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ホンダ、日本一高いビルの建設現場で行なう交換式バッテリ共有の実証事業に関する取材会開催
2026年8月21日 13:49
- 2026年8月20日 開催
本田技研工業は、2050年にすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指しており、それに向けた取り組みの1つとして、交換式バッテリ「Honda Mobile Power Pack e:(ホンダ モバイルパワーパック イー)」を活用した電動モビリティの普及拡大を図るほか、パワープロダクツにおける電動製品のラインアップ拡充に取り組んでいる。
また、東京都では「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、2035年までに都内で新車販売される二輪車を100%非ガソリン化することを目指して、EVバイクへの購入支援などを行なっている。
こうした背景を踏まえてホンダは2026年8月20日から、東京都および建機レンタル事業を行なうカナモトとともに、モバイルパワーパック イーを活用した建設現場の電動化と、複数の電動機器間での交換式バッテリ共有化の実用性を検証する「令和8年度規格型バッテリ活用機械導入促進事業」と呼ぶ実証事業を開始。東京都千代田区大手町に建設中の「Torch Tower(トーチタワー)」で実施される。なお、Torch Towerは事業者が三菱地所、設計監理は三菱地所設計、施工は清水建設が担当している。
実証事業が始まる8月20日には、Torch Towerでキックオフイベントおよびメディア取材会が開催された。
キックオフイベントでは関係先の代表者があいさつを行なった。初めに登壇したのは、東京都 産業労働局長の吉村恵一氏。吉村氏からは東京都が進める「ゼロエミッション東京」に関する話が語られた。まずは現在の中東情勢からエネルギーの安定供給が改めて課題となっていることについて触れ、「これは一過性のものではなく、構造的な危機をどう乗り越えていくか、エネルギーの構造変化をいっそう加速させることが重要だと考えています」と語った。
続けて「今後は石油のみに頼らない社会の実現に向けてZEVの普及を進めていきたいというところでございます。東京都では2050年のゼロエミッションに向けて、2035年までに都内で新車販売されるバイクを100%非ガソリン化することを目標に掲げています。そのため、EVバイク導入支援などを行なっています。そのための官と民が一丸となって進める実証事業が今回のものです。この中で使用するバッテリは、EVバイクでも使用できる共通仕様の交換式バッテリです。この事業では工事現場において、EVバイクと電動機器の双方で利用できる交換式バッテリを共有する国内初の取り組みとなります。交換式バッテリの活用シーンを広げることで、バッテリシェアリングサービスの拡大やこれに対応したEVバイクのラインアップの充実につなげていきたいと考えております」とあいさつした。
続いて登壇したのは、本田技研工業の一瀬新氏。一瀬氏は「ホンダは2050年にすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指しております。その実現に向けて、私たちの製品そのものの電動化に加えて、エネルギーをより便利に効率的に利用できる取り組みを行なうことが重要だと考えています。モバイルパワーパック イーはEVバイクだけでなく、さまざまな機器で共通利用できることが大きな特徴です。1つのバッテリを複数の機器で利用できれば、利用者の利便性向上はもちろん、バッテリの有効活用や電動化普及にもつながり、持続可能な社会の実現に貢献できると考えております」とモバイルパワーパック イーの利点と製品がもたらす可能性について紹介した。
また、先日の熊本の震災でも、モバイルパワーパック イーが重要電源として活用されたことや、今月に公表された国土交通省、経済産業省の医療機器向け給電活用マニュアルにも、電流波形に優れたモバイルパワーパック イーが採用されたことを付け加えた。
そして、最後に「東京を代表する大規模建設現場において、さまざまな電動機器で交換式バッテリの有効性や利便性を検証してまいります。交換式バッテリを活用した新たなエネルギー利用の仕組みを社会に実装していくための重要な一歩であると考えています。今後は現場で働く方々の声をしっかり受け止めながら、より利用しやすい仕組みの実現を目指し、本実証事業を通じて得られた知見を今後の製品サービスの進化につなげて、交換式バッテリの社会実装に貢献していきたいと考えています」と結んだ。
