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SUPER GT第5戦鈴鹿は18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)が今季初優勝

GT300クラスは61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)がBRZに初優勝をもたらす

2013年8月18日決勝開催

 8月18日、2013 AUTOBACS SUPER GT第5戦「第42回インターナショナル・ポッカサッポロ1000km」の決勝レースが鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で行なわれた。GT500クラスは18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)が今季初優勝。GT300クラスは61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)がBRZに初優勝をもたらした。

GT500クラス

 シリーズ最長の1000kmレースは、気温34度、路面温度47度という灼熱の天候で開催された。決勝はポールポジションからスタートした23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)がトップをキープ。予選2位、3位の2台、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)と36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)が続いた。

オープニングラップは23号車、18号車、36号車が予選順位をキープした

 オープニングラップのシケインで36号車 PETRONAS TOM'S SC430が18号車 ウイダー モデューロ HSV-010を抜いて2位に浮上。抜かれた18号車 ウイダー モデューロ HSV-010も離されることなく攻め立て、序盤は2位争いが白熱した。

36号車が18号車を抜き2位浮上

 2位争いは13周目のスプーン進入で18号車 ウイダー モデューロ HSV-010がインに飛び込みポジションを回復。そのままの勢いでトップの23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを追走する。

18号車が36号車を抜き2位を奪回

 20周目にトップ争いはテール・トゥ・ノーズとなり、23周目のヘアピンでインをキープした23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが前を走るGT300クラスのマシンに詰まったところを、アウト・アウト・アウトのラインを選択した18号車 ウイダー モデューロ HSV-010が立ち上がりでオーバーテイク。ミシュランタイヤ勢同士のトップ争いは18号車 ウイダー モデューロ HSV-010に軍配が上がった。

トップの23号車の背後に18号車が迫ってきた
23号車を抜くと一気に引き離しに掛かる18号車

 追い抜かれた23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはタイヤの限界を迎えて徐々にペースダウン。27周目には36号車 PETRONAS TOM'S SC430、28周目には38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)に抜かれて4位まで後退。29周目に上位陣の先頭を切ってピットインした。

 その後、2回目のルーティンピットが始まった66周目にアクシデントが発生する。86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(細川慎弥)が西ストレートで左リアタイヤをバースト。コース上に破片を撒き散らし、さらにバーストしたタイヤが燃料ホースを壊してマシンが炎上。セーフティカーが導入された。

 アクシデントが発生する前にピットインを済ませた23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)は第2スティントの6位からさらに見かけ上の順位を落としていたが、セーフティーカー導入中に上位陣がピットインしたことで2位にポジションアップ。レースが再開すると、セーフティーカー導入直後のピットクローズ中にピットインした1号車 REITO MOLA GT-Rがペナルティを受けたため、トップの座が転がり込んできた。

 それまで独走状態でトップにいた18号車 ウイダー モデューロ HSV-010は2位に後退。トップの23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとの間に大量のGT300マシンを挟んだことで大きく遅れをとる展開になった。

 しかし、自力に優る18号車 ウイダー モデューロ HSV-010は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとの差をじわじわと詰め、再びレース序盤と同様のバトルになった。18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(フレデリック・マコヴィッキィ)は115周目にトップの背後に迫り、116周目のスプーン1つ目で23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝)がわずかにオーバーラン。イン側をすり抜けた18号車 ウイダー モデューロ HSV-010がトップの座を奪い返した。

セーフティーカー導入の不運で遅れた18号車が23号車に追い付いた
18号車が23号車を抜きトップを奪い返す

 最後のピット作業はトップ争いの2台が同時にピットイン。2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの方が作業時間が短かったため、ピットイン前にあった4秒のタイム差はほとんどなくなった。それでも18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)の走行ペースは速く、徐々に差を広げてチェッカーに向け独走態勢を築いていく。

最終ピットインはトップ2台が同時ピットイン。18号車がかろうじてトップをキープした
残り3周。2位の23号車にストレート1本分の差を付けてチェッカーを目指す18号車

 1000kmの長丁場を走りきった18号車 ウイダー モデューロ HSV-010が、チームとしては1年ぶり、ドライバーの2人はGT初優勝を飾った。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとなりミシュランタイヤが1-2体制。ブリヂストンタイヤの独走を阻止した。3位は終盤に12号車 カルソニックIMPUL GT-Rとのバトルを制した36号車 PETRONAS TOM'S SC430が獲得している。

