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SUPER GT第6戦富士は38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)が今季初優勝

GT300クラスは4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)が優勝

2013年9月8日決勝開催

 9月8日、2013 AUTOBACS SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で行われた。GT500クラスは38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)が今季初優勝。GT300クラスはピット戦略で成功した4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)が優勝した。

GT500クラス

 土曜日は曇り、決勝日朝のフリー走行は小雨だったが、決勝が行われた午後には強い日差しが降り注ぎ、夏を思わせる天候となった。14時にフォーメーションラップが開始され、ローリングスタートで66周の決勝がスタートした。

 ポールポジションの38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)がトップをキープ。37号車 KeePer TOM'S SC430(アンドレア・カルダレッリ)、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)、100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也)、36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ジェームス・ロシター)、6号車 ENEOS SUSTINA SC430(国本雄資)が予選順位のまま続いていく。

スタートは38号車がトップをキープ。37号車、18号車、100号車が続いた

 トップの38号車 ZENT CERUMO SC430は後続をジリジリと引き離す。その後方では、前戦鈴鹿で優勝した18号車 ウイダー モデューロ HSV-010はタイヤがマッチせずにペースダウンし、100号車 RAYBRIG HSV-010の追撃に防戦一方。8周目に順位を入れ替えられると、立て続けに後続車に抜かれて13周目には10位まで後退してしまった。

38号車が後続を引き離す展開
100号車が18号車を抜き3位浮上
18号車はズルズルと後退、24号車に次ぐ9位まで順位を下げる

 スタート時は快晴だったが、レースが始まると黒い雲がサーキットの山側を覆い尽くし、いつ雨が降り出してもおかしくない状況。天候悪化が危ぶまれるなか、アクシデントが発生する。

 19周目のストレートで32号車 EPSON HSV-010(道上龍)の左リアタイヤが激しくバースト。マシンはスピンしながらピットロード出口のガードレールに衝突し、1コーナー手前でマシンを止めた。幸いにも道上選手は自力で脱出、大事にはいたらなかった。

ストレート中盤で32号車がタイヤバースト
左リアを大きく破損
スピンしながらガードレールに衝突
1コーナー手前でマシンを止めた

 メインストレートには大破したマシンのカウルやタイヤなどの破片が散乱し、セーフティカー導入となった。前回の鈴鹿ではピットクローズ中にピットインしてペナルティを受けるマシンが続出したが、今回はレース周回が1/3に達していない段階ということでピットインするマシンはなく、セーフティカーの後方に続いて周回。しかし、セーフティカー導入中にレース1/3となる22周に達してピットオープンとなり、ほとんどのマシンがピットイン。大混乱のなかピット作業が始まった。

ストレートに破片が散乱するセーフティカー導入直前のメインストレート。38号車は4.3秒差で独走していた

 F1では1チームで2つのピットを使用するので、隣のチームとピット作業のタイミングが重なっても問題ない。しかし、SUPER GTでは1チームに1つのピットが割り当てられるため、手前のチームがマシンを止めているところにあとからピットインした場合、覆い被せるように斜めにマシンを止めて作業することになる。この状況では、覆い被せられたチームはマシンを下げなければ再スタートできない。また、ピットレーンの入口に近いチームは作業をすぐに始められるが、後続のマシンがピットロードに入ってくるとスタートを待たされることがある。一斉ピットインは作業時間だけでなく、ピット位置、前後のチームの動向によっても明暗を分ける可能性がある。

 ほとんどのGT500マシンがピットインするなか、24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信)だけがステイアウト。コースに留まりトップに立った。一方、トップでピットインした38号車 ZENT CERUMO SC430は、1号車 REITO MOLA GT-Rの後方でコースイン。序盤に築いた4.3秒のマージンを失うだけでなく、順位まで落としてしまった。前戦の鈴鹿ではセーフティカー導入の不運でレースを失ったが、今回もセーフティカー導入がアンラッキーとなってしまった。

