フォルクスワーゲン、新型「クロスポロ」発表会開催 最大の特徴は“優等生”ポロと一線を画したSUVライクなデザイン |
クロスポロの発表会はアディダスとコラボレートし、アディダスのアパレル服を着たモデル4名がクロスポロの持つファッション性をアピールした |
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは6月29日、SUVフォルムを身にまとったクロスオーバーカー新型「クロスポロ」の発表会を都内で開催した。
2006年9月に登場した初代クロスポロは、欧州でのみ販売された「ポロ・ファン」のコンセプトを引き継いだモデル。独特のスタイリング、個性的なエクステリアカラーが人気を博し、導入から3年間で3500台以上を発売した。
今回発売したクロスポロはその2代目にあたり、昨年10月に発売された現行ポロがベースとなる。ボディーサイズは4000×1710×1505mm(全長×全幅×全高)で、これは現行ポロの3995×1685×1475mm(同)と比較して5mm長く、25mm広く、30mm高くなり、車重も30kg重くなる。
クロスポロ最大の特徴であるエクステリアデザインは、ポロより15mm高くなった最低地上高(ルーフレールを入れて30mm高)に加え、シルバーカラーのアンダープロテクター風バンパー、ボディー下部の樹脂性ホイールハウスエクステンションおよびサイドスカート、シルバーのルーフレール、ドアミラーによってSUVライクに仕立てられる。その一方で、アルミホイールは17インチでタイヤサイズは215/40 R17とし、スポーティな要素も盛り込まれる。
今年3月に開かれたジュネーブ・モーターショーではガソリンエンジンが1.2リッター自然吸気/ターボおよび1.4リッター、ディーゼルエンジンが出力の異なる3つの1.6リッター直噴ターボの計6モデルをラインアップしたが、日本市場は現行ポロに採用したインタークーラー付きターボの1.2リッター TSIのみを採用した。
この1.2リッター TSIエンジンは、先代ポロ「1.6スポーツライン」に搭載していた1.6リッター自然吸気エンジンの後継モデルとして開発され、最高出力77kW(105PS)/5000rpm、最大トルク175Nm(17.8kgm)/1550-4100rpmを発生し、1.8リッター自然吸気エンジンに匹敵する数値だと言う。エンジンにおけるハイライトはその動力性能に留まらず、10・15モード燃費を先代クロスポロの14.4km/Lから18.6km/Lとし、約29%もの燃費改善が図られた点で、これにより新型クロスポロはエコカー減税(環境対応車普及促進税制)50%減税に適合する。
ラゲッジルーム |
マーケティング本部 マーケティング部長兼プロダクト・マーケティング課長の正本嘉宏氏 |
■“優等生”ポロと一線を画したデザイン
発表会では、同社マーケティング本部 マーケティング部長兼プロダクト・マーケティング課長の正本嘉宏氏が新型クロスポロの概要を説明した。初めにクロスポロのベースモデルであるポロについて紹介し、「ポロは大人4名がゆったり座れるとともに快適に乗ることができるほか、安全性や機能性、そしてクオリティの面でクラストップレベルを誇ることから“コンパクトカーの代名詞的存在”」と述べる。その一方で、ポロは優等生として幅広い層から支持を得ているものの、「ある意味では面白みに欠けると感じるユーザーもいる」と言う。そうした層に積極的に訴えていけるモデルが、今回発表したクロスポロとなる。
マーケティングデータによると、クロスポロ(初代)とポロ(先代)の購入動機をアンケート調査したところ、クロスポロを選択したユーザーの43%が「スタイリング」を購入理由に挙げており、「これは先代ポロではなかなか出てこない特徴」(正本氏)だと言う。また、性別で購入層を比較してみると、ポロはおよそ7割が女性であるのに対し、「クロスポロは(男女)半々に近く、ユニセックス的商品として受け入れられているのではないか」と分析する。