 ドライバーポイント争いは23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が42ポイントでトップに立ち、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)が40ポイントで3位に浮上。混戦は続きそうだ。

優勝した18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)

GT500クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
2位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
4位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
5位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
6位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)
7位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
8位1号車 REITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)
9位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
10位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)

GT500クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)42
2位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)41
3位18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)40
4位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)37
5位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)37
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)34
7位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)29
8位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)28
9位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)26
10位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資)24

GT300クラス

 GT300クラスでは、ここまで好調のJAF-GT勢に対して車高を高くする性能調整が行われた。ポイントランキングでトップに立つ16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)は予選で14位に沈んだが、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)は性能調整をものともせず、今季4回目のポールポジションを獲得。好調をキープしつつ決勝を迎えることとなった。とは言え、今シーズンの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTは決勝レースになると優勝はおろか表彰台も獲得していない。トラブルなくゴールまで走りきれるかが重要となる。

 スタートでトップをキープした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)は、1周ごとに後方を3秒も引き離すというペースでラップを続け、序盤から独走態勢を構築。1回目にピットインするころには2位に50秒の大差を付けていた。

61号車がトップをキープ。3号車、50号車が続いた
圧倒的なラップタイムで独走態勢を築いていく

 第2スティントを担当した井口卓人選手も他車を圧倒するラップタイムで走行を続け、タイム差を1分半まで広げて山野哲也選手に交代。しかし、ここで86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3がタイヤをバーストさせてセーフティカーが導入され、築き上げたマージンを失うこととなった。

 レースはリセットされたが、再スタート後も61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也)のペースは衰えず、再び大量のマージンを稼ぎ出して独走態勢のままレース終盤を迎えた。

 楽勝かと思われた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTだったが、残り30周あたりになってペースダウン。序盤の接触で傷めた右リアのディフューザーがタイヤに接触するようになり、2位の4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)との差が一気に縮まってきた。

 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)は残り20周を切ったタイミングで緊急ピットイン。傷んだディフューザーを引きちぎり、タイヤ交換をしてピットアウトする。コースに復帰するとすぐ横を4号車 GSR 初音ミク BMWがすり抜け、5時間以上守ってきたトップの座を失ってしまった。

緊急ピットインを済ませてコースに戻ると4号車が先行した

 ピットアウト後の5周ほどはトップ2台のタイム差は3秒以上あったが、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはタイヤが温まると一気にペースアップ。ヘアピンからの立ち上がり加速であっさりトップを奪い返した。

ピットアウト後3秒ほどの差が続いたが、徐々に差を詰めて背後に迫った
トップを奪い返してチェッカーを目指す
ゴール直前には4号車とストレート半分ほどの差を付けた

 トップに立った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはそのまま快走を続け、チェッカーを受けて今季初優勝。BRZはデビュー2年目で悲願の初優勝を飾った。予選17位から2位にまで浮上した4号車 GSR 初音ミク BMWだったが、レース後の車検でリストリクター取付部に吸気漏れがあり、リストリクター違反で失格となってしまった。

 これによって順位が繰り上げとなり、2位に52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥)、3位に62号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼/中谷明彦)となっている。

優勝した61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)
2位の52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥)
3位の62号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼/中谷明彦)

GT300クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)
2位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥)
3位62号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼/中谷明彦)
4位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)
5位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)
6位11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)
7位0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHE(峰尾恭輔/横溝直輝)
8位50号車 Exe Aston Martin(加納政樹/安岡秀徒/阪口良平)
9位3号車 S Road NDDP GT-R(星野一樹/佐々木大樹/ルーカス・オルドネス)
10位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)

GT300クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)57
2位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)44
3位11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)42
4位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士)42
5位55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)40
6位62号車 LEON SLS(黒澤治樹)28
7位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人)25
8位4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)22
9位87号車 ラ・セーヌ ランボルギーニ GT3(山内英輝/吉本大樹)21
10位31号車 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)20

 次戦は9月7日、8日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で第6戦が開催される。

(奥川浩彦)