高橋敏也の新型「プリウス」買ってみた長期レビュー
第2回:プリウスで走り始めました


我が家にやってきた新型プリウス。私と一緒に写っているのは、愛猫の「ニャーニャー」と愛犬の「ムームー」

 「ワルキューレの騎行」でしょうな、やっぱり。もしプリウスが音楽を流しながら走るようになったら、私はワルキューレの騎行を選ぶ。ボディーを国防色に塗り直し、迷彩服を着て運転、ワルキューレの騎行を高らかに鳴り響かせる。ほとんどというか、ほぼ変人である。

 なんでも世間様、というか一部で「プリウスは静かすぎて歩行者が接近に気づかず、事故になる」と言われているらしい。そこで状況に応じてオルゴールのような音を出しながら走ればいい、そんな話があるというのだ。いや、ちょっと待ってほしい。この話、どこから突っ込んでいいか分からないほど、不思議である(少なくとも私にとっては)。

 まず最初に、乗用車は静かなほうがいいはずだ。個々の乗用車が静かになれば、それだけ街の騒音は減る。また、エネルギー消費という面から考えても、乗用車のような機械は静かであればあるほど、エネルギー効率はいいはずだ。極端な言い方をすれば、静か=エコということなのである。

 次にこっちのほうが重要だと思うのだが、「静かすぎて歩行者が、車の接近に気づかない」ような状況なら、すでにその車は徐行しているはずだが? 徐行というのは即座に停止できるスピードのことであり、歩行者に接近したなら、うるさい車だろうと静かな車だろうと、当たり前のように徐行するものだ。要するにその乗用車は「瞬時に停止」することができるのである。

 私も住んでる場所のせいで、住宅街の細い道をよく走る。そんなとき、後ろから接近して来る私の車に歩行者が気づかないなどというのは、ごく普通のことである。「マークII」だろうが、「ハイラックスサーフ」だろうが、住宅街の裏道ではゆっくり走るのだから、そんなに騒音が発生する訳ではないのだ。しかも歩行者が携帯の操作に集中していたり、ヘッドホンで音楽を聞いていたりすると、ゆっくり接近して来る乗用車に気づかないのは当然である。

 また、そういった状況で歩行者が、道の中央近くを歩いているというのもよくある話。歩行者の後ろをトロトロ走りながら、クラクション鳴らすのも悪いし、かといって先に行きたいし……と悩むのもごく自然なことである。そうやってしばらく走っていると、たいていの歩行者が気づいてくれるものなのだが……。これのどこに問題がある?

 さて、話を元に戻そう。乗用車が歩行者に接近する際、乗用車は必ず徐行状態にある。そして徐行している乗用車は、何かあったとき、例えば歩行者が急に乗用車側へ1歩踏み出すようなことがあっても即座に停止することができる。だからそんな状況で事故が起きた場合、乗用車のほうが悪いのだ(全責任とは言わないが)。従ってプリウスがいくら静かであっても、それはいいことであり、オルゴールを鳴らしながら走る必要はないと思う。

 もちろん“オルゴールを鳴らしながら走ること、ただし曲は自由”となれば、私はワルキューレの騎行を選ぶのだが。

私のプリウスは「Gグレード ツーリングセレクション」です
 前回は納車ということでバタバタしており、本稿の主役であるプリウスに関しての紹介が大雑把になっていた。そこでまず、購入したプリウスの、詳細を紹介したい。

 もっとも基本的なデータは、以下のとおりである。下取りをしてもらったと言っても、そこはそれ200万円からの買い物である。清水の舞台から「レンジャー!」と叫んで飛び降りるぐらいの、そんな勢いが必要な買い物だと思う。まあ、実際には叫ばなかったが。

項目価格

車両本体

270万円

メーカーオプション

35万700円

付属品、そのほか

28万4550円

税、保険、そのほか

12万9025円

小計

346万4275円

車両下取り

-120万円

支払額

226万4275円

とりあえずかき集めた「新型プリウス・ノベルティ」に入っていた「205万円“より”」メモ帳。確かに“より”だよな、私のは“270万円”だったから

 こうして見ると、オプション品と付属品が結構な額になっていることが分かる。下記で詳しく紹介するが、要するにカーナビ関連、そしてエアロパーツが費用のほとんどを占めているのだ。知人の1人はあえてナビをディーラーで装着せず、後から用品店でじっくり選んで搭載するようにしていた。また最近では、脱着可能なPND(Portable Navigation Device)を好んで搭載している。もちろんそういうやり方もありだと思うが、私は純正品が好きなのだ。さて、結構な額になっているメーカーオプション、そして付属品は以下のような構成となった。