実質的なトップは1号車となり、38号車と17号車が続く

 レース再開後の順位は、24号車 D'station ADVAN GT-Rが後続を引き離してトップ。20秒ほど遅れて1号車 REITO MOLA GT-R(関口雄飛)、38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)、37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔)が続き、セーフティカー導入で大きく順位が入れ替わった。

 見かけ上の3位に後退した38号車 ZENT CERUMO SC430はややペースダウン。17号車 KEIHIN HSV-010、37号車 KeePer TOM'S SC430に抜かれ、一時は5位まで後退した。

1号車、17号車、37号車と続き、38号車は5位に後退

 30周を過ぎてレース折り返しが近付くころに、空から大粒の雨が落ちだした。トップを走る24号車 D'station ADVAN GT-Rには恵みの雨だ。振り出しは大粒の雨で一気にウェットコンディションになるかと思われたが、すぐに雨は小康状態。雨足は弱まっていき、しばらくすると止んでしまった。

 雨が弱まりトップが見えてきた1号車 REITO MOLA GT-Rだったが、セーフティカーリスタート時にスタートライン通過前に前車を抜いたとの裁定でペナルティが課せられる。ドライブスルーペナルティで11位まで後退した。雨が止み、ステイアウトで稼いだ20秒のマージンも吐き出した24号車 D'station ADVAN GT-Rの背後に、2位に浮上した17号車 KEIHIN HSV-010が肉薄する。

 SUPER GTの規定では、1人のドライバーが走行できる周回数はレース全体の2/3。このレースでは66周の2/3にあたる44周が周回数の上限となる。2周を残した42周目で、ウェット路面になることはないと判断した24号車 D'station ADVAN GT-Rがピットに向かう。最終コーナーでその24号車 D'station ADVAN GT-Rをインから抜こうとしていた17号車 KEIHIN HSV-010が前を塞がれ、行き場を失って接触。アクセルを戻して加速が鈍ったところに38号車 ZENT CERUMO SC430が一気に並びかけ、立ち上がりの加速で抜き去ってトップに返り咲いた。

ペースを取り戻した38号車が37号車を抜き追撃を開始
雨は降らず、24号車のすぐ背後には17号車。その後方に38号車が続く
38号車が17号車を抜いてトップに返り咲く

 トップに立った38号車 ZENT CERUMO SC430は、その後も雨が降ったり止んだりする難しいコンディションのなか、慎重にゴールまでマシンを運んで今季初優勝。前戦の鈴鹿はセーフティカーの不運、その前のSUGOでもトップ走行中に接触されてリタイヤと不運が続いていただけに、悪い流れを断ち切る優勝となった。勝った立川祐路選手は15勝目で、本山哲選手と並び最多タイとなった。

優勝した38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
2位の17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
3位の37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)

 2位に17号車 KEIHIN HSV-010、3位に37号車 KeePer TOM'S SC430。4位は6号車 ENEOS SUSTINA SC430、序盤に順位を落とした18号車 ウイダー モデューロ HSV-010は5位、6位に12号車 カルソニックIMPUL GT-R、ペナルティで後退した1号車 REITO MOLA GT-Rは7位まで順位を戻してゴールした。表彰式の途中で降り出した雨は本降りとなり、路面がウェットになったのは表彰式が終わったあとだった。

 この結果、ポイント争いは18号車 ウイダー モデューロ HSV-010がトップ。同ポイントで12号車 カルソニックIMPUL GT-Rが2位。昨年のチャンピオン23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが3位。このレースで優勝した38号車 ZENT CERUMO SC430が4位となり、6ポイント差に6チームがひしめき合う状況となった。

GT500クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
2位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
3位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
4位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資)
5位18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
6位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
7位1号車 REITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)
8位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)
9位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
10位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ミハエル・クルム)

GT500クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)46
2位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)46
3位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)44
4位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)43
5位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)41
6位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)40
7位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)37
8位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)37
9位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)34
10位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資)32

