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日産の4代目に進化した「エルグランド」を開発陣が詳説 こだわりの凝縮した新世代プレミアムミニバンの狙いとは?

2026年7月16日 発売
X e-4ORCE:689万7000円
G e-4ORCE:757万9000円
新型エルグランドに関する説明会が実施された

16年ぶりにモデルチェンジした4代目「エルグランド」が登場

 日産自動車は、7月16日の新型「エルグランド」の発売に先駆けて、事前説明会を実施した。登壇したのは、商品事業企画部 チーフプロダクトスペシャリストの中村智志氏、グローバルデザイン本部 第二プロダクトデザイン部 プログラムデザインダイレクターの入江慎一郎氏、第一製品開発部 統括グループ チーフビークルエンジニアの一野健人氏、日本マーケティング部 チーフマーケティングマネージャーオフィス チーフマーケティングマネージャーの柴田亮氏の4名。

 中村氏は“エルグランド”について、「日産のラインアップの中でも、29年という長い歴史を持つブランドです。1997年当時のMPV(Multi Purpose Vehicle=ミニバン)は、乗用車をベースに顔を変えただけで、キャビンは広いけれど、乗り味やハンドリングはやはり乗用車ベースのレベルでした。そんな中で初代エルグランドは、乗用車のプラットフォーム、しかもFR、そしてV型6気筒の3.3リッターエンジンを積むことで、運転していて楽しくて、乗員が快適なクルマで、“プレミアムミニバン”というカテゴリーを作ったパイオニアです。この運転する楽しさは、エルグランドの代名詞、DNAになり、2代目、3代目としっかりと引き継がれています」とブランドの歴史を振り返った。

エルグランドの歴史

 続けて、「しかし日本のマーケットの現状は“後席の方が主人公”という新しい価値のクルマが世の中を席巻している状況です。このマーケットの中で、われわれは4代目を開発するにあたり、このセグメントの実オーナー、このセグメントを買おうと思っている人、ビジネスで使っているオーナーなど、いろいろなユーザーにインタビューをしてきました。その結果『後席の快適性はすごくうれしいけれど、ミニバンでも運転する楽しさを諦めたくない』と感じている人がとても多くいて、“運転する楽しさ”というニーズがまだ満たされてないことが分かりました」とマーケティングの結果を紹介した。

新型エルグランドの商品コンセプト

 また中村氏は、「エルグランドの武器は、やはり運転する楽しさにありますので、日産ならこの大きなニーズを組んだ、すごくいいモデルを提供できるのではないか? そしてプレミアムミニバンの新しいスタンダードを作れるのではないか? と考え、新型エルグランドの商品コンセプトを“リミットレス・グランド・ツアラー”として開発を進めてきました。家族や友人との旅行で500km~600km走っても、全員が楽しい、快適、まだ乗っていたいと思う、そんな体験ができるクルマを作りたかったし、今回そういうクルマができました」と、開発にかける思いを語った。

日産自動車株式会社 商品事業企画部 チーフプロダクトスペシャリスト 中村智志氏

 新型エルグランドの魅力については、「デザイン」「乗り心地」「運転する楽しさ」の3つを挙げ、新しいラグジュアリーデザインを表現した唯一無二のデザインであると紹介。乗り心地に関しては、広さ、静かさ、シートの座り心地まで、考え抜かれた素晴らしいパフォーマンスに仕上がっているとアピール。また、運転する楽しさは乗員の快適性と相反する要素だが、日産に誇る技術、e-POWER、e-4ORCE、インテリジェント・ダイナミック・サスペンションを使うことで、2つの要素を高次元でバランスさせることができたと強調した。

新型エルグランドのグレード構成

 グレード構成については、e-POWER、e-4ORCE、インテリジェント・ダイナミック・サスペンションを備えながら、シートヒーター、12.3インチのデュアルインフォテインメントシステムを搭載し、合皮で少しダークな内装のエントリーグレードとなる「X e-4ORCE」。そして、テイラーフィット素材をシートに使いつつ、“銀雪(ギンセツ)”と“紫檀(シタン)”という色味の異なるカラフルな内装色と、14.3インチのデュアルインフォテインメントシステムも備えた上級グレードの「G e-4ORCE」の2種類であると説明を終えた。

デザインコンセプトは「THE PRIVATE MAGLEV」

新型エルグランドのデザインスケッチ

 続いてグローバルデザイン本部 第二プロダクトデザイン部 プログラムデザインダイレクターの入江慎一郎氏が登壇。デザインコンセプトは、リニアなスピード感と静粛性を融合させた「THE PRIVATE MAGLEV」で、どこから見てもシャープでスタンスのよい佇まいを実現したと紹介。

