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エヴァンゲリオンレーシングリポート SUPER GT第7戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」

9月22日に富士で行われたアジアン・ル・マンでは今シーズン初のポイント獲得

2013年10月6日決勝開催(SUPER GT第7戦)

 10月6日、2013 AUTOBACS SUPER GT第7戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の決勝レースがオートポリス(大分県日田市)で行われた。レース結果などはすでに別記事で紹介しているが、本記事ではSUPER GTのGT300クラスに参戦し、Car Watch読者に人気の高いエヴァンゲリオンレーシングの各セッションの詳細をお届けしたい。

 エヴァンゲリオンレーシングは第6戦を終えてノーポイント。苦しいシーズンが続いているが、シーズン前半で多発したトラブルを克服、徐々に調子を上げてきている。残るレースは限られているが、シーズン終了までに何か結果を残して欲しいものだ。

エヴァRT初号機アップルMP4-12C

アジアン・ル・マン

 SUPER GTシリーズは全8戦で行われるが、今年はアジアン・ル・マンが9月22日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催され、GT300クラスの参戦が認められ、シリーズポイントの対象レースとなった。アジアン・ル・マンはその名のごとく、韓国、日本、中国、マレーシアのアジア4カ国で開催され、シリーズ第2戦が日本ラウンドとなっている。

 レースは3時間の耐久レース。マシンは「LMP2」「GTE」「GTC」の3クラスに分けられ、「GTC」クラスには別枠の「SGT」クラスが設けられ、エヴァンゲリオンレーシングを含む11台のGT300マシンが参戦。SGTクラス内の結果によって、SUPER GTの選手権ポイントが最大8ポイント与えられる規定となっている。

 レギュレーションも異なり、当然と言えば当然だが、SUPER GTの獲得ポイントによるウェイトハンデはなし。ピット作業人数など細かな点でも普段のSUPER GTとは違うレースだ。そのレギュレーションの中で、エヴァンゲリオンレーシングにとって大きなポイントは、使用する燃料が主催団体によりヨーロッパから持ち込まれたものとなったことだ。

 マクラーレンMP4-12Cはヨーロッパのレースで使用されている、オクタン価の高いレースガソリンに合わせてエンジンMAP(点火時期や燃料噴射量を定めているECU内部のプログラム)が設定されている。日本で行われるSUPER GTシリーズでは使用できないこの燃料を使用すればマシン本来のパワーを発揮できるはずだ。加えてタイヤもエヴァRT初号機アップルMP4-12Cにより合わせこんだものが用意され、戦闘力アップが期待された。

 加藤選手は金曜日の練習走行で1分39秒116を記録、土曜日の予選前に行われた練習走行では1分38秒861とタイムを更新。これはSUPER GT第6戦の予選で2番グリッドに匹敵するタイムだ。予選ではアタック中に遅いクルマに引っかかりタイム更新はできず8番手に終わったが、よい感触を持って決勝を迎えることとなった。ただ不安材料も発生した。かなりベストに近いタイヤとなったが、練習走行でトラブルが発生。バーストには至らなかったが、耐久性に不安を抱えることとなった。

 決勝はタイヤトラブルを避けるためピット回数を増やし3ピット4スティントで臨むこととなった。ドライバーは第1、第2スティントを連続して加藤選手が担当、第3スティントを高橋選手、第4スティントを加藤選手が担当する。

 決勝では、第1スティントでクラス5位までポジションアップ。第2スティントで3位までポジションを上げ高橋選手に交代。5位でコースに復帰すると昨年のチャンピオンチーム0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHEを抜き4位に浮上。その後タイヤ温存を優先し0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHEとのバトルを避け5位に後退しピットイン。最終スティントを担当する加藤選手に交代した。

アジアン・ル・マンを走るエヴァンゲリオンレーシング(撮影:高橋学)

 6位でコースに戻った加藤選手は、52号車 OKINAWA-IMP SLSを抜き5位にポジションを回復。4位を走る0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHEを追うもそのままゴール。5位でレースを終えることとなった。シリーズ戦ではないが今シーズン初のポイントを獲得。3ポイントを持って九州オートポリスで行われる第7戦に乗り込むこととなった。

貴重な3ポイントを獲得し、ウェイトハンデの3kgを積んでオートポリスに乗り込んだ

SUPER GT第7戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」

 SUPER GTシリーズ第7戦の舞台はオートポリス。台風は西にそれ直撃は避けられたが練習走行、予選が予定されていた土曜日は雨と霧に襲われた。練習走行が開始され加藤選手がコースイン。レインタイヤを温めたところでGT500クラスのマシンがコースアウトし赤旗中断。再開後は豪雨となり、さらに霧も出て再び赤旗中断。結局セッション終了の時間まで回復することはなく、ほとんどのマシンが数周しただけで練習走行は終了した。

雨と霧の中、コースインする加藤選手
ウェットコンディションの中、タイヤを温めた加藤選手だったが、このあと赤旗中断
最初の赤旗中断後、数台がコースインするが豪雨となり再び中断された

 その後も天候は回復せず、この日予定されていた予選も中止。日曜日の朝のウォームアップ走行の時間を使用して予選が行われることとなった。この日の加藤選手の周回数は6周、高橋選手は0周。

