日産、東京モーターショーの出展概要を発表 ゼロ・エミションを掲げ電気自動車を中心に展示 |
日産自動車は、10月23日に開幕(一般公開は24日から)する第41回東京モーターショーの出展概要を発表した。今回のショーでは、日産が環境分野において掲げる「ゼロ・エミション」を中心としたメッセージを発信すると言う。
2010年度後半に国内および米国で発売予定の電気自動車(EV)「リーフ」、EVコンセプトカー「ランドグライダー」、EV関連技術や充電インフラの開発状況を展示。そのほか今秋発売予定の新型「フーガ」、ジュネーブ・モーターショーでワールドプレミアとなったスポーツクロスオーバーのコンセプトカー「カザーナ」を出展。新型フーガについては、2010年発売予定のハイブリッド車も展示する。
■リーフ(LEAF)
電気自動車のリーフはすでに日産が2010年に量産発売することを明言しており、東京モーターショーで初めて一般公開される。90kW超のラミネート型リチウムイオンバッテリーをシート下のフロアに搭載し、80kW/280Nmの出力を持つ電気モーターによって前輪を駆動し、1回のフル充電で160kmを走行すると言う。急速充電では10分の充電で約50km走行可能になり、家庭用の200V充電では約8時間で満充電になる。
大人5人が乗車可能なボディーサイズは、4450×1770×1550mm(全長×全幅×全高)。車体下部はフラットに、車体後部はディフューザー形状にすることで、Cd値0.28を実現しており、最高速は140km/h以上としている。エクステリアは、フロント部を日産のEVのデザインテーマでもあるV字状にし、ヘッドライト部の形状を工夫することで、ドアミラーへ不要な空気が流れないような工夫がされている。これにより、風切り音の低減を図っていると言う。
リーフ |
フロントのエンブレム部の裏に充電コネクターがある。左が急速充電用、右が普通充電用。フロント部にあるのは、間違って充電中に走り出してしまうのを防ぐため | ||
ダッシュボード上には充電中であることを示すLEDを持つ | ラゲッジルーム。リアシートは6:4の分割可倒式 | |
タイヤサイズは215/50 R17 | ヘッドランプはLEDを用いたものとなる |
■ランドグライダー(Land Glider)
ランドグライダーは、都市型モビリティの提案として作られたコンセプトEV。乗員は2名で、前後に乗車するタンデムタイプとし、ナローボディーにより都市空間の有効活用を図れると言う。
リチウムイオンバッテリーは床下に配置。2つのモーターで後輪2輪をそれぞれ駆動する。充電システムは非接触式で、充電器を接続することなく充電できる。
ランドグライダーの特徴は、その走行システム。ステアリングに連動してボディーを傾かせ、タイヤもボディーと独立して傾く仕組み。この角度は、走行速度、舵角、ヨー率によって算出し、ボディーは最大17度まで傾く。これにより、コーナーをシャープにスムーズに曲がることができ、新しいドライビングの“ワクワク感”を提供すると言う。
ボディーサイズは、3100×1100×1415mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2180mm。
■新型フーガ(FUGA)
ティザーサイトが公開された新型フーガも東京モーターショーでお披露目される。すでに技術説明会などで、フォレストエアコンやカーナビ協調のインテリジェントペダルなど採用される技術については一部公開済みではあるものの、日産のフラッグシップカーの全貌はモータショーで明らかになる。
従来型に比べ、全高を10mm下げ、フェンダー部を20mm張り出させ、ボディーサイズは4945×1845×1500mm(全長×全幅×全高)となる。サイドラインは、チーターなど猫科の動物が走る様をイメージしたもので、FRならではのデザインを施したと言う。
搭載エンジンは、V型6気筒 3.7リッター DOHC(333ps)の「VQ37VHR」、もしくはV型6気筒 2.5リッター DOHC(225PS)の「VQ25HR」で、7速ATと組み合わされる。空力もCd値0.26と非常に優れたものになっているが、フロント部、リア部ともにゼロリフトを達成。これらにより、燃費向上に貢献しているとする。
