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SUPER GT第4戦SUGOは8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)が3年ぶりに優勝

GT300クラスは55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)がセパンに続く2連勝

2013年7月28日決勝開催

 7月28日、2013 AUTOBACS SUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースがスポーツランドSUGO(宮城県柴田郡村田町)で行なわれた。GT500クラスは終盤に降り出した雨でトップ争いをする4台が接触により脱落。漁夫の利を得た8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)が3年ぶりに優勝した。GT300クラスは55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)が前戦のセパンに続く2連勝を飾った。

GT500クラス

 前日の不安定な天候から一転、強い日差しが照りつけるなかで81周の決勝がスタートした。ポールポジションからスタートした1号車 REITO MOLA GT-R(関口雄飛)がトップをキープ。39号車 DENSO KOBELCO SC430(石浦宏明)、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)がこれに続いた。

1号車がトップをキープ。39号車、18号車、17号車、38号車、その後ろに8号車が続く

 レース序盤、4位の38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)が18号車 ウイダー モデューロ HSV-010に迫りテール・トゥ・ノーズの争いとなる。激しい攻防が数周続き、38号車 ZENT CERUMO SC430がピットウォールギリギリをすり抜けるリスキーな追い抜きで3位に浮上した。

38号車が18号車を抜き3位に浮上

 レース中盤、各車のピットインが始まると、トップの1号車 REITO MOLA GT-Rと2位の39号車 DENSO KOBELCO SC430が同時にピットイン。ピット作業で3秒ほど早かった39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一)が順位を入れ替えて事実上のトップに立つ。

 見かけ上のトップに立った38号車 ZENT CERUMO SC430がピット作業を終えてコースに戻り、1号車 REITO MOLA GT-R(本山哲)の前に滑り込んだ。38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)と1号車 REITO MOLA GT-Rはサイド・バイ・サイドの争いを繰り返し、最後は2台が接触。タイヤを傷めた1号車 REITO MOLA GT-Rがコースアウトした。

38号車が1号車の前でコースに復帰

 失速した38号車 ZENT CERUMO SC430を背後に迫っていた18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(フレデリック・マコヴィッキィ)が抜き2位に浮上。38号車 ZENT CERUMO SC430が3位、1号車 REITO MOLA GT-Rはタイヤがバーストしてピットイン、最後尾まで後退した。

 残り25周あたりでコースには雨が落ち始めた。雨足は徐々に強くなり下位のチームはレインタイヤに交換するギャンブルに出るが、上位陣はスリックタイヤのままステイ。2位の18号車 ウイダー モデューロ HSV-010に38号車 ZENT CERUMO SC430が迫りテール・トゥ・ノーズ状態となり、その2台がトップに追い付いて3台の争いに発展。さらに4位の100号車 RAYBRIG HSV-010(小暮卓史)も追い付き、残り15周でトップ4台が僅差の争いとなった。

雨が降り始め、39号車の背後に18号車、38号車、100号車が迫る

 4台のバトルは38号車 ZENT CERUMO SC430が18号車 ウイダー モデューロ HSV-010を抜き2位に浮上。その勢いで39号車 DENSO KOBELCO SC430も抜いてトップに浮上する。引き離すかと思われたが、39号車 DENSO KOBELCO SC430がストレートで抜き返しトップを奪い返すと、続く1コーナーのブレーキングで38号車 ZENT CERUMO SC430が競り勝ち再びトップへ。スリリングなトップ4台の争いは思わぬアクシデントへと向かった。

38号車が39号車を抜いてトップに浮上
3位の18号車と4位の100号車

 バックストレート手前のレインボーコーナーで、前を走る2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)を38号車 ZENT CERUMO SC430はアウトから、39号車 DENSO KOBELCO SC430はインから抜きにかかった。イン側の39号車 DENSO KOBELCO SC430が2台に挟まれた2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cに接触し、押された2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12Cがアウト側にいた38号車 ZENT CERUMO SC430に接触。38号車 ZENT CERUMO SC430はスピンしてコースアウト。39号車 DENSO KOBELCO SC430も失速した。

 ストレート入り口で失速した39号車 DENSO KOBELCO SC430を、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010がイン側、100号車 RAYBRIG HSV-010がアウト側から挟む形となり、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010と39号車 DENSO KOBELCO SC430が接触して18号車 ウイダー モデューロ HSV-010がスピン。100号車 RAYBRIG HSV-010に接触して、18号車 ウイダー モデューロ HSV-010と100号車 RAYBRIG HSV-010がそのままコースアウトした。

 最初にコースアウトした38号車 ZENT CERUMO SC430と18号車 ウイダー モデューロ HSV-010はその場でリタイヤ。100号車 RAYBRIG HSV-010はピットまで戻るが、修復不能でリタイヤを選択。残った39号車 DENSO KOBELCO SC430はそのままトップを走り続けたが、3周後にタイヤがバーストしてスピン。ピットまで戻ろうとスロー走行する横を、37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔)と8号車 ARTA HSV-010(松浦孝亮)がすり抜けていった。

