スーパー耐久シリーズ最終戦がツインリンクもてぎで11月28日開催
横溝直輝選手と吉本大樹選手が来社

編集部を訪れた横溝直輝選手(中央右)と吉本大樹選手(中央左)。両脇をサポートするのはもてぎエンジェルの吉永ちかさん(右)と青山知恵さん(左)

2009年11月28日開催



 市販車ベースの車で戦うスーパー耐久シリーズの最終戦(第8戦)が、11月28日に栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎにおいて開催される。最終戦はロードコースではなく、スーパースピードウェイ、つまりオーバルコースを利用してのレースが行われるのだ。実際には2カ所シケインが設けられるため、純粋なオーバルレースという訳ではないが、それでもオーバルコースの長い直線を活かしたハイスピードバトルが展開されそうだ。

 今回、そのスーパー耐久シリーズにフェアレディZ(Y.K.M.ADVAN Z)でST1クラスに参戦している横溝直輝選手と、5ZIGEN NSXでST3クラスに参戦している吉本大樹選手の2人が、最終戦のプロモーションのため編集部を訪問してくれた。その模様をお伝えする。

TEAM TETSUYAからY.K.M.ADVAN ZでST1クラスに参戦中の横溝直輝選手TEAM 5ZIGENから5ZIGEN NSXでST3クラスに参戦中の吉本大樹選手

改造範囲が狭いため、リアルな“箱車”レースとなるスーパー耐久
 スーパー耐久シリーズは、いわゆる“箱車”と呼ばれる、市販車をレースカーに改造したマシンで争われるレースだ。改造といってもその範囲は限られており、基本的な構造は市販車のまま。街中を走っている車がレースに利用されているという意味では親しみやすいレースと言えるだろう。

横溝選手とY.K.M.ADVAN Z

 市販車をレースカーに改造したレースといえば、SUPER GTが最も有名だが、SUPER GTは排気量や駆動方式に加えレギュレーション内であれば、エンジンの搭載位置なども変えられるほど自由度の高い改造が可能であるのに対して、スーパー耐久レース参加車両の改造範囲は狭い。サスペンションやラジエター、ブレーキなど市販車のままではレース利用に耐えないようなパーツが交換可能になっているのみだ。

 もう1つの特徴は、いわゆるワークスチームと呼べるような存在がないことだ。SUPER GTでもGT300クラスはプライベートチームが中心になっているが、上位クラスのGT500クラスはわずかな例外を除けば、自動車メーカーの援助を受けているチームが中心。プライベートチームでも車両はメーカーから提供されているなどメーカー色が全面に打ち出されている。これに対して、スーパー耐久シリーズではエントラントはメーカーの支援を受けていないプライベートチームがほとんどなのだ。

 スーパー耐久シリーズには以下の4つのカテゴリーが用意されている。

 排気量駆動方式
ST13501cc以上規定なし
ST22001~3500cc4WD
ST32001~3500cc2WD
ST42000cc以下規定なし

 このように、排気量、駆動方式などでST1からST4までの4つのクラスに分かれており、それぞれにチャンピオンシップがかけられている。こうした異なるクラスの車が混走することで、コース上のそこかしこでバトルが展開されており、見る者を飽きさせないレースになっている。

ツインリンクもてぎのスーパースピードウェイを使って、最終戦が開催される

公式戦としては初めてのオーバルコースを利用
 今週末、11月28日に開催される最終戦は、冒頭でも述べたとおり、ツインリンクもてぎのスーパースピードウェイ、つまりオーバルコースを利用して行われる。実は、ツインリンクもてぎのスーパースピードウェイをスーパー耐久のレースカーが走るのは、今回が初めてではない。昨年の11月にもスペシャルステージとして、公式戦とは異なる形で行われたのだが、公式戦としては今回が初めてとなる。

 ただし、オーバルコースをインディカーと同じように全開で周回するのかと言えば、そうではない。オーバルコース用には設計されていないスーパー耐久のレースカーを全開で走らせ続けるのは危険だし、タイヤもオーバルコースを前提にしたものにはなっていないからだ。