●メーカーオプション(合計:35万700円)
・ホワイトパールクリスタルシャイン(3万1500円)
 以前の「マークIIブリット」が黒だったので、今回は白にした。というか黒のプリウスというと、どうしてもタクシーをイメージしてしまうのだ。追加料金のない「スーパーホワイトII」にするという道もあったが、奮発してこの色を選んでみた。悪くない選択だったと自己満足。

・ETC車載器(1万500円)
 民主党が政権を取った暁には地方部の高速道路が無料になるという話もあるが、今のところは必須と言っていいだろう。

・HDDナビ/6SP(30万8700円)
 後ほど登場する恨み言でも言うが、本当は最上位グレードのナビ+8スピーカーのシステムが欲しかった。ちなみに「6SP」というのは、6スピーカーという意味。もちろん機能的にはなんの不満もない、多機能なカーナビではあるのだが。

私の場合、都内の一般道がほとんどなので、あまり使うことのないETC。もちろんナビ連動タイプである最上位のHDDナビを搭載したかったのだが、グレード的にこれを選ぶしかなかった。性能的には満足しているし、特にBluetooth携帯電話との連動機能が便利運転席側、ダッシュボード上にある前方のスピーカー。6スピーカーシステムである
運転席側、ドア内蔵のスピーカー。ドア下部に配置されている後部座席、運転席後ろのスピーカー。やはりドアの下部に内蔵されている

●付属品、そのほか(合計:28万4550円)
・エアロパーツセット(13万7550円)
 あまりハデなものは装着できないが、それでもこの手のパーツは好きだったりする。地味にいこうと思うと、純正パーツは結構いい選択肢になってくれると思う。しかもこのエアロパーツセット、フロントスポイラー、サイドマッドガード、リアパンパースポイラーの3点セットで、なんと!CD値(空気抵抗係数)を0.004も低減させることができるのだ!

 あなた、0.004ですよ0.004……正直な話、具体的にはどうなるのかちっとも分からない。しかし、空気抵抗が減ればその分、燃費が向上するに違いない。そう信じつつ、格好付けも兼ねてこのオプションを選んだ。その効果たるや……分かりませんです、はい。

フロントスポイラー。私には不要かも知れないが、それでも取り付けたいスポイラーサイドマッドガード。ガイアに乗っていた頃、2セットほど破壊した思い出があるリアバンパースポイラー。格好付けなのか、空力特性向上のためなのか? 答えは「両方」です

・フロアマット、デラックスタイプ(2万4150円)
 お約束ですね。「環境にやさしい植物由来の素材」を使っているそうだ。どこまでもエコだなあ、プリウス。

・サイドバイザー、ベーシック(1万2600円)
 お約束、パートII。なくてもいいように思うが、あってもいいようにも思う。個人的には好きなので装着。

・アウターミラー、レインクリアリングブルーミラー(1万3650円)
 雨天時、バックミラーが見えにくくなるのが嫌いなので、親水性機能を持つこのオプションを選択した。以前のマークIIブリットでは、バックミラーにヒーターが内蔵されていて、雨の日でもクリアな視界が確保できた。さて、このブルーミラーの性能やいかに。

・リヤバンパーステップガード(1万2600円)
 結構、荷物の積み降ろしがあるため、このオプションは私にとって必須。ファッション性ではなく、実用性で選択した。

・チデジ「TDN-H58」MOPナビヨウ(8万4000円)
 チデジって……あなた。本当に注文書では、このようにコード化されている。もちろん「地デジ」のことだが、ワンセグ、12セグを自動で切り替えてくれる賢いヤツだったりする。しかしまあ、車載ということで特殊部品なのだろうが、ちょっと高すぎるような気はする。8万4000円あったら、今だと32型以上の液晶テレビが買える訳だし。ちなみに「MOP」とはメーカーオプションのこと。

ほとんど気にしていなかったのだが、後から純正用品リストを見て「ラグジュアリータイプ」というのがあるのを知った。そっちにすればよかったか? 車名ロゴ入りだし……今までの流れで、何も考えずに取り付けたサイドバイザー。確か雨の吹き込みなどを低減できるとか、そういった役目があったような……私は雨天時、バックミラーが見づらくなるのが、特に嫌いなのである。だからそれを改善してくれるアイテムには、パッと飛びつく
荷物の積み降ろしをする時、これがあるとボディーへの傷を防ぐことができる。もっとも格好つけがメインという話もあるのだが