GT300クラス

 GT300クラスは、ポールポジションを獲得した55号車 ARTA CR-Z GTにエンジントラブルが発生。エンジン交換を行う大修理となったが、決勝までに修理を終えてフロントローにマシンを並べることができた。

 オープニングラップで飛び出したのは、2番グリッドからスタートした3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)。直線スピードにものを言わせて55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)を抜きトップに立つ。3位以下は16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀)、4号車 GSR 初音ミク BMW(片岡龍也)、11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)と続き、予選4位の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也)は7位に後退した。

3号車がスタートで55号車を抜きトップに立った

 2位に後退した55号車 ARTA CR-Z GTはペースが上がらず、後続に抜かれてさらにポジションダウン。そのうえ他車との接触で変形したデュフューザーが左リアタイヤに当たって白煙が上がり、緊急ピットインを強いられ序盤で戦線から離脱した。

55号車は16号車に抜かれて後退
55号車はあっという間に5位までポジションダウン
左リアタイヤから白煙が上がる

 ここでGT500クラスの32号車 EPSON HSV-01のタイヤバーストでセーフティカーが導入。ピットクローズが解除されると、3位を走っていた4号車 GSR 初音ミク BMWが先頭でピットイン。GT500クラスは1台だけがステイアウトしていたが、GT300クラスは約半数がステイアウトし、チーム戦略が半々に分れることとなった。

パーツの破片が散らばるなか、3号車をトップに16号車、4号車、11号車が続く

 4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)はピットイン組のトップでコースイン。ステイアウト組の後方に付けて14位まで後退したが、天候がこのまま崩れなければ事実上のトップだ。ステイアウトしてトップをキープした3号車 S Road NDDP GT-Rだが、1周遅れでピットイン。同じ周にセーフティカーが解除され、セーフティカーと並んでピットに戻る形となった。

ピットイン後は後方で1人旅となった4号車

 レース再開後の順位は16号車 無限 CR-Z GTがトップ。2位以下は11号車 GAINER DIXCEL SLS、30号車 IWASAKI OGT Racing GT-R、2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C、50号車 Exe Aston Martinとなった。雨が降ればステイアウト組が有利、ドライのまま進めばピットイン組が有利となる。

ステイアウト組は16号車、11号車、30号車、50号車と続く

 レース折り返し付近で雨が降り出すもののウェットコンディションにはならず、ピットインしたマシンが走り続けるなか、ステイアウトしたマシンは1台1台とピットインして順位を落としていく。最後まで残った2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cも42周目にピットに入り、ピットイン組の最上位にいた4号車 GSR 初音ミク BMWがトップに躍り出る。

 この時点で後続を26秒引き離して独走状態となっていた4号車 GSR 初音ミク BMWは、その後もペースを落とさず1人旅。そのままゴールまでマシンを運び、終わってみれば2位に47秒の大差を付けて優勝した。

ウェット路面まではならず、独走でゴールを目指す4号車
31号車も2位で単独走行

 2位は31号車 Panasonic apr PRIUS GT、3位は86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3、4位は62号車 LEON SLSと、セーフティカーが導入時にピットインを選択したチームが上位を独占。ステイアウトからの再スタート後にトップを争っていた11号車 GAINER DIXCEL SLSと16号車 無限 CR-Z GTは7位、8位という順位で、チーム戦略が明暗をはっきりと分けた。

優勝した4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
2位の31号車 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
3位の86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司/細川慎弥)

GT300クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
2位31号車 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
3位86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司/細川慎弥)
4位62号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼)
5位3号車 S Road NDDP GT-R(星野一樹/佐々木大樹)
6位10号車 GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLS(田中哲也/植田正幸)
7位11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)
8位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)
9位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
10位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士)

GT300クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)60
2位11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)46
3位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)46
4位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士)43
5位4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)42
6位55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)40
7位62号車 LEON SLS(黒澤治樹)36
8位31号車 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)35
9位62号車 LEON SLS(黒澤翼)28
10位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人)25

 次戦は10月5日、6日にオートポリスで第7戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」が開催される。

(奥川浩彦)