フーガに関しては、2010年秋に日本で発売予定のハイブリッド車も展示。3.5リッターV6エンジンに、1モーター2クラッチのパラレルハイブリッドシステムを採用し、バッテリーにはリチウムイオンを用いている。
新型フーガ | ||
タイヤサイズは245/50 R18。新型フーガでは18インチと20インチが設定される |
新型フーガのインテリア。写真のフーガのインテリアはプレミアムインテリアで、職人の手によって純銀粉が木目部分に磨き込まれている | オプションのBOSEサラウンド・サウンドシステムは、14チャンネルのデジタルアンプで16のスピーカーを駆動する。シート部にもスピーカーが設置され臨場感を高める |
新型フーガのスポーツバージョン。主にフロントまわりのデザインがより力強いものとなり、ヘッドライトのインナーもブラックアウトされる。ホイールも専用デザインの20インチアルミホイールで、タイヤサイズは245/40 R20 |
■カザーナ(QAZANA)
カザーナはジュネーブ・モータショーで公開されたスポーツクロスオーバー。日本では東京モーターショーが一般初公開となる。“混沌とした都会の中に突如現れる異性体”をイメージしたというデザインは独特のもので、フロントマスクは夜間ステージを走るラリー車からインスピレーションを受け、リアのテールランプはフェアレディZと同様のブーメラン型を採用している。
ドアはセンターピラーレスの観音開きで、インテリアデザインも2輪車の構造をイメージしている。これにより、2輪車で走る際の一体感を得られると言う。駆動方式は電子制御の4WDで、ボディーサイズは4060×1780×1570mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2530mm。
カザーナ |
■ルークス(ROOX)
ルークスは12月発売予定の軽自動車。ルークスというネーミングは、ルーム(部屋)とマックス(最大)を元にした名前で、広い室内空間がウリだと言う。ボディーサイズは、3395×1475×1735mm(全長×全幅×全高)で、室内高1365mm、室内長2085mmを実現している。
後部ドアは両側とも、開口幅580mm、開口高1230mmのスライドドアを採用し、リモコンでの開閉機能を装備。東京モーターショーには「ハイウェイスター」グレードが出展され、このグレードは「セレナ」や「エルグランド」と同じデザインテイストを持つ。
ルークス |
後部ドアは両側ともスライドドア。リモコンで開閉可能 |
リアシートは5:5の分割可倒式。シートを倒すとフラットなフロアになる |
デザインは他車種のハイウェイスターグレードと統一感のあるもの。リアゲートの左にルークス、右にハイウェイスターの文字が入る | ||
インテリアも高級感のあるもので、エンジンもプッシュスタート式 |
■NV200バネット タクシー
NV200バネット タクシーは、NV200バネットをベースに体の不自由な方でも利用可能な装備を持つ。国土交通省が推進している「地域のニーズに応じたバス・タクシーに係わるバリアフリー車両の開発」の考え方に則って開発された。
車いすの乗降がしやすいよう、後部にスライド式のスロープを備え、サイド部にも電動ステップを装備することで、高齢者でも乗り降りしやすいようになっている。このNV200バネット タクシーは、2010年の発売を予定している。
ボディーサイズは、4400×1695×1850(全長×全幅×全高[タクシー表示灯を除く])で、ホイールベースは2725mm。乗車定員は5名だが、車いす1名を含む場合は3名となる。
NV200バネット タクシー |
後部には格納式のスロープを装備し、車いすの乗り降りがしやすくなっている | ||
サイド部には電動格納式のステップを装備 | 助手席後部には手すりを装備し、後席に乗り込みやすいようになっている | ルーフにはタクシー灯を装備 |
■次世代エクスロトニックCVT
次世代エクスロトニックCVTは、日産の関連会社であるジャトコとの共同開発によるもの。副変速機を備えたことで、通常のCVTと比べ20%以上もワイドな7.3の変速比幅を実現している。また、プーリーなども軽量化し同クラスのCVTと比べ、10%の全長の短縮と、13%の軽量化を実現した。
次世代エクスロトニックCVT | ||
プーリーの展示。左の軽いプーリーが新型のもの |
(編集部:谷川 潔、Photo:野内幸雄ほか)
2009年 10月 8日