 メーカーオプション、付属品に関しては言いたいことがある。それは「ソーラーパネル付ムーンルーフ」、「HDDナビゲーションシステム&プリウス・スーパーライブサウンドシステム」(名前が長い!)に関してだ。事前にカタログなどを見ていて、私はこの2つを是非ともゲットしたいと思っていた。たとえソーラーパネルの発電が、車内の換気にしか使えないといっても、それが載っているプリウスは、やっぱり見た目がいい。

 ソーラーパネル付ムーンルーフを搭載すると、通常の屋根を持つものより車両重量が重くなる。Gグレードに限らず、ツーリングセレクションを選んだお客様には「走り」を楽しんでもらいたい。だからソーラーパネル付ムーンルーフはオプションとして用意されなかったのだという話をどこかで聞いたことがある。あの、それでも欲しいわがままが、ここにいるんですが。

前回も登場させたノベルティのミニカー。ちょっと重くなってもいいから、やっぱり搭載したかったソーラーパネル付ムーンルーフ番外編その1。東京トヨタの担当営業、太田さん一押しの特徴。「高橋さん、アンテナ見てください! ネジネジなんですよ。格好いいですよね」。そうですか番外編その2。ドア部分に標準装備されているスカッフプレートは、再生可能な植物資源で作るエコプラスチック製である。イルミネーション内蔵のスカッフプレートもオプションで用意されているのだが、逆にこっちのほうが話のネタになりそうで、そのまま残した

 一方の「HDDナビゲーションシステム&プリウス・スーパーライブサウンドシステム」は、エコドライブの支援機能を搭載しているほか、なんと言ってもスピーカーシステムが8チャンネルなのである。おまけにフロントガラスにナビの表示を行う、ヘッドアップディスプレイ機能まで搭載しているとなれば、これはもう選ぶしかないではないか。

 と、思っていたらあなた、私がGグレード ツーリングセレクションを選んだ段階で、どちらのオプションも「非対応」になってしまったのである! 「ソーラーパネル付ムーンルーフ」はSグレードとGグレードのみのオプションであり、「HDDナビゲーションシステム&プリウス・スーパーライブサウンドシステム」はレザーパッケージのみ選択可能なのである。

 だからね! 私は、レザーシートが好きじゃないんだってば! 夏は熱くなるし(暑い、じゃないよ)、冬は冷たい(レザーシートに冷暖房システムなどのある車もあるが)。そりゃ単車を転がすときはレザーウェアをメインに着るが、車のシートに革が欲しいという気はまったくない。というか、むしろ避けたい。さらに言えば高価なレザーシートの上で犬が吐き、猫が粗相をしたらどうすればいいの?

 プリウスにレザーパッケージが用意された理由を、営業さんに聞いてみた。要するに今までレザーシートが当たり前のグレード、すなわち高級車に乗っていた人たちが、今回の新型プリウスには興味津々なのだという。そういった人の乗り換え対象として、レザーシート装備のような高級感のあるグレードが必要だったらしい。高級グレードだからナビも、オーディオも高級グレードが選べるということなのだろう。

 ではなぜ、私はGグレード ツーリングセレクションを選んだのか? 簡単に言ってしまうと、まず何より17インチホイールにしたかったし、専用チューンドサスペンションというのにも興味があった。そしてヘッドライトをLEDにしたかったので、自然とGグレード ツーリングセレクションになったのである。いやいや、「ハイブリッドで走りを極める!」とか、「コーナーに入っても、サスがグッと踏ん張って思いどおりのラインをトレースする……」などと言うつもりはさらさらないので、念のため。

215/45 R17 87Wのタイヤ+17×7Jアルミホイールを標準装備しているのは、レザーパッケージとツーリングセレクションのみ。後から18インチ履いてもいいんだけどこちらも17インチホイールと同様、レザーパッケージとツーリングセレクションのみ標準装備。営業の太田さんに聞いた話、このLEDヘッドランプが結構な人気だそうだ

 まあ、「新型プリウスは燃費ですよ、燃費」などと言いつつ、結局「あれが欲しい、これが欲しい病」が出てしまった結果がGグレード ツーリングセレクションということなのだ。そう、燃費を最優先にするなら、車両重量1310kgのLグレードにすればいいからである。Lグレードのカタログ燃費、10・15モードが38.0km/Lなのに対し、Gグレードは35.2km/Lなのだから……。