新型クロスポロの特徴については、インテリアを含めてアクティブで遊び心溢れるスタイリングとし、パッと目に入ってくるボディー下部のブラックアウトされたホイールハウスエクステンションおよびサイドスカートが、ポロと明確に異なる点と紹介。さらにバンパー下部のアンダープロテクターや、一般的なモデルではボディーカラー同色となるドアミラーをシルバーとすることなどにより、SUVライクなスタイリングに仕上がったと言う。また、車高を15mm高くした一方で、偏平率の高いスポーツカーのようなタイヤを装着したアンマッチな組み合わせが、クロスポロの魅力の1つと言う。
ボディーカラーについては、メインカラーを先代から引き続きマグマオレンジとし、そのほかフラッシュレッド、ディープブラックパールエフェクト、リフレックスシルバーメタリックの全4色を設定する。
インテリアではシートサイド部やドアトリム、ステアリングやシフトブーツをボディーカラーとコーディネートしたほか、アルミペダルなどを採用することなどにより、「ポロとはまったく異なる世界観を感じられるのではないか」と紹介。
「クロスポロは奇抜なデザインだが、ライフスタイルの幅を広げる期待感や、ワクワク感を持つ」と、正本氏はその特徴を紹介 |
搭載する1.2リッター TSIエンジンについては、「先代クロスポロに搭載していた1.6リッターエンジンと比較すると、非力なのではないかと感じる方もいらっしゃるかもしれないが、最高出力を105PSとし、数値上は1.6リッターと同じ。加えて最大トルクの17.8kgmという数値は先代よりも高い数値」と紹介。また、最大トルクが1550rpmから発生することから「キビキビ走ることもできるし、トルクフルなので扱いやすい設定」と述べるとともに、先代クロスポロよりも3割ほどよくなった燃費数値についても触れ、「走りだけでなくお財布にも優しい」と、その特徴を紹介した。
正本氏に改めてクロスポロの魅力を聞いたところ、「クロスポロはSUVライクなデザインながら、スポーティな側面も併せ持つ。いわば“シティランナバウト”であり、奇抜なデザインだがライフスタイルの幅を広げる期待感、ワクワク感を持つモデル」と述べるとともに、ポロベースで居住性に優れ、さらに極端に車高が高くないことから、一般的な乗用車から乗り換えて違和感なく乗ることができるのもクロスポロの特徴」と話していた。
クロスポロの系譜 | クロスポロ(初代)とポロ(先代)の購入動機 | クロスポロ(初代)を購入したユーザーボイス |
新型クロスポロのエクステリアにおける特徴点 | ボディーカラーは全4色 | インテリアの特徴 |
初代と新型クロスポロのモデル比較 | 価格は260万円だが、最大で32万8000円の減税・補助金を受けることも可能 |
■今年はポロイヤー
同社広報部長の丸田靖生氏によると、1.2リッターTSIエンジンを搭載したポロを、6月だけで3529台受注。ポロシリーズの累計登録台数は、6月23日の時点で7611台とし、これは前年同期比で120.7%という結果になった。
また、今回発売されたクロスポロに加え、さらにスポーツモデルのポロGTIを秋頃導入することから「今年はポロイヤーになる」(丸田氏)と、2010年後半に向けた新車スケジュールを語った。
広報部長 丸田靖生氏 | ポロシリーズの累計登録台数は6月23日の時点で7611台 |
ポロTSIハイライン、コンフォートラインの比較 | 秋にはポロGTIがデビューする |
■クロスポロのプロモーションキャンペーン「CITY×CAMP」を実施
なお、新型クロスポロの発売を記念して、クロスポロの魅力を訴求するとともにそのファン層を広げていくプロモーションキャンペーン「CITY×CAMP」を6月29日から実施する。
CITY×CAMPは、バーチャルとリアルの世界それぞれでイベントを開催。バーチャルの世界ではTwitterを活用したイベント「バーチャルCITY×CAMP」を7月12日からスタートし、リアルの世界では六本木ヒルズで特別に用意されたアクティビティやスペシャルライブを通じてクロスポロの世界観を体験できるイベント「リアルCITY×CAMP」を開催する。リアルCITY×CAMPの詳細については、バーチャルCITY×CAMPのなかで随時更新していくと言う。
クロスポロの特設サイトがCITY×CAMPの入り口になる | バーチャルCITY×CAMPは7月12日に公開予定 |
(編集部:小林 隆 Photo:堤晋一)
2010年 6月 29日