日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部 第二プロダクトデザイン部 プログラムデザインダイレクター 入江慎一郎氏

 また、リアエンドの“く”の字に折り曲がったシルエット(Dシェイプ)については、「スピード感を大事にしたデザインで、新型エルグランドが走り去った後も、ルーフの長さも相まって余韻が残る感じをイメージした」と入江氏。フロントグリルは日本の伝統工芸である“組子”をあしらったデザインを採用し、クロームメッキを一切使わずに圧倒的な存在感を演出している。

インテリアはプライベートラウンジのような空間に仕上げている

 インテリアは水平基調で、2枚の大型ディスプレイで先進性とハイテク感を演出。64色から選べるアンビエントライトを室内に通すことで、大人のコンフォートなプライベートラウンジ的な空間に仕上げている。また、グランドツーリングに最適なシート素材とデザインに加え、全席にゼログラビティシートを採用。よりくつろげるオットマンは2列目だけでなく助手席にも備えた。

全席ゼログラビティシートを採用

 ボディカラーは、富士の黎明な一瞬を切り取った自然美を表現した「FUJI DAWN(フジドーン)」と、日本で古来より高貴さや格式の高さを象徴する色から着想した「至極(シゴク)」を新色として採用。この新色2つを組み合わせたプレミアム2トーンについて入江氏は、「ボディサイドのドアにかかるカラーブレイクラインを、ヘッドライトからテールランプまで一直線でつなぐことで、スピード感と伸びやかなシルエットを演出している」と説明。また、モノトーンカラーは、「至極(シゴク)」「プリズムホワイト」「ダークメタルグレー」「ミッドナイトブラック」の4種類の設定となる。

ボディカラーは全5色を設定

 内装色は、上位グレードのG e-4ORCEには、日本の美意識に息づく、気高さを象徴する紫と青があしらい目から高級感を感じられる「紫檀(シタン)」と、薄明の空が雪を染める美しさを表現し、日本らしい色合いとした「銀雪(ギンセツ)」を設定。エントリーグレードのX e-4ORCEには、とても濃く青味がかった黒を採用し、凛としたイメージを表現した「ダーク」を設定。

内装色は全3色

進化したパワートレーンによる極上の走り

 第一製品開発部 統括グループ チーフビークルエンジニアの一野健人氏は、新型エルグランドに関する技術のアップデートを解説。商品コンセプトである「リミットレス・グランド・ツアラー」と、デザインコンセプトである「THE PRIVATE MAGLEV」を両立させるためには、「疲れなくて走りやすい乗り味を追求してきました」と説明。

日産自動車株式会社 第一製品開発部 統括グループ チーフビークルエンジニア 一野健人氏

 具体的には、全長を30mm、全幅を45mm、全高を160mm拡大したことで、安定したグランドツーリング性能と、たっぷりとした居住空間を両立。シートの着座位置を前から後ろにかけて少しずつ上げていくシアターレイアウトを作用し、疲れにくく開放感のある乗員環境を実現している。

究極のくつろぎ空間を実現

 また、有効室内長も先代モデルから137mm拡張したほか、2列目シートは新設計の電動デュアルリクライニング・オットマンを装備。前後のスライド以外はすべて電動化しつつ、シートヒーターのボタンやスマホホルダー、充電ポートなどもシート自体に装備することで、どの位置でも快適装備を利用できる。さらに、シートを倒せば筋肉への負担を抑え、自然な姿勢をサポートしてくれるという。

クラストップの広い室内空間
究極のリラックスシートを装備

 そのほかにも、今回e-POWERを搭載したことで、大電力を扱うPTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)素子を用いた加熱システムと、従来のエアコン、さらにステアリングヒーター、シートヒーターを協調制御することで、車室内空間の素早い温めを可能にした。これにより外気温-20℃の環境でも、12.5分で室内を25℃まで上昇できるようになっている。

室内の温めも素早い

 ルーフスピーカー4個を含めた全22個のスピーカーで構成された「BOSE 3Dサラウンドサウンドシステム」により、臨場感あふれる3D音場を実現。また、G e-4ORCEのみだが、国内ミニバン初となる「シートバックパーソナルリアモニター」を設定した。

BOSE 3Dサラウンドサウンドシステムを搭載

 パワートレーンについて一野氏は、「第3世代のe-POWER、進化したe-4ORCE、ミニバン初搭載となるインテリジェントダイナミックサスペンションを採用したことで、極上の快適性と運転の楽しさ、さらに滑りやすい雪道での安心感も手に入れた」と紹介。また、先代よりもアイポイントが76mm高くなったことで視界が広くなったことと、全幅が45mm広がっているが、最小回転半径は5.8mとボディサイズの割には扱いやすいと説明。