18号車、100号車との接触でダメージを負った39号車
タイヤがバーストしてスピン。ピットへ向かう39号車

 残り9周でトップに立った37号車 KeePer TOM'S SC430だったが、直後のハイポイントコーナーの進入で8号車 ARTA HSV-010に抜かれ2位に後退。トップに立った8号車 ARTA HSV-010は徐々に差を広げ、そのままトップでチェッカーを受けた。

トップに立った8号車は徐々に37号車を引き離す

 2位は37号車 KeePer TOM'S SC430、3位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)。4位にはトップの座を明け渡したあと、ピットでタイヤ交換を行った39号車 DENSO KOBELCO SC430がコースに復帰して貴重なポイントを獲得した。

優勝した8号車
2位の37号車
3位の23号車

 優勝した8号車 ARTA HSV-010はチームとして3年ぶりの勝利。ラルフ・ファーマン選手はGT500通算12勝目、松浦孝亮選手は初優勝となった。ドライバーズポイントランキングは、リタイヤした100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)が1位。4位に入った39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)が2位。第3戦で優勝した12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が3位。今回優勝した8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)が4位に浮上した。

GT500クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮)
2位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
3位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
4位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
5位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ミハエル・クルム
6位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資)
7位1号車 REITO MOLA GT-R(本山哲/関口雄飛)
8位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐)
9位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)
10位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)

GT500クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史) 35
2位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明) 34
3位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ) 31
4位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮) 28
5位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ) 24
6位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資) 24
7位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平) 23
8位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター) 21
9位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大) 21
10位37号車 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ) 21

GT300クラス

 GT300クラスは、ポールポジションの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也)がスタートでトップをキープ。2台のCR-Zを従えてレース序盤をリードした。2位争いは6周目に16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀)が55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)を抜いて2位に浮上、トップを追う展開となった。

61号車が2台のCR-Zを抑えトップをキープ
16号車が55号車を抜き2位に浮上

 トップの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTは徐々にペースを落とし、28周目に16号車 MUGEN CR-Z GTに抜かれ2位に後退。30周目にピットインを行い後方から追い上げる選択をした。61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)はトップの16号車 MUGEN CR-Z GTを上まわるペースで周回を重ね、見えない敵とのタイムバトルを続けた。

 10周遅れてピットインした16号車 MUGEN CR-Z GTがコース戻ると、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが先行。早めのピットインが功を奏した。さらに55号車 ARTA CR-Z GTも3周遅れてピットイン。16号車 MUGEN CR-Z GTよりも8秒ほど短いピット作業でピットアウトして、16号車 MUGEN CR-Z GT(中山友貴)はもちろん、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTよりも前でコースに復帰し、事実上のトップに浮上した。

 全車のピット作業が終わった段階で、トップは55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)。2位に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、3位に16号車 MUGEN CR-Z GTとなった。

 レース終盤、雨が降り始めると2位の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがペースダウン。レインタイヤに履き替える選択をした。レインタイヤにスイッチした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTだったが雨は降ったり止んだりを繰り返し、55号車 ARTA CR-Z GTのタイムを上まわることができず作戦は失敗。順位を大きく落として6位でフィニッシュする結果となった。

 2台のCR-Zはスリックタイヤのままステイ。そのままゴールまで走りきり、前戦セパンと同じく1位が55号車 ARTA CR-Z GT、2位が16号車 MUGEN CR-Z GTというCR-Zの1-2フィニッシュとなった。最終ラップはGT500クラスで優勝した8号車 ARTA HSV-010と55号車 ARTA CR-Z GTがランデブー走行。同じARTAのマシンが並んでゴールラインを通過した。3位は昨年のシリーズ覇者、0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHE(峰尾恭輔/横溝直輝)が今季初表彰台を獲得した。

最終ラップ。ARTAの8号車と55号車がランデブー走行を見せた
並んでチェッカーを受けた8号車と55号車

 この結果、ドライバーズポイントランキングは3戦連続2位の16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)が1位。連勝した55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)が2位、開幕戦で優勝した11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)は1位から3位に後退した。

優勝した55号車
3戦連続で2位の16号車
3位の0号車

GT300クラスの順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)
2位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)
3位0号車 ENDLESS TAISAN PORSCHE(峰尾恭輔/横溝直輝)
4位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士)
5位87号車 ラ・セーヌ ランボルギーニ GT3(山内英輝/吉本大樹)
6位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
7位62号車 LEON SLS(黒澤治樹黒澤翼)
8位21号車 ZENT Audi R8 LMS ultra(都筑晶裕/リチャード・ライアン)
9位3号車 S Road NDDP GT-R(星野一樹/佐々木大樹)
10位10号車 GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLS(田中哲也/植田正幸)

GT300クラス ドライバーズランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位16号車 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)49
2位55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)40
3位11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)36
4位52号車 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士)24
5位4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)22
6位87号車 ラ・セーヌ ランボルギーニ GT3(山内英輝/吉本大樹)21
7位31号車 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)20
8位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)19
9位62号車 LEON SLS(黒澤治樹)15
10位86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司/細川慎弥)13

 次戦は8月17日、18日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)でシリーズ最長となる1000kmレースが行われる。

(奥川浩彦)