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エヴァンゲリオンレーシングリポート SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」

マシンの不調から抜け出すも、運に見放され14位となったエヴァンゲリオンレーシング

2013年9月8日決勝開催

 9月8日、2013 AUTOBACS SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で行われた。レース結果などはすでに別記事で紹介しているが、本記事ではSUPER GTのGT300クラスに参戦し、Car Watch読者に人気の高いエヴァンゲリオンレーシングの各セッションの詳細をお届けしたい。

エヴァRT初号機アップルMP4-12C

 エヴァンゲリオンレーシングはシーズン5戦を終えてノーポイント。時すでに遅しとも言えるが、ここ3戦は完走して徐々にデータを得ることもできた。タイヤメーカーもノーポイントというチームの希望をすべてかなえることは難しいなか、ベストとは言えないまでもベターなタイヤを用意してくれた。ほんの少しではあるが期待を持って臨む第6戦となった。

9月7日(土)練習走行

 今回の練習走行は、新しく用意されたベターなタイヤへの合わせ込みが重要となる。いつもどおり加藤選手がステアリングを握ってコースイン。1分41秒164を出し、この時点でクラス3番手と好調な滑り出しとなった。セッティングを調整して再アタックする。

練習走行を走る加藤選手

 再びコースインすると順位はすでに9番手まで後退していたが、1分40秒728を出して6番手に浮上。さらにセクタータイムでベストタイムを更新するが、マシントラブルで停止した車両が出たため赤旗中断。やむなくピットに戻って高橋選手と交代した。

 代わった高橋選手も1分43秒台から42秒台へと、周回を重ねるごとにタイムを更新。タイヤを交換して予選を想定したタイムアタックを行い、1分41行325の自己ベストで周回。こちらも好調な走りを見せた。

 GT300クラス最後の占有走行は加藤選手が担当し、ベターな新スペックタイヤを履いて予選に向けた最終チェック。1分40秒台で周回を重ね、これまでにない好感触を感じながらセッションを終了した。

9月7日(土)予選

 エヴァンゲリオンレーシングは第4戦、第5戦と予選Q1で敗退している。しかし、午前中の練習走行の好調を維持すれば、久しぶりのQ1突破は可能だ。Q1の担当は加藤選手。15分のセッションが7分を経過したところでコースイン。計測2周目に1分40秒016を叩き出して4番手。次の周もアタックを試みるが、クリアラップが取れず7番手に後退。それでも今季最高順位で予選Q1を突破し、3戦ぶりとなるQ2進出を果たすことができた。

予選Q1を突破したエヴァRT初号機アップルMP4-12C

 続く予選Q2は高橋選手が担当。計測2周目に1分42秒台に突入。クリアラップを取るために1周ペースを落として臨んだアタックラップで1分41秒252の自己ベストをマーク。この時点では8番手タイムだ。そのまま2周アタックを続けるが、41秒603、41秒547と好タイムを出すもベスト更新には届かない。決勝スタートは予選のQ1、Q2どちらかで使用したタイヤを使うことになるので、ここで予選走行を終了。最終的に11番手となり、紫電のころと比べればもの足りないが、今季最高位で予選を終えた。

ピットウォーク、キッズウォーク、グリッドウォーク

 第5戦の鈴鹿に続き、今回もレースクイーンは5人体制となった。エヴァンゲリオンレーシング レースクイーンの人気はいつもどおり。多くのファンがピットウォーク、グリッドウォークに集まった。

ピットウォーク、グリッドウォークに多くのファンが集まった
キッズウォークでファンサービスをする両選手
加藤選手
高橋選手
キッズウォークには小さなレースクイーンも登場
スタート直前のグリッドで渡邊エンジニアと話し合う加藤選手

9月8日(日)決勝

 決勝日の朝に行われたフリー走行はウェットコンディションだったが、決勝が始まる午後は完全にドライ。定刻どおりスタートが切られた。

 スタートの担当は加藤選手。オープニングラップの前半は予選10番手の30号車 IWASAKI OGT Racing GT-Rと接戦になるが、ヘアピンからダンロップコーナーに続くパワー勝負の区間に入り、逆に86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3と48号車 DIJON Racing IS GT-Rに抜かれて13位に後退。さらにメインストレートで87号車 ラ・セーヌ ランボルギーニ GT3に並ばれ、2周目の1コーナーでオーバーテイクされて14位に後退した。

