてないって思うので。
子供たちがより大きな夢を持って、公の場でも自信を持って語れるような、そんなモータースポーツ界というか環境にできるようにしたいなという、野望じゃないですけど、強い思いはずっと持ってます。