結局、いくらお得だったのか?
 そんなこんなでメーカーオプション、付属品などを設定し、見栄と思い込みだけでGグレード ツーリングパッケージを選んだ新型プリウス。重要なことなので、ここでもう一度、エコカーとしての税制優遇などを確認しておこう。そう、「結局、いくら得したの? 得するの?」である。まず税金だが、重量税と取得税が新型プリウスの場合は「0円」になる。

種別金額

自動車重量税

約5万6700円

自動車取得税

約14万100円

エコカー助成金

10万円

合計

約29万6800円

 ハイブリッドシステムということで、トップクラスのエコ度を誇る新型プリウスは、エコカー減税の恩恵をフルに受けることができる。この段階で、すでに約20万円のお得。そして先日まで「ほぼ決まり」状態だったエコカー助成金の申請が、ついに始まった。私も書類をもらったので、さっそく申請しようと思っている。減税に10万円の助成金をプラスして、約30万円の「お得」である。

 このほか自動車税についても、平成20~21年度の自動車税制(グリーン税制)によって、控除が受けられる。実際には車両を購入した翌年の自動車税に関して、新型プリウスでは半額になるというのだ。通常だと3万9500円かかる自動車税が、来年は1万9500円でいいと言う(2009年8月調べ)。税金、公的資金だけでもこれだけお得な上に、ハイブリッドは燃費がいい、ガソリン代で差がつくという素晴らしいオチがつくのである。

ポニョ嫁の初プリウス、その時、事件は起きた!
 我が愛しの新型プリウス、6月11日の納車から約2カ月が経過した。走行距離も順調に伸びており、8月3日時点の全走行距離は1743km、もう少しで2000kmに達する。だが、今まで給油した回数は、たったの4回だけなのだ。

 新型プリウスに限らず乗用車を日頃から運転していると、自然に給油のタイミングが分かってくる。例えば以前の愛車、マークIIブリットの場合は「300kmぐらい走ったら、ガソリンの残量に注意」するようになる。その感覚と比較した場合、明らかに新型プリウスの給油間隔は長い!

約2カ月前、記録を取り始めた頃の走行距離。気がついたらトータルで155km走っていた

 ちょっとした事情があって、4回のうち3回は細切れの給油となってしまったが、それでも「まだガソリン残ってるな……」と思うことがたびたびあった。ちなみに1743kmで4回の給油というと、1回につき約435.8km走ったことになる。で、その4回の給油から算出した新型プリウスの燃費は、以下のようになっている。

給油日走行距離給油量給油金額燃費
2009年6月16日38.66L4601円
2009年6月26日355.5km20.41L2510円17.4km/L
2009年6月26日223.2km10.16L1250円22.0km/L
2009年7月19日663.7km39.59L4553円16.8km/L
TRIP Aの燃費履歴。私は給油をするたびにTRIP Aをリセットしているのだが、その際の燃費履歴が最大5つまで表示できる。グラフを見ると、ほぼ計算とあっていることが分かる

 初給油に関しては、納車までの走行距離があったり、事前に最低限のガソリンが入っていたりと、正確な燃費を出すことができないので除外。しかし、この給油を行う直前に、ちょっとした事件が発生したのである。

 それは新型プリウスで東京・秋葉原へ行き、ちょっとした集まりに参加した後のことである。その日の集まりで私は飲酒をしたので、当然のごとく運転することはできない。そこで我が家の絶対権力者、ポニョ嫁が運転を買って出てくれた。「初のプリウス運転だから、初プリじゃ!」(ポニョ嫁の語尾は“じゃ”がデフォ)などとはしゃいでいたポニョ嫁は、その30分後、真っ青になる。

 同じ集まりに参加したインテルの“神様”天野氏、ポニョ嫁の妹、私という3人を乗せてさっそうと発進した新型プリウス。ポニョ嫁は昔から運転をしているため、不安感などはまったくない。ところが発進してすぐに、ポニョ嫁が「ガソリンがもうないじゃ!」と叫んだのである。確かに燃料計のバーが残り1つになっていて、しかもそれが点滅している。要するにガソリン残量が6Lを割り込んだのである。

 燃費のいい新型プリウス、6Lもガソリンがあれば、平気で100km近く走ることができる。だが、燃料タンクの中にあるガソリンすべてを使える訳ではないというのは、ドライバーにとって常識である。警告灯がついたら、すぐに給油するというのは、これまたドライバーの常識だ。

