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【JMS2026】マツダ「共感型AI」の技術進捗について次世代人間中心システム研究部門の岡田健太氏が詳説

AIでドライバーの感情や状態をとらえる

2026年10月13日~16日 開催
入場無料(全来場者事前登録制)
共感型AIについて解説してくれたマツダ株式会社 技術研究所 次世代人間中心システム研究部門 社会システム研究 シニア・スペシャリスト 岡田健太氏

 マツダは、幕張メッセで開催中(会期:10月13日~16日)の「ジャパンモビリティショー ビズウィーク 2026」にて、将来の車両への搭載を見据えて研究開発を進めている「共感型AI」およびドライバーの「ウェルビーイング(精神的・身体的・社会的な幸福感)」向上に向けた先進技術の取り組みを公開した。

 マツダは2025年のジャパンモビリティショーにて、人の感覚をデジタル化した「人体・感性モデル」と共感型AIの融合で、人とクルマの絆がさらに深まることを目指したモデル「VISION X-COMPACT」を発表。

ジャパンモビリティショー2025で公開した「VISION X-COMPACT」

 クルマと気取らない会話ができ、行き先を提案してくれる、親友のような存在として、自分の世界を広げてくれる……。まるで心が通った人とクルマの関係を実現する、マツダが目指すスマートモビリティの未来像を提示。

「VISION X-COMPACT」のインテリア

 クルマを単なる移動手段ではなくドライバーの「相棒」として機能させるビジョンを掲げ、今回はそのコンセプトを具体的なソリューションとしてユーザーへ届けるための先端技術開発の具体的な内容と成果を明かした。

ジャパンモビリティショー2025で公開したコンセプトムービー

脳科学研究に基づくウェルビーイング構想と「ポジティブ感情のスパイラル」

 マツダがこの技術開発の根幹に置いているのが、脳科学の研究成果に基づく「ウェルビーイング(幸福感)」という概念だ。

 マツダの次世代人間中心システム研究部門のシニア・スペシャリストである岡田健太氏によると、脳科学の知見によると、人の幸福度(ウェルビーイング)は一進一退の大きな出来事よりも、日々の生活の中で感じられる「小さなポジティブ感情」の積み重ねによって高まることが判明しているという。

 日常の中で小さな前向きな出来事や感情が発生すると、その後の物事も肯定的に捉えやすくなり、さらにポジティブな感情が生成されるという上昇スパイラル(好循環)が生まれる。

人の幸福度(ウェルビーイング)は一進一退の大きな出来事よりも、日々の生活の中で感じられる「小さなポジティブ感情」の積み重ねによって高まる

 そこでマツダは、移動やドライブという日常的な体験を通じてドライバーのポジティブな感情を喚起し、クルマ側から優しく適切な働きかけを行なうことで、ユーザーの幸福感を高めるサポートを行なうシステムの構築を目指している。岡田氏は、「これはAIブーム以前からマツダが温めてきた、移動体験における本質的なベースとなる考え方です」と語る。

医療用アプルーブ済みの高精度技術を持つ英国Thymiaとの協働

 ドライバーの状態や意図をセンシング技術で正しくとらえ、クルマ側の制御とつなげるため、マツダは英国のスタートアップ企業である「Thymia(サイミヤ)」との協働を開始。Thymiaとのマッチングは、スタートアップ企業との協業機会を模索する中で、マツダの掲げるビジョンや研究コンセプトに対して共感が得られたことから実現。「サイミヤの技術はもともと医療用(ヘルスケア向け)として開発・承認されたものであり、極めて高い推定精度と信頼性を誇るのが大きな特徴」と岡田氏。

ドライバーの個性を理解して、相棒としてのクルマと結びつける

 共感型AIシステムでは、車内で交わされる日常会話などの発話音声から、言葉の意味だけでなく音調やニュアンスを解析し、ドライバーの緊張度や感情状態を瞬時に推定可能。マツダはこれに自社の先進センシング技術と車両制御技術を組み合わせることで、「ドライバーの表情や会話のやり取りを通じて好みや思考(パーソナリティ)を深く理解し、車内環境や空調、照明、音響、応答内容などを一人ひとりに合わせて最適化する」パーソナライズシステムの実証(プロトタイピング)を進めている。

英国のスタートアップ企業である「Thymia(サイミヤ)」と協働を開始

対話とフィードバックの繰り返しで「その人」への理解を深める

 ユーザーの状態を一度判定して終わりにするのではなく、車内での様々なやりとりやレコメンドに対するドライバーの反応(肯定的な反応や「いまいち」といった反応)をAIが継続的に学習。

 人間同士が初対面から会話を重ねて相手の好みや人柄を理解していくように、AIも対話を繰り返すことで「その人はどんな人物で、どのような思考を持っているのか」というパーソナライゼーションの精度を高めていく。

 この積み重ねにより、最終的には運転中のドライバーを自然な形で心地よくさせ、安心感と満足感をもたらす「本当の相棒」としての関係性を築くことができるという。

共感型AIがドライバーの表情や声から気分や状況を感じ取ってサポートしてくれる
明るく楽しい会話をすると高い得点が付く
暗い表情でネガティブな内容の会話をすると低い採点が付く

 マツダのブースでは、実際に「共感型AI」がドライバーの相棒として動いている様子や、表情や会話で会話している人の状況を分析して数値化してくれる様子をモニターで確認できるので、ぜひ足を運んでみてほしい。

弘前大学COI-NEXTでの取り組みと、車載領域を超えたヘルスケアへの応用

 マツダの「人」に対する状態推定技術は、車内空間の提供にとどまらず、ヘルスケアや社会課題解決への応用も視野に入れている。同社が参画する「弘前COI-NEXT(岩木健康増進プロジェクト)」の取り組みでは、AIとの対話や鏡に映る顔表情から「脳年齢」などを自動測定・検診するサービスのプロトタイプを開発・出展。

 車載カメラや音声技術を活用したこの全自動検診サービスは、ディーラーでの点検の待ち時間や地域イベントで気軽に参加できる健康ソリューションとしても高い関心を集めている。

 スピード感が求められる先進AI領域において、マツダは動くプロトタイプを用いた実証実験とデータ蓄積を加速させており、ドライバーに寄り添い、乗るたびに気持ちが前向きになる「人車一体」の次世代モビリティ体験の早期実現を目指している。

マツダのブースはホール3の「ZONE3・J-11」