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ホンダ、「V2Hスタンド」初披露や「次世代ADAS」「リサイクル材」などカーボンニュートラル実現と交通事故死者ゼロに向けた技術を紹介

2026年5月27日~29日 開催
入場無料(事前来場登録制)
5月22日に発売した小型BEVスーパーワンと、6月下旬発売のホンダ V2H スタンド

 本田技研工業は、5月27日~29日にパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」にて、2050年の「カーボンニュートラルの実現」と「交通事故死者ゼロ」という目標の達成に向けた最新技術の紹介・展示を行なっている。ホンダブースはノース会場N03。

6月下旬発売の「ホンダ V2H スタンド」を披露

 5月22日に発売した小型BEV(バッテリ電気自動車)「スーパーワン」と同時に発表されたのが、ホンダアクセスが6月下旬に発売するV2H充放電器「ホンダ V2H スタンド」で、人とくるまのテクノロジー展2026では、いち早く現物が展示されている。

6月下旬発売の「ホンダ V2H スタンド」が披露された

 ホンダ V2H スタンドは、BEVのバッテリに蓄えた電力を家庭に供給(放電)できるV2H(Vehicle to Home)充放電器。停電時には、BEVを非常用電源として活用できるのはもちろん、家電製品を多く使う時間帯では、必要に応じて放電して家庭で使用できるのが特徴となっている。

ホンダ V2H スタンドのサイズは426×1183×300mm(幅×高さ×奥行き)で、ケーブル長は約7.5mもある

 また、BEVへの充電は、急速充電ポートへ最大5.9kWの出力に対応し、一般的な3kWタイプ出力の普通充電器と比べて充電時間を約半分に短縮できるほか、5.9kWで充電を行なうには電力契約の見直しが必要になる場合があるが、電力契約変更なしでも充電量を自動調整してブレーカー落ちを防ぐ機能も備えている。

ホンダ V2H スタンド概要

交通事故死者ゼロに向けた次世代ADAの開発

 現在ホンダが販売している車両には、フロントカメラ、ミリ波レーダー、ソナーセンサーなどを組み合わせることで、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線維持支援システム(LKAS)などの機能を備え、事故防止やドライバーの疲労軽減をサポートする「Honda SENSING」、さらに360度全方位のセンシングまで行なえる「Honda SENSING 360」などが搭載されている。

 ただし、会場に展示しているのは、その先を行く「次世代ADAS」技術。現在はカメラで認識した白線に沿って走ったり、センサーで認知した障害物をドライバーに知らせたり、衝突しないようにブレーキをかけたりしているが、次世代ADASでは、AIモデルを活用して、カメラからの画像やセンサーで認識したものに対して、AIがどうするかを判断して行動に移すので、例えば道路の白線が消えてしまって見えない場所でも、安心して走れるようになるという。

次世代ADASの概要

 現在はデータを蓄え、それをAIが自身で学習していく「Deep Teaching」を進めるほか、ベテランドライバーの運転行動もモデルとして学習させることで、より精度の高いサポートを目指している最中。高速道路だけでなく、市街地から一般道まですべてをカバーすることで、あらゆるユーザーのお出かけをサポートするとしている。

 開発・普及目標としては、2028年以降に北米や日本で投入するハイブリッドモデルに順次搭載し、5年間で15車種へ搭載することで低コスト化を目指すという。

リスクを予測してくれる進化型ドライブレコーダー

 ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は、独自の協調AI(人工知能)である「ホンダCI(Cooperative Intelligence)」の開発を進めているが、そのCI技術とドライブレコーダーの情報を融合することで、車両周辺に起こりそうなリスクを予測し、ドライバーへ注意を促すことで事故を回避しようというもの。

リスク予測型ドライブレコーダーの概要

 360度のドライブレコーダーを使うことで、車両の周囲だけでなくドライバーの顔の向きや視線も確認でき、ドライバーがリスクを見落としている場合はより早く警告するといった活用方法も見込んでいるという。

 最大の特徴は後付けのドライブレコーダーにより機能するものなので、新車ではないユーザーでもシステムの恩恵を享受できる点。今のドライブレコーダーのように発生した事故を記録して、その原因を追究することも今は重要なことだが、そもそも事故が起きなければ、その必要すらなくなる。

