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「アジアクロスカントリーラリー2026」優勝のチーム三菱ラリーアートが帰国会見 2027年は新型「パジェロ」で3連覇を目指す?

田口勝彦/保井隆宏ペアと増岡浩総監督がレースを振り返る

2026年8月18日 開催
AXCR2026で2年連続の総合優勝を果たしたチーム三菱ラリーアートが帰国会見に臨んだ

 三菱自動車工業は8月18日、タイで開催された「アジアクロスカントリーラリー2026(AXCR2026)」(現地時間:8月9日~15日開催)で総合優勝した「チーム三菱ラリーアート」の田口勝彦/保井隆宏ペア(106号車)、総監督の増岡浩氏が参加する帰国会見を開催した。

 2025年に続き総合優勝を獲得したチーム三菱ラリーアート。AXCRにおいて日本人のドライバー、コドライバーによる総合優勝は初の快挙であり、会見に出席した3名は帰国直後ながら笑顔で臨んだ。

 AXCR2026にはピックアップトラック「トライトン」(T1仕様=改造クロスカントリー車両)の3台体制で参戦。大会の総走行距離は2145.19km、競技区間は921.80km(コース変更により短縮)となり、パタヤをスタートし、プラーチーンブリー、ナコーンサワン、カンペーンペット、ピッサヌロークなどを巡る全6レグで構成。スコールによる水没路面や軍演習場での距離短縮、入り組んだ農道でのナビゲーション、岩場や溝など横転のおそれがあるといった過酷な環境下で行なわれた。

 優勝した田口選手はレグ1で3番手につけると、レグ3でSSトップタイムを記録して総合首位に浮上。最終レグまで後続とのタイム差をコントロールし、2分25秒差となる12時間58分20秒で初優勝を飾った。

三菱自動車工業株式会社 代表執行役副社長 五十嵐京矢氏

 帰国会見では三菱自動車工業 代表執行役副社長の五十嵐京矢氏がチームを迎え入れ、AXCR2026においてチーム三菱ラリーアートが2連覇を達成したこと、さらに田口選手・保井選手が大会31回目にして初めて日本人ペアとして総合優勝を果たしたことを報告し、「AXCRは高温多湿な気候の中で、山岳あるいは密林を中心とした過酷なオフロードコース、こういったところで行なわれております。今年は1週間で約2000km走破され、非常に狭いコース、あるいは木々が生い茂ってミスコースしやすいステージということでありまして、今回磨き上げたトライトンのハンドリング、これの効果が出たのかなと思います。ダカールラリーとAXCRはタイプは異なりますが同じ過酷なレースだとわれわれは認識しています。チーム三菱ラリーアートに関わる皆さんの高い技術力、そして卓越したチームワーク、あくなき情熱によるすばらしい勝利だと感じております。このチーム三菱ラリーアートの活躍を、三菱自動車としても心より誇りに思っております」とコメント。

 さらに今年度の投入予告がされている新型「パジェロ」についても言及し、「三菱自動車としての新たな挑戦が始まります。レースのスタート前に増岡総監督から『このレースはどうしても勝って、パジェロの発表・発売に花を添えたい』と熱く言われ、それをまさに成し遂げていただいたということで三菱自動車を代表してチーム三菱ラリーアートの皆さんに改めてお礼を申し上げたいと思います」と述べた。

「チーム三菱ラリーアート」総監督の増岡浩氏

 増岡総監督は、2026年のAXCRはとにかく勝つという強い信念をもって大会に臨んだといい、「大会31回目にして日本人ペアとして初優勝という結果がついて、こんなにうれしいことはございません。今年で5回目の参戦だったんですけれども、5戦3勝ということで、安定した結果が残せているのは本当にチームスタッフ、メカニック、そしてエンジニア、みんなのチームワークのおかげだと思っております」と報告。

 また、「田口くんが最初にトップに立ったレグ3では、2位との差が8秒。レグ3から首位をキープし、レグ6で最終的に2分20秒ぐらいですかね、非常に今年は接近している戦いでした。やはりトヨタさん、いすゞさんの追い上げと走りは本当にわれわれにとって脅威ですし、上位でミスがなかったのはこのグループ。今年は日本人初のペア優勝ということになりましたが、ナビゲーションが特に難しくてですね、非常に狭いジャングルの中にコマ図がたくさんあって、どこを曲がっていいのか10m単位でコントロールしなければいけない。そういう狭いところでの保井ナビの指示が今回大当たりした。毎日震えが止まらないぐらい興奮していました」とレースについても振り返るとともに、「ちょっとまだ気が早いんですけど、言っちゃっていいかな? 今年の秋、三菱自動車を代表する新型パジェロが発表、発売になりますけども、ぜひ来年は3連覇をパジェロで達成したいという大きな夢と目標を持っているので、ご期待いただければと思います」と2027年のAXCRに向けた抱負を述べた。

ドライバーを務めた田口勝彦選手

 一方、ドライバーを務めた田口選手は「よく『勝因は?』とか『作戦は?』と聞かれるのですが、今回はもうすべてがうまくいったということ。これはクルマの基本性能が上がり、サスペンションをチューニングしてわれわれスピードラリー出身のドライバーがより攻められる、意のままに操れるようなクルマになりました。川渡りや低速コーナーで速く走れるようにエンジンの改良をし、そこが一番大きかったのではないかと思います」と振り返る。

 また、ミスコースをするとすべてが台無しになるということで、ドライバーとしてはゆっくり走りたくないが今回はミスコースしそうなところで「心を鬼にしてスピードダウンした」という。加えてパンクにもかなり気を使ったといい、「タイヤ1本分でも外に行ってしまうと、知らない道を走っていきますのでパンクリスクが上がります。岩場などは特にパンクリスクが上がります。実際、パンクしていないのはわれわれともう1台くらいしかいない。その作戦が良かった」とも述べた。

コドライバーを務めた保井隆宏選手

 コドライバーの保井選手は、今回クルマが速くなった分、ナビゲーションの速度も上げていかなければならなかったのが大変だったと振り返りつつ、「田口さんがラフなセクションとかパンクのリスクがあるところ、あとジャングルとかでミスコースしやすいセクションでちゃんと抑えて走り、ハイスピードのところで稼ぐという、そういうメリハリのある走りをしてくれた」ことが勝利への鍵になったと報告。「レグ3でトップに立ってからは全くミスができない状況で、毎晩毎晩、緊張とプレッシャーから泣いていたんですけれども、本当に勝ててよかったなと思っています」と、心境についても語った。

 なお、質疑応答で両選手に「4年間の参戦で最も大変だったこと・印象的だったこと」を尋ねる質問があった。田口選手は初年度(8位)に大量のミスコースをしてジャングルの中で現在地を見失い、2km先の土煙を頼りに進もうとした経験を挙げた。その後、12月にプライベートでタイに戻り、チームメートであるチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォンペアの協力を得てミスコースの原因を分析し、GPSの誤差問題も把握したことで翌年以降の成績向上につながったと述べた。

 保井選手も初年度を挙げ、ジャングルの中でどこにいるか分からなくなり、チームメートから「路面の色を見れば分かる」と言われても全部同じに見えた経験について語り、これが日本人が31年間勝てなかった理由と分析。土地勘のある人でないと分からないポイントが要所にあり、それが少しずつ分かるようになってからタイムが出てミスも減ったと振り返った。

花束の贈呈も行なわれた