 しかし、なるべくタンクが空になるまで走ってから給油し、データ集めをしたいのが私の気持ち。騒ぐポニョ嫁をなだめつつ、操作を指示してエコドライブモニターに「航続可能距離」を表示させた。航続可能距離表示では、過去の平均燃費と燃料残量などをもとに、あと何km走ることができるかを表示する。

この程度のガソリンが残っている場合……新型プリウスは過去の平均燃費などを元に、あと511km走ることが可能ですと表示する。あくまで目安なので注意すること

 航続可能距離は70~80kmぐらい、走行可能だと表示していた。これで車内は落ち着きを取り戻したが、後部座席からその走行可能距離をじっと見つめる男が1人。ミスターインテル、天野氏である。「実際に走ってる距離より、航続可能距離の減りが速いと思いませんか?」と、ニコニコしながら言うではないか天野氏が。確かにそうだった。どう見ても1km走っていないのに、4kmぐらいずつ、航続可能距離が減っている。ここで再び、車内はパニックに。

ポニョ嫁:「エアコン切るじゃ! ガソリンスタンドはどこじゃ?!」
天野氏:「そうなでんすよねー。OSでもあるでしょ、ファイルとかをたくさんコピーしようとすると、“残り100日”とか表示されるんだけど、時間が経つと“残り6時間”とかになることが。それと同じですよね」
高橋:「まあ落ち着け、皆の衆。新型プリウスにはでっかいバッテリーがあって、ガソリンがなくなっても、数kmなら走れるはずだ(たぶん)」
ポニョ嫁:「ゼロになったじゃぁぁぁ!!」

 残70kmあたりから勢いよく減っていった航続可能距離が、残り28kmあたりまで行った次の瞬間、数字がポンと「ゼロ」になったのだ! まあ、車内の温度が一気に下がったのは、たぶん気のせいだろう。そんな中、あくまで冷静で愉しげだった天野氏は、たぶん宇宙から来たに違いない。

 そりゃまあ、航続可能距離は過去の平均燃費を元に計算されているだけであり、あくまで「予想」値である。表示されるとおりの距離を走ることができるとは限らない、要するに目安でしかないのである。予想だろうと目安だろうと、ゼロはゼロである。「止まるじゃぁぁぁ!」と叫ぶポニョ嫁、「ね? ね?」と嬉しそうな天野氏、どことなく諦めた感のある義妹。結局、航続可能距離がゼロのまま、2~3kmほど走行し、新型プリウスは無事、ガソリンスタンドに滑り込んだのであった。

ガソリンスタンドに滑り込み、給油前に撮影した証拠写真。航続可能距離がゼロになっている。天野氏にデジカメを借りて慌てて撮影した写真なので、このようになってしまった。カメラを常時持ち歩いている天野氏に感謝!別の日に撮影した「5分間燃費」の表示。しかしここでは表示下部の「航続可能距離」の部分に注目してほしい。やはり「ゼロ」だ。しかし、この状態で数百メートル離れたガソリンスタンドへ行き、給油したのである

 さて2回目、3回目の給油はちょっと特殊な状況で行った。というのも取材で群馬県は高崎まで行くことなったため、2回目はガソリンが充分残っている状態で給油したのである。それでも355.5km走っている訳だから、マークIIブリットならガソリンタンクが空になっていただろうが。

 ということはもちろん、3回目の給油はほとんど高速道路を走った後に行った。200km以上は、高速道路の上という走行環境だ。2回目の給油では燃費が17.4km/Lとなり、高速走行メインの3回目給油では22.0km/Lとなった。あなた、新型プリウスに乗れば、7.0km/L以上を目標にしていた私でも、気がつけば1Lあたり20kmの燃費ですよ!

 ところが都内ばかり走り回って、燃料タンクをほぼ空にしてからの4回目給油では、燃費が落ち込んで16.8km/Lとなってしまった(ちなみに「航続可能距離」をしっかりゼロにしてから給油)。なお、ここまでは走行モードを気にせず、エコモードを試したり、パワーモードを試したりしながら走っている。もちろん省燃費に関しても、あまり気にしない走行である。それで16.8km/Lは、やっぱりすごいと思うのだが……。

 そんなこんなで次回は新型プリウスの使い勝手や、走行感覚などに関して紹介していきたい。とにかく新型プリウスは、いい意味で“違和感だらけ”のハイブリッドカーなのであった。

(高橋敏也)
2009年 8月 11日