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トヨタ 中嶋裕樹副社長兼CTO、大型FCEVで提携したスカニア サラ・フォースバーグCTOらとトークショー 会社の文化が似ていることも提携要素
2026年9月14日 23:57
トヨタ自動車は9月7日、スウェーデンの大型トラックメーカーであるスカニアと水素燃料電池技術の実証において提携を発表。スカニアはトヨタの第3世代燃料電池を使用し、40台の大型トラック(ヘビーデューティ トラック)に搭載し、欧州において水素燃料電池ソリューションの実証を実運用を通じて行なっていく。
9月14日からドイツ ハノーファーで始まった世界最大級の商用車ショー「IAA TRANSPORTATION 2026 in Hannover」において、スカニア EVP兼CTOであるSara Forsberg(サラ・フォースバーグ)氏、同 VP Tony Samdberg(トニー・サンドバーグ)氏、トヨタ自動車 代表取締役副社長兼CTO(最高技術責任者)である中嶋裕樹氏と、トヨタモーターヨーロッパ VP Thiebault Paquet(ティボー・パケ)氏の4人が提携に関するトークショーを実施。どのように提携を進めていくのか、なぜ提携に至ったのかなどを語った。
トークショーの冒頭、スカニアのサラCTOがあいさつ。サラCTOは、「輸送分野は大きな変革の時期を迎え、いろいろな課題をともに担っています。輸送自体が今後もお客さまのために機能すること、そして社会のために機能することが重要です。そこに1つのソリューションというのは存在しません。ヨーロッパの状況は、例えば離れたインフラへのアクセスがあまりない制限されている場所とはまったく違います。スカニアとしては非常に重要視しているのは、お客様のオペレーションをまず理解すること、そしてそれに対するソリューションを提供すること。それらが持続可能でありながらビジネスケースとして成り立つ必要があります。そのために今回の協業が非常に重要なのです」「トヨタは非常にFC(燃料電池)に関する技術的な知識を持っていて、我々スカニアはヘビーデューティ大型車両の顧客、そして知見を持っています。それを組み合わせることによって、我々は本当に必要なところに最適な技術を投入することができると思っていて、アプリケーション(用途)、そしてお客さまのオペレーションに役立てると思っています」と語り、トヨタの持つ燃料電池に関する技術を評価し、自身のユーザーに大型FCEVを使ってもらうことで、どのような輸送が大型FCEVに適しているのか、知見を得ていくという。
今後のサステナブルな輸送のためには、大型バッテリEVも非常に重要だと認識しており、さまざまなお客さまの用途に何が適しているのか、それに対応するにはどのようなソリューションが必要なのか、大型FCEVも運用することで理解していきたいと語る。
そのために必要なのが、シミュレーションをしたり、ラボでいろいろテストするのではなくて、「実際に本当の意味でのオペレーションで使ってみて、お客さまがデータを集めて理解するということが重要」だとし、それがトヨタとスカニアのパイロットパートナープログラムで行なっていることだと語った。
トークショーに登壇したスカニアのTony Samdberg VPは、「40台のトラックをヨーロッパ各地の会社に送り込むことになっていて、大型車両になるんですけど、そこで水素の生産、政策、法的な枠組みの形づけ、TCO(Total Cost of Ownership)がどうなのか全部確認できる。トヨタ、スカニア、そしてお客さまのために、そこに関与しているすべての利害関係者にとってメリットがあるのではないかと思っています」といい、実際に現場で大型FCEVを運用することに大きな価値を見ているとあいさつした。
トヨタ自動車 中嶋裕樹CTOは、「スカニアと一緒にここに立ててうれしく思います」とあいさつした後、「脱炭素化を図るためには、輸送というのは非常に重要な分野になります」と、商業車でのカーボンニュートラルが脱炭素化のカギになるという。
「長距離(を走り)、そして速くリチャージできること、コストを削減することが重要です。その中でトヨタとして信じているのは、1つのソリューションではすべての用途には対応できません。同時に、水素燃料電池というのは本当にヘビーデューティでは大きな変化をもたらすことができます。航続距離、大きい積載量、フレキシブルさが重要な分野になります。トヨタとしては、水素はこれからのマルチパスウェイのアプローチの重要な一部となっていて、1つの技術を競い合わせるのではなくて、協業というのが一番重要だと考えています。1つの会社としてすべてを解決することはできません。インフラストラクチャー、水素の供給、そのための投資、それは一緒にやらないと前には進めません。ですので、スカニアとのこの協業というのは、そのアプローチの証であります」と、トヨタが常に語っているマルチパスウェイの考え方を示し、そのためにも他社との協業が大切であるとした。
トークショーでは報道陣から、トヨタがアーチオンやセルセントリックなど、さまざまな会社や団体と協業していることについて質問が出たが、中嶋CTOは、トヨタにはいろいろなプロジェクトがあると紹介。その上で、「水素社会を実現するためには、1つの商品、1つのOEMでできるわけではないと思っています」と、さまざまな形で協業していることについて答えた。
大型トラックなど商用車の運用には単純な車両価格というより、トニー副社長が語ったようにTCOがどのくらい引き下げられるかが重要になる。大型FCEVを導入することで、どのようにTCOを引き下げていく見通しなのかという質問についてサラCTOは、「我々としては、どのアプリケーション、どのリージョンが重要なのか、どこで使えるのかというのをまず確認しています。地域によってはいろいろ異なりますので、使えるところを見つけて、それが最初のターゲットとなります」と回答。水素の価格や法律は地域によって異なり、欧州のさまざまな地域で走らせて行くことで、バッテリEVとのTCOの違いを見極めていくようだ。
そもそも、多くの燃料電池サプライヤーがある中でスカニアがトヨタを選んだのはどうしてだろう? この点についても質問があり、サラCTOは「やはり経験値が豊か、歴史も豊か。ですのでトヨタを選んだと言えます。我々がお客さまの視点をそこに盛り込むという考えの協業です。また、文化ですね。社内文化が非常に考え方が似ていると思います。スカニアとトヨタの考え方が似ているというのが重要で、そのエコシステムについての考え方とかそういうところも似ていると思いました」と、技術だけでなく社内文化が似ていることもトヨタとの提携の決め手になったと語った。
トヨタの考え方であるトヨタウェイ、スカニアの考え方であるスカニアウェイというのが似ていることも、要素としてあったと中嶋CTOは補足していた。
トヨタは、燃料電池車を量販するなど燃料電池には高い技術を持ち、燃料電池の耐久性も実際に証明している。その高い技術だけでなく、お互いの会社の文化が提携の要素になったということが語られたトークショーだった。
スカニアが40台の大型FCEVを、実際のお客さんのもとで運用することで欧州における水素の問題も明らかになっていくことだろう。空論ではなく、現地現物で課題を一つ一つ解決していくのは、トヨタの誇るべき文化でもある。スカニアとトヨタという、異なった文化や技術を持つ会社が提携することで、カーボンニュートラルを含む水素社会の課題が少しずつ解決していくのかもしれない。
