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ホンダ、高出力モデル3機種が登場した電動パワーユニット「eGXシリーズ」技術説明会

「国際 建設・測量展(CSPI 2026)」で世界初公開

2026年6月15日 発表
幕張メッセで開催されている「第8回 国際 建設・測量展(CSPI 2026)」で、業務用作業機向け電動パワーユニット「eGX」シリーズの高出力モデル3機種を世界初公開。報道向けの技術説明会を開催した

 本田技研工業は幕張メッセで開催されている「第8回 国際 建設・測量展(CSPI 2026)」に初出展し、交換式バッテリを採用する業務用作業機向け電動パワーユニット「eGXシリーズ」の高出力モデル3機種を世界初公開。2026年秋から供給を開始すると発表した。

 本稿ではeGXシリーズに新たに追加された「GXE4.0D」「GXE6.0D」「GXE9.0D」について、開発者による技術説明会の内容を紹介していく。

CSPI 2026のホンダブース。展示ホール5のNo.15-41にある。世界初公開の電動パワーユニット「eGX」新モデルのほか、日本初公開の汎用エンジン「iGX430 FI」も提示。CSPI 2026は6月20日まで開催される。6月19日まではビジネスデイで、土曜日の20日は一般開放となる。入場は無料だが事前登録制

 eGXシリーズに追加されたのは「GXE4.0D」「GXE6.0D」「GXE9.0D」の3モデル。eGXシリーズは2021年に発売されたもので、最大出力1.8kWの電動パワーユニットとして、これまで多くの作業機器メーカーで小型作業機を中心に採用されてきた。

 パワーユニットを電動化した作業機は、換気が困難な場所や住宅地、夜間の工事現場など、騒音や排出ガスへの配慮が求められる現場に向いており、使い勝手に関してもガソリンエンジンと比べて始動操作が容易なことや、日常的な整備や消耗品交換などのメンテナンス作業の負荷が軽減されるといったメリットがある。

 その一方で、高い出力が求められる作業機では出力が不足していたため、現場によってはエンジンのパワーユニットが採用されていたが、今回、高出力化された「eGX」新モデルによって、電動パワーユニットが使用できるシーンが広がった。

 新モデルのスペックを紹介していく。

「GXE4.0D」は連続定格出力2.1kW/3600rpm、最大出力3.7kW/3600rpm、最大トルク16.0Nm/1500rpm。モーター重量は12.6kg。

「GXE6.0D」は連続定格出力3.8kW/3600rpm、最大出力6.0kW/3600rpm、最大トルク22.0Nm/2000rpm。モーター重量は12.9kg。

「GXE9.0D」は連続定格出力7.0kW/3600rpm、最大出力8.7kW/3600rpm、最大トルク49.0Nm/1000rpm。モーター重量は16.9kg。

 なお、すべてのモデルで使用するバッテリは交換式の「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」で、「GXE4.0D」は1個、「GXE6.0D」「GXE9.0D」は2個と、モデルによって使用する数が違ってくる。

世界初公開の電動パワーユニット「eGX」新モデルの概要
電動パワーユニット「GXE4.0D」。価格はOEM先との供給内容ごとに異なる
電動パワーユニット「GXE6.0D」。価格はOEM先との供給内容ごとに異なる
電動パワーユニット「GXE9.0D」。価格はOEM先との供給内容ごとに異なる
ホンダの交換式バッテリ「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」を使用。真ん中と左側はバッテリケース
モバイルパワーパックイーの関連製品も展示されている。モバイルパワーパックイーの定格容量は26.1Ah。定格電力量は1314Wh
ホンダブースの展示物も紹介していく。コンセプトとして展示された日本初公開の汎用エンジン「iGX430 FI」(右)
こちらはバッテリのシェアリングサービス。ホンダの2輪と技術を共用する。
モバイルパワーパックのシェアリング事業者「ガチャコ」のPRも行なっていた
電動カートの展示。従来品の電動パワーユニットを搭載する。電動カートは排出ガスがないので、屋内コースでの利用に適している。また、小さい子供がモータースポーツを始めるきっかけになるので、その視点からも排出ガスがない電動カートの注目が高まっているそうだ
エンジンの代わりに電動パワーユニットを搭載する
バッテリは左右に2つ搭載する。容量を稼ぐためのものでもあるが、重量配分的な視点からの構造でもあるそうだ
ホンダのパワーユニットを搭載する他社製品も展示されている。これはコマツのマイクロショベル
こちらは道路標示用ライン施工機。市街地や学校、病院周辺、夜間など、騒音対策が強く求められる。現場での施工環境を改善するもの。メーカーは岳南光機

パワーユニット事業のこれからと製品の紹介

 今回、会場で行なわれた電動パワーユニット「eGXシリーズ」を紹介する取材会に出席したのは、本田技研工業 パワープロダクツ事業統括部 事業企画部 部長の田淵陽之氏、同 eGX営業責任者の高橋基尚氏、同 eGX開発責任者の德備広太氏の3名だ。

本田技研工業株式会社 パワープロダクツ事業統括部 事業企画部 部長の田淵陽之氏

 まずは田淵氏の話から。ホンダは長年にわたり業務用作業機メーカー向けに汎用エンジンなどの動力源を提供する「パワープロダクツ事業」を展開している。

 この事業は「役立つ喜び もっと拡げたい」をスローガンにするもので、ホンダのエンジンづくりの技術を活用して、世界中のさまざまなユーザーに対して小型の汎用エンジンを動力源とした製品群を生産・販売し、電動製品もラインアップに加えながら、より幅広いニーズに応えられるよう事業を進めるものとなる。