 すでに茨城県や栃木県で技術実証実験を行なっていて、今後もより精度を高めるための実証実験を行なうとしている。

会場ブースにあるモニターでは、自動車と自転車、さらに駐車車両を用意して、どのような警告が発せられるかなどを確認できる

プラスチックの高純度回収技術

 すでに何年も前からリサイクルは行なわれているが、今でも課題となるのが分別という。自動車は解体工場でできる限り分解しているものの、細部までは不可能。最終的には大型の粉砕機や圧縮機でサイコロのような鉄の塊にされている。

ケミカルソーティングの概要

 そこから磁石で金物を除いたり、液体に変化(融解)する温度(融点)の差を利用して原材料を別けることになるが、プラスチックの個体異物分離率は、これまで80%程度だったため、再び自動車用部品として利用するのが難しかった。

 そこでホンダは、東レや出光興産と協業して開発を進めてきた結果、2025年9月に自動車廃材特有の固体異物を含有したELV(End of Life Vehicle=使用済み自動車)由来の廃プラスチック部品から、資源となるプラスチックを選別して抽出する固体異物分離技術「ケミカルソーティング」の開発に成功。これまでの物理的選別方法から、化学的選別方法による解決手段を編み出した。

 一般的に自動車から出る廃プラスチック部品には、インサート金属、ゴムホース、パッキンおよび樹脂に含有されるガラス繊維をはじめとする補強材などの固体異物が含まれている。ケミカルソーティング(固体異物分離技術)では、溶媒で樹脂を溶かして「固体異物」を除去でき、約99%と高純度の樹脂が抽出でき、再び自動車用材料として使用する「水平リサイクル」が可能となったという。

自動車廃材特有の固体異物を含有したELV
左から、溶媒で樹脂を溶かした液体。分離抽出されたガラス繊維、分離抽出されたインサートナット
約99%と高純度の再生樹脂

リサイクルPP材のバイク用外装部品の適用例

 リサイクルプラスチックは、上記のELV(End of Life Vehicle=使用済み自動車)由来だけでなく、市中から回収される廃プラスチックを原料としたリサイクル材の活用も進められている。

 廃材を回収するサプライチェーンと連携することで、リスクを可視化し、管理ができる廃材を選定することで、今ではバージン材と同等レベルの質を達成しており、すでに国内では「CB750 HORNET」「XL750 TRANSALP」のヘッドライトカバー、リアフェンダー、シュラウド、メーターパネルなどに適用済み。今後はグローバルでも拡大させていく予定という。

バージン材とバージン材製のヘッドライトカウル
リサイクル原料(粉砕品)と、そこから作られたリサイクル材
リサイクルPP材のバイク用外装部品の適用例

サステナブルなバイク用外装“クロミ”カバー

 この取り組みは、ホンダのバイク「モンキー125」を“より可愛く、もっと個性的に”と考えているカスタマイズ派オーナーに対し、高解像度と高精細なグラビア印刷と、サンリオピューロランドの人気キャラクター“クロミ”ちゃんと融合し、ガソリンタンクに貼り付けるだけでOKのアイテムを開発。素材はバイオ由来エンジニアリングプラスチック「DURABIO」を基材に使用し、インモールド成形技術によりガソリンタンクの3次元曲面でも歪むことなくフィットする意匠を実現してる。

“Honda×Kuromi”モンキー125用タンクサイドパネル(販売終了品)
モンキー125のガソリンタンクへの貼り付けイメージ

 カスタマイズを楽しむオーナーが、このアイテムをきっかけに、少しでもサステナブルについて考える機会を持ってもらえれば……という発想でスタートした企画。ちなみに価格は左右セットで2万9700円で、2025年10月31日~12月1日までの受注生産だったため、すでに販売は終了している。

“Honda×Kuromi”モンキー125用タンクサイドパネルの制作意図

アルミ展伸材リサイクル技術

 これまで自動車に使われるアルミパネル部品は、品質保証の観点から不純物の少ないバージン材を主原料としてきたが、バージン材は有限であり、製錬時の環境負荷も大きく、原材料高騰も加わり課題となっている。

 そこでホンダは、不純物が入っていながらも、自動車部品に使えるレベルの品質を担保できる限界点を見極める技術を開発。AIも駆使することで不純物の許容範囲を見極め、リサイクルアルミ材を活用する道を切り開いた。

不純物の含有量が多いと折り曲げた部分に亀裂が入ってしまうが、ホンダが不純物の限界量を管理している再生アルミ材は折り曲げても亀裂が入らず、品質が保たれている(右)
ホンダブースはノース会場N03なので、ぜひ足を運んでみてほしい