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メルセデス・ベンツ、“ソフトウェアによって進化していくフラグシップモデル”新型「Sクラス」発表会
ChatGPTやMicrosoft Bing、Google Geminiを統合した第4世代MBUX採用
2026年6月11日 17:20
- 2026年6月11日 開催
メルセデス・ベンツ日本は6月11日、フラグシップモデルである「Sクラス」の改良モデルを発表。同日、虎ノ門ヒルズステーションタワー(東京都港区虎ノ門)にある「TOKYO NODE HALL」で発表会を開催した。
まずは「S 450 d 4MATIC(ISG)」(1598万円)の受注から開始しており、9月以降に「S 580 4MATIC long(ISG)」(2365万円)の発表を控える。
車両全体の50%以上、約2700点の部品が新規開発または再設計され、モデル史上最大規模で改良が実施されたという新型Sクラス。もっとも注目なポイントは自社開発したオペレーションシステム「MB.OS」を搭載したことが挙げられる。
MB.OSはインフォテイメントから運転支援、ドライビングパフォーマンスに至るまで車両のさまざまな機能を統合し、より高速な処理性能とよりシームレスで統合されたユーザー体験を実現するというもの。メルセデス・ベンツ・インテリジェント・クラウドへの接続により、OTA(Over-The-Air)による無線アップデートを通じて多数の車両機能に対するソフトウェアアップデートを継続的に提供することを可能にしている。
また、第4世代のMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)を採用し、その中核にMB.OSを据えることでインフォテインメントの枠を超え、車両全体のインテリジェンスの向上を実現したという。これによりMBUXは単なる操作インターフェースではなく、すべての乗員に寄り添いながら学習し、応答し、体験を磨き続けるパートナーへと進化した。
第4世代MBUXではChatGPTやMicrosoft Bing、Google Geminiを統合し、複数ターンの自然な会話を可能にしており、短期記憶も備え、より直感的でパーソナルなデジタルアシスタントを実現した。また、Googleとメルセデス・ベンツが共同で開発した新しいMBUXナビゲーションや、車両および周辺環境の3Dビューと運転支援機能をシームレスに統合し、運転席ディスプレイにリアルタイムのルート案内を行なうといったことが可能になっている。
さらに新型Sクラスでは高度な処理能力を誇る高性能コンピューターに加え、10台の外部カメラ、5台のレーダーセンサー、12台の超音波センサーを搭載し、最先端の運転支援・駐車支援システムを実現。膨大なデータを用いて学習したAIアルゴリズムがセンサーデータを処理し、周囲の交通状況を高精度に把握する。標準装備の「MB.DRIVE」「MB.DRIVE ASSIST」にはディスタンスアシスト・ディストロニックに加え、ステアリングアシストやレーンチェンジアシストなどが含まれるという。
一方、パワートレーンはS 450 d 4MATICには新型6気筒クリーンディーゼルエンジン(OM 656 Evo)を搭載。将来の排出ガス規制に対応するために開発されたこのエンジンは、より迅速かつ効率的な排気後処理を実現するため、電気加熱式触媒コンバーターを量産車として初めて採用。さらに排出ガス再循環(EGR)、冷却システムおよびクランクケース換気システムの堅牢性を向上させることで、耐久性と効率性をさらに高めたという。
また、S 580 4MATIC longには8気筒ガソリンエンジン「M177 Evo」を搭載。最高出力395kW、最大トルク750Nmを発揮し、シームレスな出力特性とエネルギー回生、卓越したスムーズな走行を実現しながら最新の排出ガス規制基準と高い静粛性を両立。改良されたインジェクションシステムや吸気カムシャフト、最適化された吸排気ポート、新しい点火順序を採用したフラットプレーンクランク、さらにはコンプレッサーホイールとターボチャージャーハウジングの改良によって、より迅速かつ効率的なレスポンスを実現したとのこと。
いずれのエンジンも17kWのインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)が搭載される。
新型Sクラスはソフトウェアによって進化していくフラグシップモデル
発表会ではメルセデス・ベンツ日本 社長兼CEOのゲルティンガー剛氏、Sクラス開発責任者であるフランク・ヴンドラック氏に加え、先だってドイツで行なわれた新型Sクラス試乗会に参加したモータージャーナリストの清水和夫氏がゲストとして登壇した。
まずゲルティンガー剛社長は1886年の自動車誕生から140年の技術革新の歴史を振り返り、「Sクラスは常に時代の一歩先を行く革新的な車両」と述べるとともに、1978年のABS世界初採用、1980年の量販車初の運転席エアバッグ実用化、先代での世界初後席エアバッグ導入などの実績を紹介。
新型Sクラスについては車両全体の50%以上に当たる約2700の部品を新規開発または再設計したとアナウンス。最も重要な進化として自社開発したオペレーティングシステム「MB.OS」の搭載を挙げ、これによりインフォテイメント、車両制御、自動運転、ドライビング性能を1つの知的なシステムで統合することが可能になったと説明するとともに、「クルマがより賢くなり、より安全になり、そしてお客さま1人ひとりに最適な設定ができる。さらに私たちはソフトウェアだけではなく、お客さまのデータと信頼を守ることに強い責任を持っています。自社クラウドとMB.OSによって重要なデータインフラを自ら管理し、高いセキュリティと透明性を実現しています。私たちはこれをデジタルトラストと呼んでいます。AIやデータ活用が進む時代だからこそ技術への信頼が不可欠です。メルセデス・ベンツはその信頼を守りながら、本来のモビリティ社会、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)を創造していきます。Sクラスは常に未来を示してきました。そして新型Sクラスは単に完成されたクルマではありません。購入した瞬間が完成ではなく、ソフトウェアによって進化していくフラグシップです。私たちはこれからも次の当たり前を作り続けます。その未来を象徴する1台が新型Sクラスです」と紹介した。