施工を請け負っている清水建設の代表として登壇した仲林清文氏は「そもそも建築事業は、危険で環境にも優しくないというイメージを持たれている方もまだまだ多いと思います。そういった中で、竣工すると日本一となるTorch Towerを施工するわれわれとしては、この機会に建築のイメージを革新するといった大事な社会使命も持っていると思っています」と切り出した。
仲林氏によると建築機械では現場に設置した後、それぞれの機器と有線で配線をするとのことだが、その配線をすることがそもそも手間であり、足下などに取り回すことが作業員の移動の際に危険なものとなることがあるという。
それに対して、交換式バッテリが電源として使用できると現場内の配線が減らせることになるので、安全向上に寄与できるものと期待していると語った。
EVバイク・交換式バッテリについて
今回の実証事業の建築現場で使用されるEVバイクおよびモバイルパワーパック イーについて、ホンダの二輪・パワープロダクツ事業本部 パワープロダクツ事業統括部 事業企画部 電動商品企画課 課長の井上美智代氏が解説した。
「モバイルパワーパック イーは電動バイクや小型モビリティなどさまざまな電動製品に電力を供給する交換可能なバッテリとなっています。充電ではなく交換をしていくことで、必要な場所で連続して使うことができるようになります。われわれホンダは人々の暮らしがクリーンで、安全なエネルギーで満たされる世界を目指しています。そのためにさまざまな製品で使用できるエネルギープラットフォームとして、モバイルパワーパック イーの活用を進めていくものです。製品の特徴についてはいくつかございますが、1つ目が着脱可能でマルチユースという点です。交換式なので連続使用が可能となっています。また、1つのバッテリを複数の製品で使用することができます。2つ目が信頼性と耐久性に優れていて、振動や衝撃に対しての強さもあります。また、バッテリの熱に対するマネジメントも行なうことで、安定した性能を長期間維持するものとなっています。さらに充電の頻度や利用状況、劣化の状態などが記録できるので、その先のサービスの向上に貢献できるものと考えております」と製品の概要を説明。
電動バイクのほかにモバイルパワーパック イーの採用は建築関連機器にも広がっている。従来では、エンジンを使っていた機械に対しても、電動パワーユニットに置き換えるような開発も行ない、それらの電源としてモバイルパワーパック イーが使われているのだ。建築関連機器での電動化は排出ガスが出ないことで、屋内での作業や換気のよくないトンネル工事などに向いているほか、都市部での夜間道路工事や住宅工事などでも騒音問題の解決となる。さらに、低振動や低騒音は作業員の保護にもつながると説明された。
EVバイクと電動機器のバッテリ共用によるゼロエミッションに向けた運用モデル実証について
実証事業の概要はカナモトの特需営業部 課長代理の斉藤朝子氏から説明された。斉藤氏は「この事業はホンダのモバイルパワーパック イーを建設現場で運用して、EVバイクと各種電動機械で共有するモデルを実証するものです。狙いは3つあり、モビリティ以外の運用拡大、バッテリインフラの普及、そして電動製品の導入障壁を低減することです。これによりEVバイクの普及を後押しし、ゼロエミッション東京の実現の足がかりといたします。実証フィールドは大手町2丁目の常盤橋地区で、日本一高いビルとなるTorch Towerの建設現場でございます」と説明した。
斉藤氏は最後に「この実証の要となるのが充電状況と稼働状況の分析です。74個のバッテリを現場でどう充電して、どう回していくのか、実用運転状況での消費電力と充電頻度などを可視化することで、必要なバッテリの数や充電の回数、CO2削減効果を定量的に算出していきます。交換式バッテリならではの運用モデルを導き出し、得られた知見は業界全体に共有してまいります。Torch Towerから東京発のモデルを作ります。EVバイクと電動機械をつなぐ共通バッテリプラットフォームの先行モデルとして検証と実績を積み上げてまいります。全国の建設現場へ、さらには農業や災害時の避難場所など、多様な分野へ活用を広げてまいります」と意気込みを語った。

























