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エヴァンゲリオンレーシングリポート SUPER GT第2戦富士&第3戦セパン

6月からリニューアルしたレースクイーンのコスチュームなども紹介

 2013 AUTOBACS SUPER GTシリーズは4月29日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で第2戦「FUJI GT 500km RACE」、6月16日に第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」の決勝が開催された。レース結果などはすでに別記事で紹介しているが、本記事ではSUPER GTのGT300クラスに参戦しCar Watchの読者に人気の高い、エヴァンゲリオンレーシングの各セッションの詳細をお届けしたい。熱心なファンは既にご存じかもしれないが、エヴァンゲリオンレーシングは6月からレースクイーンのコスチュームをリニューアルした。よりセクシーになった新コスチュームの詳細にも注目いただきたい。

第2戦「FUJI GT 500km RACE」

 デビュー戦となった岡山では予選が豪雨、決勝は6周でリタイヤとなり、よいところを見せられなかった「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」だったが、第2戦の「FUJI GT 500km RACE」は好天に恵まれ、その実力を見せる絶好のチャンスが訪れた。長いストレートを苦手としていた紫電に対し、ストレートスピードにアドバンテージのある「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」には有利なサーキットと言える。決勝はシリーズで2番目に長い500kmの長丁場。昨年までは紫電の燃費性能が生かせるレースだったが、今年は逆に燃費のわるさが不安要素となる。果たしてその結果は。

4月28日(日)練習走行

 練習走行はいつもどおり加藤選手がコースイン。1分40秒台から徐々にタイムを上げ、1分39秒648はクラス5番手と上々の滑り出し。計測7周ほどでセッティングを決め、その後はタイヤテストのためピットインを繰り返す。15周目にタイムアタックを行い、セクター1、セクター2とベストを更新。39秒前半まで行けそうだったが、最終コーナーでシフトチェンジができなくなるトラブルが発生。シェイクダウン時に頻発したトラブルがここに来て再発しそのままピットへ戻りパーツ交換を行うこととなった。

練習走行は加藤選手からコースイン

 加藤選手の走行である程度のセッティングができたので、高橋選手に交代。連続走行に加え、予選Q2を想定しNEWタイヤでのアタックなども実施。1分40秒727はクラストップから約2秒落ちとこの段階ではまずまずのタイムとなった。

4月28日(日)予選

 予選はノックアウト方式で、Q1の上位13台がQ2に進出。Q2のタイムでスターティンググリッドが決定される。Q1、Q2は同じドライバーが乗ることはできない。

 Q1の担当は加藤選手。練習走行の感触では上位進出が期待されたが、いまひとつセッティングが合わず1分39秒642と、午前中に行われた練習走行のタイムを縮めることができず11位となった。1位でも11位でもQ2進出という結果は同じだが、消化不良な予選Q1となった。ちなみに予選Q1のストレートエンドの最高速は270km/hでクラス4位だった。Q2を担当した高橋選手は、自己ベストとなる1分40秒694を出し13台中12位のタイムとなった。

Q2を走る高橋選手

ピットウォーク・キッズウォーク・グリッドウォーク

 SUPER GTでは予選日、決勝日にピットウォーク、予選終了後にキッズウォーク、決勝スタート直前にグリッドウォークが開催されている。今回は天候にも恵まれ、ゴールデンウィーク中ということもありこれらのイベントでは身動きが取れないほど多くのファンが集まった。

 エヴァンゲリオンレーシングは5人のレースクイーンは全員参加。前戦の岡山は2人、第3戦のセパンは例年2人、7月の第4戦SUGOは鈴鹿8耐と同日開催となり両サーキットにそれぞれ参加するため、5人勢揃いすることはまれだ。いつもどおりエヴァンゲリオンレーシングのピット前には多くのファンが殺到し、盛んにシャッターを切っていた。

