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「SUBARU BRZ R&D SPORTS」SUPER GTリポート

第1戦岡山~第4戦SUGO

 参戦2年目に突入した今年のBRZは速い。すでにシリーズの半分を消化した現時点で5戦中4戦でポールポジションを獲得。8月18日に鈴鹿サーキットで開催された第5戦「ポッカサッポロ1000km」では、優勝という結果を手にした。

 鈴鹿の戦いの模様は別記事で掲載してあるので、本稿では第1戦岡山~第4戦SUGOでの戦いを振り返ってみよう。

SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT300km RACE」

 2012年からの正常進化版にして大幅に改良を加えた最新スペックのBRZ GT300は、GT300クラスでは唯一となるミシュランタイヤを新たなパートナーとして2013年のシリーズをスタートさせた。第1戦岡山での予選は大荒れの天候の中、新生BRZ GT300はポールポジションを獲得。決勝レースでは5位でフィニッシュした。

 表彰台こそ逃したもののチームは9ポイントを獲得し今シーズンの活躍を大きく期待させる開幕戦だった。1位~4位はメルセデス・ベンツ、BMW、ランボルギーニと昨年同様FIA-GT3勢が席巻したが、BRZ GT300が彼らに挑む力を備えたマシンに進化したことはファンにとっても朗報だった。

今シーズンよりGT300クラス唯一のミシュランタイヤでのぞむBRZ GT300は、開幕戦からポールポジション獲得。決勝は5位

SUPER GT第2戦「FUJI GT500km RACE」

 第2戦富士は第1戦岡山に続きポールポジションを獲得。前戦のウエットに続きドライコンディションでの獲得となった。あらかじめグリッドについた予選2位以下のマシンの間をかき分けながらポールポジションに向かうBRZ GT300の姿に誇らしさすら感じたファンも多かっただろう。

 決勝レースは夏の鈴鹿戦に次ぐ長丁場の500km。ここで速さとともに強さを見せつけたかったマシンはなんとスタート直後の4周目でデフトラブルにより緊急ピットイン。再びコースには戻れずリタイア。盛り上がった優勝への期待とのギャップはあまりに大きかった。なお予選でBRZ GT300の続く2番、3番グリッドを獲得したのはFIA GT3勢ではなく2台のCR-Z GTだ。

万全の体制で予選にのぞむBRZ GT300
前戦に続き再びポールスタート
予選日の夕方の定番風景となるが……
予選が好調でもさらなる上を目指し遅くまで作業を続けるチームスタッフがBRZ GT300の速さの原動力なのだ

SUPER GT第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」

 第3戦セパンで、2戦連続でポールポジションを得たBRZ GT300からその座を奪ったのは2台のハイブリッドマシンCR-Z GTだった。それでもBRZ GT300は、3番手スタートと相変わらず予選での速さは健在。決勝レースでも安定した速さを見せたマシンは初表彰台へ向け快走し続けるが、35周目に周回遅れのマシンと接触、そしてスピン。4位へポジションダウンしてしまいそのままフィニッシュした。チームは11ポイント獲得。ここでも表彰台にあと一歩届かなかったが、マシンのさらなる進化への手応えもあり次戦へ向け明るい材料の多いセパン戦でもあった。

SUPER GT第4戦「SUGO GT300km RACE」

 第4戦SUGOが開催された「スポーツランドSUGO」は、コースレイアウトとマシンのマッチングもよく、レガシィB4時代から常に期待されつつ未だ勝利できないサーキットだ。山野、佐々木両ドライバー、辰己総監督が「今までで最高の仕上がり」と口を揃えたBRZ GT300は勢いを増す2台のホンダハイブリッド勢を抑え、3度めのポールポジションを獲得。SUGOでの初勝利への期待は膨らんだ。

 そんな状況の中、決勝レース前に辰己総監督は語った。

「今までで最高の仕上がりですが唯一の不安は天候の変化です。時間をかけ非力なマシンを煮つめに煮つめて仕上げたセッテイングは他のハイパワーマシンと較べ繊細でタイヤチョイスや気温等の環境変化の影響を受けやすいんです」

 残念ながら唯一の不安はチームの勝利に立ちはだかってしまった。ドライコンディションでスタートしたレースは後半に少雨に見舞われる。ライバル達がスリックタイヤで強行する中、環境変化に弱いBRZ GT300はレインタイヤへの交換を余儀なくされてしまったのだ。しかしながら雨は一向に強くならずレインタイヤではペースを上げることもままならず順位を落とし6位でレースを終えた。8ポイント獲得。またSUGOでの勝利はお預けとなってしまった。

SUGOでの初勝利に向け激走するBRZ GT300
驚異的な走りを見せる2台のCR-Z GTに応戦
中途半端なセミウエット状態の路面に苦戦

第5戦鈴鹿で優勝

 マシンの特性上マッチングがよいとされる「岡山国際」「SUGO」ではなかなか勝利に恵まれない。一方で相性という点においてレガシィB4時代に2回もの優勝経験があり、昨年のBRZ GT300においてもリタイヤしたものの、その走りは冴えていた鈴鹿は初勝利として最高の舞台となった。

 そのデビュー以来、スバルBRZ/トヨタ86のモータースポーツ参戦率は極めて高い。山野哲也選手がBRZで参戦する全日本ジムカーナをはじめ全日本ラリーやスーパー耐久、D1GP等々。今年はワンメイクシリーズもスタートし各方面で活躍中だ。そんなマシンの頂点を極める最強最速のワンオフレーシングマシンBRZ GT300はスバルモータースポーツのシンボルといえる存在になっている。

毎戦、毎戦厳しい表情で戦況を見守る辰己監督。ポールポジションは何度も獲得したものの、結果に結びつかないレースが第4戦SUGOまで続いた

(高橋 学)