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デンソー、エアコンの風が細く強く吹き出す気流制御構造「マイクロジェット」など人とくるまのテクノロジー展2026で展示

2026年5月27日~29日 開催
デンソーブース

 デンソーは、パシフィコ横浜で開催中の「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」(5月27日~29日)に出展。電動車の航続距離を伸ばす「新型SiCパワー半導体」のほか、最近のクルマのダッシュボードデザインにあわせた小さいエアコンの吹き出し口技術などを展示した。

電動車の航続距離を伸ばす「SiCパワー半導体」

 今回、デンソーの推しの1つは半導体技術。車両システムから半導体まで一貫して開発しているデンソーは、車両での使い方の知見を活かして、内製半導体を最大限活用している。

新型SiCパワー半導体

 展示した独自の3次元構造を採用した新型SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体は、従来のシリコン半導体と比較して高い信頼性と低損失を両立、電力損失を約70%低減し、BEVの航続距離延長に大きく貢献するという。製造面でも独自の「ガス法」による結晶成長技術を開発し、従来の15倍という結晶成長速度と約90%のCO2排出量低減を両立させている。

新型SiCパワー半導体の説明

 このSiCパワー半導体をコアモジュールとしたeアクスル内蔵の平置き両面冷却インバーターは、従来比で電力損失を約70%低減しつつ、コアモジュールを約30%小型化し、世界最高の出力密度を実現。xEV全方位戦略に基づいたもので、カーボンニュートラルと安心・安全な移動社会の実現に貢献するという。

eアクスル内蔵の平置き両面冷却インバーター。透明化したeアクスルに内蔵にインバーターを内蔵しているようすを展示。コアモジュールは手前中央

快適性と環境性能を両立する「マイクロジェット」気流制御

 デンソーは、カーエアコンなど車内の空調も多く手掛けているが、新しい気流制御構造「マイクロジェット」をブース前面に展示した。エアコンの吹出口内部に複数の微小ジェット流路を設けることで、風の広がりを抑え、薄型の吹出口でもしっかりとした風速と快適性を維持できる。さらに、必要風量の低減により省エネルギーにも貢献する。

「マイクロジェット」気流制御の展示。左側がマイクロジェットで、画面でも広がらずに風を届けていることが分かる

 現在のクルマのダッシュボードは大型のディスプレイなどが装備され、エアコンの吹き出し口の配置が難しくなっているが、マイクロジェットでそうした問題に対応する。また、広がらずに風を届けられるため、必要な場所に冷風を届けることもでき、空調の最適化にも活用できるという。

「マイクロジェット」気流制御の吹き出し口。実際に風にあたって違いを感じられる

「バッテリ温調モジュール」や電動車向け製品を揃える

 展示した「バッテリ温調モジュール」は、電動大型トラックにおいてバッテリの温度管理を担うもので、走行性能向上やバッテリ寿命の延長といった実用性向上に貢献する。すでに燃料電池大型トラック量産モデル「日野プロフィア Z FCV」に搭載している。

電動車の「バッテリ温調モジュール」。燃料電池車の「日野プロフィア Z FCV」に搭載されているもの

 BEV向けの電池マネジメント製品では、デンソー独自の高耐圧半導体プロセスによって、世界初という28chセル電圧監視ICを開発、セル監視回路数を従来から20%削減するという。また、シャント電流センサーはシャント抵抗を通過する電圧を測定することで高精度に電流を測定できる。温度特性個体差を補正する技術を開発したことで、精度向上を実現した。

BEV向けの電池マネジメント製品。右上が完成したモジュールで、その下がセル監視回路、さらに下にあるのがシャント電流センサー

クルマをアップデートし続ける「SDVプラットフォーム」

 デジタル領域では、ソフトウェアで機能を進化させ続けるSDV(Software Defined Vehicle)プラットフォームを紹介。クラウド上に仮想の車両を再現するデジタルツイン技術「Duo(デュオ)」と、効率的なソフトウェア開発環境を提供する「Quad(クワッド)」がプラットフォームを支える。

SDVプラットフォーム

 これらのソフトウェア技術に高性能なハードウェアである「ZoneECU」や「統合モビリティコンピューター」を組み合わせることで、購入後の機能アップデートやAI連携による次世代の移動体験を実現する。

SDVを実現するために必要な「ZoneECU」や「統合モビリティコンピューター」

QRコードの活用も展示

 デンソーが開発した有名なものといえば、今や街中のあちこちで見られる「QRコード」だが、そのQRコードを使った顔認証システム「顔認証SQRC」を展示している。

 実はQRコードには、通常のリーダーでは読み取れない非公開領域があり、そこに顔の特徴点データを埋め込む。そして、照合する際は現れた人のかざしたQRコードから得た顔の特徴点データと、その人の顔を合わせることで本人確認をする。

 これは、メールにQRコードを添付するデジタルの招待状や、本人照合に応用できる。顔のデータはQRコードだけに入るため、オフラインのまま顔認証が利用でき、クラウドなどに顔データを保存する必要もなく低コスト、低リスクで利用できるというので今後の利活用に期待したい。

QRコードと言えばデンソーだが、「顔認証SQRC」として顔認証への応用を提案