ピットウォークでは多くのファンが殺到した
グリッドウォークでも多くのファンがシャッターを切っていた
5人のレースクイーンが勢揃い

 エヴァンゲリオンレーシングのレースクイーンのコスチュームが6月から変更となった。サーキットでのお披露目はセパンから、国内サーキットでは7月のSUGOとなるが、サーキット以外の撮影会等のイベントではそれより早く新コスチュームのレースクイーンに会うことができる。気になる方はエヴァンゲリオンレーシングのホームページでイベント情報などをチェックしよう。新コスチュームの詳細は後述のセパンで紹介しよう。

4月29日(月)決勝

 500kmの長丁場となる決勝は2回のピットインが義務付けられている。決勝の周回数は110周だが、GT300クラスは104周あたりでチェッカーとなる。2ピット3スティントで計算すると1スティント35周となるので、燃料満タンで35周を走れないと3ピットが必要となる。エヴァRT初号機アップルMP4-12Cはターボエンジンで燃費的にはギリギリとなりそうだ。

 スタート前、ピットで満タンにしてコースイン。ファーストスティントを担当する加藤選手はゆっくりと1周しグリッドへ向かう。既に燃費との戦いは始まっていて、この1周、さらにフォーメーションラップの1周、レース周回にカウントされないラップでも1滴のガソリンも無駄にできない。最終コーナーを立ち上がりストレートの途中でエンジンを止め惰性でグリッドに着くはずだったが、やや勢いが足らずグリッド手前で止まってしまった。

 午後2時、フォーメーションラップがスタート。フォーメーションラップで予選3位の55号車 ARTA CR-Z GTがスピン。本来はピットスタートとなるが3位のポジションに戻ってしまった。55号車 ARTA CR-Z GTのスタート手順違反はあったものの、そのままレースはスタート、加藤選手はオープニングラップで1つポジションを上げ11位となった。

スタート直後の1コーナーを抜ける2号車

 ポールポジションからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが早々に駆動系のトラブルでピットへ。フォーメーションラップでスピンした55号車 ARTA CR-Z GTもペナルティで後退したため加藤選手は労せずして9位。

0号車、31号車に次ぐ9位にポジションアップ

 4周目には8位、5周目には7位と順調に順位を上げた加藤選手だったが、6周目の最終コーナーで目の前を走る31号車 Panasonic apr PRIUS GTがスピン。急ブレーキとステアリング操作で接触は避けたが、ストレートへ向けスピードを乗せる最終コーナー立ち上がりで急減速したため後続に抜かれ10位まで順位を落としてしまった。

一旦順位を落とすがここから巻き返す

 しかしここから加藤選手の神がかり的な追い上げが開始される。8周目に9位、10周目に8位、13周目に7位、15周目には一気に5位までポジションアップ。次々と順位を上げつつエコドライブを続け燃費データも想定以上の値をキープした。

0号車を抜き8位へ
7位の88号車に徐々に迫る
88号車を抜き7位浮上

 快進撃は続き、17周目には4位、25周目には3位、34周目には2位の86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3、35周目にはトップ独走の16号車 無限 CR-Z GTがルーティーンのピットインで暫定ながら1位までポジションをアップした。

4位を走行する2号車

 加藤選手のエコドライブが功をそうし、予定していた35周(スタート前の2周を加えると37周)を1周上回る36周でピットイン、第2スティントを担当する高橋選手に交代した。燃費性能がよくないため給油時間は長め。高橋選手がコースインすると順位は9位へと後退した。

 高橋選手は安定したラップで周回を続け、37周目から44周目まで9位のポジションをキープ。45周目に10位に後退するがまずまずのレース展開。この順位をキープして第3スティントの加藤選手につなげばポイント獲得、上手くすれば上位入賞も期待できると思われた。

 ところが47周目の最終コーナーでシフトチェンジができなくなるトラブルが再発。最終コーナー立ち上がりのエスケープゾーンにマシンを止めた。全ての電源が落ちメーターパネルも真っ暗。シェイクダウン以降何度も発生したトラブルがレースでも起こってしまった。