オープニングラップの1コーナー。9位、10位スタートの31号車、30号車と競り合う
2周目の1コーナーで87号車に抜かれ14位に後退

 前戦の鈴鹿からレギュレーション変更があり、搭載燃料が110Lから130Lに増えている。今回はたっぷり燃料を搭載して加藤選手がギリギリまで引っ張り、少なくなった残り周回数分の給油を短いピット作業で済ませ、高橋選手がゴールを目指す作戦だ。

 加藤選手は満タン状態でマシンが重い。無用なバトルを避け、タイヤに負担をかけないようドライブすることに徹した。1分42~43秒のラップタイムで走行を続け、他車の脱落などもあって9周目に13位、13周目に12位、15周目に11位とポジションを回復していく。

序盤はペースを維持しながら走行を続けた

 さらに10位を走る5号車 マッハGoGoGo車検 GT-Rの背後に迫ったが、フタをされた感じになってラップタイムを落としてしまう。トップスピードに勝るGT-Rはなかなか抜き去ることができず、16周目のプリウスコーナーで一時的に前に出るが、ストレートの後半で抜き返される。

 ここで加藤選手は勝負に出て、1コーナーのブレーキングでテール・トゥ・ノーズに持ち込み、続くコカ・コーラコーナーのインに飛び込みオーバーテイク。そのまま100R、ヘアピンで差を広げてダンロップコーナーまで逃げ切った。ここからの登りセクションでストレートでも追いつけないリードを確保して10位に浮上。ついにポイント圏内までポジションアップすることに成功した。

5号車と競り合う加藤選手。続くコカ・コーラコーナーでオーバーテイク
5号車を抜いて11位に浮上。ストレートはパーツの破片が散乱しており、この直後にセーフティカーが入る

 ここで大きなアクシデントが発生。32号車 EPSON HSV-010がストレートでタイヤバースト。コース上に壊れたマシンの破片を撒き散らしたためセーフティカーが導入された。この時点ではレース周回の1/3に達していなかったが、セーフティカー導入中に1/3に到達。クローズとなっていたピットがオープンになり、なだれ込むように各マシンがピットに向かった。

 GT500クラスは24号車 D'station ADVAN GT-R以外すべての車両、GT300クラスはおよそ半分の車両がピットイン。2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cはコースに留まった。

 通常はセーフティーカー導入中にピット作業を行うことで、走行速度が遅いときに作業を済ませてタイムロスを減らすことができる。ピットアウトして隊列の後方に追い付けば、ピット作業のロスを最小限に抑えて有利な状況となる。

 しかし、2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cはここで満タンにしても、残り2/3の周回を給油なしで走りきれるかはギリギリとなる。加えてラップタイムの速い加藤選手を短いスティントの担当にするのは不利という側面もある。さらに、空には黒い雲が立ちこめていつ雨が降り出してもおかしくない状況。レース再開後にウェットコンディションになれば、1回のピットインで済ませられるステイ組が有利となる。

 セーフティカー導入前は10位だった2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cだが、上位陣の多くがピットインしたため、見かけ上のポジションを4位まで上げてレース再開となった。ステイ組の10台が先行し、後方からピットイン済みでトップを走る4号車 GSR 初音ミク BMWが20秒遅れで追い上げてくる。このまま雨が降らなければ、ステイ組は一気に後方に押いやられて惨敗となる。

再開後は11号車、16号車、30号車に続く4位。観客席では傘が開き始めた

 レースが再開して数周で大粒の雨が落ち始めた。観客席には傘が開き、ウェットコンディションになるかと思われたが、雨は降り始めてすぐに小康状態。ときおりパラパラと雨足が強くなることもあったが、路面を濡らすにはいたらず時間だけが過ぎていった。

ワイパーを動かしながら走行するも路面はウェットにはならず

 ステイを選択したマシンが1台、また1台とピットインするなか、最後までペースを維持してコースに留まったのが加藤選手となった。見かけ上の順位は1位に登りつめたが、結局、42周目にピットイン。給油とタイヤ交換を行って高橋選手に交代し、13位でコースに復帰した。

 交代した高橋選手は1分43秒台とまずますのペースで周回を重ねた。55周目に30号車 IWASAKI OGT Racing GT-Rに抜かれて14位に後退したが、そのまま61周でチェッカーを受けた。

12位を走る52号車を追う高橋選手だったが……
背後に30号車が迫ってきた
30号車に抜かれて14位でフィニッシュ

 両ドライバーのレース中のラップタイムはわるくない。ピット作業にミスもない。十分にポイント圏内まで手が届く内容だったが、運が足りなかったと言えよう。

 SUPER GTシリーズの第7戦は九州オートポリスで10月5日、6日に開催される。復活の兆しが見えてきたエヴァンゲリオンレーシングに期待したい。

(奥川浩彦)