日本ミシュランタイヤは、乗用車用タイヤ「Pilot Sport 3（パイロットスポーツスリー）」を3月1日より順次発売する。サイズは15インチ～19インチの計30サイズで、価格はすべてオープンプライス。

Pilot Sport 3。タイヤ幅285mm以上では6リブパターン
タイヤ幅275mm以下は5リブパターンとなる

　Pilot Sport 3は、スポーツ志向のユーザーが求める運動性能はもちろん、耐摩耗性や静粛性、快適性という多用なニーズに応えるべく開発されたタイヤ。そのため、3つの革新的な技術が用いられていると言う。

　1つ目は、新たに開発された「スポーツ・パワー・コンパウンド」。これは、ウェットグリップを高め、ブレーキ性能を向上させる「ウェット・グリップ・エラストマー」、優れた耐摩耗性・ロングライフを追及した「ロング・ラスティング・エラストマー」、エネルギー効率向上が期待される「シリカ」の3つのテクノロジーから成り立っており、これにより、ウェットブレーキング性能は、従来モデル（Pilot Preceda PP2）と比較して、制動距離で約9％の短縮を実現したと言う。

ウェット路面での100km/hからの制動距離は、Pilot Preceda PP2が42.46mに対し、Pilot Sport 3は38.95m	コンパウンドの拡大イメージ。赤い分子鎖が「ウェット・グリップ・エラストマー」、青い長い鎖が「ロング・ラスティング・エラストマー」、緑色が「シリカ」	高密度で柔軟性の高い「ウェット・グリップ・エラストマー」が活性化することで、ウェットでも高いグリップ力を発揮する
伸縮性に優れ、強度の高い「ロング・ラスティング・エラストマー」により、負荷のかかる加速時・減速時のコンパウンド内での破損を抑え、耐摩耗性を向上する	タイヤは路面と接触したところが変形し、発熱する。これによってエネルギーの一部が失われるが、シリカにはこのロスを抑制し、エネルギーを効率的に路面に伝える役割があると言う

　2つ目は、新開発の「トレッド・ストラクチャー」。低速時にはトレッドが適度に変形することで、タイヤを素早く温め、高速時には高い剛性でタイヤのたわみを防ぎ、過度な温度上昇を防ぐトレッド構造としている。これにより、接地面とコンパウンドの温度バランスを最適に保ち、ハンドリングの安定化を図ったと言う。トレッドパターンには、隣り合うブロックのヨレを抑制する「ブリッジ」により、縦方向の剛性を高め、ハンドリングや高速安定性を向上。トレッドブロックのエッジ部には「オプティマム・チャンファー」を配置し、ブレーキング時の接地面を最適化している。さらに、「ノイズ低減テクノロジー」によりトレッドパターンやブロック数を最適化。車両の遮音効果が効きにくい低周波のノイズを低減している。

隣り合うブロックのヨレを抑制する「ブリッジ」。ハンドリングや高速安定性を高める	トレッドブロックのエッジ部に採用された「オプティマム・チャンファー」。ブレーキング時の接地面を最適化する	ノイズ特性。車両の遮音性の低い低周波のノイズを低減している

　3つ目は、プロファイルのデザインに採用した「アンチ・サーフ・システム」。ショルダー部をラウンド形状にすることで、横方向への排水性を向上し、先に記したウェット・グリップ・エラストマーとあわせてウェット路面でのグリップ確保に貢献する。

ショルダー部をラウンド形状にすることで排水性を高める「アンチ・サーフ・システム」

　すでにアウディ「A4」「A5」のほか、日本未発売ながらメルセデス・ベンツ「E63 AMG」といった高級スポーツモデルの新車装着タイヤとして採用されているほか、2010年前半には、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア太平洋地域の市販用タイヤとして発売され、1年後には北米でも発売される世界戦略モデルとなる。日本で発売されるモデルは、以下のとおり。