 いくつかの復旧処置を行うが駄目。走行を諦め、マシンを降りようとした瞬間に突然電源が回復。エンジンも始動しコースに復帰するが約4分のロス。すでに周回遅れとなり20位へ後退。ポイント争いからは完全に脱落してしまった。

 レースからは脱落したがデータ収集のためにも高橋選手は周回を重ねた。60周目に再び同じトラブルが発生しピットイン。じっくり時間をかけ、点検とパーツ交換を行いそのまま高橋選手がコースイン。71周目まで走行し加藤選手に交代した。

 タイヤ交換はリヤ2本と今後のレースを想定したテストも実施。加藤選手もデータ収集のため走行を重ね80周目にベストラップとなる1分40秒232をマーク。トップから17周遅れとなる86周でチェッカーを迎えた。

 シェイクダウンから続くマシントラブルにより満足な走りにはほど遠い状況だが、ファーストスティントの加藤選手の快走は、トラブルから脱出すれば上位が狙えるマシンポテンシャルを感じさせた第2戦となった。

第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」

 第3戦の舞台は赤道直下、灼熱のマレーシア・セパンサーキットだ。5月に予定されていた韓国でのエキシビションレースが中止となったため、第2戦と第3戦のインターバルはやや長めとなった。このインターバルを利用し、エンジニアが渡英。マクラーレンに対し、電話やメール等では伝わりにくい現状を伝え、対策を協議。配線関連の変更、交換を行いマシンを送り出した。さらにマレーシアで合流したマクラーレンのエンジニアが、現地で簡単に交換できるアップデートパーツを持込むという万全の体制で臨むこととなった。

6月15日(土)練習走行

 まずは加藤選手がステアリングを握り、長い船旅をしたマシンの各部の確認を行い、その後本格的な走行に入った。15周を周回して24台中16位とやや低迷。その後高橋選手に交代し、18周の走行をしてタイムは2分10秒9915がベスト。レースラップとしてはまずまずのタイムだ。

エヴァRT初号機ペトロナスMP4-12C、セパン初登場

 最後に行われたGT300クラスの占有走行で加藤選手がタイムアタックを行うが不発。タイムはやや不満が残る結果となったが、トータル38周をトラブルなしで走れたことは大きな収穫となった。

6月15日(土)予選

 15分間のノックアウト方式で行われる予選Q1は加藤選手が残り10分になってからコースイン。2周目のアタックで2分5秒366はこの時点で6番手タイムを出すが、クールダウン走行をする間に11番手に後退。Q2に進めるのは上位13台のためこのままではQ1敗退の可能性もある。再アタックに入りセクター1、セクター2と自己ベストを更新するがセクター3、4で伸び悩みタイム更新ならず。結果、13番手とギリギリでQ1進出となった。

 因みにこの予選Q1は、トップの55号車 ARTA CR-Z GTは2分3秒台と別格の速さだが、2番手以降は加藤選手まで1秒ほどに入る激戦となった。

予選を走る2号車

 予選Q2の担当は高橋選手。2周目に2分8秒台を出し、3周目には2分8秒092と7秒台に迫るタイムを出すが12番手止まり。翌日の決勝は6列目12番手からスタートすることとなった。

ピットウォーク・キッズウォーク・グリッドウォーク

 セパンでもピットウォーク、キッズウォーク、グリッドウォークなどが開催される。国内レースと異なるのは、日曜のピットウォークが2時間弱と長時間なことと、空いていることだ。国内で開催されるSUPER GTのイベントは歩くのも大変なほど混雑することが多いがセパンは一部のチーム以外は比較的容易にレースクイーンやドライバーに近付くことができる。

グリッドウォークの様子。国内レースでは歩くのが大変なほど大混雑するが、セパンはゆとりを持ってマシン、ドライバー、レースクイーンの写真を撮ったりできる
セパンでもエヴァンゲリオンレーシングは人気が高く、グリッドウォーク、ピットウォークとも多くのファンが集まっていた