 一方で、ホンダの自社ブランド製品も販売している。そして製品によってはパワーユニットを供給している先のメーカーの製品と市場では競合することもあるという。これは外から見ると不思議に思う部分もあるが、ホンダ単独ではなく、ホンダのエンジンを搭載した製品が増えていくことで、結果的により多くのユーザーの役に立てると考えているからである。これは前述したスローガンそのものであり、創業者の本田宗一郎氏の残した「技術は人に奉仕するためにある。人を幸せにできるならホンダの持っている技術は惜しみなく使え」といった言葉を大切にしているからと説明された。

パワープロダクツ事業について。「役立つ喜び もっと拡げたい」をスローガンに製品の生産や販売を行なっている
一般向けに販売する自社ブランドの完成機もあるが、販売の比率では他のメーカーへのパワーユニット供給が主流
自社製品と供給先製品と市場で競合することもあるが、ホンダのエンジンを搭載する製品が増えることが、結果として人の役に立つと考えている
パワーユニットを販売する際は相手方の仕様がホンダの要件を満たせるかを事前にテスト。不合格の場合はアドバイス、調整を行なう
パワーユニット事業の方向性について
電動パワーユニットは建設業界における脱炭素に貢献していくものとなる

ショベルやローラーへの搭載が視野に入る製品

eGX営業責任者の高橋基尚氏

 続いてeGX営業責任者の高橋基尚氏が登壇。高橋氏からは製品の特徴が紹介された。それによるとeGXはGXエンジンで培ってきた信頼性や耐久性を踏襲しつつ、高負荷が必要となる建設業界でも耐えるものとして位置づけるものであるとのこと。

 スペックは前述しているが、4.0kW、6.0kW、9.0kWの展開となる。搭載バッテリはモバイルパワーパックイーが使用される。これによりショベルやローラーといった機器への搭載が視野に入る製品となっている。

 eGXを提供する市場としては、日本を皮切りに世界へという道筋がある。世界的に見ると、環境規制が緩和傾向にあるが、将来的にはニーズが発生すると考えており、海外では北米、欧州を中心に展開を進めていくとのことだ。

日本を皮切りに海外への展開をしている。日本では建機市場を中心に電動パワーユニットの普及を目指している
eGXを導入することで得られるメリットについて
現在のeGX製品の広がりについて
夜間や住宅地など騒音が気になる場所での作業や、換気に制限がある現場では、作業者の負担を大きく減らすものとなる

出力特性やサイズなどエンジン式との互換性を確保

eGX開発責任者の德備広太氏

 最後はeGX開発責任者の德備氏から開発コンセプトや製品特徴が紹介された。開発コンセプトは「Expand Evolution(ひろげる 進化)」というもの。エンジン式では、制限があった作業現場であっても、便利な作業機が使える環境を作り出すことを示したものだ。

 eGXシリーズは従来のGXエンジンを搭載した完成機への搭載変更を容易にするために、出力特性の面ではGXエンジンの出力帯をカバーする出力曲線としている。取り付け互換性を持たせるために、取り付けフランジやマウントのピッチ、シャフトの径などを同一のものとしているほか、本体の小型化も行なっている。

 また、交換式バッテリを用いることで、連続で作業する場合は給油ではなくバッテリを交換すれば作業が継続できる。さらに、内蔵式でなく交換式としたことにより、充電のダウンタイムがないのがメリットとなる。

 eGXはGXエンジンを搭載した完成機に対して、載せ替えの形で使用できるように考えて作られている。そのためOEM先では、新たに製品開発をする必要がない。また前述したとおり、製品開発はホンダがパワーユニット仕様の選定やマッチングテストを行なっているので、信頼性も担保されるものとなる。

 ちなみにeGXに使われているモーターは、ホンダの2輪部門と共同で使っていくものを前提に開発を進めたものだという。出力のバリエーションをそろえるために行なっているのが、使用するバッテリの本数。バッテリが1つだけだと出力は4.0kWで、2つになると6.0kWとなる。そしてモーター側をチューニングすることで、さらに上の出力帯をカバーしている。

 モバイルパワーパックイーを搭載するバッテリボックスについても、開発技術を活かしたパイプフレームを中心とした堅牢な構成としている。これによりバッテリの保護性が高いだけでなく、バッテリを縦置きおよび横置きの両方で使うことができるので、OEM先の搭載方法の要望に応えられるものとなっている。

eGXシリーズの開発コンセプトは「Expand Evolution(ひろげる 進化)」
GXエンジンを搭載する製品に対して電動化のステップアップがしやすいことを考えて作られている。GXエンジンの代わりにeGXを積み、バッテリをバッテリボックス込みで搭載。その後、状況を確認する。モニターやスイッチ類などのインターフェースを搭載するというもの。この状態でホンダから製品保証をして納める。OEM先では、開発期間の短縮や信頼性の担保などのメリットが得られる
eGXのモーター部分はeドライブと呼び、このサイズはGXエンジン搭載のサイズを超えないようにしており、取り付け部分を共用としている
eドライブ(モーター部分)はホンダの2輪部門と共同開発。バッテリも2輪と同じものを使う。バッテリケースはパイプフレームで縦置き、横置きの両方に対応できる

 以上が取材会の主な内容となる。「第8回 国際 建設・測量展(CSPI 2026)」は最終日の土曜日が一般公開となる。自動車産業と同様に、建設の分野も日本が世界に誇れるものであるだけに、その最新の技術や製品が集まるイベントはなかなかに見ごたえがある。実物を見てみたい方は会場へ行かれてはいかがだろうか。話を聞いたところ、普段あまり見ることができない重機などを含む建設機械の展示会のため、大人だけでなく、子供からの人気も高いとのこと。