一方、フランク・ヴンドラック氏は新型Sクラスが862件の特許に基づく革新により、単一のSクラス世代として過去最大の包括的アップデートを実現したと述べるとともに、MB.OSについて「MB.OSはクルマの神経系であり、Sクラスだけでなく将来の全てのメルセデス・ベンツに向けた次世代のデジタル基盤を表しています。これは完全に再設計された電子アーキテクチャです。すなわち、高速イーサネットで接続された強力なコンピューターのネットワークであり、クルマのあらゆるセンサー、制御ユニット、機能にアクセスすることができます。この先進的なネットワークにより、Sクラスはより速く考え、より賢く行動し、あらゆる瞬間に直感的な体験をもたらします。この卓越したコンピューティング性能により、MB.DRIVEはAIアルゴリズムによってリアルタイムの走行データを処理し、周囲の交通状況を瞬時に理解して、全ての移動にシームレスで直感的なサポートを提供します。メルセデス・ベンツ・インテリジェント・クラウドと接続されることで、皆さまのSクラスは時間とともにますます進化していきます。常に先を行き、常にセキュアであり続けるのです。それはシームレスに行なわれるOTAアップデートによって実現します。アップデートのために販売店を訪れる頻度も少なくなります。中断はありません。あるのは絶え間ない進化だけです」。
「そしてその知能はそのまま日々の体験へと直結します。標準装備のMBUXスーパースクリーンと最新世代のMBUXが、AIベースのバーチャルアシスタントを現実のものにします。MBUXバーチャルアシスタントは自然な言葉を理解します。つまり、皆さまは同僚や友人、あるいは家族に話しかけるのと同じようにクルマに話しかけることができます。それはChatGPT4.0とMicrosoft Bingによって支えられた短期記憶付きの複数ターン会話を可能にし、話題に応じてGoogle GeminiとChatGPTを切り替える知能も備えています。走行中も会話をシームレスに続けることができ、文脈を学習します」と説明する。
また、パワートレーンについては洗練された直列6気筒エンジンから新しいV型8気筒のパワフルなエンジンに至るまで、全てのバリエーションでSクラスならではの滑らかさを実現するよう設計したといい、「ガソリン仕様の直列6気筒『M256 EVO』(330kW/600Nm)はより大型化した電動補助コンプレッサーと改良された吸気システムにより、全回転域で高負荷時においてもラムダワン、つまり理想的な空燃比での燃焼を可能にします。ディーゼル仕様の直列6気筒『OM656 EVO』(270kW/750Nm)はより迅速で効率的な排気後処理のために電気加熱式触媒コンバーターを備えています」。
「ラインアップの頂点に位置するのが新しいV8の最新進化型『M177 EVO』です。より大型のターボチャージャーにより395kW、すなわち537馬力と750Nmのトルクを発揮します。しかし本当に重要なのはここです。それはこれまで以上に素早く応答し、これまで以上に滑らかにパワーを届けるということです。それはいくつもの技術的改良によるものです。2本のバランスシャフトと新しい点火順序を採用したフラットプレーンクランクシャフトにより、回転質量と内部振動を低減し、エンジンがより自由で軽やかに回転し、レスポンスを高めるとともに、よりダイレクトで洗練されたパワー供給を可能にします」と説明した。
これに加え、インテリジェントなダンパー調整が有効になると、それぞれのスピードバンプ直前で電子制御によるダンピングが調整されるAIRMATIC サスペンションについても紹介。このシステムは道路のくぼみのような短く鋭い路面の不規則な部分と、垂直方向の車体移動を引き起こす長いスピードバンプを区別し、後者では積極的なダンピング調整によって快適性を向上。スピードバンプは専用の車両センサーで検出され、メルセデス・ベンツ・インテリジェント クラウドに最大14日間保存される。この情報共有により、同じ場所に接近する他の車両がサスペンションを事前に調整することを可能にした。
インテリジェントダンパーコントロールはメルセデス・ベンツの自社開発となり、特許を取得。この減衰調整は他のメルセデス・ベンツ車両からのCar-to-X情報に基づいており、これらの車両はリアルタイムでメルセデス・ベンツ・インテリジェントクラウドにデータを送信する。他車のセンサーを活用することで車両自身のレーダーやカメラシステムのカバー範囲を大幅に拡大しているという(日本仕様では後日サービス開始予定)。
また、新型Sクラスに試乗したモータージャーナリストの清水和夫氏は、「外観があまり変わっていないのでどこがすごいのかと正直思ったのですが、乗ってみてやはり快適性、ロールをしないのに突き上げがないなど、人間で言うところの体幹が相当しっかりしたなという感じ。乗り込んでいくと、MB.OSのさまざまなAIエージェントのありがたさが分かってきます。今まで世界中の自動車メーカーが苦しんできたのはいわゆるドライバーのミスユースとか過信とかで、そういったところはメルセデス・ベンツが長年にわたって人間研究をしながら、いかにドライバーのミスをなくすかっていうところ、やっぱり中身がすごいなと思いました」と評価。
また、MB.OSについては「今まで高級車というのはパワーとか馬力で競争してきましたけども、たぶんこれからはIQで勝負することになる。だから電気なのかエンジンなのかという競争ではなくて、これからは知性が競争領域になるんだろうなっていうふうにこのクルマに乗って確信しました」などと述べた。

