 6月からレースクイーンのコスチュームがリニューアルされ、サーキットではセパンが初公開となった。今回参加したレースクイーンは、マリ役の森園れんとカヲル役の北山奈都美さん。2人の新コスチュームをジックリ見ていただきたい。

新コスチュームはセパレートになり露出度アップ

 新コスチュームはワンピースからセパレートになり露出度アップ。よりセクシーとなった。特にマリのコスチュームは胸元にスリット、スカートのサイドにも大胆なスリットが設けられている。

胸元にスリット
スカートのサイドにはかなり大胆なスリット
こちらは旧コスチューム(第2戦富士)
腰まわりがよりセクシーなデザインに

 今回はコスチュームがリニューアルされたのでピットウォーク、グリッドウォークの写真を多数用意した。普段は撮らない休憩中のオフショットもあるのでたっぷり観賞していただきたい。

6月16日(日)決勝

 決勝日早朝、前日の走行で飛び石により大きな亀裂の入ったフロントウィンドガラスを交換するため現地のガラス屋さんに作業を依頼。ガラス交換のため外周のモールを外そうとした際にマシンに搭載してある消火器を誤って作動させるというハプニングが発生した。

予選走行中の写真を見るとフロントガラスに亀裂が見える

 室内、エンジンルームが消火剤まみれになり、それらの清掃に追われる事に。また消火器が空になってしまっては、安全上走行する事ができない。火災で消火器を作動させれば、レース続行は不可能となることが多いので、殆どスペアの消火器は用意していない。急遽多くの方々のご協力を得て、NISMOから適合した消火器を借りて、何とか朝のフリー走行の出走に間に合わせる事ができた。

 決勝スタートは、国内レースの午後2時と異なり、日が長いこともあり日中の暑さを考慮し午後4時から。スタートドライバーは加藤選手。12番手グリッドからスタートした加藤選手はオープニングラップは前方のマシンが接触しオーバーランする間に10番手に上がるものの、その後は淡々と周回を重ねた。ラップタイムも今ひとつ伸びず上位の2分8~9秒台に対し2分10秒台と精彩を欠く。

12番手からスタート
10位に上がるが10号車、62号車に攻め立てられる
62号車、10号車に抜かれ12位へ後退
さらに4号車にも迫られる

 8周目に11位、9周目に12位、15周目に13位に後退。その後上位陣がピットインを開始すると、20周目に11位、21周目の10位、23周目に8位、24周目に6位、26周目に3位と見かけ上の順位を上げ、28周目に一瞬1位となりピットインへ向かった。

レース中盤、12位争いをする52号車、2号車、3号車
12位に浮上し3号車、52号車を引き離す

 タイヤは予定どおりリアのみ交換。給油時間の36秒は、以前の紫電ならタイヤ4本交換と給油まで可能なタイム。いかにFIAGTマシンが大喰いかが伺える。加藤選手から高橋選手にドライバー交代し13位でコースに復帰した。

 前回の富士ではトラブルで結果には結びつかなかったものの、決勝でトップグループとさほど変わらぬラップタイムで走った高橋選手だが、この日のラップタイムは2分12~14秒台と低迷。後方集団からジリジリ追い上げられ、13位から15位に後退。そのままトップから1周遅れの15位でフィニッシュとなった。

レース終盤、14位の21号車からストレート半分後方に2号車(2台後方)
周回遅れとなったため5位の88号車の後ろを走る2号車。後方は6位の4号車。16位の5号車とは大差があり見えない

 レース結果には満足できないが、初めてトラブルもなくレースディスタンスを走り切ったのは大きな収穫。やっとシェイクダウンが終わった感じだ。ここからはセッティング、タイヤ選択などを煮詰め、次戦SUGO以降は上位争いに加われることを期待したい。

(奥川浩彦)