10月6日(日)予選

 日曜日の天候は曇り時々晴れ。ときおり霧状の雨が降る天候となった。この日の午前中に変更となった予選は、ウェットパッチが残る微妙なコースコンディションで行われた。

 予選方式は各クラス25分の1本勝負。ドライバー交代の必要はない。加藤選手のタイムだけで予選順位が決まるのでエヴァンゲリオンレーシングには有利となる。

 微妙なコースコンディションなので、走行によりレコードラインは徐々に乾くと予想され、セッション後半にタイム向上が期待される。加藤選手はゆっくりとタイヤを温め、6周目に最初のタイムアタックを行い1分50秒764と6番手タイムを記録。そのままペースを落としクールダウン。

予選を走る加藤選手

 その間に順位は11位に後退するが、8周目に再びアタック。1分49秒557を出し6位にポジションを戻す。9周目は他車との間隔を取り、クリアラップを狙って9周目に3度目のタイムアタック。第2ヘアピンからジェットコースター・ストレートに入ったところで突如パワーダウン。アタック失敗に終わりピットへ戻ることとなった。順位も一気に落として15位。シングルポジションからのスタートが期待されたが、後方集団からのスタートとなってしまった。

 トラブルの原因はターボからエアインテークへのホースの外れ。この修復のため予選直後のサーキットサファリへの出走ができず、高橋選手はここまで1周も走れない状況となった。

ピットウォーク

 雨に見舞われた土曜日も、強風となった日曜日もピットウォークは開催された。今回参加したレースクイーンはアスカ役の和泉テルミさんとマリ役の森園れんさん。悪天候となったが、エヴァンゲリオンレーシング レースクイーンの前には多くのファンが集まった。

ピットには多くのファンが集まった

10月6日(日)決勝

 決勝直前のウォームアップ走行で、高橋選手はようやくコースを走行。まずまずのタイムでラップした。ウォームアップ後半は加藤選手が走行し6番手タイム。決勝は後方から追い上げが期待された。決勝は65周。GT300クラスは61~62周でチェッカーを受ける予想だ。エヴァンゲリオンレーシングのスタートドライバーは加藤選手。40周過ぎまで引っ張り高橋選手が残りのスティントを担当する作戦だ。

 14時。天候は微妙だが路面はドライコンディションのまま65周の決勝レースがスタートした。予選でタイヤにフラットスポットを作ったチームなどがピットスタートやフォーメーションラップ後にピットインをしたため、オープニングラップは13位。2周目に2つポジションを落とすが、3周目に2台抜いて13位にポジションを回復。

オープニングラップは13位をキープ
3周目に86号車を抜き14位、13位の22号車の背後に迫る。この後22号車を抜き13位へ

 ロングランを見据えた加藤選手は、1分53~54秒台のタイムを維持しつつタイヤをセーブ。それでも7周目12位、8周目11位、10周目にはポイント圏内の10位ポジションアップした。加藤選手は1分51~52秒台にタイムを上げ、11周目には9位、13周目にはチャンピオン争いをする11号車 GAINER DIXCEL SLSを抜き8位、16周目には10号車 GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSを抜き7位へ浮上、強豪を次々とパスしてみせた。

11位の21号車、12位の87号車に迫る
21号車を抜き11位浮上
10位の48号車を攻める加藤選手
9位の5号車に迫る

 レースディスタンスの1/3となる20周過ぎから各車のピットインが始まり、見かけ上の順位は22周目に6位、26周目に5位、27周目には4位までアップ。霧雨状の雨が降り出すがウェットタイヤに交換するほどではなく、30周目に3位浮上。36周目には1分51秒253のベストラップも記録。40周目に2位までポジションを上げ41周を終えてピットイン。タイヤ4本を交換、残り20周ほどの燃料を給油、ドライバーは高橋選手に交代した。

ピットイン直前。2位までポジションを上げるが背後にピットを済ませた4号車が迫ってきた

 高橋選手がコースに復帰すると5位。アウトラップでタイヤを温める前に2台にパスされ7位に後退。この順位を守ればポイントを加算できる。アウトラップを終え43周目のラップタイムは1分52秒765。続く44周目も1分51秒921と好ラップ。前を走る30号車 IWASAKI OGT Racing GT-Rより速いタイム。後ろの0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHEに追い付かれることもなさそうな展開だ。

ピットアウト直後。周回遅れの9号車とGT500マシンの後ろに8位の0号車。逃げ切れると思われた

 と思った矢先、GT500クラスの集団を前に出した45周目は1分54秒970と3秒もダウン。その後も1分54~55秒台からタイムが上がらない。原因はタイヤカスをピックアップしたためだ。レコードラインを外した際に拾ったタイヤカスでグリップダウンと振動が発生。

 これで後続の集団が高橋選手の背後に迫ることとなり、53周目に0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHEに抜かれ8位に後退すると、54周目に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、55周目に16号車 無限 CR-Z GT、56周目に55号車 ARTA CR-Z GTに次々に抜かれポイント圏外へ。最後は12位でチェッカーを受けた(最終結果はペナルティを受けたマシンがあり11位)。

残り6周、11位の2号車の背後に10号車と3台のランボルギーニが迫る
10号車はスピンし脱落するが87号車に迫られ12位へ後退
残り2周。13位の86号車がテール・トゥ・ノーズ
86号車に抜かれ最終ラップに入るが55号車のスピンと86号車のペナルティで結果は11位となった

 予選のタイムアタック中にエアインテークのホースは外れるトラブルや、タイヤカスをピックアップしてペースダウンなど、今年のエヴァンゲリオンレーシングはもう一歩のところで運がない。残る最終戦は有終の美を飾るべく、健闘を期待したい。

(奥川浩彦)