走りと乗り心地の革新
威厳をまとう格上の運転間隔

 第3世代へと進化したe-POWERについて一野氏は、「先代エルグランドよりも、アクセルを踏み込んだ際の加速Gが素早く立ち上がり、なおかつ垂れることなく滑らかに持続することで気持ちいい加速を実現しました。その秘訣は1.5リッターの発電特化型ターボエンジンと、最大トルク330Nmを発生するフロントモーターと、最大トルク195Nmを発生するリアモーターとのバランスのよい制御によるもので、WLTC燃費も先代の9.7km/Lから16.8km/Lと大幅に改善しました」と進化の大きさを強調。

第3世代e-POWERの概要

 静粛性も大幅に向上していて、5-in-1となった第3世代e-POWERはもちろんのこと、エンジン音とロードノイズを高精度に検知して、逆位相の周波数を出すことで打ち消す日産では初搭載となる新世代アクティブノイズコントロール。さらに高性能な遮音ガラスをフロント、1列目ドア、2列目ドアに採用し、そのほかにも、ボディへの吸音材や遮音材の施工部位を増すことで、高い静粛性を実現。「他社のミニバンと比較して全開加速時に5db低い」といい、「iPhoneのボリュームなら3段階ほどの違いがある」と一野氏は静かさをアピールした。

圧倒的な静粛性

 e-4ORCEは、前後のトルク配分を制御し、加減速時でもフラットな乗り心地を実現。また、インテリジェントダイナミックサスペンションは。小さな段差でも大きな段差でも、路面に合わせた極上の乗り心地を実現。また、停止時に0.5G以下であれば揺り返しを抑えてくれるスムースストップ制御も備えた。

極上の乗り心地

 グランドツーリングを実現するために欠かせないのが「プロパイロット」で、特に新型エルグランドでは、「プロパイロット+ナビリンク」が進化していて、時速50km以下での渋滞時のハンズオフ走行が可能となったほか、ウインカーを出すとシステムが車線変更を支援してくれる機能を追加。レーンキープ性能も向上しているという。

 また、使い勝手についても、複数車線のメーター表示やワンプッシュで稼働できるシステム、車間距離設定も従来の3段階から4段階へと増え、さらなる利便性を追求している。なお、上位グレードG e-4ORCEは「プロパイロット+ナビリンク」を標準装備とし、エントリーグレードX e-4ORCEは「プロパイロット」を標準装備。「プロパイロット2.0」はG e-4ORCEへのオプション設定となっている。

プロパイロットの進化

新型エルグランドにぜひ乗ってほしいユーザー

 最後に日本マーケティング部 チーフマーケティングマネージャーオフィス チーフマーケティングマネージャーの柴田亮氏は、新型エルグランドのターゲット層について、「経験からくる知識を大切にし、一生における瞬間瞬間を楽しみたい人たち」と説明。

日産自動車株式会社 日本マーケティング部 チーフマーケティングマネージャーオフィス チーフマーケティングマネージャー 柴田亮氏

「人生の質を向上させるためにも自由、柔軟でありたい」「物事を決めるうえで自分の経験によって築き上げられた判断基準で選びたい」「背景にある意味や歴史、醸し出すストーリーを楽しみたい」といった価値観を持った人物像で、「クルマに乗ることが楽しい時間であってほしい」「家族や友人と旅行にでかけて、かけがえのない時間を過ごしたい」など、クルマへ抱く期待感なども解説した。

ターゲットカスタマーインサイトの深堀

 続けて柴田氏は、「バブル経済時代のような、高級志向の勝ち組といった価値観ではなく、本当にいいものを自分を充足させるために選び、見せびらかすためではなく、自分で優れていると感じたものを選びたいといった感覚を持つユーザーにぜひ乗っていただきたい」と思いを語った。

 また、X e-4ORCEとG e-4ORCEといった基準モデル以外にも、より上質で豪華な装備を求めるユーザー向けの「VIP」、プレミアムスポーティを求めるユーザー向けの「AUTECH(オーテック)」、さりげない個性を求めるユーザー向けの「AUTECH LINE(オーテックライン)」、より上質なおもてなし装備を求めるユーザー向けの「ステップタイプ」など、幅広いニーズをカバーできる豊富なラインアップがあると説明を締めくくった。

新型エルグランドの豊富なラインアップ
新型エルグランド「VIP」
新型エルグランド「AUTECH」
新型エルグランド「AUTECH LINE」
新型エルグランド「ステップタイプ」