 このため、4つあるコーナーの内、第1ターンと、第3ターンにパイロンによる簡易シケインが用意され、スピードを落として走行する部分を作ることで、危険性を小さくしている。それでも、第4ターンからのメインストレート、第2ターンからのメインストレートは全開になるため、そこではオーバルらしいレースが見られるし、シケインの飛び込みはオーバーテイクのチャンスになるだろう。

吉本選手と5ZIGEN NSX

 今回このレースに参戦する横溝選手、吉本選手の2人も初挑戦となるオーバルレースを楽しみしているとのことだ。「オーバルコースでレースをするのは初めてなので楽しみです。ただ、僕たちのマシンであるフェアレディZはオーバルコースでは不向きなHパターンのシフト。シーケンシャルシフトを搭載する他車と比べ条件は悪いが、それでもブレーキング時にチャンスがあると思っている」(横溝選手)、「スーパー耐久では4つクラスの車が混走しており、それらをどう利用できるかも鍵になる。我々の車は直線が速くないので大変だが、それをカバーしてがんばりたい」(吉本選手)とそれぞれの意気込みを語ってくれた。

4クラスすべてでチャンピオン争いが展開されている見どころ満載の最終戦
 今回の最終戦のもう1つの見どころは、4つのクラスすべてで最終戦までチャンピオン争いがもつれ込んでいることだろう。今回の最終戦では、レースは50ラップ×2レースという形になっており、通常のポイントの半分がそれぞれのレースで入賞した車に対して与えられる。

 ST1クラスでフェアレディZを走らせる横溝選手は、昨年のチャンピオンカーであるBMW Z4Mクーペと激しいチャンピオン争いを展開している。横溝選手は「今年は富士スピードウェイでのレースをリタイヤしてしまったため厳しい戦いになっている。それでもBMW Z4に比べるとフェアレディZはブレーキで奥までいくことができるので、それを武器にして戦いたい。僕たちはランキング2位で、ある意味失うモノは何もないので全力で勝ちを狙っていきたい」と、その意気込みを語ってくれた。

 これに対してST3クラスで5ZIGEN NSXを走らせる吉本選手は「特にトラブルなどがなければ確実にタイトルは取れると考えています。今回オーバルを走らせるのは初めてで、NSXはあまりストレートが速くないので優勝を狙えるかは分かりませんが、着実に走ってタイトルを狙っていきたい」と述べ、タイトルの獲得に自信を示してくれた。

 このほか、ST2、ST4でも複数のチームによるタイトル争いが繰り広げられており、この最終戦の結果次第でチャンピオンが決定するだけに、どのクラスでも目の離せないレースが展開されそうだ。

パドックエリアでのイベントが充実している最終戦、ぜひサーキットへ
 なお、横溝、吉本両選手と一緒に、ツインリンクもてぎエンジェルの青山知恵さんと吉永ちかさんも編集部を訪問し、もてぎスーパー耐久オーバルバトルで行われる各種のサポートイベントについて説明してくれた。

 2人によれば、今回のレースでは、最終戦ということもあり実に多数のイベントが開催されると言う。特に多いのがパドックエリアで行われるイベントで、各チームのプロモーションブーズ、ドライバートークショー、熱気球の搭乗体験、ストックカーの展示、地元茂木町産の野菜を利用した豚汁の無料配布などが予定されている。なお、パドックには入場するには別途大人3000円のパドックパスが必要になるが、中学生以下は無料のほか、練習走行が行われる27日も無料で入場することができる。

ラジコンカーによるレースイベントも開催

 このほかにも、28日の8時~11時30分にはロードコース上でラジコンによるオーバルレースイベントが行われる予定で、パドックパスがあれば先着順で参加することが可能になっている。当日受付のイベントとしてはスーパースピードウェイの同乗体験なども予定されている。なお、それぞれのイベントの詳しい情報は、ツインリンクもてぎのWebサイトを参考にしていただきたい。

 チケットは現在も好評発売中で、ツインリンクもてぎのチケットセンターか各種プレイガイドで販売中になっており、こちらの詳細も併せてツインリンクもてぎのWebサイトを参照してほしい。

(笠原一輝)
2009年 11月 25日